第8回山陽杯観戦報告

 2000.2.14、園田、1870m 但し重賞ではなく指定(特別)競走

流浪のレース、山陽杯。
福山・園田交流競走として、本来ならば初夏に福山、10月に園田での開催なのだが、"タマツバキ記念"の冠称がついて 西日本交流になったりして、レースの素性や開催時期がやたら揺れる。今年度は福山の山陽杯が"タマツバキ"ということ で10月開催、園田は無しか?と思いきやこの時期に。そもそも兵庫の開催区切りがカレンダーイヤー単位、福山をは じめ地方競馬の多くが年度単位というところに混乱の原因があろうかと。しかも福山では重賞、園田では(冠称がつかぬ限 り)重賞ではなく指定(準重賞扱い)競走。格付けもちぐはぐ。
この流浪のレースに、雪がさらに追い打ちをかけた。当初予定の10日の前日晩の雪で、前日の開催が中止、前日の番組 が10日にスライド、ということで山陽杯デーの番組は後ろに回って14日。迷走の極みか。
この時期に山陽杯開催ということの意義は、3月に控える佐賀の西日本アラブ大賞典−今年は"セイユウ賞"の冠称がついて 全日本アラブ大賞典−への前哨戦、ともすれば出走馬選定戦、ということだろうかと推測していたのだが、 10日から14日への順延の間に、セイユウ賞出走馬の選定が発表されてしまうという事態に。因みに兵庫からはワシュウ ジョージ、福山よりアキフジクラウン。ケイエスヨシゼン、選に洩れる。いずれも今回の山陽杯出走馬。
というわけで、昨日の中津のガーネットが選出フツロサンサン−選外ニホンカイプリウスの是非が焦点であったように、 この山陽杯は、選出ワシュウ−選外ヨシゼンの妥当/不当性が問われるものとなった。そして何より、福山のアキフジと パッピーケイオーが園田で拝めることが見もの。

天気予報は好天を告げず、イヤな感じ。日程変更なんて言わんこっちゃない、と不機嫌だったのだが、どうやら天気も保っ てやれやれ。午後から園田へ。早速やすしにいさん発見。かずRさんも来ているとのこと。そして昨日見た黒のダウンのプ ルゾン、栃さんだ。お互いご苦労様。そして程なくスタンド内で山ちゃんに見つけてもらう。パドックでは熱心に観察する アラブファンさんの姿。そしてスーツ姿の大盛りさんも。

さて、山陽杯のパドック。ワシュウジョージ、鶴首、絶好。恐らくこの中間全く緩んでなかろう。トライバルサンダーも 伸びやかに(後で写真を見たらちょっと毛艶冬毛っぽかったが、結果関係なし)。現福山王者アキフジクラウン、+7kも問題 なし。気合い充分、グングン歩く。福山からのもう1頭、パッピーケイオーは暴れる程ガチャガチャ。しかしながらこれが この馬のファイティングポーズらしい。例によって二人曳きの厩務員さんを引きずってパドックで走り出そうとする。
そして、問題はヨシゼン。毛艶は新春賞より随分と良い。しかしながら左トモの送りが明らかに変。そして、歩こうとしない。 直前のアキフジからはどんどん遅れ、直後のワシュウには突っつかれ、挙げ句の果てには抜かされる始末。そしてしょうが ないのでパドック周回ショートカット。しまいにゃ立ち止まって動かない。気合いもはじめは全然乗っていない。 後半多少乗ったような素振りを見せたがどうにもこうにも。隣で見ていた山ちゃん、酷評。
ヨシゼン(41KB)
ケイエスヨシゼン、パドック
このパドック、どうしたものか・・・
アキフジ(42KB)
アキフジクラウン、ゴール前
残念ながら3着

馬券はワシュウから断然。相手筆頭はトライバルサンダー、新春賞1、2着の組み合わせ。ヨシゼンがそれでもかなり売れている。 確かに斤量55kは彼にとって裸同然だが、買い材料はこれと、栄光の実績だけか、と。あのパドックと一八七の距離では・・・ 要らぬ。アキフジも馬券では健闘。パッピーの複勝が妙に売れているのが何とも、いかにも馬柱の競馬といった感。
ワシは取り敢えず福山応援でワシュウ−アキフジを押さえ、黒字が出る程度にワシュウ−トライバルの本命馬券を厚く。 あとは万が一のワシュウ−パッピー。

いよいよレース。例によってトライバルサンダーがハナへ。1枠からアキフジが好発を決め一瞬トライバルと競る素振りを 見せつつもすぐに折り合う。同時に外からパッピーが掛かりながら猛然とトライバルの外へ、これが2番手、アキフジ結局 3番手(この辺がアキフジの巧いところ)。ワシュウは得意の中団、単走。この近辺にヨシゼン。今日のトライバルの逃げは 後続を引き離してのものではなくジワッとした逃げ。それもあってかその逆なのか、パッピーが闘志剥き出しでトライバル に食いついていく、トライバルを逃がさない。一・二角ではかなり絡みかけていく。
とはいうものの、パッピー気合い充分なのに向こう流しで既に手綱が動く。そしてこの向こう流しでまずヨシゼン発進、 が、岩田がしごくもヨシゼン三分三厘でズブさ発揮、思うに任せない状況か。一方ワシュウ、ヨシゼンとほぼ同時に向こう 流しでGO。こちらは何事もなく一気にギアが入る。ビュッ!と先団に。トライバルはまだ先頭快走。この三・四角、 ワシュウが迫ってトライバルが加速した時にアキフジがついていけず一旦後退してしまう、タレたかに見えるほどの減速ぶり。
そして直線、トライバル逃げる、追いつめるワシュウ、新春賞の時のようにズトン!とは抜き去らず、しかしスッ!と確実に トライバルを交わす(このあたり、擬態語多くてすみません)。そして1着入線。トライバルよく踏ん張ったが2着。 アキフジが直線再び盛り返し、脚をよく伸ばしたがさすがにそこまでの脚はなく届かず3着。パッピーが最後までがむしゃら な走りで4着死守、結局伸びなかったヨシゼン(5着)を振り切る。
というわけで、新春賞と全く同様の1、2着で決まり。ワシュウの充実ぶり、トライバルの強さの本物さ加減が浮き彫りとなった結果となった。
1周目(44KB)
1周目スタンド前
逃げるトライバルサンダー、2番手パッピー
ワシュウジョージ(42KB)
ワシュウジョージ、最後の直線
完勝のゴール

レース後の表彰式、吉田アナのインタビューに答える太さん。曰く、(筆者意訳)
−アキフジはどうでした?
「ワシュウの方の力が上位であると感じることができたと思います」
−次は佐賀のセイユウ賞、全日本で惜しくも敗れたホマスタが出走表明していますが、抱負を
「勝負はともかく、ホント、対戦できること自体、とても楽しみにしています」
てな具合。

結果的に、セイユウ賞へのワシュウ選定は妥当だったということだろう。確かに、ディフェンディングチャンピョンでもあり、 長距離は鬼のヨシゼンを出走させたいという気持ちは未だに抱いているのだが、ワシュウの可能性に注目してもよかろうか、と。 今更二四で泣き言もないだろうし。あと、アキフジが得意の長距離でどこまで本番差を詰められるかという点も、心に留めておこうか。
さて、セイユウ賞、打倒ホマスタに賭けるワシュウくんの意気込み、見せていただきましょう。

2000.2.15 記

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