第27回福山ダービー観戦報告

 2000.4.30、福山、1800m

発端は4月23日、高知競馬場での会話だった。Okuさんの「ところでユーノすけ氏、来週はどこ行くん?」という質問に、ワシ「春天か福山ダービーかオフかやわ」。するとOkuさんはじめその場に居合わせた方々の周りの空気が変わる。「は!?春天?そんな選択肢もあるんか」。こりゃいかん、と、"アラブ現場主義者"の肩書きで通るワシの妙な自負心が頭をもたげ、真剣に福山ダービー行きを考え始める。すると翌週、全日本アラブ優駿の他地区選出馬の情報がネットに流れ、曰く、福山ダービー1、2着馬がその対象とのこと。全日本本番への予習として、ワシの中での当レースのウェイトがさらに増した。折しも、"リーダー"前田さんが、諸事情で当日の高知遠征を断念、福山行きへスイッチ。こうなると福山行き確定。"園田組遠征コンビ"よろしくふたり仲良くGo!Go!である。
当日の天気予報、曇りのち雨。午後からの天候を気にしつつ、姫路発臨時快速チボリ号へ乗車。車中空いていて混雑を覚悟していた我々は肩すかしを食らった感、しかしラッキー。本日前田さんはおニューカメラのデビュー戦。前田さんの一眼レフ購入に一枚かんだワシとしては何か嬉しい。車中カメラを取り出しあーでもないこーでもないと、カメラ操作談義。

終点福山には10:20着。乗換なしで快速は誠にありがたい。10:35福山駅前発(始発から3本目)の無料送迎バスに乗り競馬場へ。500円の指定席がまだ売れ残っていたのでこれを購入し、指定席にて観戦。
馬券戦線はワシ好調。前田さんは苦戦気味も中盤で当たり出す。場内で、福山在住おさるさんと、Okuさんに遭遇。我々の願い空しく天候は保たず、既に雨が降り始める。良馬場開始の馬場状態も後半から稍重へ。

さて、福山ダービー。今年の福山4歳戦線は、暮れの3歳重賞、ヤングチャンピオンの1、2着ユノアウトロー、ピアドオスカーが二強と目されたところ、上山より転入のヤマノダイオーが割って入りこれが前哨戦キングカップを制し三強状態へ。ところがダービーの直前開催ピアドオスカーとヤマノダイオー揃って惨敗、ユノアウトローは歩様悪化で前開催休みと順調さを欠く。そこへもってきてこれも上山からの転入でキングカップ3着のカガヤキフォルテが前開催快勝で評価を上げる、ということで、三強どころか混戦模様へと突入した感。予想紙でも本命が割れる状態、『福山エース』の紙面にも「戦国ダービー」の見出しが躍る。
その出走メンバー、上記のヤマノダイオー、ピアドオスカー、ユノアウトロー、カガヤキフォルテに加え、マツノホープの全弟で逃げ快速のモナクマリン、補助馬路線から3月1日の福姫交流(於姫路競馬場)の1、2、3着のゴウドウムサシ、シマナミカンセイ、ダイホーマの3頭、3月20日の4歳牝馬重賞クイーンカップの2、3着アレクシアとジョージレディ、以上10頭。

小雨降り止まぬ中、各馬パドックに登場。入場時にヤマノダイオーが、何が不満なのだか1カ所でぐるぐる回り、周回を渋滞させる。とはいうもののヤマノダイオー、479kの馬体重以上に雄大に見せる。単勝1番人気。
その他気になった馬、ピアドオスカーはテンポよくスタスタと周回。母ピアドタイトルに続きダービー母子制覇を目指す。ユノアウトローは-13kの馬体重減どおりひ腹が若干上がっている。これも完調であれば黒鹿毛でゆったりとした馬格故、大物感充分に見えるのであろうが・・・
カガヤキフォルテはどっしりとした周回。上り馬ということでこれが単勝2番人気。最もパドックがチャカチャカしていたのは牝馬アレクシア。
なお、個人的にパドックで一番よく見えたのは、何とダイホーマ。胸前が厚くコロンとした体型ながら、灰色芦毛のその毛艶はベルベットのよう(全盛時のビワハヤヒデを彷彿させる)。ケツの張りも最高。ところがこの馬、1月の4歳補助馬重賞、園田・益田・福山交流特別をブービー人気勝ちし、副姫交流3着ながら、日頃の一般戦全く不振、掲示板にも載らない。賞金高いレースだけ走る(by Oku氏&おさるさん)という妙な馬で本日最低人気。
雨に打たれてのパドック撮影は苦痛なのでそこそこにし、馬券を購入し本馬場入場を待つ。そんなわけで、今回のパドック吟味、全くの適当。(なお、スタンド内でマークシート塗りつぶしている間、3歳くらいのガキがワシのカメラのレンズに手え突っ込みやがった、何さらすねん、福山のガキゃあ)
本馬場入場から各馬返し馬へ。ユノアウトローは顔見せもソコソコに1コーナーへすっ飛んでいく。馬体重減からして返し馬しない模様。オスカー、ヤマノあたりも軽い返し馬。ダイホーマ、実に良いフットワークで駆け抜ける。

ということでワシの馬券、保守的にヤマノ−オスカー−アウトローの馬連ボックスを軸にカガヤキを絡め、加えてこの4頭へダイホーマから流し。はっきり言って買い目が多いが、そこはダービー、お祭りさ、ということで・・・"全日本"への出走馬選定競走ということを考慮すれば、二四の長距離、消耗戦を好勝負できる資質をみるに、道中好位で巧くレースが出来そうなヤマノダイオーと、距離延長して差しの破壊力増しそうなユノアウトローに期待なのだが。とかなんとか言いつつ、気持ちは来い来いダイホーマ。

1周目(46KB)
1周目スタンド前
2番手ピアドオスカー3番手ヤマノダイオー

結局雨の中、発走となる。馬場状態稍重。ゲートオープン!
大方の予想通り外からモナクマリンがハナへ。水を適度に含んだスピード馬場をすいすい逃げる。ピアドオスカーとヤマノダイオーが押し気味に2番手を取りにいく、双方退かず併走。1枠でユノアウトローが立ち後れ最後方追走。
道中マリンの逃げ、2番手以降は馬群一団、この先頭を内オスカー外ヤマノががっちり。続くインをアレクシア。ダイホーマ集団前方外目の絶好位、日頃の一般戦は後方ママ連発がこの走り、やる気満々か?カガヤキフォルテは後方、殿は依然アウトロー。
勝負所の2周目三角、ヤマノ、オスカーはじめ一団の各馬は寄せにかかるが、マリンが逃げ抵抗、四角を迎えヤマノ、オスカーともども押して押して先頭に取りつく。
そして最後の直線、最内モナクマリンはここまで。馬場の三分どころを内オスカー外ヤマノが馬体を併せて先頭、一騎打ちかと思わせたのもほんの暫く、ヤマノの外に後方よりじりじりと差を詰める馬が1頭、アレクシア!実は彼女、三角でオスカー、ヤマノの直後で押して押して食らいつき、直線外に持ち出しにじり寄って来ていた。残り100mを迎えずしてオスカー早々に脚が上がり、今度はヤマノ−アレクシア。ヤマノの鞍上渡辺jk、右鞭ビシバシで外のアレクシアに馬体を併せにいき、勝負は馬場外目で繰り広げられるが、アレクシアがぐいぐいと伸び、遂にヤマノと馬体を入れ替え、そして優勝のゴールイン。鞍上藤本三郎、G板通過後、検量前でワンテンポずれたガッツポーズ。
2着ヤマノダイオー、3着ピアドオスカー、そして4着、勝負決した後にアレクシアのさらに大外を突っ込んだダイホーマ。やはり高額賞金レースは強い!しかし馬券に絡めよな。5着逃げたモナクマリン。後方伸びずのユノアウトロー、カガヤキフォルテはそれぞれ7着9着。

直線の攻防(42KB)
最後の直線の攻防
外からヤマノダイオーを競り落とすアレクシア

ということで勝者は牝馬アレクシア、単勝6番人気。94年ピアドタイトル以来の牝馬のダービー馬誕生。鞍上藤本jkはパッピーケイオーでのローゼンホーマと桜花賞制覇に加え、今年これで重賞3勝目。ウィニング・ランでスタンドに鞭を投げ入れたはいいが、鞭がスタンドに届かず馬場に落ちたというのはご愛敬。
しかしアレクシア、見た目は430k台の線が細くてチャカチャカした、いかにも気性勝ちのスピード逃げ馬といった感じなのだが、実は渋太く伸びる差し馬。福山エース曰く、粘っこい差し脚そのままのレース振りでの戴冠。
表彰式を終えて退場する藤本jkに、握手がてら「園田、楠賞で待ってます」と声をかけたら、嬉しそうに表情を崩して「いや〜オーナーに聞いて下さい」。実際、陣営も勝利を全く考えていなかったらしい(おさるさん情報)。
アレクシア、ゴール(38KB)
優勝アレクシア
鞍上藤本jkガッツポーズ
アレクシア、口取り(46KB)
"見返り"福山ダービー馬

この結果を踏まえ、思考回路は全日本アラブ優駿に接続するのだが、情報通り、福山ダービー1、2着馬が選定されるとなると、福山からはアレクシアとヤマノダイオー。
アレクシアの渋太い差し脚は魅力だが、福山のレースの三分三厘で押し通しの状態だと、本番の勝負所ではスピード不足ではないかという危惧はある。園田二四の2周目の坂、特に下りあたりでの一気のペースアップは必至であるので。それはともかくパドック気配がかなり激しいので遠征不安が先に立つ(おさるさんの見解)。血統的には父ミスタージョージ、母父キタノトウザイで問題なかろうと。
2着ヤマノダイオー、期待していたが直線は案外。それでも2着。首尾よくアラブ優駿出走叶えば、本来ならばこちらの方が期待度高いか。ゆったりした胴回りは長距離向きであろうし、先団で流れに乗る資質には長けていようかと。昨年のホマスタよろしく、ホマレブルショワの血、爆発!といくか?

結局雨は降り止まず、最終レースも終了して帰路に。前田さん、Okuさんともども、おさるさんの車で福山駅まで送ってもらう。帰りの電車は鈍行。岡山で乗り継ぎ兵庫県内へ。幸い途中からシートに座れ、助かり。

てなわけで、「楠賞・予習遠征」無事終了。予習の収穫は、多分あるのだろう。とは言うものの、ワシにとって今回の福山、多士済々の福山4歳勢への興味と関心が増したという点が一番の儲けものやも。アレクシアの見た目と正反対のキャラの脚質、ヤマノダイオーのゆったりさと、血管浮き出て怖い顔、ユノアウトローのステイブルラインっぽいルックスとガラ悪そうな馬相(奇しくも両頭、同じフィニッシュライン産駒)、ピアドオスカーとモナクマリンの皮膚の薄そうな綺麗な栗毛の馬体。あと、何といってもダイホーマ(Oku氏も気になる馬に挙げる)、ペットに1頭、これは彼に失礼か。こりゃ銀杯、行かねばならぬかな?

2000.5.2 記

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