第27回アラブ王冠観戦報告、プラス、福山大賞典トライアル

 2000.12.17、福山、1800m

はじめに
今年14度目にして最後の福山行きは、福山4歳三冠の最終ラウンド、アラブ王冠。
鞆の浦賞観戦記でも触れたように、福山4歳三冠レースは、春の福山ダービー、10月の鞆の浦賞、そしてこの12月のアラブ王冠と、秋シーズンに2/3が位置付けられているのが特徴。秋も深まれば、いい加減4歳馬も古馬重賞戦線に乗るのが常であろうが、12月の4歳崖っぷちに最後の一冠が存在するのである。「福山は4歳の古馬編入時期が遅いのか?」といえば決してそうでもなく、3歳から明けて4歳になった時点で、一定額以上の賞金を稼いでいれば(確か300万円)、4歳早々から順次古馬条件に編入される仕組みとなっており、むしろ一般戦ではかなり古馬編入の時期は早い。
というわけで、日頃は古馬混合で既に走っている面々が、年の最後に一堂に会しその力を競い合う、最後の世代限定戦というわけである。

一路福山へ〜メインレースまで
この日も例によってチボリ号にて福山へ。今回は、"園田系のホープ"にして、最近は"またの名を呆れるほど持つ男"、ブリセイくんを半ば無理矢理誘っての旅。
当日の広島県南部地方の天気予報は雨のち曇り。10時20分福山到着時には小雨模様。予報が的中し今後雨が止むことを期待しつつ、ファンバスに乗り競馬場へ。
競馬場に到着すると、ブリセイくん共々指定席に入り、尾道ラーメンを早速食し、さらにワシは焼きそばも早々に食らう。とまあ、福山でのお約束の行動を確実に消化。
2レース頃に、滋賀在住のアラブ応援家、3号馬さんを場内で発見。彼は今日が福山初体験。因みに明日は高知で3歳重賞、銀の鞍賞を観戦予定という、遠征ハシゴプラン。おニューだという、とても可愛らしいちっこい銀箱持参。3号馬さんと合流したレースのパドック、目の前に、リーダーご推奨高森騎手が登場。「な!むっちゃ子供やろ」とブリセイくん共々3号馬さんに高森騎手を説明し、3人で盛り上がる。
正午頃にディープさんがご来場。ディープさんと3号馬さんは面通しをするのは初めてのようで、アラブ原理主義者どうしがご対面。3号馬さんが福山初体験と知ると、「アラブ現場主義者だったら福山来なきゃ駄目ですよ。」とディープさんが3号馬さんに一言。説教モード入っていて妙に受けるワシ。
やや遅れて電設の男@ともろうさんが登場。曰く、「無料バスに間に合おうとして新幹線(岡山−福山間)使ったけど無駄だった。」東海のすけさんも既に朝からご来場。そして6レース前に、関東の宇田山さんが現れる。WINS広島に寄ってからの来場とのこと。
この6レースに、あのサンバコールの全弟の4歳馬、サンボガードが出走。予想紙上でも本命評価、当然1番人気。兄と同様差し・追い込み馬とのこと。しかしレース、道中後方からほとんど動かず直線だけ申し訳程度に走って敗退。「平松乗せろ〜!」としきりにすけさんが野次っていたのが印象的。
天気予報に反し、午後になっても一向に天気が回復しない。「天気予報じゃ雨止むって言ってたからたぶん回復するでしょう。」と主張するが、電設師とディープさんに「今日は無理無理」と、思いっきり否定される。結局雨は降り続けたまま、むしろ雨脚を強めて、メインレースの時間を迎える。その雨で、馬場状態は朝から稍重。砂が適度に水分を含んで、実に蹄のかかりが良さそうな馬場。

※アラブ王冠についてはここからです
というわけでアラブ王冠。今年の福山4歳戦線を振り返ると、以下の2つにその特徴をまとめることができよう。
1.前半の戦国模様から、後半は二強時代(ミスターカミサマvsモナクマリン)へ。
2.有力馬が途中、ほとんどリタイヤすることなく、一年を概ね戦うことができた。
この結果、8頭(昨年の3歳チャンプ、ユノアウトローも含む)もの重賞ウィナーが生まれ、その全てが今回のアラブ王冠に出場することとなった。勿論、前述の二強、カミサマとマリンの実力は抜けており、今回も二強対決であるのだが、その脇を固める顔ぶれも豪華であるわけだ。しかし8頭も重賞勝者を生むだけの4歳重賞の数があるところが凄い(他地区交流重賞も含めて4歳重賞の数、10!)。
その出走メンバー、内枠より以下の10頭(()内は鞍上)。
ヤマノダイオー(楢崎)、モナクマリン(岡田)、アレクシア(黒川)、ダイホーマ(吉延)、ユノアウトロー(石井)、イクノシンプウ(久保河内)、ダイサンラッド(藤川)、ミスターカミサマ(渡辺)、ピアドオスカー(嬉)、セブンアトム(片桐)
斤量は馬齢定量、よって牝馬のアレクシア、イクノシンプウ、ダイサンラッドの3頭は53kで他の牡馬は全て54k。
8レースのパドック周回が終わった後に、アラブ王冠出走馬が入った装鞍所を、3号馬さんと眺める。カメラを構えた彼、「うわーシャッタースピード全然ダメ(遅すぎる)ですね〜。」「フィルム(ISO感度)いくつ入れたん?」とワシ。「400なんですよ〜。」「ソラあかんわ、800使わな。」と、開放F値が4〜5.6あたりのレンズで感度400で乗り切ろうとするチャレンジャーな3号馬さんであった。(追記:彼、実は流し撮り、ムッチャ上手いのです。そのワザをもって、EOSKissIIIで数々の修羅場をくぐり抜けておるのです。)装鞍所では、イクノシンプウが馬房を出て広場を曳き運動。ユノアウトローは馬房の外の広場の片隅で待機。アレクシアが馬房内ではちょっとうるさめ。

パドックからレース発走まで
雨中パドックにアラブ王冠出走馬が姿を現す。全馬鞍とゼッケンをビニールシートで覆っての登場。ここに、地元の福山競馬万歳さんが登場。雨中カメラを構えるワシを見かねて、傘を差し掛けて下さる、優しい万歳さん。
1番3月キングカップ馬ヤマノダイオー。馬格はいつもの通りそれなりに雄大に見せるが、まあ普通。鞆の浦賞をフレグモーネで取り消した、その影響が歩様に残っているかどうかはワシでは判別できず。
2番が注目の、瀬戸内賞馬にして鞆の浦賞馬、モナクマリン。馬体重+6kの426kで、自身の最高馬体重をまたもや更新。とは言ってもその馬体、太め感は微塵もなく、増加分が全て身になった感じ。小柄だが、肩といい腰といいトモといい筋肉の付きが素晴らしい。いつも通りの活気ある周回。今日も気配良好。前走の全日本アラブグランプリは二二五の長丁場に惜敗したが、今日は千八、昨今の彼には充分守備範囲。一気の逃げ切り、そして鞆の浦賞に続いての、二冠を狙う。
3番ダービー馬アレクシア。相変わらずうるさい。これはもう個性だろうからどうしょうもない。ダービーのびっくり勝利以降、実は未勝利。
4番初春の園益福交流特別を雨中激走Vのダイホーマ。人気薄好走と低迷の不沈を繰り返したこの1年、前走前々走を連勝して格好を付け、ここに登場。春に比べて、芦毛の馬体が随分白くなったがそのベルベットのような毛艶は健在。落ち着きがあり、かつキビキビとした悪くない感じ。芦毛馬にしてはパドックでの見栄がいつもいい。今日は柄にもなくソコソコの予想紙のシルシと穴人気、却って買いづらい。
5番3歳ヤングチャンピオン馬ユノアウトロー。春先はヤマノ、オスカー共々三強と目されたが、ダービーを前に全く振るわなくなり今に至る。今回からブリンカー着用。馬体重は+6kの457k、その体重増の通り、従来のギスギスした馬体にようやく腹袋あたりの身が入ってきた。しかし気配は相変わらずうるさい。万歳さんが「ユノアウトロー、気になるねえ。」と言及すると、ディープさんが「いまだにそんなこと言ってるんですか?もう終わってるでしょう。」とバッサリ。ディープさん、いつもながら見切りが早い、それにこのオカタ、結構シビア。
6番3月クイーンカップ馬にして、その時負かしたアレクシアがダービーを制したことから"幻のダービー馬"と呼ばれるイクノシンプウ(彼女はダービー不出走)。ややチャカチャカ気味だが、これは以前目撃した2回と同じ。気合い乗りはいい。ちょっとヒ腹が細い。栃栗毛だが、雨に濡れて馬体が漆黒に見える。それにマッチした黒メンコで牝馬ながら精悍な姿。カミサマ、マリンの二強はともかくとして、ワシも電設師もディープさんも万歳さんも、この馬に注目している。銀杯3着の実績はあるものの、休み休み使われていることもあり、牡馬一線級と大舞台で対決するのは初めて。「やっぱり幻だったのかホンモノかの答えが出ますね。」と電設師が指摘されたが、とにかく評価の高い馬である。
7番11月の4歳牝馬特別を、イクノやアレクシアを差し置いて勝利したダイサンラッド。上がり馬であり、ワシはこの馬だけはお初。牝馬にしてはゆったりとしていて、馬体も可愛気はない。ややトモが堅いか。浅めのブリンカー着用。
8番がご存じミスターカミサマ。2週前に全日本アラブグランプリを捲り圧勝したのは記憶に新しい。当然ここも期待度大。実は4歳三冠に関しては、前述のAGPと銀杯の2重賞勝ちはあるものの無冠。残った一冠、奪取の最後のチャンス。しかし気配、どうも平凡。毛艶も活気も「まあまあ」という程度。トモの送りがどうも浅い。まあ秋のカミサマは概ねこのような感じではあるのだが、これで最高だとはやはり思えない。千八の距離適性をどんどん身につけているマリンに対抗するには、安心できる出来とは言い難い。初めてカミサマを目にする宇田山さん、「カミサマってあんな感じなの?」と訊ねる。そのニュアンスは「あんなにパッとしないの?」といったところが多分にある問い方。「秋以降はまああんな感じ、毛艶はねえ、この天気やし・・・」と、ディープさんともども答えたのだが・・・
9番新春の出世レース若駒賞(特別)を勝ち、春までは4歳戦線を中心となり牽引するも、結局無冠のピアドオスカー。時折チャカチャカとうるさくなる。春シーズン時は皮膚が薄く綺麗な艶な馬に見えていたが、最近は戦績からの先入観ゆえか、さほどの見栄えではない。巻き返しは果たしてあるのか?先行しても後方待機に回っても他馬の方が強力という状況。
10番、重賞未勝利ながらも初夏以降の上がり馬セブンアトム。カミサマと同厩。ゆったりとした周回。明るい栗毛の毛色ということもあるが、その毛艶は実にいい。その肌艶に、スリムな馬格も相まって、とても綺麗な馬。自在性のある先行脚質、どう立ち回って上位入線を狙うのか。

本馬場入場から返し馬に。例によってモナクマリンは入場早々1コーナーへ。他馬は順次ダクに、そしてキャンターで直線を流す。ダイホーマのキャンターがいい。オスカーは珍しく首の低い、悪く言えばハミにもたれたキャンター。

イクノシンプウ、返し馬(34KB)
イクノシンプウ、返し馬
「幻のダービー馬」実力の真価が問われる

で、予想。本線はカミサマ−マリン、これはしょうがない。パドック周回開始時には、万歳さんがパドック横のオッズ電光表示盤を見て「2−7のところ故障してるじゃない」と冗談混じりに仰った言ったように1.1倍不変だったが、まあ次第にオッズは上がっていき1.3倍程度か。加えて、イクノとダイホーマを。イクノが絡むとすれば、マリンが沈むよりもカミサマ不発のケースである確率の方が高かろうと判断して、マリン−イクノをやや厚く。
ディープさんはマリンから。イクノシンプウが狙い目。電設師は「ここは大勝負」と、カミサマ−マリンに大口投資。ところがその買い目、2−8。これにみんなして気付き、指摘。「しまった!間違えた。」(カミサマの馬番号と枠番号を混同したというわけです。)。電設師、開き直って、「まあこれが来れば豪遊できるから・・・で、8枠って何?」それがオスカー、セブンアトムということで、その2頭が絡む展開をシミュレートするが、「どうもありそうもない・・・」さて豪遊馬券の運命はいかに?

そしてレースでっす!
いよいよレース。距離は千八、2コーナーからの発馬。
ゲートが開く。出が良いのは外枠馬、オスカーとセブンアトムあたり。しかしやはり内2番枠からモナクマリン、当然のように加速してビュッ!と一気にハナを奪う。内ではダイホーマも前へ。
ということで向こう流しから三分三厘あたりで隊列は決まってくる。先頭マリン単騎、2番手先団にオスカー、ダイホーマ、イクノシンプウ。カミサマは普通の出から次第次第にポジションを下げてやはり後方。
各馬1周目の正面スタンド前にやって来る。先頭はモナクマリン、鞍上岡田騎手、ちょっと手綱を抑え気味のようだが、マリンが掛かって折り合いを欠いているようには見えない。余裕充分でスイスイ快走、まだ序盤から中盤、マイペースのはず。しかしマリンのスピードの非凡さ故か、後続とは既に5馬身以上は差が。
そして2番手以下が集団一群。その前列内ダイホーマ、外オスカーが併走。直後外にイクノシンプウ。ヤマノダイオー、セブンアトムが続き、後方待機のアウトロー、アレクシア、この直後、ケツ二の位置にカミサマ。殿はダイサンラッド。しかしダイホーマ&オスカーから殿まではほぼ等間隔で差がない。つまりはマリンただ一頭がポツン逃げ。

1周目、ダイホーマ&ピアドオスカー(34KB)
1周目スタンド前、集団前列
内ダイホーマ外ピアドオスカー、直後外イクノシンプウ

レースは1、2コーナーから向こう流しへ。このあたりでマリン、いよいよ本領発揮。向こう正面半ばあたりから後方をどんどん突き放していく、見た目にも速い。3コーナーあたりで手応え充分、「あ、これ行き切られるな」と思うワシ。
一方の後続集団、3コーナーを前にその隊列の間隔がさらに縮まってまさに一団。前列は相変わらずダイホーマ&オスカー、そしてじっくり様子見のイクノ。この頃注目のカミサマは・・・前走アラブグランプリで一気に加速した一、二角では全く動きなし。向こう流し、いつ動くいつ動く?と注視するが、その半ばまではまだ動かない。鞍上渡辺騎手のアクションも大きくならず、作戦なのか行き脚悪いのか?と心配になってくる。地元のお客さんも「大丈夫か?」状態。3コーナーあたりでようやく仕掛け出した模様、しかし集団の流れが速いからか、お馴染みの捲り一気というわけにはいかない。
2周目の三分三厘、一団の後続を尻目に単騎独走モナクマリン、その脚色のまま最後の直線に向いてくる。この時点までに稼いだリードはもうセーフティー、そして恐らく余力充分、確勝状態で岡田騎手、追うことなく流し気味で、最後は後ろを振り返りつつの完勝Vゴール。その走破タイム、1分56秒9はレコードにコンマ2差に迫る爆速時計。秋緒戦の千六といい、距離延長を克服すると途端に好タイムで逃げ切ってしまう、恐るべき能力。

モナクマリン、直線独走(31KB)
モナクマリン、直線独走
この隆々とした筋肉に注目

さて、後続集団、4コーナーまでダイホーマとピアドオスカーが引っ張るが、これは直線入って程なくのところまで。道中この二頭を前に見つつ進めた久保河内イクノシンプウ、直線を向くと満を持して前2頭を交わし前へ。マリンを追う。3、4コーナー中間あたりから押し上げてきたミスターカミサマは、明らかに苦戦の模様。直線に入ってどうにかこうにか集団を抜き去るものの、マリンは遙か先で確勝モード、さらに前には脚色に余裕のあるイクノシンプウ。「カミサマ全然アカンやないか・・・」の感想の中、結局イクノがカミサマに2馬身1/2まで迫って2着。カミサマはそれから3馬身遅れて3着完敗。「何がカミサマじゃあ!」と悪態をつく、別系統遠征系と思しきお客さんがいたが、心中お察ししますといったところ。
この後ろ1馬身1/2差で好位維持のヤマノダイオー、同じく1馬身1/2差の5着セブンアトム。以下最下位アレクシアだけが大差負けである外は、3着カミサマから9着ダイホーマまではタイム差僅か1秒1、接戦であったこと、そして今日はカミサマが完全不発で、追走集団を後方から先頭に移動したにとどまった、ということがよくわかる。

表彰式の後、岡田騎手にサインをお願いする電設師とワシ。快く応じてくれる岡田騎手。「モナクマリン、強いですねえ!」と言うと、岡田騎手「いやあ(主戦の)岡崎さん(が乗った時)の方がもっと強いです」とのお答え。代打2戦目で快勝。
レースの時は4コーナーでデジカメ撮影をしていた万歳さんが再合流。万歳さんはご自分のHPで、「イクノシンプウは自分が2番手取るよりも2番手馬見ながらレースして抜け出したら面白いのでは?」と見立てを開陳されており、それがズバリ的中。
カミサマから大口勝負を賭けて痛い目に遭われてしまった宇田山さんも、「やあ凄いレースだったね、いいもの観たよ」と、レースのクオリティには納得の模様。
ディープさんは狙い目がズバリ的中。このマリン→イクノの払い戻し、連単が1220円、連複でも1010円もついた。マリンとカミサマに人気が被りすぎていた結果か。しかしこれで4桁配当はオイシい。ワシも押さえ1番手の買い目で黒字。そして電設師は、"豪遊馬券"は夢と消える・・・

それにしてもモナクマリン、強い!そして速い。アラブグランプリ4着の走りを観て、おさるさん共々「これでマリンは千八の目途が完全にたった。」と感想を抱いたが、完勝。千八までの距離だったら全国どこに出しても恥ずかしくないのでは?この逃げ振り、必見。
2着イクノシンプウはやはり地力があるということ。「やっぱりホンモノだったよ〜」と、電設師、ディープさん共々感想。この馬、実際のところホンマ強いです。4歳牝馬としては全国屈指なのでは?
3着カミサマは・・・結果は完敗、しかし渡辺騎手及び陣営、どういった腹づもりで臨んだのだろう?勝負賭かりにしてはカミサマ自身の爆発力はイマイチだったし、渡辺騎手の仕掛けのタイミングは不可解。単なる仕掛け所の読み違えなのか?勝負は正月大賞典、ということか・・・しかし全日本のタイトル馬、それに今となっては福山の看板ホース、恥ずかしくない競馬を希望。
以下の面々、サスガに上位3頭には敵わなかったが、いくら走りやすい馬場とはいえブービーのダイホーマまでが1分59秒1の好タイム(鞆の浦のマリンのタイムより速い)で走っている。有力馬のアタマ数が揃っているだけでなく、相対的にレベルが高いような気がする。兵庫4歳勢のことを考えるに、福山、羨ましい限り。

※見物、最終10R、サンタクロース特別(A1、1800m)
最終レースにA1(オープン最上組)戦が組まれている。出走メンバーは、マツノホープ、アサノクーペ、グリンティアラ、モナクダイキチ、エイコウライン、ワールドアイ、トモシロヒット、ムサシボウナナ、アローパッション、マルサンダイオー、と、この面々の相当数に、パッピーケイオーと4歳の上位馬数頭を加えれば、それが正月3日の福山大賞典出走メンバーになろうかという顔ぶれ。実際このレースの着順上位3頭に、大賞典の優先出走権が与えられる模様で、まさに大賞典の前哨戦。パッピーは菊花賞1着で優先出走権を既に取得済み。
注目はアローパッションとグリンティアラの2頭。先月に兵庫より転入して、緒戦2戦目のA2戦を連続ワンツー、いよいよA1の舞台。ここも一気に突破の勢いがあるが、既存の福山オープン勢、立ちはだかることができるか。
人気は菊花賞2着のマツノホープ、アラブグランプリデーの最終レースのA1戦を逃げ楽勝したマルサンダイオー、そしてグリンティアラ、モナクダイキチの順。A2連取のアローパッションは、秋以降駄目なトモシロヒットよりも低い6番人気。
ワシの買い目は、ダイキチ、アロー、ティアラの連複三角買いで、中でもダイキチ−アローを厚く、他は押さえ。「買えば来ず買わねば来る」のマツノホープにはいい加減参っているが、買って来ないと投資した分腹立たしいので、「もう買いません!」と、バッサリ。
さてレース、スタートはトモシロがポンとハナで一気に加速してそのまま先頭。これを前に見て2番手にワールド、マルダイ、ナナあたり、マツノはこれらの直後イン。ティアラ、アローは後方から、ケツ二にダイキチ。
正面スタンド前は先頭トモシロ2番手ワールドで通過、しかしトモシロのリードはほとんどない。
2周目向こう流しに差し掛かり、早々にトモシロがギブアップ、押し出されてワールドが先頭、そしてスルスルとマツノが早めに前に。後方ではダイキチがバックストレッチ一杯を使って一気に捲り上がる。ここでティアラはダイキチを先に行かせ、これを見つつの走り。アローはまだ動かず。
三分三厘先頭マツノ、2番手にワールドだがこれをめがけてダイキチが来る。そして最後の直線に。
先頭マツノ、外目にダイキチが。両者まだ脚がありそうで、ディープさんここで「やった〜!いいぞそのまま」と勝ち確信。しかしマツノが残り100mを待たずに脚が売り切れ、ダイキチも終いが斬れない。と、そこにダイキチマークでやって来たグリンティアラがダイキチの外、満を持して抜き去りこれが先頭、脚色充分、福山初勝利をA1初勝利で飾る。2着はダイキチが残ろうかというところ、ティアラのさらに外、アローパッションが直線一気の差し脚披露(NARのDBの結果の通過順ではアロー、四角では後方六番手集団)、ダイキチを蹴落としティアラに1/2馬身差に迫って2着入線。3着ダイキチ、4着終いが甘くなったマツノ。トモシロヒットは沈没大差殿負け。

グリンティアラ、ゴール前(35KB)
グリンティアラ、福山初勝利
差し競馬的中、画面右の頭は2着アローパッション

ということで、ティアラ&アロー、A1の壁、難なく突破。「もうちょっと既存勢には骨のあるところ見せてほしかったな・・・」がワシの本音。まあ馬券は押さえが取れたのでよしとする。ブリセイくんは兵庫OB馬券を素直に取りバッチリ。ディープさん、電設師はマツノホープにまんまとやられた模様。「ホンマ煮え切らないオトコだなあマツノホープは・・・」と、電設師から愚痴がこぼれる。(この件り、ルパンさん、ゴメンナサイ、馬券の前にファンはあくまで現金なのです・・・)万歳さんが「またあのコンビのワンツーか、あの2頭、絶対デキてるな、夜中厩舎で何かやってるぞ。」冗談発言だが、ホンマにまたもやのワンツー。これで2頭仲良く勇躍大賞典へ。
グリンティアラ、今日は自分から動いて早めに抜け出さず、ダイキチに一旦先に行かせてこれを目標にした(というか可愛がった)のがズバリ的中。ソラを使う癖を封じるには最良の乗り方か。片桐騎手、ティアラを手の内に入れてきた印象。しかしアローパッションの差しはいい。長く、そして鋭く決まる。兵庫在籍時を上回る活躍、福山の水が実に合ったということか。それでも人気が上がらぬという地味キャラは相変わらず。ダイキチの捲り勝負、いい感じだったのだが直線もうひと斬れ、できなかったなあ。マツノは早めの仕掛けで案の定直線脚がなくなるという・・・信頼できない相変わらずのキャラ。馬券買わなくてよかった・・・
さあ、この上位馬に、筆頭パッピー、そしてミスターカミサマなどが加わっての正月大賞典。実に楽しみな頂点決戦なのだが、1月3日は園田の新春賞と同日。大賞典、行けず・・・

競馬終わって
これで本日の競馬、終了。この後福山駅前の喫茶店で、ディープさん、万歳さん、ブリセイくん、3号馬さんと茶をしばく。電設師と宇田山さん、すけさんは、先に競馬場を後にして、駅前でラーメン。宇田山さんとすけさんが新幹線で発ったあと、電設師に合流してもらう。万歳さんとディープさんは先に辞去され、残った4人で、おさるさんにとあるブツをいただこうと、おさるさん邸をめざすが、おさるさんの奥様に御足労を願う結果となってしまい、恐縮。
最後は4人で快速サンライナーで岡山まで。電設師は瀬戸大橋線乗車、3号馬さんは岡山泊、ブリセイくんとワシは岡山−姫路間を、アラブグランプリデーに買ってその日のチボリツアーが使った、新幹線ウィークエンド回数券の余った2枚を消費するべく新幹線乗車、ということでここで解散。別れ際に缶ビールを速攻飲み干し再会を約す。
残りの行程はブリセイくんと二人、新幹線乗車だと、岡山−姫路間はものの20分。あっという間に姫路着で、ここから新快速。西明石でワシは下車で三ノ宮までのブリセイくんとはお別れ。"ブリセイ福山常連化計画"着々と進行中の巻、であった。

以上、今年の福山競馬観戦はこれにて終わり。また来年、充実したアラブの闘いを繰り広げてくれることを希望しつつ、
「また来年!」

2000.12.23 記

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