開設記念 第16回南国桜花賞観戦報告

 2000.4.23、高知、1900m

南国桜花賞――年末年始の南国王冠と並び、高知で唯二つのアラブ系古馬重賞であり、アラブ主義者にとっては観戦するべきレースであるのだが、高知行きの夜行快速の指定席券だけ事前にキープして、日和見を決め込む。レースの出走メンバーと当日の天候次第。チュウウオーロッサとデルタフォースがお目見えであれば高知行きの腹づもり。そして前日、出走メンバー発表。お目当てのロッサとデルタの馬名確認、のみならず、高知アラブ界最大のスター、"パパパパ"パワーレイクも登場とあっては、これは必見。加えて当日の高知の天候は晴れとのこと、早速高知への乗車券と復路の特急券と新幹線を手配して、高知へ向かうことに。実はワシ、これが高知競馬場初体験、のみならず四国初上陸なのである。

旅費と時間と宿泊費の節約とということで選択した往路の臨時夜行快速「ムーンライト高知」、神戸三ノ宮駅を夜0時37分発、全席指定グリーン車(とは言ってもグリーン券1900円なり)に乗り込む。と、グリーン車とはいうものの、ワシの当たった席、板の間雑魚寝席(ノビノビシートと言えば聞こえはよいが、そんな洒落たもんではない小汚い車両、おまけに隣はじいちゃん)、横になれる分ましなんだか悪いんだか・・・
その夜行で朝の7時過ぎに高知駅着。高知平野に入って目に映った車窓の景色、既に田植えが終わっていることに南国をまず実感。競馬場への無料送迎バスの始発にはまだまだ時間があるので、それまで高知城見物(ワシ結構城郭マニア)と、高知市電(通称「とでん」)を楽しむ。そして10時10分始発の無料送迎バスを高知駅前のロータリーで待っていると、3月5日のセイユウ賞でお会いした、福岡在住の"さまにべっぴん"さんの姿が。一緒にバスに乗り込み競馬場へ。バスは駅前から幹線道路を南下し、途中逸れて丘陵地帯へ入り、20分程で高知競馬場に到着。

初めて訪れた高知競馬場の印象。意外と敷地面積がある。そしてスタンドはさほど大きくはないようだが、小綺麗である。広めの敷地内の、馬場側とパドック側の中間にスタンドを据えたといった感じなので、馬場側とパドック側との連絡が非常によい感じがした。高知競馬の予想紙は「競馬研究」、「福ちゃん」、「中島高級競馬號」と三紙あるのだが、さまにべっぴんさんは全て購入。やる気満々。ワシは尋常ではなく情報量の多い、「福ちゃん」に。確かに情報量は多いのだが、馬柱レイアウトに癖がありすぎて容易くは解読し難く、レース毎の予想の検討の一助にはまるでならない。ハナキオーさんの事前の忠告通り。
せっかく1レースに間に合ったので、馬券を楽しもうとして小手調べに1Rを買う。予想の印、オッズ、それにパドック気配からもどう見ても2号馬のアタマは堅く、ヒモも4号馬だと判断し、珍しく連単で2−4の一点買いをしたところ、結果裏目の4−2。のっけから挫けて以降のレースはほとんど遊ぶ。
そうこうしている間に、見知った方々が登場。"高知の主"もりも先生、ゴリゴリの地方競馬現場主義者ディープさん、そして"大御所"Okuさん。Okuさんはカメラ、新兵器NewF1モードラ付きを携えて登場。加えてレンズは例によってFD白玉サンニッパ。超重量装備、凄すぎる・・・午後になって、"脚立三男"ともろうさんが現れる。
当日は雲一つない快晴。しかし風が強く、カラッとした素晴らしい日和。この好天のまま、メインレース、南国桜花賞を迎える。

パドックに出走各馬登場。さすが当地の一線級、それぞれ好仕上であることに加え、南国のまぶしい日差しに照らされて、みんなぴかぴかに見える。その中で注目された馬を以下列挙。
チュウオーロッサ、年明け以降地元では3連勝、ここは1番人気。馬券はもっぱらこの馬から。主戦の徳留jkが病気欠場で今日は鞍上リーディングの北野jk。3月佐賀のセイユウ賞では馬ッ気爆発でパドック大暴れだったが、今日はややうるさい周回ながらも闘志の現れといった感じで問題なし。かなり深いブリンカーを着用。
"スター"パワーレイク、昨年9月以降の長期休養から3月下旬に復帰し、これが復帰2戦目。復帰を知らなかったワシとしては出走してくれたことが嬉しい計算外。この馬のパドックというと鶴首三白眼の気合いの迸りレッドゾーンでイッちゃった状態、というイメージがあったのだが(昨年の瀬戸内賞で目撃)、それからすれば今日の気配は全く大人しい。目つきも尋常。これは気合い不足か、気配重めの証か?鞍上はベストパートナー北野ではなく中越jk。重賞勝ち星数でハンデが加算される別定重量故、斤量はロッサと同じ58k、基準ハンデが55kなので有利とは言い難い。
お目当ての一つ、高知稀代の追い込み馬、デルタフォースは、伝え聞いているその脚質から想起した獰猛なイメージからはかけ離れた落ち着いた周回。まあ10歳馬ということもあるのだろうが。明るめの鹿毛の馬体、そしてたてがみはモヒカン。ハンデはロッサとパワーレイクに次ぐ57k。今日はさほど人気にはなっていないようである。
牝馬の差し馬フトーイチヒメが人気3番手。このところ斬れ味はデルタフォースより上だそうな。キュッとコンパクトな黒鹿毛の馬体。牝馬2k減で53kのハンデが好材料。
マルシンダイドウは栃木所属の4歳時、とちぎアラブ王冠の勝者(その時2着はトチノライデン、ディープさん、ご教授感謝)。現在は高知のA級中位。青毛の真っ黒な馬体。
その他元福山A級ダイリキホーエイ、佐賀A級を張って高知へ出戻りのブルーシームあたりもそこそこ人気。
返し馬からゴール前に皆さんと陣取り、写真撮影。高知のスタンドは南向き。直線を順回りに走る馬にカメラを向けると、好天故にまともに逆光。撮影にはかなり厳しい。マルシンダイドウの返し馬が、首をぐっと下げ、重心低く印象的。おまけに黒い馬体ということで、ワシ好みのタイプ。(ピアドハンターと同じクチ)しかしこんな逆光の下での黒い馬、案の定写真はアンダーで黒くつぶれる。ロッサの青メンコ特大ブリンカーの走る横顔がちょっと滑稽(「偽ウルトラマンみたい」byディープさん)
デルタフォース、パドック(51KB)
デルタフォース、パドック
モヒカンです
チュウオーロッサ、パドック(48KB)
チュウオーロッサ、パドック
ブリンカー深い・・・

一応馬券を買う。素直にお目当てだったパワーレイク、チュウオーロッサ、デルタフォースの馬連三角買い。プラス、パワー−ロッサの枠単。パワーレイク応援の気持ちと、今日これまでの結果、人気のアタマが悉く2着という流れを考慮して。

いよいよレース発走、高知千九のスタートは2コーナーを回った向こう正面入り口、ここから1周半強。
と、ここで、以下例によってレース状況を記すところなのだが、実のところ、
 1.高知競馬場には馬場内大型ビジョンがない。
 2.向こう流しが意外に遠い。
 3.馬場内設置の枠連の票数掲示板が横長で、向こう流しのかなりの部分の視野を遮る。
 4.場内実況の音声がスタンド前の屋外にあまり響かず、聞き取りにくい。
 5.3・4コーナーから直線が逆光になるので視認しづらい。
といった要因で、レース進行中、その状況をほとんど把握できず。従って以下のレース模様は、NARのHPのレース結果と撮影した写真、レース後場内モニターに流れたリプレイ(ただし途中から)を"カンペ"に使用。文中()括りの部分はカンペに依った部分。


1周目(47KB)
1周目正面スタンド前
先団パワーレイク、外にロッサ

スタートして2頭が先頭に。それも途中で入れ替わる。(ホエールシャドウ、ブルーシーム辺りが先頭、)(ダイリキホーエイも前、)馬群のアタマにパワーレイク、意外と前、その外にロッサ、内にスマノガッサン、馬群が切れて後方追走2頭のうち1頭がデルタフォース、殿ではないのだな。(これと併走はキタセイリンポー、)これからさらに遅れてポツンと1頭、フトーイチヒメが殿。いくら何でも離され過ぎではないのか?
(2周目向こう正面、先頭がダイリキホーエイからスマノガッサンへ)、そして三分三厘、デルタフォースがぼちぼち寄せ始め、フトーイチヒメは無理から前に取り着く。パワーレイクは先団がっちりキープ、いい感じ。
そして直線、パワーレイクの栗毛大流星が馬場真ん中の最前列に。内スマノガッサンが渋太いが、直線残り2/3程で抜け出し、脚色確かに優勝のゴールへ。鞍上の中越jk、勝利を確信し、G前20mあたりで拳を天に突き上げる。これをカメラのファインダーで視認して、ワシ、シャッターリリース。めでたしめでたしと安堵のその刹那、馬場大外からデルタフォースがぶっ飛んで来て視野に突然出現、それがまさにゴール板前。結果パワーの3/4馬身にまで迫って2着。ゴール後馬体が入れ替わる。3着粘ったスマノガッサン、4着フトーイチヒメがドンケツから突っ込む。
各馬ゴール板を通過し、ワシは暫しデルタフォースの衝撃に浸らんとしたところ、直線走路に騎手の下馬した馬が1頭。これが何とロッサ。直線競走中止。(自力で歩いて引き揚げていったので大事ないとは皆さん推測、後日発表によると右前跛行発症とのこと)パワーレイクvsロッサの対決は意外な形の幕切れとなってしまった。

パワーレイク、ゴール前(47KB)
パワーレイクwithガッツポーズ中越
1秒後この大外をデルタフォースが突っ込む

ロッサは残念だったが、勝ったパワーレイクは"スター完全復活"といった形で、めでたい限り。やはり地力がある。昨年は夏場に開催が立て込んだおかげで出走が嵩み、秋以降体調不良に陥り戦線離脱してしまったようだが、今年こそは無事に過ごしてもらいたい。そして10月、園田のタマツバキで再会できることを期待。
因みにパワーレイク騎乗の中越騎手は、この重賞Vが通算800勝のメモリアル・ウィンとのこと。そりゃゴール手前でガッツポーズもしたくなるわけだ。
2着デルタフォースのG前急襲。噂では認識していたが、"生"は想像以上の唐突さ。この初体験にワシ「デルタフォースG前、何じゃあれ!!あんなん撮れんで」と言うと、隣のOkuさん、ともろうさん、もりもさん、揃って曰く「あれいつもの事やわ」「高知のアラブは、あのデルタをいかに収めるかがポイント」。そうなのか・・・と高知ビギナーの敗北感。でもこのインパクトは貴重な体験。
珍しく、馬券、的中。パワーレイク−デルタフォースの馬連で、33.4倍もついた。ロッサが飛んだことと、デルタが思った以上に人気しなかった結果かと。嬉しいことにこの的中で、今回の旅費が捻出できてしまった。

最終10Rのアラブ系C2戦、高知アラブ4歳NO.1、チーチーキングが古馬に混ざって登場。人気を集めるが道中中団内で包まれ結果2着。勝ったのは、道営時代ステイブルラインの2番手だった(これもディープさん情報)モミジホウオン、前走A2級からドカンとクラスが下がっての勝利。

といったわけで、最終R終了まで高知競馬場を楽しみ、帰路に。(この後、Okuさん、もりもさん、ともろうさんはオフ会)もりもさんの車でディープさんともども駅まで送ってもらう。
駅のホームには17時3分発車間際の特急「南風」が。滑り込みセーフで間に合う。帰りの車中では日暮れ直後の瀬戸大橋の景色を眺め、7時半過ぎに岡山着。新幹線に乗換え9時前には西明石。せわしなかったが南国初夏気分を味わえ、満足ぢゃ。
しかしだね、4月下旬、高知の桜はとっくにおしまい。にもかかわらず「南国桜花賞」とはこはいかに?
2000.4.25 記

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