ブラボー!アラブスターズ
  〜2000年アラブ事情、まとめて極私的にプレイバック



どういうわけだか、独り対談形式になっております。もしくは腹話術?ワシゃ"いっこく堂"かいな?

ユーノすけ 発行人からスペース貰っちゃったので・・・年度代表馬級の馬については他の方々にお任せして、ここはひとつ、それ以外の活躍馬、印象的だった馬について、ごっそり触れていきましょう。
Uちゃん ミーハーにね。
ユーノくん まずはミスターカミサマ。
Uちゃん 衝撃的なAGP捲り圧勝。脚質も目立つが何と言ってもあのメンコ。フツーの馬だったら単なるイロモノ。それが今ではトレードマーク。認知度も上がったし。
ユーノくん カミサマはAGPもともかく、メジャーデビューとなった銀杯の捲り圧勝も忘れがたい。福山の4歳戦国模様をあざ笑うかのような。賞金ギリギリ足りての滑り込み出走だったんだよな。
Uちゃん そのカミサマに、秋以降重賞で2度も負かしたモナクマリンの逃げ脚も凄い。
ユーノくん 初夏には激闘の瀬戸内賞勝利、なんてのもあったけど、躍進したのは秋だね。とにかく速い!勝つレースが悉く好タイム。千八までなら日本一速いんじゃないか。
Uちゃん マリンはホントに小柄な馬なんだけど、馬体についた筋肉が素晴らしい。惚れ惚れするね。
ユーノくん 瀬戸内賞はマリンにノア、エムエスペッカーにアポロスイセイのボコボコの逃げ合戦。凄かったな。
Uちゃん そしてこの時2着だった益田のノアが4歳で夏の日本海特別勝ったね。プリウス負かして。
ユーノくん このレースのノアの乱ペースは印象的。前半の掛かり逃げから溜め逃げによく移行できたな。
Uちゃん この時のノアは夏負けで顔なんかゲッソリしちゃって可哀想だったけど、よく勝てたね。その反動か、後半使えなかったのが残念。
ユーノくん ニホンカイプリウスは年始めの日本海特別と中津のガーネット特別勝って、期待してんけどその後が・・・夏の日本海もあっさり負けて、残念。
Uちゃん プリウスはおっとりしていて顔も可愛くて好馬体で好きなんだけどねえ。
ユーノくん 夏の逃げとくれば、トモシロヒットの金杯圧勝。
Uちゃん これも爆速。またトモシロの馬体がデカくて背も高くて胴が詰まってて、サラのマル外スプリンターのような、いかにも短距離馬って感じで凄かったんだよね。
ユーノくん しかしその後はさっぱり。何故に夏の時季だけあんなに走ったのか?まさに"真夏の夢。
逃げといって忘れちゃ困るのがイセイチフブキ。秋はレコード連発!
Uちゃん イセイチはねえ、馬体のプロポーションからしてちょっと違うもん。デカくて首も胴も脚も長くて、んでもって顔も目がキツくて怖くて、何かもう怪獣みたいだもん。これがその身体メイチに伸ばして走るもんだから、ストライドがデカいの!同じ快速でもモナクマリンのピッチ走法とは全然違ってね。
ユーノくん あと逃げといえば、コウザンハヤヒデにトライバルサンダーか。これは年度代表馬の方で触れられているやろ。
Uちゃん コウザンの楠賞は、何かもう、芸術的やね。サンダーは地力の裏付けが有り余って、絶対に沈まない、トぶはずのない逃げって感じ。ちょっとサンダーは強すぎ。
ユーノくん 一方差し、追い込みとなると、まずはワシュウジョージ、まあこれは年度代表馬やけど。この馬は地力で馬群を押し上げられるし、前付けもこなせるので展開に左右されないっていうのが大きいと思う。なおかつ捲り差しの破壊力。あとは輸送競馬の克服。
Uちゃん 差し馬ということで挙げたいのは何と言ってもペルターブレーブ。奥の細道大賞典は感動した。あれはゴール板から逆算した脚だよ。んでもって、決勝線の前でちゃんと馬体が伸び切るんだもん。ホンマゴール板の位置知ってる競馬。個人的には大好き。今じゃ一番お気に入りかな、ペルター様。
ユーノくん 追い込みならデルタフォースを忘れちゃいけない。ゴール前に唐突に出現する追い込み脚。写真撮りにくいったら・・・しかしもう10歳だよ、よう頑張ってる。
Uちゃん デルタの牝馬版てな感じの笠松のアスターダルシャンは?直線だけで殿から5着に来るっていう・・・
ユーノくん んなもん好きなのキミとワシだけ。ダメダメ。東海の追い込みなら、3歳クラボクモンとか真っ白ミカワチャンピオンとかおるやろ。ヘイセイホワイトもいたなあ。
Uちゃん 園田のカズミサチフジも前半戦を盛り上げてくれたよ。斬れ味だけならワシュウより上やとも思ったけど。兵庫大賞典以降音沙汰無しなのが気になるところ。
ユーノくん 園田摂津盃4着で秋に福山転厩したアローパッションの進境が著しい。持続してなおかつ斬れる脚が福山に実に合ってる。正月の大賞典、カミサマの2着になったし、ホンモノって感じだな。
Uちゃん 佐賀のビソウミラクルの九州AGPでの捲りも派手だったよ。
ユーノくん あれはエゲツないな。格下相手に好きなように振る舞っただけって感じで。この馬は脚質的にはキャラが一貫しないね。
Uちゃん 高知のチーチーキング、若い時期から差し馬だったみたいだけれど、AGP3着。大物になったね。
ユーノくん イッテンヨカイチも早くから差し競馬していたね。んでもって結構斬れるんだ。
Uちゃん ケイエスヨシゼンの脚っていうのは?
ユーノくん 時計のかかるバサバサの良馬場ではまだ頑張ってる。ヨシゼンは勝負所で一旦ズブくなって後手踏んでそこから再度エンジンをかけるから、勝っても途中ハラハラするんだ。
Uちゃん それと素顔が怖い。
ユーノくん 逃げ、差し、追い込みときて・・・先行脚質ってのは?勝つ場合最も無難な戦法だけど。
セイユウ賞のアキフジクラウンの勝ち方は見事やったね。あれはホンマ強かった。長距離戦でああいう、自分で動いて他馬を潰すっていう競馬されるとたまらないね。
Uちゃん パッピーケイオーも一応先行脚質、それも教科書的な道中進行に見えるんやけど・・・
ユーノくん でもこの馬の走りの実際はムチャムチャ。前半は口割って掛かって、勝負所ではタれかけて、押してもズブくて・・・これを無理矢理シバいて持ってくると直線競り負けないという・・・馬の言いなりに走っちゃ絶対駄目なタイプ。藤本サブちゃんじゃないと乗れない。
Uちゃん シャインマンリーは年の中盤躍進したね。
ユーノくん 自分のペースで先行できたら末がホント渋太くなった。その結果が摂津盃同着優勝とタマツバキの2着。タマツバキは惜しかったな。この後また元の頼りない馬に戻っちゃったみたいやけど・・・
Uちゃん タカライデンの脚質っていうのも・・・
ユーノくん それなりのスピード、それなりの地力があるから、ハッコーディオス以外の地元の同世代相手には何となく逃げ・先行で勝てるけど、古馬や強い相手に入るとねえ。でも古馬になって馬格が出てきたのでちょっとは期待が持てるかな。斬れを望むタイプじゃないからとにかくパワーが欲しい。
Uちゃん パワーと言えばブラウンダンディ。楠賞最下位惨敗の時とは別馬だね。馬体も大きくなったし。名古屋2番手のブレーンワークがあれじゃ気の毒。
ユーノくん 11月にマリンレオにポコッと負けちゃったけど、東海ではほとんど敵なし、如何様にも勝てるって感じ。タマツバキは平松テン乗りで追い込み競馬の型にはめられちゃって3着だったけど、本来は先行・好位の競馬でしょう。今度のセイユウ賞、主戦安部騎手で楽しみ。
Uちゃん メグミダイオーの重厚な脚質も好感。
ユーノくん あれ、イムラッド産駒なのに、成長度あるし、長距離問題ないし、例外的な強さだね。東北アラチャンは余裕の勝利だったし。
Uちゃん なんかやっぱり先行脚質って話題にしにくい。ミーハー話にしようよ。テキトーに。
上山ってオープン馬、デカい。アオイリュウセイは首回りと胸前恐ろしく太いし、腹袋なんか子供入っているみたいだし。マルハチフレンドもタービュレンスも大きい。ペルターだって500k超。
ユーノくん 福山も大型馬多いね。前出のアキフジ、パッピー、トモシロ。加えてワールドアイにモナクダイキチ、、マルサンダイオーも肥えてきた。福山のオープン馬は一様に無骨な感じだね。
Uちゃん イーシーキングvsホマレスターライツは?
ユーノくん この2頭はホンマ対照的。動のホマスタ静のイーシー。躍進のイーシー停滞のホマスタ。イーシーは逃げも控えも自在になってきた感じ。スピードの裏付けがあって距離もこなせるというのが心強い。
Uちゃん 金沢は役者が揃ってきたね。
ユーノくん 東日本の有力馬が続々入ってきてる。イセイチにマルイシヒーロー、ダスティー、ビソウウエスタン、トライバルリーフ、イムラッドシンゲキ・・・アサカタイショウも元々は新潟デビューやし、生え抜き古馬ってツルギネオンとアイカンセンプーくらい?
Uちゃん イセイチとマルイシは全兄弟なんだけど、全く似てないねえ。さらにこの下がクールテツオー。テッちゃんは馬体はマルイシに近いかな、コロッとしてて。顔はイセイチっぽい?怖くて。イムラッドシンゲキは兵庫で見たときは「何だこの不細工な芦毛は!」って思ったけど、慣れれば普通かな。アサカタイショウはいかにも古武士の風格で、ある面格好いい。ツルギネオンって、カヅミネオン産駒にしては重厚。
ユーノくん 種牡馬で特徴、出るよね。例えばホーエイヒロボーイ、メンコが似合わないとか・・・
Uちゃん ホーエチャンピオンもアオイリュウセイもイセイチフブキもアキフジもジャパシュキングもみんな似合わん!エエ感じなのはエイランボーイくらい?それにしてもホーエイ産駒は今年も走ったねえ。
ユーノくん トライバルセンプーは垢抜けていてスラリでちょっと首の角度が高い。コウザンもデイオウルフも。
Uちゃん ホマレブルショワは首差しが細くて小顔。ホマスタやヤマノダイオー。ヤマノダイオーの顔は血管浮き出ていて怖いよ。パワーレイクはちょっと違うかな?
ユーノくん パワーレイクは古馬になって三白眼じゃなくなったようで。
Uちゃん ビソウエルシドは、ユーノスで印象跳ね上がったけれど、概してコンパクトかなあ。ビソウウエスタンにビソウミラクル、それにダイホーマ。あまり伸びやかな馬体の造りじゃない。
ユーノくん 最後に牝馬をまとめて。アラブの競走自体が縮小されちゃって、牝馬ならではという活躍の舞台が少なくなって、ちょっと不遇だな。この時代。
Uちゃん まあトライバルサンダーは別格だよね、"牝馬"という括り、超越してるもん。
ユーノくん QC同着1着のグリンティアラにクインラマ。同厩舎でもあったんやけど、タイプ違う。
Uちゃん グリンティアラはどっしりとしていて牡馬に混ぜても見劣りしない。でも可愛げはちょっと。クインラマには牝馬らしい線の細さを感じるね。だけどクインラマ、顔が可愛くないんだ、ギスギスしてるし鼻筋がスッとしてなくて、怖い。
ユーノくん 福山のムサシボウナナは牝馬然とした感じだったな。栗毛もきれいだったし。派手じゃないけどコツコツ走るっていう。
Uちゃん 美人という見地からすれば、ワシのオススメは園田のタキオビジン。明るい栗毛、スラッとした馬体に細面の顔。ホンマ。
ユーノくん イケノエメラルドは今年前半、見る度毎回冬毛ボーボーで参ったね。道営転厩また名古屋出戻りと、激動の1年だったようだけど。
Uちゃん 格好いいのは新潟のラブリーハート。馬体も顔もとことんシャープ。脚質も鋭い差し。同様な印象だったのが福山のイクノシンプウ。特に12月のアラブ王冠の時は黒メンコが似合っていたな。
ユーノくん 牝馬で忘れ難いのはニシノリュウジン。残念ながら6月に病死したニシノハクリュウの、年子の全妹なんだけど、馬体の見た目といい身のこなしといい、またまた善戦型のレース振りといい、兄にそっくりなんだよな。姫山はタカライデンの2着、その後古馬OPでも好走しているし、今後も応援していきたい。
Uちゃん 大トリにニホンカイキャロルのことを。平地競走46勝の日本最多勝利記録を樹立して引退。昨年アラブで最も大きな話題を提供した馬はこの馬かもね。引退式に行けてよかったよ。
ユーノくん ってことで、何頭登場した?
Uちゃん 種牡馬以外なら66頭。ふぅ〜、でもさ・・・
ユーノくん&Uちゃん 何かやっつけ仕事のような気がしないでもないのだが・・・
ユーノすけ はいはい、全てワシが悪うございます。最後はワシの口癖で。

「馬が偉い!」

※『アラビアンエース』セイユウ賞号外(2001.1.30発行)に掲載したコラムの、ノーカット版。
  『アラビアンエース』掲載分は一部割愛あり。
2001.1.28 記

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