第30回仙台七夕まつり賞観戦報告

 2002.7.7、上山、1800m

はじめに〜当日の概況
上山競馬に現存する古馬オープン(及びA級)重賞は4つ。今回観戦した仙台七夕まつり賞はそのうちの一つ。冬季休催が明けて、4月の今季開幕から7開催目にして迎える、年度における古馬重賞第一弾である。そして今年はその名に相応しく、7月7日開催、まさに七夕決戦と相成った次第。

日曜日のJAS大阪−山形便には運賃割引がないので、今回は寝台特急サンライズのノビノビ座席と山形新幹線を乗り継いでの山形行き。10時前に山形駅に到着し、10時に駅前のバスプールから出るファンバスに乗って競馬場に。
日本列島に接近した台風と梅雨前線の影響で、事前の予報では雨とのことだったが、幸いにも大した崩れにはならず、到着した山形の天気は曇り。時折雲が切れて日も差す。しかし湿度が相当高く、非常に蒸し暑い。
馬場状態は良。これまで目にした上山の馬場に比べて、砂のキメが粗い感じ。一見砂がかなり入っているように見えたが、後で山形シチーさんに訊くと「良馬場のアラブの1500m戦で1分40秒フラットですか。かなりタイム速いですね。これは砂入れしてないでしょう、軽いなあ。」とのことである。
レース展開としては上山の競馬らしい、逃げ馬勢に後半好位からの有力馬も絡み、終い接戦で白熱、しかし結果は順当、といったレースが多く見受けられる。ただ、先団と後方集団が分断されるような道中展開となったレースでは、後方からの連中は間に合わないようだ。インコースの逃げ粘りも、外目差し込みもあり、内外の有利不利は感じられなかった。

メインレースまで〜その他のアラブ競走
この日の番組のうち、アラブ系競走は仙台七夕まつり賞を含めて4つ。メインレース以外の3レースも、それぞれ注目に値した。
まずは第1レース。2歳A2戦。8頭立て、距離1250m。初出走もしくはここがデビュー2走目の馬が大半を占める。
注目はペルターブレーブの全弟、ペルタータイラント。前開催デビュー戦8頭立ての6着で、この度2戦目。これがまた、聞きしに勝るトホホな見た目でして・・・馬体重425kだが、腹周りは緩くてダブダブで、トモの張りなど皆無。馬体重にも増して、ムチャムチャ小さい。芦毛なれど枯れた茶色の妙な毛色も相まって、それこそロバかポニーのような馬なのである。二人曳きで終始チャカチャカ、幼さ丸出し。「駄目だこりゃ。」と一目瞭然。「だいたい競馬におろすのが早過ぎるんだって。全然(競走馬として)出来てないもん。」とはくもぎりまるさん。これでも予想紙上ではソコソコシルシが回っているのは、「兄の七光り」以外の何物でもない。
レースはこれが初戦となる、サラ混合の能検でも好走したというミスパグが人気に応えて1着。ニホンカイユーノス産駒のウインドミラーが接戦の2着争いをものにした。さて件のペルタータイラントくん。ダッシュはつかず後方から、ケツ2あたりを追走。向こう流しでちょっと寄せる素振りを見せるも勝ち負け出来そう先行勢は遙か先、程なく止まり、最後はヨレヨレになって、結局ブービー7着入線。まあ長〜い目で見守るということですな。

次に第7レース、B2級戦。距離1500m。上山では3歳限定戦が5月末の第4回開催で終了したようで、それ以後3歳馬は全て古馬編入されている。ここは古馬条件の下から2番目(もっともアラブ古馬のクラス分けは今開催6つしかないのだが)、出走馬10頭のうち3歳馬が7頭を占める。
ここでの注目は、3歳チャンピオンマサル、あのホーエチャンピオンの全弟である。通算12戦2勝で出世はまだまだだが、今回人気を背負っている模様。そのパドックを栃さん共々眺める。馬体はホーエイヒロボーイ産駒らしく、大柄でどっしりとしたもの。しかし7歳になった兄よりも覇気のない周回気配で「何だかなあ。」といったところ。騎乗命令が掛かると煩くなって、手綱を取る、新潟から転じた名手大枝騎手を乗せたがらない。「ちょっとやる気出てきたかな?」と栃さんはこれを気合い乗りと解釈したよう。
そのレース。ちょっと掛かり気味に行きたがる素振りを出しかけたところ、逃げる3頭を巧く壁にして先団次列に収まる。バックで先団と後方が切れて前残りのレースとなる中、3、4コーナーで先頭を窺い、終い抜け出して押し切った。「まずまずの競馬だったんではないの?」と栃さん共々思った。2着は逃げて残った3歳アオイセンジュ。こちらは1勝馬ながらもデビュー以降世代トップクラスで走ってきた馬である。

そして準メインの第8レース、A2級戦。9頭立て、距離1700m。A2とはいえその顔触れは、メインレースの出走馬のうちの、トップ勢を除いた面々とは同格。近走戦績がイマイチで、重賞への登場が叶わなかった馬たちによるレースと言えようか。
ワシの注目馬はヨシゼンファイナル。あのミスターヨシゼンの半弟で、4月まで高崎所属だった。個人的には、高崎最後のアラブ重賞、一昨年末のアラブ大賞典で、カズタカショウグンを蹴落としジャパシュキングの2着に食い込み、好配当をもたらしてくれた馬として記憶に残る。今回当地3走目、これまで6着8着と結果は出ていないが、見限り難い。予想紙上でもそんなニュアンスの濃い穴馬評価。ごくフツーの鹿毛馬、特段良くも悪くもない、平々凡々とした見た目である。8歳という歳を考えればそれなりか。
このレースがまた、誰も積極的に逃げたがらない感じで、前半はほぼ一団の隊列で進む。「ヌルいレースだなあ。」とTGMさんやふささんが声を挙げる。この中にあって、ヨシゼンファイナルがまさかのハナ。しかしこの意外な逃げが幸いする。バック以降はやはり先団と後方が切れて、前の馬に有利な流れに。その中先団でスッと加速し、早めに抜け出し粘り切ってのV。この勝利は、ちょっと嬉しかった。単勝720円もオイシかったし。

メインレース、出走馬について
さてメインレース、仙台七夕まつり賞。出走馬は内枠より、以下のフルゲート12頭。()内は騎手、斤量。
チャンピオンキタ(青木、56k)、マルワサンライム(小国、56k)、マルハチフレンド(関本秀、56k)、トガミアスリート(馬渕、56k)、マルハチジョージ(小嶋、55k)、エルソパレード(前野、56k)、セイフクガバナー(佐藤庄、56k)、モリノシルキー(長橋、55k)、レビンマサ(板垣、55k)、ムーンライトブルー(佐藤涼、56k)、サファリルージュ(関本淳、55k)、サファリクラッシュ(須田、56k)
ハンデは56kを基本に、牝馬モリノシルキーとサファリルージュ、3歳馬マルハチジョージとレビンマサが1k減された値かと。

今月2日に金沢のセイユウ記念に遠征したので日程的にここへの出走は無理である、王者ペルターブレーブと、今季は開幕開催のオープンで1走しただけで、以降実戦に姿を見せないアオイリュウセイを除けば、現在上山で稼働しているトップクラスが揃った、楽しみなメンバーとなった。因みにアオイリュウセイは休養中のようで、くもさんによれば「夏まで休ませて秋口に始動させるとか。去年と同じだわ。」とのことである。
前走3着に敗れたものの、今季開幕以来4連勝を飾った"春男"しかし何となく勝負弱いマルハチフレンド。昨年のこのレースの勝者でかかしまつり賞も制した、しかしアテにならないクセ馬"気まぐれ"ムーンライトブルー。昨年重賞で2着3回した実力派、三白眼の騙馬エルソパレード。これら古馬の一線級に加え、3歳筆頭で前走園田の楠賞に遠征した、昨年の全国2歳チャンプのレビンマサと、世代次位格マルハチジョージの、3歳2頭も登場。昨年までこの時期に存在した3歳重賞スズラン賞が廃止されてしまったので、彼らにとっては、重賞の舞台がいきなりの古馬混合戦となる。
と、ここまではそれなりの面々ではあるが、今年の上山アラブ界、トップ勢以下の層が非常に薄い。というのも、昨秋以降、上位勢の転出が相次いだが故。昨年度来の大幅な賞金減額が引き金となったか、また、昨夏福山に転じたドリーミングの、彼の地での躍進が呼び水となったか。昨年の3歳筆頭ホマレエリートは、全日本アラブグランプリへ遠征の後、そのまま福山に居座った。ヒカミハヤブサやスズヒロフレンド、カミノマルーエースにラピッドベアーズも福山に移籍。昨年3歳2番手格だったミスターハヤブサは笠松に転じ、ホマレエリートと厩友だった明け4歳ホマレトウカクも、今季開幕後に福山に移った。このため、以前であればA級を張ることすらおぼつかないような馬も、否応なくA1戦に動員されており、同一レースの出走メンバーでありながら、上下のレベル格差が甚だしい。本来ならばヒラのオープン大将が相応しいセイフクガバナーあたりが、トップの一角として扱われているのが象徴的である。「欲を言えば、登録してたローレルタイタンも観たかったよねえ。」と、廃止直前の新潟で強豪となり、今季当地に移籍してきたこの馬の名を出す栃さん。

パドックから発走まで
さてパドック。
1番チャンピオンキタ。腹回りの重い体型。踏み込みは浅め。体表から汗が滲んでいる。A2でどうにか連入出来るかどうかというポジション。
2番マルワサンライム。馬体重443kは巨漢揃いの上山オープンにあっては軽い方。数字通りの細身なシャープなスタイル。首をガチャガチャ振り上げて、かなり煩い。今季A2では堅実に上位入線しており、前走はA1戦を2着、マルハチフレンドに先着した。
3番がマルハチフレンド。比較的大人しい気配での周回。毛艶と張りにちょっと欠けるような。胴回りも緩く、個人的にはあまりいい印象ではない。トモの踏み込みも浅い。が、次第次第に気合いは乗ってくる。前走の3着敗退は展開のアヤ、逃げ有利の馬場で3番手、前2頭にまんまと残られたものだったとか。悲観するに値しないか。ただ夏場はあまり調子が出ないのも事実のよう。「マルハチフレンドとは相性非常に悪いんだよな。大勝負すると来ず買わんと来る。」とはくもさん。「実はワシもこの馬勝ったところ観たことないですよ(振り返れば一昨年の東北アラブチャンピオン以降、6度観戦して2着1回3着4回!))。」「こりゃ駄目だ。」などと。
4番トガミアスリート。腹が重い。毛艶も平凡で馬体張りもない。先月福山から移籍してきた。移籍前はC2の二桁クラスとかなり下位。こちらではA2で2戦して5着2着。
5番マルハチジョージ。馬体重495kと大柄だが、見た目にはなかかかスカッとしている。ただフォルムは、腹袋はしっかりしているがトモは若干乏しい。毛艶はなかなか良い。2歳時は重賞を走らなかったが、今季開幕以来5戦全勝、前走では古馬A3戦も勝ち、上昇機運著しい。「(同じ3歳馬なら)レビンマサよりこっちの方が良く見えるな。」とふささんも。
6番がエルソパレード。ピカピカの黒鹿毛の毛艶。馬体のシャープさはこの馬の特長。程よく気合いも乗って、スッチャスッチャと周回。肩の捌きは硬く、トモも大きくは踏み込まないが、さほど気にはならない。3走前マルハチフレンド不在のA1を勝利。前走5着はマルハチフレンドマークが仇になって動けずの結果。馬自身は好調維持のよう。
7番セイフクガバナー。ドカンと太く、良く張った胴回りで毛艶も悪くないという、この馬らしい姿。踏み込みはソコソコだが悪くはない。今季は上位で堅実に好結果を残している。そして前走、軽馬場をまんまと逃げ切ってみせた。
8番モリノシルキー。馬体重430kの4歳牝馬、ここに入るとやはり小さい。明るい栗毛の毛色だが、艶は平凡。時折暴れる。今季はB級からスタート、前々走と前走それぞれB1とA3を連勝したが、ここでは明らかに格下。
9番がレビンマサ。相変わらずのんびりゆったりと周回している。覇気をほとんど見せない、このあたり、好みで評価が別れそう。実入りは良好、張りもそれなりにある。歩みはしっかりしている。やはり胴長体型で、これはホーエチャンピオンやアオイリュウセイよりイセイチフブキに近いか。楠賞では折り合えず7着、出直しの一戦である。が、「レビンマサはなあ、成長したって感じが全然しないんだよなあ。長ずればマルハチジョージの方が出世するんじゃないか。」とは山形シチーさん。こういった評価は多い。
10番がムーンライトブルー。この馬としてはやや胴の線が緩い気がするが、毛艶と馬体張りは文句ない。たまにガッとなるのはこの馬らしいところ。相変わらず、舌を括られながらもそれをデレデレさせている。前走4着だが実はこれ、くもさんによれば「だって4コーナー曲がれなくって、外ラチめがけて吹っ飛んでくんだもん。以前にも数回こういうことやらかしてるし。騎手も騎手で、全く御せてないし。」とのこと。「ホンマに気まぐれでアテにならないですね。」とワシが返すと、「っていうか、結局馬がア○マ悪いんだって。」とバッサリ。「ムーンライトブルーはこの外枠がイヤですよね。ラチ頼らないとまた4コーナーで逸走しそう。」と、山形さんもこの点を危惧。
11番サファリルージュ。牝馬ながら463kの数字以上に堂々とした馬体だが、毛艶は平凡。鞍下に発汗が目立つ。歩様は硬いが力強さはある。昨年来A級上位の常連だが結果がなかなか出ない。昨年は14戦して1勝のみ。今季も4着が最高着順。
12番サファリクラッシュ。灰色芦毛の馬体。ちょっと胴長体型で、その胴が若干緩めだが、見た目悪くはない。落ち着いてじんわりと周回しているが、しきりに尻尾を振り回す。今季はB級スタート、前走はA2で直線一気のゴボウ抜きを決めて勝ったようだが、ペース的にも一線級に混じると苦戦必至か。

マルハチフレンド(37KB)
マルハチフレンド、返し馬
今日は勝てるか?

本馬場入場から返し馬。サファリクラッシュは外ラチ沿いを曳かれて入場。セイフクガバナーは遅れて入場。ムーンライトブルーも遅れて、最後に登場。厩務員さんがゴール板前に曳いていこうとするが馬が言うことを聞かず、結局いつも通り一角方向に直行。そして真っ先に強めのキャンターで通過する。エルソパレードのキャンターにも力が入る。マルハチフレンドはやや強め。レビンマサは馬場六分どころを楽走で流す。マルハチジョージはチャンピオンキタと並んで最後に、ほとんどダクに近い軽い走りで。
予想。狙うのは推奨順に、エルソパレード、レビンマサ、ムーンライトブルー、マルハチジョージの4頭。このボックス。マルハチフレンドは今日も人気しているが、前述の通りワシはこの馬と相性が悪く、また信用していないので、買うのはエルソパレードとの押さえだけ。

レースなり
さてレース。距離1800m、2コーナーから1周と3/4。
ゲートオープン。内でチャンピオンキタが立ち後れ気味。そしてあわよくばハナをといったところのセイフクガバナーが痛恨の出負け、これで後方からの競馬を余儀なくされる。内のマルワサインライムとマルハチフレンドあたりが好発だったが、これらを制して外からムーンライトブルーが、鞍上に押されて何が何でもの構えでハナに立つ。向こう流し半ばまでにかけて、相当の脚を使って単騎先頭に持ち込む。「インベタを狙ったな」と推測しつつ見守る。マルワとフレンドに続き、レビンマサやエルソパレードも先団で続く。ここでやや差が開き、先団と中団が分断された格好でレースは3、4コーナー。チャンピオンキタやトガミアスリート、マルハチジョージ、モリノシルキー、セイフクガバナー、サファリクラッシュ、サファリルージュといった並びで続く後方。
そして正面スタンド前。先頭ムーンライトブルー。案の定内ラチ沿いのライン取り、佐藤涼の手綱は張り気味だが馬の行きたいように行かせている感じ。2、3馬身離れて先行集団。そのフロント、内マルワサンライム外エルソパレード。次列インにマルハチフレンド、外目にレビンマサ。マルハチフレンドはポケットに入って囲まれた体裁。見ていて鞍上関本秀騎手というのがピンとこず、昨年フレンドの手綱を取ることの多かった小国騎手鞍上のマルワと紛らわしい。フレンドの直後インにトガミアスリート。やや切れて、内チャンピオンキタ中マルハチジョージ外サファリクラッシュが併走気味。セイフクガバナーは結局後方ママだった模様。

1周目(32KB)
1周目、正面スタンド前
先頭ムーン、エルソは2番手外、掛かり気味

1、2コーナーから向こう流しへ。ムーンライトブルーは快調に逃げる。ぼちぼち腰を上げてもよかろうマルハチフレンドは内に包まれたまま、一向に動きが目立ってこない。
そうこうしているうちにバック半ばから三角手前。ムーンライトブルーが鞍上に叱咤されてなおも逃げる。続く先行集団も追撃開始か。レビンマサが外から早めに集団を抜け、3コーナーでは単独2番手。ムーンに迫る。が、ムーンライトブルー、ちょっとへこたれそうな感じの走りだったものの、無理矢理シバかれて、レビンとの差を一定の間隔以上には詰めさせない。
三分三厘から4コーナー、ムーンの佐藤涼、鞍上でほとんど棒立ちという、凡そ若手jkと思えぬ前時代的な騎乗フォームで、真横から馬の腰に鞭を叩きつる。不格好な姿なれど、何とか馬を外に逸走させずにねじ伏せようという意図ありあり。それに応えたかムーンライトブルー、四角先頭で最後の直線を迎える。頭の上下が目立ってきたものの、それでも何だかんだで一目散。結局最後は追ったレビンマサの方も脚が上がりそうになってしまい、マルハチフレンドやエルソパレードといった先団の人気どころも間に合わない。ということでムーンライトブルー、まんまと逃げ切って、連覇となるVゴール、着差は2馬身だが、内容は完勝完封。勝ちタイム1分57秒1はやはり速い。これはムーン自身の千八ベストタイムともなった。
レビンマサが馬場真ん中を、そのまま2着入線。3着以下は4馬身後ろ、遂に追い付けなかった。マルハチフレンドが直線遅ればせながらも馬を外目に出して3着入線。内で1馬身交わされエルソパレードは4着に終わる。マルワサンライムは積極的な競馬が功を奏したか5着。マルハチジョージはレース後半上昇したらしいが6着、逃げられなかったセイフクガバナーが差しに回って何とか7着まで。
ムーンライトブルー(35KB)
ムーンライトブルー、ゴールへ
まんまと逃げ切り連覇
レビンマサ(33KB)
2着レビンマサ
3歳馬が梅雨の古馬重賞で好走

振り返って、そしておしまい
ムーンライトブルー、スタート直後のバックでの走りが全てだったと思う。「ホントあそこでねえ、一気に内を獲りに行ったもんね。」と栃さんと振り返った。それが効いてか、今日は外ラチブッ飛びもなく、キッチリ逃げ切った。『かみのやまKEIBAニュース』紙上に「どの馬の陣営もこの馬が本気になった時の走りには完全に一目置いている」という文面があったが、その通りになった。逆に考えれば「常には本気になれないのかよ?」というわけで、さすが「気まぐれ」の面目躍如。
レビンマサは3歳馬ながらもしっかりここで2着。実力が確かなところを示した。「レビンマサは終いは脚が上がり気味で一杯いっぱいだったけど、すんなり先団の流れに乗って、その位置をそのままキープして2着に流れ込んだって感じですね。」と山形さん。
マルハチフレンドは昨年同様本命評価に応えられず、またもやの3着。道中囲まれて動くに動けなかったか。それにしても関本秀騎手、大事に乗りすぎたのか、この馬らしい早め早めの積極さが見られなかった。まあ結果的には最後の脚で、エルソパレードは交わせたのではあるが。
エルソパレードは不発、個人的には「よもや」の4着。「先行するのはともかく、前野が掛かりっぱなしなんだもん。あれじゃ駄目だ。」とは山形さん。これで終いのしっかりとした脚が削がれたか。
マルワサンライムの先行粘り込みは格を考えればまずまずか。マルハチジョージとしては、自身の差し競馬をするにはまだまだここでは力が及んでいないか。将来は楽しみである。ただ、父キタジマオーは気になる。

マルハチフレンドが連対落ちしてくれたお陰で、単勝4番人気と2番人気での決着ながら、馬複1,180円、枠複1,280円の好配当となった。「いやあ、『マルハチフレンドありがと〜』だね。」とワシや栃さん。因みにこの枠複、七夕の日の七夕まつり賞で7−7のゾロ目。こんなウマいハナシが、競馬の世界には時折起こるのですな。

最後に、勝った人馬のことを思う。一流馬に相応しい、威厳や信頼性とは全く無縁の、訳のわからぬ狂った馬であり続けるムーンライトブルー。デビュー4年目で通算勝ち星がようやく40勝を越えたかどうかという程度の、地味で天然○ケな佐藤涼騎手。この「何だかなあ」なコンビが、同一重賞連覇、そして1年で重賞3勝、当地の古馬一線級重賞の数が4つであることを考えれば、これは脅威である。さりながら、ちっとも信用されない(とワシは思う)このコンビ、ある意味オソロシイ。
そしてその重賞3勝、あに図らんや3度とも現場で目撃することになったワシ。正直、アマリウレシクナインダケレドモ・・・悪いけどゴメンよ、ムーンライトブルー――

2002.7.20 記

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