第17回笠松オールカマー観戦報告

 2000.8.18、笠松、1600m

笠松のアラ・サラ混合重賞、笠松オールカマー。全国でも数少ないアラ・サラ混合重賞。アラ・サラ混合重賞というと、北関東の"アラブ出走可"と条件の付いた重賞(カネユタカオー記念はオールカマーと銘打ってある)のようなケースが一方であり、これはアラブ最上位がサラ重賞に挑戦といった図式だが、かたや今回の笠松オールカマーは、アラ・サラのレベル差を斟酌して、アラブのオープンとサラの中堅・下位が対戦するレースであるところが特徴。同様なレースに名古屋のグランドミックスがあるが、いずれにせよやや変わり種であると思うのはワシだけか?
この笠松オールカマー、アラブはA12(バリバリオープンですね)、サラはC12(中堅下位ってところ?)が出走条件。ワシは東海の競馬事情に疎いので、このアラ・サラ対決のクラス設定が妥当かどうかは不明。しかしながらサラについては、C級といえども長期休養等で獲得賞金額の上がらない素質馬が数頭存在するのが常なので、アラブ一線級をもってしても、上記の様な"インチキ下級条件サラ"に押され気味、というのが、当レースの傾向のようである。

特段「どうしても観たい!」というレースでもなかったのだが、ちょうど夏季休暇中でもあり、「たまには笠松にも顔を出したいな」という、お気楽な気持ちで観戦とあいなった次第。そんな気分なので、競馬場入りは2時半頃。盆も過ぎたためか、場内は思ったほど混んでいない。当日の笠松は9レース施行で、最終Rがメインのオールカマー、16:10発走。レース間隔が35分ないし40分もあり、それがのんびりムードを助長する。またもや晴天だが、風もあり意外と過ごしやすい。
ゴール板前のスタンドで、一昨日の摂津盃に引き続きエチゼンさんにお会いする。「オールカマーってのを珍しいから観たかったんですよ」とのこと。お連れに三重在住の中央写真系の方も。リラックスした雰囲気のなか、気心の知れた者どうし、あれこれ話ながらメインを待つ。

さて、メインレースのオールカマーの出走メンバー。アラブ陣営は、名古屋より参戦のブレーンワークを筆頭に、マルカシード、イワノヒットキング、アスターダルシャン、ホウシュウトミカワ。対するサラは、ウララマンスタ、ナリタスーパーリリ、ボナンザーローマン、ミヤビハヤカゼ、以上アラ5頭vsサラ4頭。ワシ的には今回のオールカマー最大の楽しみは、真っ白芦毛のミカワチャンピオンを見ることだったのだが、不出走で残念。 出走サラ中、今回も前述のようなクラス不相応な馬が1頭。ウララマンスタ。こいつがやはり本命。ディープさんもこの馬の名を挙げ「今年もアラブは分が悪い」と、先日の益田からの帰路の車中で指摘して下さった。

さて、出走馬が登場。笠松名物、内馬場に存在するパドックに、1、2コーナーの向こうの装鞍所から、馬場内の道を歩いてやってくる。どういうわけかその隊列の順番がむちゃくちゃ。
以下気になった馬。見解全く自信なし。
2枠アスターダルシャンとは年明けのアラブギフ以来。出走馬中唯一の牝馬にして8歳最年長。撮影した写真で見るとそうでもないが、実物の見た目は非常に華奢な馬。エチゼンさんも「細い馬ですねえ」と。コテコテの追い込み馬(というか道中のスピードが皆無)だが、ここは地力的に苦戦必至。馬体自体はスッキリ。
5枠マルカシード、このところ笠松オープンで好走の逃げ・先行馬。父ホーエイヒロボーイで母父シナノリンボーの雄大な黒鹿毛、これだけで大物感たっぷりだが、風格と言うまでにはまだもう一つ。馬体の張りは良いが、再三立ち止まりウ○コ。逃げるのはこいつの筈。
8枠イワノヒットキングは5歳のスマノヒット産駒。3月以来の実戦。休養前はオープンで好走。気性がまだ若いのか、顔を厩務員さんに預ける仕草を続けての周回。甘えているのか?
そして今回のアラブ勢の大将格、ブレーンワーク。1枠であるがなぜか最後に登場。ただ1頭名古屋より参戦。イケノエメラルドが道営に去り、ブラウンダンディがトップをがっちりキープする名古屋アラブ界にあって、現在アズマダイドウ共々かの地のNo.2。本来の能力からすればここは充分勝ち負けできようが、6月以来の実戦で、夏場は弱いと予想紙が伝える。曰く「笠松は待機馬房が暑いのでぎりぎりまで冷房の効いた馬運車に入れておく」(『競馬エース』より)すげー作戦。登場した彼の姿、栗毛の馬体の張りは良い。素人目には夏負けは感じられない。510k超の、骨量と筋肉豊かなごっつい馬格、頸を上下にリズミカルな周回。贔屓目たっぷりだが、「いけるんとちゃうん?」

ブレーンワーク、馬場へ(37KB)
ブレーンワーク、馬場へ

程なく各馬パドックを出て馬場へ、ここから返し馬、というのが通例だが、暑さのためか、返し馬をしたのはアスターとホウシュウトミカワとサラの1頭の計3頭のみ。他馬は早々に3コーナーの待機所へ。
笠松の馬場はスタンドから南向き、写真撮影では逆光まともに食らう。が、この時は幸いに薄雲が太陽を遮り、程良い光の具合になってくれた。
予想、安直にブレーンワークとウララマンスタの連複、この組み合わせでアタマがブレーンの連単、これが応援馬券。

笠松の千六は3コーナーのポケットから、1周と1/3。笠松には馬場内ビジョンがないので、道中の展開は肉眼と実況が頼りとなる。しかし3、4コーナーから直線にかけては逆光になるのでレースの視認性は頗る悪い。薄曇りであってもなかなか厳しい。と、先にレースレポの貧弱さの言い訳をしておいて、レース発走。
ハナを切ると予想されたマルカシードのダッシュと行き脚がイマイチで、これと互角の発馬をしたブレーンワークとボナンザーローマンがマルカともども最前列に。結局最初の直線、内倉地ブレーンと外安部ボナンザーが併走で真っ先に通過。ブレーンのこの位置取りは日頃よりかなり前、久々を気にしてか、サラ相手に決め手勝負は不利と踏んだか。東川マルカシードは結局やや外目3番手、この直後に内安勝ナリタスーパーリリ外安光ウララマンスタのサラ人気二騎。
隊列を引っ張るブレーンが逃げプロパーではないので、このあたり、先頭から好位まで一団、馬群。こんな状態で2周目、向こう流し、三分三厘・・・道中ポツン殿は山崎アスターダルシャン、これは目立つ、はっきり視認。
先頭内ブレーン外ボナンザーのまま、レースは4コーナーから最後の直線を迎えたが、ブレーンワークは残念ながら残り150mあたりでギブアップ、その横で快調に脚を伸ばすボナンザー、単騎先頭に。そして最後の最後、遅ればせながら本命ウララマンスタが大外からナリタスーパーリリが内を突いて肉迫するも、ボナンザーがしのぎ切って1着入線、2着ウララ、3着ナリタ。着差それぞれクビ、クビ。アラブ期待のブレーンワークはナリタから遅れること1馬身半の4着、残念。5着に何と、道中殿トコトコのアスターダルシャンが前との着差7馬身ながらも食い込み掲示板確保。実際のところアスターのゴールなど全くノーマークで、着順掲示板にて初めてその追い込みに気付いたのだが・・・
1周目(38KB)
1周目先頭二騎、内ブレーン外ボナンザー
背景に名鉄本線の木曽川橋梁
サラ2頭ゴール前(44KB)
ゴール前1着争い、サラ写真ご容赦
粘るボナンザー外からウララマンスタ

というわけで残念ながらアラブ勢は完敗。1着のボナンザーローマンは巧く乗ったなあ、それに比して本命ウララマンスタは、道中先団直後を大名追走ながら、最後後手踏み届かずというトホホなレース。
ブレーンワークはなあ、やはり本調子でなかったのか?そう思いたい。好調時で好位を取るレースをすればもっと破壊力があると思うのだが。今日の結果だけで、ブレーンの、さらにはここから測って名古屋トップブラウンダンディの、対サラレベルを即断したくはないのだが・・・何分ワシ、東海事情、疎いもので。
アスターダルシャンはブービー人気で5着。生涯成績90戦超で僅か6勝ながらも、8歳牝馬がオープンで生き残っているこの事実、その種明かしを見た気がした。能力不相応な走りはせず、それでいながらちゃっかり確実に賞金は頂く、何と渋太い馬生!実は去年の正月のアラブギフ(2着!)以来、彼女はちょっと気になる存在なのですよ、個人的に。

写真を撮り終えてエチゼンさんとその首尾を確認。エチさんはG板より1コーナー寄りでゴールに対し斜めに位置取るので一層逆光が辛いらしく(つまりカメラがより西を向くことになるわけで)、ファインダーの中で勝ち馬の姿を確認しづらかったよう。「勝った馬ってどういう格好でした?」「馬はサラやから印象ないけどjkは安部さんやから緑と白の縦縞やね」てな具合。
なおこのオールカマー、事前の3号馬さんのご教授の通り、口取りをウィナでやってくれない(遙か彼方の装鞍所で済ましているみたい)。エチさんもワシも残念。
といったところでオールカマー終了なのだが、件のレース、最終Rなので、レース後はもう打ち出し。カメラ片付けていると場内清掃のおばちゃんが急き立てるように周りでゴミ回収。ほとんどお客さんがいなくなった場内をいそいそと退散。
帰りがけに名古屋駅前でエチさんと茶をしばく。関西人二人が名古屋で落ち合って茶というのもまた一興なり。

以上、夏休みアラブ系重賞観戦4連発でございました。我ながらよう観たわ・・・「だってアラブ重賞やってるんだもん」カワイコぶるなって。

2000.8.31 記

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