第36回播磨賞観戦報告

 2000.3.8、姫路、2000m

アラブ系最後の播磨賞、そして太のいない"ひめけい"――
昨年の兵庫サラ導入のあおりを受けて、件の播磨賞、来年からはサラ系重賞に移行。よってアラ系重賞としてはこれで最後。 「アラブのメッカ」の通り名からは確実に逸れていく。
そして太さん、先週木曜日のレースで落馬、5日日曜日の佐賀では騎乗したものの、痛み(腰らしい)再発で今週は大事をとって全休とのこと。 ちょっと寂しい"ひめけい"である。

当日は寒が戻ってたまらん程の冷え込み。風も強く、スタンド観戦で(姫路はスタンド北向き)体の芯まで凍え切る。 晴れているだけましやと思いきや、ワサっと雲がやって来て雪まで降り出す始末。
そんな状況の中、アラブ最後の播磨賞を見届けんと(それがアラ系の急激な縮小を進める競馬組合への無言のプロテストかどうかは不明)、 園田系の皆さんが姫路に乗り込んだ。前田さん、大西さん(みんな休暇!)、日浦さんにかおりちゃん、ケーズにいさん、 そしてまりおちゃんにちーちゃんのひめけい組、プラスfrom京都のその名もズバリ京都人さん(ワシは年末の笠松以来のご無沙汰)。 そして関西写真系のうちで最近園田系との縁を深めるエチゼンさんも合流。

本日第一のヤマ場といえば、そう、まりお&ちーちゃんの横断幕デビュー!そう、"やっくん"こと岩田の幕(太さんのも作ったらしいのだが太休みでそっちのお目見えはまた後日)。 6R周回前のパドックにて柵に装着。(朝イチじゃあない理由、当事者の誰かがお寝坊さんなんでしょ。) みんなでパドックで待ち構えていると、あの「とま〜れ〜」オヤジが近づいてくる。「ちゃんと柵に結わえろ」だの 「周回中は幕にもたれてばたつかないようにしろ」だの指示をくれる。そして曰く、「これハトメもついててよう出来とる。」 「姫路じゃ横断幕あんたらが初めて」とさ。(実はかつての抹茶椀のが初めてらしいのだが)
みんなで柵に幕を結び付ける。ワシも手伝う。先日の佐賀といい、1週間のうちで、それも地方競馬で2度も横断幕付けるの手伝うことになるとは思わなかった。 一同以外の他のお客さんも注目してて、ちょっと誇らしい気分になる。
ここから先がそりゃ面白ろくて・・・何がって、パドック内の待機所にやってくる騎手の皆さんが一様に「えっ!?」って顔で幕を眺めるのだよ。
で、問題の岩田だが、幕を張った6Rまでに既に4騎乗終えてしまって、残すは2鞍のみ。お寝坊さんの自業自得。そして7Rに岩田の騎乗が。 パドックにやってきた岩田、「何なん、あれは?」といった具合に一瞬きょとん。待機所内でもずっと気になってるみたい。 とどめは騎乗して幕の前を通過する時、いかにも笑いを押し殺した何とも言えぬ表情、傑作。いやいや大した見物だった。
その7R、岩田は"横断幕パワー"で、平松の本命馬に続く2着をGet。

※レースのみに興味のある方はここからお読み下さい
あまりに長い前振りだったが、さて、本題の播磨賞。大まかな図式は、「"現"重賞常連勢vs新興勢力」といったところ。 その前者がノースタイガーでありタッカースカレーでありユウターヒロボーイ、ニシノハクリュウ。 後者がアドミラルにカズミサチフジ、マノノトップガンら。 中でもトライバルサンダー、出れば恐らくVへの最短距離とのもっぱらの戦前評価であったが、1週前の登録の時点で番組賞金何と20番目 (出走回数が少ないので持ち賞金があまりないのだ)。回避が7頭出なければ出走叶わずというとんでもない状況。 幸い回避が出て無事出走。因みに回避した面々の多くは同日8RのS2戦に回ることに(そもそも播磨賞出走メンバーのうち、半数はまだS2戦出走可能。)。 こちらは播磨賞はタッカー1頭に任せた形の、曾和軍団のオカノテイセンが渋く逃げ残り1着。 2着は森澤さんとこのスマノタイテイが道中相変わらずの掛かりっぷりでどうにかこうにか。

さて、パドック。実はニシノハクリュウが疾病(疝痛らしい)で除外、よって出走は11頭。
トライバルサンダー、今日は今までの黒メンコとはうって変わってピンクメンコで登場。オンナっぽさを狙ったか? 「キンキ」でも重い印がずらっと並ぶ。斤量52kはまさに恵量。で、気配だが、毛艶は山陽杯時と同様にやや冬毛っぽい。 そして馬体重が510kの+8。確かに数字そのままに胴体が太い。12月の頃や新春賞の時の方がすっきりしていたような・・・ しかしながら周回の気配は悪くないので、最近の充実ぶりと潜在能力からして無理に逆らい難い
カズミサチフジは踏み込みも良くリズミカルなとても好感の持てる周回。胴がちょっと短めでトモより胸前が勝った、キュッとまとまった体型。 アドミラルは黒鹿毛の毛艶が目を惹く。いい仕上げだと思う。ユタヒロボーイも近走結果がイマイチながらも仕上げは悪く映らない。 栗毛が輝く。パドック登場前に装鞍所の広場でずっと引き運動をしていた。マノノトップガンも成る程素質馬と納得させられるまとまった馬体。 気配良さそう。毛色はまさに"正調"鹿毛(ルドルフとかのような)。しっかし黒縁金ラメのメンコは何だかなあ・・・まるでマスカラスやんか(古っ!)
問題は久々のノースタイガー。これほどの実績馬であるにもかかわらず、「キンキ」の印は寂しい限り。そんなに仕上がり過程悪いのか? おかげで単勝こそそこそこの人気なれど、連勝はどれも高オッズ、いわゆる"「キンキ」オッズ"。で、パドックなのだが、印の無さほど悪くはない。 毛艶は問題ない。踏み込みにせよまあまあだろう(中継では「馬」の瀬藤はよくないと言ってたな)。ただケツの筋肉は、 以前の超絶的な造りの時に比ぶるべくもないのだが、それは致し方なかろう。

予想。新興勢力の各馬はいずれも斤量軽いので上り調子を考慮すれば充分狙い目の範疇に入ってくるのだが、 サンダーはともかく、いかんせん各馬拮抗で狙いの端緒を判断しにくい。であれはここは、パドック気配以上に人気の落ちたノースタイガーに賭けようか、 ということに(オッズ見てスケベ心が多分に出たことは告白)。相手は逆らい難いサンダーと、これも人気の上がらぬ重賞ウィナーのユタヒロBOY (こいつ姫路得意な筈やねんけど)。あとは前が崩れて差し競馬となった場合の、カズミ−マイクリスの森澤丼をおまけに。
マノノトップガン(48KB)
マノノトップガン、返し馬
そのマスカラスメンコ、やめ!
1周目(55KB)
1周目直線
逃げるノース、我慢のトライバルサンダー

レース発走、注目はハナを切るのはノースかサンダーか?姫路二千のゲートが二角で開く。
内から押して押して押して永島ノースタイガーが何が何でもの構えでハナへ。出遅れなかったことはやれやれ。田中サンダーは無理に競らずに2番手。 政宏マノノトップガンが押して出て二の足がついてスッと3番手。あの趣味悪メンコははずしている。イチノキングオを挟んで毅タッカーが5番手、やはり若干掛かり気味。 下原ユタヒロ中団、その外目あたりに平松アドミラル、定位置より若干後ろか。これら馬群の後方インに岩田マイクリス、今日は久々にメンコを取ってのレース。 離れた最後方を赤木カズミサチフジが単騎追走。
道中先団はスローか。というのも先頭のノースが彼らしくなくスピードが乗らず、ち切り逃げになっていない。おかげでサンダーはかなり我慢している模様。 その後ろの馬群とほとんど差がないということからもノースが遅いことが伺われる。こんな状況のまま2周目二角を迎える。全くもってワシのノース絡みの馬券の雲行きは怪しい。
そして3コーナーを待たずに永島の手が動き、三角ではもうサンダーに交わされてしまう、完全に失速。対するトライバルは手応え充分で4コーナーを回ってくる。 マノノは依然3番手キープ、そして外からタッカーが一瞬寄せる。
と、このあたりでカズミサチフジが大外にいきなり出現!あっという間に先団に(後で中継のビデオで確認すると、カズミ向こう流し半ばで加速、三分三厘を一気に押し上げている)。 タッカーの見せ場は結局四角のみ。ユタヒロもアドミラルもやってこない。直線に入り抜け出すトライバルサンダー。逃げ込まんとする彼女に一頭だけ全く別の脚色で猛追するカズミサチフジ。 最後は内サンダー、外カズミで馬体が合ってゴール板通過、際どい!
とはいうものの接戦の割にはすんなり着順が掲示板に点滅し始める。1着トライバルサンダー、2着カズミサチフジ、ハナ差。3着は道中3番手を死守し、置き去りにされた馬群からよく抜け出したマノノトップガン。 ノースタイガーは直線さらに沈没で最下位に終わる(なお、レース後ノースの永島、検量前の本馬場で下馬、そのまま馬装を解く。故障か?直線マイクリスに接触したとはアラブファンさんの見立て。 無事を祈る)。
馬券、はずれ。このサンダー−カズミの組み合わせ、馬連、枠連ともに460円の最低配当。結局堅かったということ。

サンダーvsカズミ
最後の直線
こらえる内サンダー、迫る外カズミ

田中jk、これで嬉しい重賞初制覇。サラでの活躍の話題先行の観がなきにしもあらずだったが、アラブの方でも強いお手馬(自厩舎か)を得て今日の重賞の表彰台。 学くん、サラもいいけどアラもよろしく。個人的にはリスペクトを何とかしてやって下さい(あの馬毅よりキミの方が走るよ)。

トライバルサンダー、強い。二千もOK、ただの逃げ馬なだけじゃないということも今日証明された。ハンデ52kはきっと楽だったろう。個人的には今日のピンクメンコより以前の黒メンコの方が好きです。 どうでもいいけど。あと、も少し馬体絞って欲しい。今日はやはり太かったでしょう。
カズミサチフジ、直線の斬れ脚もさることながら、特筆すべきは4コーナー回ってくるスピード。前走のウィンターカップ(1着)でもそうだったが、実に素晴らしい! 私見だが、強靱さや豪快さを捨象した、単に鋭さという点のみにおいてはワシュウジョージより上かもしれぬ、と思う。近い将来両者の対戦は必至。要注目。 今日はハンデ恵量だったが、今後の定量戦でのオープン一線級との走りで、その真価が問われることになろう。
マノノトップガンはさすがに素質馬だと再認識。道中ずっと先団で、トライバルとカズミに置いてけ堀食った馬群から唯一追いすがろうとした点は評価大。

と、終わってみれば戦前の見立て通り、トライバルサンダー一色のレース。ヒカサクィーン、フェイトスター以来の、牡馬とと互角以上に渡り合える牝馬ではないか。 全日本制覇が楽しみ、と思いきや、今年からアラブクィーンカップは「全日本」から「兵庫」に規模縮小。やれやれのサラ導入、か?(今年一過性というのならタマツバキのせいとも推測されるのだが・・・) 他地区の有力牝馬のこともあるのだから、兵庫の都合だけで規模縮小するくらいなら、「全日本」の看板、他地区に譲ったらいかがなものか?近年東海は牝馬いい馬輩出しているから、 名古屋あたりに敬意を表して看板預けちゃえば。そしてイケノエメラルドと決戦!
それと追伸、「早く戻ってきてね、キクノパワフル」

2000.3.12 記

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