園田・福山交流 第9回山陽杯(春)観戦報告

 2000.6.11、福山、1800m

山陽杯――園田と福山が1年に一回ずつ、相手方のオープン馬を招いて施行する交流競走。園田では("タマツバキ"など冠称がつかぬ限り)指定(=特別)レースだが、福山では重賞。'96年の第1回からの勝ち馬は、以下の通り。
ヒカサクィーン(第1、2回連覇)、ケイエスヨシゼン、アカネリンボー(タマツバキで西日本交流)、ニホンカイユーノス、エイランボーイ(第6、7回連覇)、ワシュウジョージ。 つまり未だ福山所属馬の勝利がない。
そして今回、登録に名乗りを挙げた馬は次の通り。迎え撃つ地元福山勢は、佐賀セイユウ賞で日本一となったアキフジクラウン、その佐賀帰りのアキフジを福山桜花賞で撃破、その前走にはローゼンホーマ記念も制し進境著しいパッピーケイオー、昨年の鞆の浦賞、アラブ王冠馬、すなわち二冠馬のマルサンダイオー、これらが中心で予備馬を含め8頭。「今回こそは!」といったところだが、対する兵庫からは、お馴染みケイエスヨシゼンと、そして今年上半期のまさに主役、完全連対にして重賞連勝中の"爆速牝馬"トライバルサンダーの2頭。サンダーの登場に、今回も福山劣勢の色は隠せずといった状況であった、のだが・・・
レース前週のはじめに、トライバルサンダー体調不安で回避の報が流れる。更に続いてあのタフなヨシゼンまでもが同じく回避を表明。結局兵庫勢の参戦ゼロ、「園田・福山交流」が、「園田・福山不交流」=「福山・福山交流」(by関万氏)となってしまい、これで自動的に9回目にして福山所属馬が山陽杯を制することが保証された。それにしてもレースの妙味としてはあまりにトホホ(因みにアキフジも回避、しかしながら気温が上がると調子の落ちるアキフジにとっては賢明か)。

当初園田組はツアーを組んで観戦予定だったのだが、これによりツアーも不成立。ワシは「アラブ現場主義」の肩書き上、福山行きはしょうがないのだが、正直これほど事前に気乗りのしない福山行きもなかった、と、ここに告白。
とか何とか言うものの、"リーダー"前田さんが病み上がりでリハビリ参戦。結局一緒にチボリ号で福山行き。4月末の福山ダービーと同じ状況。園田在住大西さんも、自家用車で来福を宣言。大西さんとは競馬場の入り口でちょうどばったり。てっきり大西さんひとりかと思っていたところ、何と山ちゃん、栃さん(前日大阪入り)、ひろちゃんが同乗してきた。何だかんだで人が集まっているではないか。この6人で500円の指定席−ただし今回は6人1組のボックス席−に入る。
場内で、おさるさん、ともろうさんの福山幹事のお二方、「F5+特大サンニッパ」の江戸平多さんにご対面。さらに大盛りさんが仕事の仲間と来場、広島に行っても相変わらず元気な大盛りさん。昼過ぎに"常連"ディープさんと、バイクの旅をスタートさせたケーズ兄いが登場。
前々日に西日本は梅雨入りし、天候が懸念されたが、家を出た際に小雨に逢っただけで、幸い天候は保ってくれた。昼過ぎには陽も差しはじめ、上々の天気に、これはラッキー。

先週の瀬戸内賞デーは、メイン以外に見所満載だったのだが、この日はそういった注目レースもない。よってメインまではとりあえず馬券遊び。実はこの時間が結構楽しくて。栃さんや、それに何より山ちゃんとの「あーでもないこーでもない」といった予想談義のいちいちが、結果はともかくなかなか充実。山ちゃんが出だし不調で「あかん!ワシが勝つまでキミら焼きソバ禁止や!」と、例によって理不尽物言い状態だったが、やがて的中し、山ちゃん、栃さん、ワシと3人でめでたく焼きソバを食す。先生、割とお気に召したようで、「よし、次は尾道ラーメンや、そして最後にうどん。この"福山、麺『三部作』"を制して初めて福山を制したことになるんや。」と、いつしか絶口調。ワシの馬券戦線は、あまり芳しくなかったが、17倍の馬連を一本仕留め、黒字に持ち直し、まずまず。

メインの山陽杯が近づいたので、カメラを準備。フィルムを装填して巻き上げる、と、カメラがウンともスンともいわない。何と電池切れ、ピンチ!慌てて再入場スタンプをもらい競馬場を出て乾電池を買いに走る。近くにホームセンターを発見し、無事購入し事なきを得る。急いで競馬場に戻るとメイン前のレースの途中、メインのパドックにどうにか間に合ってやれやれ。それにしても、観戦記の3本に1本はカメラトラブルを記しているなあ、ナサケナイ・・・

※山陽杯の顛末にのみ興味のある方はここからお読み下さい。
さて、パドックに山陽杯の出走各馬が姿を現す。出走メンバー、内枠より、マツノキングオー(岡田)、フジナミハンター(吉延)、スターロメオ(渡辺)、パッピーケイオー(藤本)、ミヤノウイナー(久保河内)、ワールドアイ(嬉)、マルサンダイオー(岡崎)、以上7頭、ちょっと寂しい。
本来なら実績と自力からパッピーの優位は動かぬところなのだが、パッピー絶不調説がまことしやかに流れる。事実予想紙上の陣営のコメントは「最悪」「疲労ピーク」といった文言ばかり。しかし予想の印は「それでも信頼」といった塩梅で、非常に微妙なところ。そのパッピー、パドック、上記の陣営のコメントが我々の念頭にあるとはいえ、いつものパッピーに比べて覇気に劣る。一応、お客さんの前を通過する際には、鶴首になって走り出そうとするという、彼お馴染みのファイティングポーズはとるのだが、パドックの向こう側を歩く際のやる気のなさが目立つ。この取捨が予想の最大のポイントか。
マルサンダイオーが対抗格。前走差して久々に1着。馬体の仕上がりは上々かと。四角張って丸みのない体型が特徴か。ちょっと頭でっかちかな(以前どなたか指摘してたような)、でも顔は悪くない。岡崎がどう乗るか。
ワールドアイは、今回ブリンカー着用。怖がりな性質克服のためらしい。すんなり先手を取って、他馬に絡まれぬうちにあわよくば押し切りを狙っているようだ。その馬体は、黒鹿毛の毛色がよく光り、充実しているように見受けられる。
ミヤノウイナーは4歳初頭の園田・益田・福山交流競走で後の兵庫二冠馬タッカースカレーを破った快足。ようやく最近A1に上がってきた。マルサンと同厩同一馬主。好位マルサンとの連係プレーに注目か(これに着眼したのは栃さん、さすがですね)。尾花栗毛大流星なのにたてがみサンバラ、借りてきたような没個性青メンコにブリンカー、装いのセンスってものが皆無。
他にも、スターロメオの活気、マツノキングオーの伸びやかさあたりに好感。

さて予想、それでも馬券はパッピーから売れているが、その低オッズ振りよりは明らかに「ハイリスク・ローリターン」。とは言うもののそれに逆うに足る、好配の目玉的馬もいないような。はっきり言って「見」したいレースだが、まあとりあえず、頭マルサン−ヒモパッピーの一点であわよくばの勝負。
マルサンダイオー、返し馬(40KB)
マルサンダイオー、返し馬
鞍上岡崎が渋い
追走パッピーケイオー(37KB)
追走パッピーケイオー
外目3番手

レース発走。二角の千八のスタート地点より。場内に重賞ファンファーレが流れる。「これ格好ええやん!」とひろちゃん、そして山ちゃん。ワシも実はこのファンファーレ、好きです。
スタート!鋭発はパッピー、暫しハナ。これを制して予想通りミヤノウイナーが、パッピーに代わって先頭へ。前走珍しく逃げて2着だったらしいパッピーにしては前に馬を置きたいわけで、これは両者の思惑一致。外からワールドアイも好発で、そのまま外目2番手。大外マルサンが控えたため外から被せられることなく、ワールドにしてみれば願ったり。

1周目(40KB)
1周目正面スタンド前
先頭内ミヤノ、直後外ワールド、3番手外パッピー

といった状況で、先頭内ミヤノ、外ワールド、3番手内マツノキングオー外パッピー、その後ろ外マルサン内スターロメオ、殿フジナミハンターの順で正面スタンド前通過、1、2コーナーへ。
2コーナーから向こう流し、何とパッピーがズルズル後退、藤本の手綱も動く(まあ手綱動いて手応え悪そうに見えながら最後まで保つというのがこの馬の個性ではあるのだが)。ヨシゼンならぬ「パッピーアカンがなあ」状態。三角あたりでミヤノが降参、ワールドアイが手応え充分でいよいよ先頭に。
三分三厘、先頭快走のワールドめがけて、パッピーが藤本に押されて押されてモガいて再浮上。こうした状況で直線へ。パッピー必死の追い上げも、終始マイペースに徹したワールドアイの脚色が衰えることはなく、セーフティーリードをキープしたまま優勝のゴールイン。唯一頭追いすがったパッピーだが、馬体が合うには至らず結局2着。その差3馬身。今回も直線ヨレての走行。3着以下も各馬間隔かなり開いたばらばらの入線。3着中団からスターロメオ、4着終始インのマツノ、人気の一角マルサンは全く見せ場無しの5着敗退。ワールドアイ鞍上の嬉jk、検量前に引き揚げるときに笑顔で右手を挙げてファンに応える。

ワールドアイ、ゴールへ(37KB)
ワールドアイ、ゴールへ
ブリンカー効果?セーフティーな勝利!

小頭数にして各馬の着差が開いたその結果、いかにも盛り上がらないレースのように思われるやも知れぬが、現地のリアルタイムは意外にもさにあらず。道中タレるパッピーに湧いたり、余裕のワールド、追うパッピーにちょっとドキドキしたり、いざパッピーが追撃すると、今度は「パッピータレろ〜!」の野次だったり(byケーズ兄い)。それでも最後には一様に「ワールドアイには恐れ入った」といったところ。概ね各馬が、好き勝手にキャラの赴くまま走って、調子と自力がそのまま結果に出た形なのではないだろうか。レースのそのものに後味の悪さはなかったかな、と。

ワールドアイは、陣営の目論見通り、他馬を気にせず走らせることに徹した成果が勝利にむすびついたのかな、と。ブリンカー着用、被されず道中外目2番手、早め先頭、渋太く押し切り、会心だろう。出来は勿論よかったのだが。
パッピーはやはり一息の調子だったのか。それでも2着確保だからまあギリギリ及第点か。振り返ると彼、今年に入って園田遠征の前回の山陽杯で4着以外は完全連対。見た目に似合わず堅実派。もっともそれに足るだけ実力をつけているのだろうが。体調立て直して下さいな。
それにしても不甲斐ないのはマルサンダイオー。実際のところ、戦前おさるさんが「私マルサンダイオー認めていませんので、近年最弱の二冠馬だと思ってますから」と言っていたが、この惨敗は結果以上にヒドい。この程度のものなのか、所詮は世代間格差なのか。個人的には嫌いじゃあないので奮起して欲しいのだが・・・

といった具合に、当初の見込み以上に楽しめた山陽杯デーin福山。競馬観戦の後はおさるさんとともろうさん主催でオフ会。福山市街のホテルの屋外ビアガーデン。申し訳なくも早々に辞去し、帰路に。山ちゃんのリクエストで岡山−姫路間をひかりレールスター利用。車中二人でその日の競馬の復習=反省会など。先生、なかなかに福山競馬がお気に召されようで。とすれば締めのことばはこんな感じ。
「また一緒に福山競馬を楽しみましょうね。」

2000.6.14 記

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