福山グランプリ 第11回ローゼンホーマ記念観戦報告

 2000.3.19、福山、1800m

福山グランプリ ローゼンホーマ記念――福山史上最強馬、ローゼンホーマを顕彰しその名をレースに冠した、福山開催年度の最後を飾る総決算、であるのだが・・・
問題は佐賀の西日本アラブ大賞典から中1週というその施行時期。基本的に佐賀には福山No.1が(大抵は正月の福山大賞典馬)挑むわけで、輸送しての他場での、それも長距離戦からの折り返しの出走は過酷、従ってその佐賀帰りのNo.1が欠場のケースがままあるわけ。
今年もその例に漏れず、横綱アキフジクラウンは不出走(因みにアキフジ、このローゼンデーの翌日、本場場でセイユウ賞優勝のお披露目。何てったって日本一!)。よって年度掉尾を飾るグランプリは「アキフジいぬ間の」重賞の奪い合いという様相を呈することとなった。とはいうものの混戦模様というわけでもなく、その実はアキフジの次位を争う2番手決戦、一騎打ち。
すなわちパッピーケイオーvsモナクダイキチ。いずれも昨秋以降A1に定着し常に上位争いを繰り広げているライバル。秋以降の直接対決の結果は以下の通り。

  1/22,A11/3,大賞典11/28,A111/14,菊花賞10/31,A110/11,A1A2
パッピー 2着2着2着2着7着1着
ダイキチ 1着4着1着3着4着3着
1着馬 ダイキチアキフジダイキチアキフジアキフジパッピー

実に一目瞭然。お互いの先着回数はタイ。勝ち星こそダイキチが上回るが両者ともアキフジに完全にアタマを押さえつけられている(表中パッピーかダイキチが1着のレース全てアキフジ不出走、そもそも昨秋以降アキフジは地元馬に負けていない)。というわけで「勝つのはどっちだ?」予想紙面にも二強の馬名が躍る(『福山エース』の見出しは「豪傑パッピーケイオーvs巨砲モナクダイキチ」でっせ、凄すぎる・・・)。

と、勇んで当日を待ち受けていたものの、イヤな予感、的中。すなわち、雨。
昨年のローゼンも小雨降る中でのレース(その雨&泥田の如き馬場がステイブルラインの牙を抜き彼の馬生を狂わすこととなる)。今年も天候を危惧していたら案の定・・・雨イヤやっちゅうに・・・
まあ愚痴っていても始まらない。6:47西明石発各停→岡山8:52着→9:10発快速→9:50福山着。競馬場行き無料バス始発10:15乗車で競馬場着、という福山入りのいつものパターン。1レース直前に京都からの京都人さんとやまじさん(お初!)ペアに遭遇。三者でしばらく行動を共に。やがてスタンド柵沿いで福山のおさるさんと福山通いの関西人ディープさんに挨拶。全場制覇にリーチの関万さん、岩手OB馬を巡るメイ後さん、というように小雨降る中続々と集結。晩はオフ会。そして遅れて「幹事」ともろうさんが現れる。ようやくG板前に脚立出現!

メインのパドックを迎える頃には雨もどうにかこうにかカメラを出せそうな小止み模様となる。いよいよローゼン出走各馬が登場
さすが重賞、一見して造りが妙な馬はいない。1番マツノホープは皮膚が薄そうな栗毛、いい感じ。一応昨年のローゼン2着馬。 昨晩秋の休養明け以来、ようやくA1戦で格好が付いてきた。一角崩しに虎視眈々。
2番ブラウンソプラノ、お約束通り(!?)パドックでウ○コかます。毛艶そこそこなれど、トモの張りがイマイチのような・・・9歳か。
そして5枠5番にパッピーケイオー。例によって二人曳き、早速口を割ってパドックで走り出そうとする(この姿を初めてご覧になる方はイレ込み大丈夫?とさすがに心配になるようです、山ちゃんも関万さんも京都人さんもそうだったようで、しかしあれが好調、やる気のサインみたいよ)。筋肉と毛艶は文句ない。
続く6番は名物バカ逃げモンゴルムーン。この馬も相変わらずパドックが激しい、明けて8歳になったというのに年相応の貫禄というものが皆無。
7枠7番、モナクダイキチ。毛艶といい張りといい実にいい。パドックの外目をぐいぐい周回。鹿毛なのだが小雨に濡れそぼってか、漆黒に見える(去年のステイブルラインもそうだったのだが)。ぬめるような光沢。おさるさん曰く、「パッピーも荒いけどモナクダイキチもっと気が荒いからなあ」へえ〜。福山って凶暴天国?!ローゼンホーマ、サンワテイオー、ステイブルライン・・・
9番ワールドアイ、これもこのところA1に定着して堅実に自力強化中の馬らしい。鞍上は嬉、落ち目のピアドハンターに代わってこの馬がA1ではお手馬か?
パッピー(42KB)
パッピーケイオー、パドック
まさに走り出さんと
ダイキチ(45KB)
モナクダイキチ、返し馬
ブリブリの馬体

でもって予想。昨年までの枠連しか券種のない状況であれば馬券的妙味などほとんどないところだが、今年は枠単があるので「どっちに乗るか?」の勝負が味わえる。ワシはアタマ−パッピー、ヒモ−ダイキチで勝負(ワシの中でパッピーの評価は結構高いのよ)。あとはぽろぽろと2頭それぞれから、マツノホープやプラウンやモンゴルに流す。このあたりは単にワシの好み。

さあレース発走、都合よく雨も止んだ!と思いきや、締め切りと同時に発売システム故障!?発走時刻繰り下げ。その間にJRAのメインが発走。ラジオでチェック。阪神大賞典、トップロードあかんがな・・・結局15分お預けを食ってようやく発走。雨が再び降り出す。全く・・・
勇ましい福山の重賞ファンファーレが鳴る。福山千八は二角スタート、1周半。ゲートインからスタート!
例によって佐藤(元大場ね)モンゴルムーンがガンガンと先頭に、一方これも例によってモナクダイキチが出遅れ(予想紙のコメントで調教師がすでに「ゲートで出遅れるだろうが」と出遅れ宣言)。さて道中、モンゴルが後続をやや離しての逃げ、2番手8番格上挑戦のスターロメオ、3番手に藤本パッピー、いつもながらの道中メイチに見える熱血走法、その外に嬉ワールドアイ、これらを見て中段インに久保河内マツノホープ、エリートカップ唯一の5歳馬、出遅れ岡田ダイキチは焦らず中段外目、殿はそれが指定席の石井ブラウン、ぽてぽて追走。
勝負が動くのは2周目二角通過から、逃げるモンゴルをパッピーが早々に捉えにかかる。同時にダイキチも馬群外を進出開始。モンゴルあっけなく後退、パッピーに連れて外からワールドアイ、内から押し上げるマツノホープ、そしてワールドアイの外からダイキチが来る。
そして直線、四角を先頭で回ってきたのはパッピー、外に迫るダイキチ、2頭の間に馬体を突っ込もうとするマツノ。ここでパッピー鞍上藤本が左鞭、ところが馬はもがきながら加速しつつも逆らって左(外)によれる、マツノはタイミング悪くパッピーと外ダイキチの間を割り切れずこれまで。最後はダイキチも振り切ってパッピー優勝。2着及ばずモナクダイキチ、3着マツノホープ、4着ワールドアイ。結局1〜4着は単勝人気順通りの着順。
直線(40KB)
最後の直線
先頭パッピー、口向き悪し
パッピー口取り(42KB)
パッピーケイオー、優勝口取り
優勝してもジタバタと前掻き

パッピーケイオーは嬉しい重賞初制覇。道中がむしゃらながらも先行抜け出しで他を封じるという、持ち味が出たレース振りだったと思う。しかし最後の直線、鞍上が鞭入れた左の方にさらによれ続けるのはいただけない(確か福山大賞典もビデオで観たらそうだったな)。矯正したまえ。
モナクダイキチも今日は負けこそすれさすがに2着は獲ったというところ。出遅れ癖何とかしたらどうなるのだろうか?顔は鼻ペチャでイマイチだが馬体はホント見栄えがする。今後も注目。
マツノホープはさらに巻き返しを目指して欲しい。力的には劣るとは思われない。ブラウン不発、止むを得ぬのか?モンゴルはまあ納得、でも今日はベベじゃない!意外。

福山次回の古馬大一番は4月の福山桜花賞、そこにはアキフジが日本一の金看板引っ提げ、満を持して登場するかと。おまけに距離は二二五の長距離戦、肩書きと距離適性の手前、無様な競馬は許されまい。その王者にパッピー以下、今日の面々が挑戦となる。王者の面子か、下克上か。アキフジ、パッピー、ダイキチ、マツノ、この4頭は皆6歳、今後まだまだ充実の余地がある筈――アラブ王国の戦いは続く・・・

2000.3.21 記

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