第28回アラブギフ大賞典観戦報告

 2000.1.2、笠松、1900m

冬の笠松は砂塵が舞う。
これは誇張や比喩ではなくホンマのハナシ。濃尾平野は"伊吹颪"といわれる強い西風に晒される。 これが競馬場のスタンドに吹きすさぶわけである。カメラも砂埃をあび、ちょっとシビアな条件。

さて、アラブギフ大賞典。過去数年は東海のロートルオープン馬重賞といった風情でやや地味であったこのレース、 オールザドラゴンは荒尾、アサヒノルーチェは中津、サルタシーザーは益田へとそれぞれ転出。 "いかにも"のメンバーの顔はないが、今年は、"天才快足少女"イケノエメラルドvs"グラマー熟女"マルタカフレンズ、 という、全国区級の実力馬2頭の激突、まさに女傑対決。例年以上に興味をそそるレースとなった。
実績ではまさに二強対決なのだが、斤量イケノが50kの恵量に比してマルタカは見込まれ58kの背負い頭。 能力からしても明らかにイケノ有利。ハンデ戦とはいえイケノがメンバー中最軽量というのがそもそも?。

笠松名物、コース内のパドックに各馬登場。冬場ということからか、どの馬の見た目もパッとしない。
イケノエメラルド、冬毛も出ていて馬体もさほどスカッとはしておらず、万全の気配とは思われない。但し気合い乗りは上々。 マルタカフレンズ、この馬ホントにデカい。体高も横幅もある。鹿毛なのだが栃栗のくすんだのような、ビターチョコみたいな毛色。 昨年このレースの2着の8歳牝馬、長距離得意の追い込みアスターダルシャン、もっと細身のイメージだったのだが思いのほか太い。

ところで馬券、イケノの本命には逆らえまい。イケノをアタマに全国区の実績重視でマルタカを斤量きついながらも本線に。 あとはアスターダルシャン、最近好調らしい8歳セン馬フジノテイオー、芦毛の追い込み馬ヘイセイホワイトに薄く、連単で流し。

いよいよレース発走。千九のスタートは向こう正面2角寄り、じわっとマルタカがハナ、離れずブラウンビートが2番手、 その外イケノは3番手。マルタカ逃げるが先行集団の先頭なだけ、距離を保った逃げではない。背負っていることを考慮すれば、 道中アドバンテージを稼いでおきたいところだが、どうもあやしい。イケノは絶好のポジション。 全日本アラブQCでは勝負所で内に閉じこめられた苦い経験を思い出すにつけ、先団外目は願ったりだろう。
そして2周目3角手前で意識的にイケノがGO。このあたりで馬群が一団となってくる。 そして最後の直線、抜け出したイケノエメラルドがゴールにまっしぐら、快勝。2着は好位からのフジノテイオー、3着追い込みでヘイセイホワイト。 マルタカフレンズは直線入口まで粘るも7着に沈む。
というわけでワシの馬券は押さえがとまっただけ、儲け、なし。

結局のところ、イケノエメラルドにとっては斤量といい相手関係といい、あまりに恵まれたレース。 とはいえ完調とも思われない状態での快勝は、この馬の絶対能力値の高さを示したものとして評価できるのでは。
マルタカフレンズはトップハンデもともかく、この馬、冬場は調子落ちるんだそうな。信じたワタシが駄目なのね。
とまれ、実にあっけない女の勝負の決着であった。

因みに東海ではこの翌々日に中京で名古屋杯。(ブラウンダンディの勝利とのこと) ここで最後に苦言なのだが、数多くない東海のアラブ重賞、正月開催とはいえ何故にこんな重複日程組むかな?主催者さん、 もちょっと考えていただきたい。


イケノエメラルド(43KB)
イケノエメラルド、優勝口取り
マルタカフレンズ(39KB)
マルタカフレンズ、返し馬

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