第25回北國アラブチャンピオン観戦報告、及び金沢競馬初体験記

 2000.12.10、金沢、2300m

はじめに
今年1年のアラブ系重賞巡り、どういうわけだか金沢とは縁遠く、ここまでかの地のアラブ系重賞観戦はゼロ。関西から金沢が遠いなどということは決してなく、要因としては以下の二つが挙げられよう。
1.福山はじめ他地区と重賞と日程が重なる(アラブグランプリと福山ダービー、農協牛乳杯と九州アラブグランプリ) 2.無精をしてパス(中京スポーツ杯、アラブ大賞典)
それにしても先月の石川テレビ杯に至っては、福山菊花賞と天秤にかけて、直前金沢行きに決定したところ、雨との天気予報を目にして再度予定変更、当日雨は降らずというおまけ付きでディープさんから「つくづく金沢に縁がないですな。」とのツッコミが入る始末。
こうした状態で年の瀬に。ここで施行されるのが、アラブグランプリともども金沢七大重賞競走にも数えられる、北國アラブチャンピオン。このレースだけは当初より遠征予定のデフォルトだったもの。ところが同日足利で、もともとは来年3月施行予定の日刊スポーツ杯が予定を繰り上げて開催されることとなり、ここでホマスタvsイーシーの激突が実現。大いに心が揺れたのは事実。北國アラブの出走メンバー次第では足利行きであったろうが、今年の北國アラブ、金沢オープン勢の揃い踏み(メンバーは後述)。さすがに見逃せず、満を持しての金沢行きとあいなった次第。

一路金沢へ
当日の金沢の天気予報は雨。冬の日本海側の天候、期待するのも無理だが、雨嫌いなワシとしてはガッカリ。住処を出る時点で関西でも雨が降り始めており、天気が保つ期待は薄い。
西明石駅7:49発の新快速に乗り大阪へ。大阪始発の特急サンダーバード7号が8:42発なのでこれに乗り継ぐ。大阪−金沢の特急自由席回数券を金券ショップにて購入しこれを利用。金券ショップでのバラ売値の相場は6500円といったところ。必然的に自由席乗車となるが、始発駅からの乗車、また時期的にも観光シーズンのオフであるからか、余裕で座席確保。サンダーバードは定刻に発車。
途中京都駅から、全国地方競馬行脚人にして実は超強力なアラブ原理&現場主義者、ディープさんが合流。金沢にも造詣が深いディープさんなので、今日の遠征は彼に導いていただければ問題なし、といったわけで、初の金沢競馬場行きも心配は全くない。 乗車したこのサンダーバード、金沢までの停車駅が、新大阪、京都、福井、と、これだけ!あとはノンストップで湖西線経由で北陸路を突っ走る。そしてこの車両、以前に"リーダー"前田っちも言及されていたが、乗り心地、最高!シートは座り心地秀逸で前後のピッチもゆとりがある。在来線走行ながら乗り味は新幹線(それも新車両)のそれに限りなく近い。この点はディープさんも太鼓判。
金沢駅には11:16に到着。金沢の天気は小雨、パラパラの降り。まあこの程度でよかったと解釈するべきか。
駅のキオスクで予想紙を買う。というのも競馬場への無料送迎バスの乗車時間が相当あるので、車中で予想検討するため。金沢の予想紙はよく知られる通り、各紙ブックスタイル。値段は550円とやや高めだがまあ許せる体裁と内容。ディープさんは『キンキ』、ワシも『キンキ』にしようと思ったのだが同じでは芸がないので『競馬ホクリク』に。
駅前西口1番乗り場を11:21に寄る(始発ではない)ファンバスを待つ。定刻より10分弱遅れてバスが到着、そして乗車。座席は余裕で座れる。

そして金沢競馬場
バスに揺られること30分弱で競馬場に到着。時刻は12時前、3レースの発走直前。
4レースから競馬を。荷物を預けたディープさん、キャップ&マフラーの完全装備で登場。競馬場の景色に完璧マッチの装い。この4レースは適当に馬券を買って観戦するも、ワシはハズレ。ディープさんは目をつけた1番の穴馬が逃げ切ってくれて中穴的中。
因みにこの日の馬場状態は重。冬季になると雪国の競馬場の常として凍結防止剤をコースに撒くので、その影響で馬場が概ね渋くなり、それが展開と決まり手の脚質に大きく影響するとのこと。これはディープさんの御教授。ということでこの日のレースの傾向は逃げ有利。特に直線インベタにコースを取った馬が残る。道中ソコソコ前寄りに位置しないと差し馬は届かない模様。

名物、寿司屋に
4レースの後に、金沢競馬場名物、寿司屋に入って昼食。かなりの人気でお客さんがとぎれることなくその扉を開けて中に入っていく。何とか席を確保し入り込む。寿司は1皿に3貫、値段はネタにより250円、300円、500円。一部で主流となりつつある大ネタ寿司ではなく、あくまでネタとシャリのバランスのいい大きさ。小振りだとする見方もあろうがアンチ大ネタ寿司派のワシとしては文句ない。シャリの握りはやや緩い。ネギトロ巻き、鯛、サワラ、赤身と食し、ディープさん注文のトロを1貫貰う。いずれも満足できる味(といってもワシには寿司の善し悪しをシビアに判断する能力はないです)。以上4皿でおあいそは1050円、納得できる。しかしどうもサビが効きすぎていてナミダがチョチョぎれた・・・

メインレースまで
と、満足して寿司屋を出ると、入場門の方から、"大御所"Okuさんが歩いて来る。思わず手を振ると、「そこの二人怪しいぞ」。大御所はクルマにて来場、開門前には到着して一旦入場してからクルマに引き返し、休んでいたとのこと。ということでここからは3人で観戦。
3人でスタンドに出て、最近設置され今日から本稼働(前開催時にテスト運用していたそうです、そのあたりは3号馬さんのサイトの『エメラルド特別&重賞「アラブ3歳優駿」レポート』に)の、馬場内大型モニターを目にして、Okuさん「おおあれが噂の・・・エエ色出しとるやん」「しかしこのご時世に新設できるところが凄いよな」。
このあたりで幸いにも雨が止む。相変わらず寒いが御両人に言わせれば、まだまだ暖かい方とのこと。

石川テレビ杯のVTR
この間各レースのパドックと発走の間に、北國アラブの参考レースVTRとして、石川テレビ杯の模様が放映される。三分三厘からの画像だが、その時点で既にぶっちぎりのイセイチフブキ、直線を向いてからもなおリードを広げる。「桑野(鞍上)何故に鞭入れる必要あるん?レコード狙ったんか?」とはOkuさんのコメント。とにかく呆れる着差で二千をレコード駆け、2着とは3秒6差。イセイチがゴールして、カメラがゴール板前固定になるのだが、2着以降が画面に飛び込んでくるのに相当間があった。この時のイセイチは素顔で出走、素晴らしく伸びやかなフォームで駆けていた。少なくとも10月園田のタマツバキ時とは全く異なる印象。

※北國アラブチャンピオンについてはここからです。
そして北國アラブチャンピオン
ということで何だかんだでメインレースの北國アラブチャンピオン。距離2300mと、金沢で施行されるアラブ系競走の中では最長。大一番に相応しい舞台。
出走メンバーは内枠より以下の通り。()内は馬齢と負担重量。
ケイエスマジック(5歳、54k)、アサカタイショウ(8歳、55k)、フューチャマサン(7歳、53k)、イムラッドシンゲキ(6歳、55k)、イセイチフブキ(7歳、57k)、ツルギネオン(7歳、54k)、ビソウウエスタン(7歳、56k)、エステイヒーロー(4歳、54k)、トライバルリーフ(4歳、53k)、アイカンセンプー(7歳、54k)、トライバルスター(8歳、54k)、マルイシヒーロー(6歳、55k)、以上フルゲート12頭。黒百合賞の勝ち馬ダスティーを除いた、まさに"金沢AllStars"の競演。斤量は格付け賞金から53〜56kの間に割り振り、牝馬1k減、また前3開催以内でA1組勝ち馬は1k増量とのこと(予想紙『競馬カナザワ』紙面より)。ということでイセイチが57kの背負い頭。

パドックからレース発走まで
何とか雨が降ることなく持ちこたえてくれている、しかしながらかなり暗い空模様の下、いよいよ出走馬がパドックに登場。
1番ケイエスマジック。前走11頭中8番人気の人気薄で逃げ圧勝。馬体の張りや鹿毛の毛艶はかなり良い。ここでは若干格下、逃げ同型イセイチとの兼ね合いもありどうか。
2番8歳アサカタイショウ。一昨年のこのレースの勝者。新潟出身で一時期は金沢のトップを張った、古豪。近走はソコソコか。二人曳きで時折やや鶴首気味になるがこれが良い気合い。歳が歳だからか、張りや艶は抜群というわけにはいかぬが、まあ言うなれば古武士の風格。
3番フューチャマサンは差し馬だがここでは格的に劣勢のよう。大人しい周回で前との間隔が開く。
4番が岩手→園田と転厩して金沢在籍となったイムラッドシンゲキ。5月園田の兵庫大賞典以来の対面。園田在籍時と同じ白地に赤縁取り=デストロイヤーメンコ装着ということもあり、見た目の違和感はない。活気ある周回で、チャカチャカというほどでもない。厩務員さんに頭を預ける仕草が目立つ。息の長い差し脚がこの馬場で通用するかが問題。
そして5番、ご存じイセイチフブキ。先に触れた通り、前走石川テレビ杯レコード逃げ圧勝で、ようやく足利時代のような、本来の速くて強い彼の実力がこの地で発揮されたというところか。今日は馬体重-8kで493k、500kを切ってきたことは個人的には好感。その馬体、胴体はどっしりとしたボリューム、背も高く、首も長く、ケツもでかい。首が高いのは個性か。実に落ち着いてゆったりとした周回で、園田タマツバキ時のようなチャカチャカした素振りは皆無。馬体の艶も張りも申し分ない。しかしながらOkuさんの評、「イセイチ493kあるような馬体には見えんのやけどなあ」「足利時代の方がもっと実入りのいい馬体しとったんとちゃうか」。ふむむ・・・
6番昨年のこのレースの覇者ツルギネオン。金沢生え抜きの馬の中ではアイカンセンプーともどもビッグネーム。夏の4ヶ月間を放牧休養し、これが復帰2戦目。昨年後半以降、他地区から実績馬が続々転入したせいもあり、今年は重賞未勝利。そのパドック、醸し出す大物感は前を歩くイセイチに劣ることはない。パドック大外を周回。艶も張りも良好。体型のバランス的に若干ヒ腹からトモが弱い気もするが個性か?
7番、上山より10月に転入した、これもご存じビソウウエスタン。ワシが上山で目撃した時の彼よりもシャープな印象の馬体。「上山時代よりやる気出てません?」とOkuさんに問うと、「いやいつもあんな感じちゃうん?」とのこと。いずれにせよボサッとしたところはない。「やっぱり上山と違ってパドックに草生えてないから道草も食えませんよね。」と、しょーもない納得の仕方をする。上山時代と同様の白メンコ、但し額に緑文字縦書きで「B・W」とイニシャル、かなりベタ。先行有利の馬場で差し脚が通用するかが問題だが、長距離実績と渋馬場巧者ぶりに期待。但し鞍上が若手駆け出しの埋橋騎手、これで重賞、どうか?
8番4歳No.2エステイヒーロー。10月の4歳重賞アラブ大賞典ではトライバルリーフにハナ差の2着惜敗。その後古馬に混じってオープン1着2着、一線級に充分通用すると知らしめた。前走10着敗退はレース中落鉄の影響らしい。明るい栗毛の艶は良い。首は高い。
9番が4歳No.1のトライバルリーフ。事前に知らされていたことだが、毛艶が何とも悪い。パツキンに近い栗毛なのだがとにかく冴えない。おまけに所々に黒斑が散らばり見栄えをさらに悪くしている。トモの踏み込みは良好。主戦で実力一番の渡辺壮騎手が、お馴染みの病気欠場で今日は乗り替わりということが最大の問題と、ディープさんの御教授。
10番が牝馬筆頭アイカンセンプー。気性勝ちのトライバルセンプー産駒のスピード牝馬でありながらこのレースは昨年一昨年と連続2着で、長距離戦ながら相性はいい。しかし勢い的に今日は劣勢か。牡馬に負けず堂々としているが、トモの送りが堅いかな、と。
11番トライバルスター。これもトライバルリーフ同様パツキン系の栗毛だが艶は遙かにこちらの方が良い。アイカンセンプー同様トモの踏み込みが浅く、送りが堅い。ここは格的に苦戦必至か。
12番がマルイシヒーロー。イセイチフブキの年子の全弟。岩手からの転入。今年中盤7月の農協牛乳杯と9月初頭の中京スポーツ杯の二重賞を制覇。しかし近走は今一つの模様。かなり明るい鹿毛の毛色。毛艶はまあまあ。パドック周回各馬のうちこれが一番うるさい。別の場で「しかしイセイチとマルイシは似てないねえ」とディープさんに言うと「ホントこの兄弟だけは全然似てませんよ、ケンシロウとジャギみたいですよ。」「それを言うならラオウとトキやろ(注:ラオウとトキでないと実の兄弟になりませんので)」てなやり取り。ホンマ似ていない。こちらはちょっと窮屈な、胴の詰まってずんぐりした体型。
とは言うものの、サスガにこの地の頂点の面々、総じて良い出来。
ツルギネオン(42KB)
ツルギネオン、本馬場入場
一応ディフェンディングチャンピオン
ビソウウエスタン(31KB)
ビソウウエスタン、スタート地点へ
山形の皆さん、元気でやってまっす!

各馬が本馬場に入場。外ラチ沿いに手綱を曳かれてゴール前50mあたりまで歩みを進め、そこから駆け出すというのが金沢の入場の流儀。よって各馬、スタンドのラチ沿いに待っていると目の前を歩いていく。やはりイセイチの存在感が凄い。コースが1周1200mで、待機所が4コーナーにあるので、馬場を1周弱して四角でそのまま待機所に入ってしまう馬が大半で、直線を改めて返し馬で駆ける馬は少ない。ラチ沿いに陣取りカメラを構えると、3、4コーナー方向から強風が吹きつけてくる。「アカンカメラぶれるがな」とワシ。Okuさん曰く、「そうや、冬の金沢でちゃんと撮影しよう思ったら風に負けない技術を身につけましょう。」。この風はホンマ手強い。
ここに合流したディープさん、開口一番、「馬の格とか考えずにパドックだけで判断したらケイエスマジックが一番に見えましたね。」これ結構納得。そのディープさん、実際の買い目はイセイチから馬連流し。レコード圧勝の次走のポカとか、2300mの長距離どうか?といった不安点は問題なしと判断しての自信の買い目。Okuさんは、近走の不振で人気を思いっきり下げた、トライバルリーフ、アイカンセンプーの7枠ゾロ目。「これ400倍つくぞ、おい。」と、名物独断馬券。ワシは一応基本はイセイチを軸(ツルギネオンが同枠)に、ビソウとエステイの7枠とマルイシの8枠へ厚く、プラス、シンゲキの4枠へと、ビソウ−シンゲキのタテ目を若干。何だかんだでビソウとシンゲキ、好きなのね。
人気はやはりイセイチから。枠ではビソウ、エステイ同枠の6枠へが人気でマルイシの8枠へがその次。馬連ではイセイチ−マルイシが1番人気でイセイチ−ビソウよりも人気。

発売が締め切られても未だ各馬待機所にいるまま。「一体いつになったら発走地点に移動するねん?」とOkuさん。と、ギリギリになって各馬三々五々、ホームストレッチを流して1コーナーポケットのゲートに向かう。そう、この金沢二三の発走地点は一角のポケット。ちょうどJRAの東京競馬場芝二千のスタート地点、形態的にはあんな感じ。因みにこの金沢競馬場、コーナー全てに発走地点、そのポケットがあるという地方競馬場では希有なコース。

イセイチフブキ、スタート地点へ(42KB)
イセイチフブキ、スタート地点へ
この馬格、怪獣みたいに見えませんか?

そしてレースなり
ということでいよいよレース発走。件の一角のポケットから、コースをほとんど2周。イセイチ、マルイシ、ツルギ、シンゲキ、アサカ、アイカンといった面々は、パドックでは装着していたメンコを外して、素顔でレースに臨む模様。
ゲートオープン。まず飛び出したのは最内ケイエスマジックとイセイチフブキ。暫し競るがやはりここはイセイチが主導権を握りこちらがハナ、ケイエスは2番手、と、両者の位置取りが落ち着いたのが2コーナー。以降はアイカンセンプー、マルイシヒーローあたりが好位先団を主張。ビソウはこの好位の中団以降、この集団を前に見る形で後ろからのイムラッドシンゲキ。1周目向こう流しから三分三厘で体型は決まってくる。
そして1周目の直線、先頭はイセイチ、後続に相当のリードをつけて単騎逃げ快走、鞍上桑野との折り合いはこの時点ではバッチリ。2番手にケイエス、そしてアイカン、このあたりに既にマルイシヒーローが、早めの前付け。差がなくツルギネオン、これを前に見てアサカタイショウ、ビソウはこの後ろ、さらに後方にシンゲキ、殿ポツン追走はトライバルスター。
レースは2周目に入る。イセイチの逃げは相変わらず、後続との差も維持したまま、いや向こう流しではさらに広げたようにも。この調子で3、4コーナーを回ってくる。既に独走確勝モードに入るイセイチ。
イセイチの単騎逃げを見て、2周目三角手前から、さすがに後続各馬の動きが激しくなる。ビソウもぼちぼち押し上げて先団の後ろまで来ようとする。その前ではそろそろご苦労さんのケイエスに代わり、マルイシとツルギネオンが集団フロントを併走、両者鞍上の手綱が激しく動き2番手争い。これが三分三厘走行の間続き、そして4コーナーあたりで、二頭の直後にアサカタイショウが迫る。
最後の直線、イセイチのリードはまだまだ充分、直線に入り、かなり脚色が鈍っているのは目に見えて判ったが、後続に捉えられることはまずはなかろう状態。残り150mあたりで、ワシも心中「こりゃイセイチ大丈夫だわ」と、確信。
このころ後方は・・・マルイシvsツルギの2番手争いは四角でマルイシに軍配、ツルギネオンは伸びを欠きここまで。と、何とかツルギを振り切ったマルイシ、2番目に4コーナーを回って直線に向いてくる。が、ここで直後のアサカタイショウが外から馬体を併せてくる。凌がんとするマルイシ、じりじり追い詰めるアサカ。
とは言えどもレースはイセイチのもの。結局後続に5馬身の差をつけ優勝。走破タイム2分32秒7は従来のレコードをコンマ5秒、実に20年振りに更新するレコード。
その後方の2番手争いはジリジリとしたパワー&スタミナ勝負の様相。内マルイシ外アサカ、馬体が合って外のアサカが1/2馬身、何とか抜けたところがゴール前。実はこの時内外どちらがどちらか、リアルタイムでは区別がついていなかったワシ、マルイシ2着なら的中なので、ディープさんに「あの2着マルイシ?」と訊くと「いいえアサカタイショウです!」残念なのであった。因みにディープさん、このレース人気の上がらなかったアサカにも流していて(それもオマケではなく意識した穴で)、的中お見事!
4着にはマルイシに競り負けて以降、そのままの脚で何とかゴールに辿り着いたツルギネオンが、マルイシに遅れること5馬身で入線。追ってそれなりにしか伸びずに敗退。ピークではなかったこともあるのか、これが地力精一杯?
5着は差し込むもここまでのビソウウエスタン。2馬身差。やはり先行有利の馬場、イセイチは致し方ないにしても2、3、4着とは道中の位置取りの差が出たか、今日に限って言えば差し競馬の限界か。
イセイチ、直線独走(38KB)
イセイチフブキ、直線独走
特大のストライドのフォーム
外アサカタイショウ(40KB)
2着争いのゴール前
外アサカタイショウが内マルイシヒーローに競り勝つ

以下の結果。NARのデータベースをカンペにして。6着ちゃっかり差したフューチャマサン、ほぼ同じ位置取りのイムラッドシンゲキが9着なので健闘か、しかしビソウとの差は8馬身。7着エステイヒーロー、中団後方からの競馬では苦しかったか。8着道中2番手から後退したケイエスマジック、これは止むなしか。アイカンセンプーは結局早々に先団から脱落し大差の10着。トライバルリーフも好位脱落の11着。最下位トライバルスターは終始ドカ遅れの殿単走。遙かに遅れて忘れた頃に入線、心房細動ということはなかろうが酷い。「AGPのデイオウルフみたいですね。」と、ディープさんともども感想を漏らす。

最終レースの本馬場入場が終わったところで勝ち馬が再度馬場に登場し、口取り撮影、そして表彰式となるのが金沢流の段取り。赤い優勝レイを肩に掛け、再びメンコを装着した勝者イセイチが現れる。
表彰式の後、桑野騎手の勝利騎手インタビューがあった。大意は以下の通り。
「スタート直後はやや掛かったがそのうち折り合いはついた。」
「(後半は)追ってからどれくらい伸びるのかはわからなかったが、思いの外伸びた。」

イセイチフブキはこれで春のアラブグランプリ、11月の石川テレビ杯に加え、金沢古馬重賞今年3勝目。殊に秋以降は重賞連取でオマケにレコード駆け。金沢転入後暫くは当初の予想に反して案外だったが、これでその実力に相応しく金沢王者になったとみなすことができるのでは。「この実績なら1月のセイユウ賞、手を挙げたら出走できるでしょう、勝ち負けはともかく。」と、Okuさんディープさんと話し合ったが、タマツバキに続いて全国交流の舞台、楽しみになってきた。それにしても個人的に特筆すべきはイセイチの走るフォーム。長い胴体、脚、そして首をいっぱいに使って、身体を思い切り伸ばす走り。多分一完歩が特大にでかい。この駆けっぷりを生で拝めるだけで金沢に来た甲斐があった。

レース終わって
最終レースも終了し、競馬場を後にする。クルマでお帰りのOkuさんとはここでお別れ。ディープさんとワシは往路と同様ファンバスで。道中通る幹線道路がかなり混んでいてなかなかバスが進まなかったが5時前には金沢駅に。
帰路の電車は金沢始発で日曜日のみ運行の雷鳥40号。車両は古いが席はガラガラで余裕の座席確保。これが17:14発、京都駅でディープさんは下車で今日はお別れ。来週はアラブ王冠@福山でまたご一緒。大阪には20:03着。ということで、特急に乗車すれば、時間的には関西からは充分余裕の金沢遠征なのであった。
イセイチをはじめ、金沢の強豪が丸ごと観られて満足。それぞれの魅力、そして金沢競馬場の魅力を実感できた。今年は結局今回一回きりの金沢競馬観戦だったが、来年はもう少しは金沢に行ってみることにしよう。

2000.12.15 記

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