第27回かかしまつり賞観戦報告

 2002.9.23、上山、1800m

はじめに
上山競馬に存在する古馬A1級及びオープン重賞は4つ。その第3ラウンド、かかしまつり賞。同じ9月初秋恒例のレースでも、金沢の中京スポーツ賞が地味でかつ秋の本シーズンとの関連性が強くないのに比べ、お盆の日本海記念と11月下旬の奥の細道大賞典という、二大頂点決戦を繋ぐ一戦として、重要な位置を占めている。事実、例年トップクラスの面々が登場する。

金沢→山形、重賞ハシゴの巻、そして当日の概況など
一昨年昨年に続き、今年も観戦するべく山形へ。前日の22日は金沢で中京スポーツ賞を観戦したので、金沢→山形の連投となる。
その移動手段は寝台特急日本海3号。これが金沢に23:59に停車する。競馬が終わるのが5時前なので、その乗車時間まで、6時間以上も暇がある。そこで金沢の繁華街、香林坊まで歩いて出て、居酒屋とバーをハシゴ。これで中京スポーツ賞で儲けた分を全て放出し、駅に戻って件の列車に乗車。酒が効いて、大して広くもないB寝台の下段席で、コテンと眠りに落ちる。目覚めたのは6時頃。窓の外には日本海が。新潟と山形の県境を越えたあたりか。雨模様である。鶴岡に6:33着。ここで下車し、鈍行で北へ3駅、余目で陸羽西線に乗り換え。「奥の細道最上川ライン」の愛称の通り、列車は最上川沿いの山あいを行く。紅葉や雪の季節は綺麗だろうだが、今日は雨にけむって地味な景色。これが新庄まで。ここで山形新幹線に乗り換えて、9:58、山形到着。雨は降っていない。10時に駅前のバスプールから競馬場行きのファンバスが出るので、急いでそれに乗り込む。ということで競馬場には10時半頃着く。
入場早々に"神出鬼没"さまにべっぴんさんとバッタリ。前日は旭川だったそうで。この御仁も全く・・・そして『競馬美食倶楽部』主宰の環さんが1レース発走直前にお越し。彼は今回上山競馬初観戦。

馬場状態は良。ということは前日特段降雨もなかったということか。ただ砂はバサバサでもなく、ややしっとりとしている感じ。馬場の中程から外目の方が伸びる。すんなり先団・好位から抜け出した馬が1着になり、外目を差し込んだ馬が2着になるというケースが多い。上山の馬場、展開としては平均的な傾向か。「今年はやっぱり時計が速いですわ。砂は入っていないことないらしいんですけどね。おかげで故障馬が多い。」とは地元ブルボンさん。
天気は概ね曇りだが、時折雨粒が落ちたり、雲が切れて日が差したりと、一進一退を繰り返しつつ時間は過ぎる。充分涼しい、風があるので肌寒いほど。

メインレースまで〜その他のアラブ競走
この日はメインのかかしまつり賞を含め、アラブ系競走は3鞍。
第1競走は2歳A1戦、距離1300m。2歳上位勢の一戦である。といっても、今開催2歳戦は二つしかないが(もう一方はA2戦)。8月14日の2歳重賞若草賞3、4、5着馬である、ホーエイアキフジ、ホーエイフレンド、ワタリタキオン、加えてレビンマサの半弟のボールドスタントあたりが注目馬か。 レースは5番人気ボールドスタントが逃げて、1番人気ホーエイアキフジは先団3列目外、2番人気ホーエイフレンドはその次列内で最初のホームを通過。ボールドは終始積極的に進め、最後の直線外から迫ったタカセンプーをハナ差しのいで勝利。タカセンプーの外からホーエイフレンドが差し込むもクビ差3着。ホーエイアキフジは結局5着。
ボールドスタントはこれで通算5戦2勝。2着2回3着1回と複勝率十割を維持。抜けた強さは感じないがなかなか渋太いし根性ありそう。
第9競走は古馬A3戦、距離1500m。今開催アラブ系における、上から3つ目のクラスだが、今開催古馬戦(3歳以上混合)は僅か4鞍のみであり、A級なれどその実は中堅戦。ここでの注目はホマレスターボーイ。何と2歳馬である。若草賞2着の後、前走2歳A1戦を勝ち、これで早くも2歳限定戦卒業で古馬編入。
そのホマレスターボーイ。馬体重504kの大型馬だが、パドックでのパッと見はそれほどの目方に見えない。というのもホーエイヒロボーイ産駒にしては比較的スラリとして首長脚長な馬体だからか。胴回りはホーエイ産駒らしく豊かだが、トモの筋肉はまだまだ発達する余地がありそう。2歳馬らしからぬ大人しい気配である。明るい鹿毛の馬体も結構綺麗。
さてレース。ホマレは好発、しかし控えてやや掛かり気味に。シュガーフレアが逃げ脚を伸ばし、レース半ばでは後続を10馬身は離した単騎逃げ。ホマレは次列外をガッチリ。そして三角手前から上昇して、ほぼ持ったままで四角先頭。ホマレ楽勝かと思われたが、残り僅かで内からシュガーフレアが息を吹き返して差し返し、道中インで先行したスミノオージャ(この馬ホワイトキャンプの年子の半兄)が改めて追い込み、3頭接戦に。結果何とか半馬身しのいでホマレスターボーイの勝利。2着シュガーフレア3着スミノオージャ。
「アラブの条件戦で逃げ馬がG前差し返すとは(上山のそれとしては)珍しいレースになったなあ。」とは山形シチーさん。まあそれでもホマレスターボーイ、このクラスではまだ余裕か。「ただ、オープンの一番上になると、段違いにレベル上がるから、それが壁でしょうね。」と、これも山形さん。将来有望な2歳馬のことなので、あまりこの時期から壁にブチ当てるのも考えものだと思うが。

ホマレスターボーイ(38KB)
ホマレスターボーイ、G前の接戦を制す
僅差になったが楽勝

かかしまつり賞、出走馬について
さて、かかしまつり賞。出走馬は内枠より以下の10頭。()内は騎手、性齢、斤量。別定重量戦かと。
エルソパレード(前野、騙5、56k)、レビンマサ(関本秀、牡3、57k)、セイフクガバナー(長橋、牡5、56k)、ホマレリクオー(馬渕、牡3、55k)、トガミアスリート(須田、牡4、56k)、マルワサンライム(鈴木義、牡4、56k)、ブルーユキコ(江川、牝6、55k)、ミルフィーユアレス(関本淳、牝4、55k)、マルハチフレンド(小嶋、牡6、57k)、アオイリュウセイ(小国、牡5、56k)

ペルターブレーブの引退に続いて、あの"お騒がせ"ムーンライトブルーが日本海記念を最後に福山に転出し、有力馬がまた1頭欠けた。「ヤツがいなくなってくれて、馬券戦略的にはややこしくなくなって助かった。」と思うのは本音だが。しかしながら、日本海記念には姿を見せなかったマルハチフレンドやアオイリュウセイが登場し、現状としてはほぼベストメンバー、楽しみな一戦となった。
その今回、敢えてテーマを一つ挙げるならば、「宿命の同門対決」であろうか。すなわちアオイリュウセイとレビンマサ。共に秋葉厩舎所属で、ホーエイヒロボーイ産駒の有力馬。アオイリュウセイは昨秋の奥の細道大賞典を勝ち、ポストペルターブレーブの最右翼になるも、今季は開幕戦を使ったのみで夏まで休養、8月25日、前々開催のA1でようやく戦列復帰(1着)、と、今季君臨するに至っていない。その間レビンマサが3歳馬の身で古馬オープンで健闘、前々走では遂に日本海記念を制し、新王者にならんと。アオイリュウセイがパンとしていて他の追随を許さず、また在籍頭数が豊かで3歳路線がそれ単体で成立し得れば、両者が、こうも早くに、上山筆頭を懸けて対峙しあう者どうしにはならなかったろうにと思う。が、戦況はことここに至った。過去両者の直接対決は1度、今季の開幕戦。勝ち馬はマルハチフレンドでアオイは2着レビンは5着。レビンマサ3歳春先時のことなので、全く参考にならない。
2000年の秋、ちょうどアオイリュウセイが3歳にして日本海記念を勝った直後の頃、秋葉調教師が「アオイリュウセイの体型に似た馬」として、当歳市場で補助馬として選んだのがレビンマサだという(『さくランス』vol.4(2000年11月発行)にその旨記述あり)。それが長じて同様に3歳で日本海記念を制し、理想とした馬の最大のライバルとなったわけだ。
両者の主戦は共に板垣騎手。しかし鎖骨骨折で欠場だそうで、レビンマサの手綱は日本海記念と同じく関本秀幸騎手が代打で取り、アオイリュウセイには小国騎手が初騎乗となる。加えて、セイフクガバナーは主戦の佐藤庄ちゃんが風邪(レース前与那覇アナがこれを告げると、トホホな空気が流れたぞ)ということで今日は長橋騎手。
アオイリュウセイ、返し馬(27KB)
同門対決!先輩=アオイリュウセイ
レビンマサ、返し馬(30KB)
同門対決!後輩=レビンマサ

パドックから発走まで
そしてパドック周回の時間に。雲は切れた。秋の日差しが降り注ぐ中、出走馬が登場。
1番エルソパレード。シャープなフォルムでトモの送りが硬いのはこの馬の常か。馬体張りは悪くないものの並、これまでの方が上。仙台七夕まつり賞に日本海記念、それなりのレベルで安定していたが、それに比してちょっと今回は劣るか。日本海記念2着、前走前開催のA1(これがあの「第7回ネット地方競馬ファン賞」)千七戦3着。
2番がレビンマサ。相変わらずのんびりと周回。毛艶や馬体張りも悪くなく、歩様も変わらずこの馬なり。高いレベルで安定していると思う。日本海記念勝利、前開催前走もネット地方競馬ファン賞を勝ち、充実。3歳馬の身で、トップハンデ57kを背負うのは骨かも。
3番セイフクガバナー。ドンと詰まった馬格。歩幅はあまりない。ちょっとトモのボリュームと馬体の筋肉の張りが落ちたか。日本海記念3着、前々走はアオイリュウセイの復帰戦で3着、前走ネット地方競馬ファン賞は最後まで逃げ粘りレビンマサの僅差2着と、好成績維持の近況ではある。
4番ホマレリクオー。鶴首になって時折チャカチャカと小走り。毛艶と張りは案外良好で、馬体の印象は日本海記念時よりかなり上。日本海記念は最下位、前走は前々開催、A2落ちするも6着。3歳トップクラスでも、バリバリのオープンの壁は厚いのか。
5番トガミアスリート。腹回りが重く映る体型で、冴えぬ毛艶。日本海記念時もそうだったのでこれは元来のものか。日本海記念6着。前々走はアオイリュウセイの4着、前走前開催のA2戦(これがあの「ハローアラブ銀杯」)3着。
6番マルワサンライム。馬体重445kの小柄な馬。スッキリスリム。ビソウサウス産駒にはこういう馬体の馬が多い。気配はやや煩いか。日本海記念5着。前々走アオイリュウセイの2着、前走ネット地方競馬ファン賞4着。今やオープン最上位のレギュラー。
7番ブルーユキコ。大人しい、見ようによれば元気ない気配でパドックの内々を歩く。後半身は細いが、胸前の厚みはある。毛艶はなかなか良い。日本海記念9着、前々走はA2で3着、前走はA3で2着。差し馬。
8番ミルフィーユアレス。スラッとした馬体で脚も長め。スマノヒット産駒らしい首差しとフォルムだと思う。明るい鹿毛の艶も良い。トモの踏み込みは浅いか。今季は開幕から3開催をB1B1A2と3連勝するも休養入り、前開催戦列復帰しハローアラブ銀杯を勝ってここへ。素質馬らしく、今日はそれなりの穴評価。
9番マルハチフレンド。相変わらず大きいが、馬体の張りは「こんなもんか?」という程度。絶好には思われない。肩の捌きも硬い。少々の気合い乗り。仙台七夕まつり賞を3着敗退した後は3開催休み、前開催ネット地方競馬ファン賞で再始動。この馬ポン駆けするクチでもあり、1番人気に推されるも5着敗退。「マルハチフレンド、どう思います?」と山形さんが問われるので、前記の通り「こんなもんか?」という見立てを言うと「やっぱりねえ。でもこの馬デビュー時からずっとオープン一線級でしょ、歳もそれなりになったし、衰えもあるのかなあ。」と。
そして10番がアオイリュウセイ。皮膚の薄さは感じられるがまだまだ余裕があり、実が入りパンとする余地が感じられる。トモの送りは浅く、それほど力強くはない。周回前半は元気がなかったが、次第にキビキビとした身のこなしになってくる。ベストとは言い難いが、潜在能力で何とか、というところか。「体質・状態的になかなかパンとしてくれない馬ですからねえ、今季3走目だし、(万全の出来にならないのは)ある程度は仕方ないなあ。」とは山形さん。それにしてもアオイリュウセイと小国騎手のコンビは全くピンとこない。
「結局レビンマサが一番(の出来)に見えるよなあ。この馬ずっと早熟だって思ってたのに、何だかんだでここまで来ちゃってるしなあ。」これは山形さんの評価。「アオイリュウセイ、今季は掛かり癖、どうです?」「今季2回しか走ってないんだからちょっと分からないですよ。」「大外枠入っちゃいましたけど。昨年までの感じだと心配。それで小国クンが強引に言うこときかすような乗り方した時にゃ・・・」などとやり取り。

本馬場入場、そして返し馬。マルワサンライムは外ラチ沿いを進んで入場。セイフクガバナーとトガミアスリート、ミルフィーユアレスは遅れて登場。エルソパレードは今日も前野騎手が手綱を引っ張ったキャンター。セイフクガバナーやホマレリクオー、マルハチフレンドはの強めのキャンター。レビンマサは軽快に。アオイリュウセイは最後にゆったりとスタンド前を通過。

予想。アオイリュウセイとレビンマサでいいと素直に思う。アオイリュウセイは万全ではなかろうが、それでも強いとワシは見る。連単の丁半博打はあまりしたくないので、今回は3連複で、もう1頭の上位を考えることにする。二強からエルソパレードへが勝負馬券で(これも堅いなあ)、近走安定しているセイフクガバナーとマルワサンライムへも。マルハチフレンドは正直感心する出来でなかったし、ワシはこの馬が勝つところを観たことがないので期待は薄いが、地力で3着には来るやも知れぬので、これも押さえ。

レースなり
いよいよレース。距離は仙台七夕まつり賞や日本海記念と同様1800m、2コーナーからのスタート。
ゲートが開く。セイフクガバナーが長橋騎手に押されて、順当にハナに立つ。マルワサンライムが2番手にスッと付ける。マルハチフレンドが外から続きまずは先行体勢。アオイリュウセイはやはり若干掛かり気味か、大外から差がなく続く。このあたりのインにレビンマサ。エルソパレードも好位。ホマレリクオーは先行叶わずこの次。トガミアスリートやブルーユキコらは中団以下。こんな順番で最初の向こう流しから3、4コーナーを通過する。
正面スタンド前。先頭変わらずセイフクガバナー。1馬身直後の外にマルワサンライムが2番手ピッタリ。2馬身程離れて3番手にミルフィーユアレス。1馬身下がってインベタでエルソパレードが、無理な先行策ではなく自然とそうなった位置取りか。その外にマルハチフレンド。エルソパレードの後ろにレビンマサ、今日は若干後ろ、ジッと追走か。この外にアオイリュウセイ。ここで開いてホマレリクオー以下ブルーユキコ、トガミアスリートと中団・後方。先頭セイフクの走りはいかにも溜め逃げ、見た目にもペースはスロー。

1周目(31KB)
1周目、正面スタンド前
先頭セイフク2番手マルワ

1コーナーから2コーナー、先頭セイフクから好位アオイまで、順番の大勢に変化なし。ただこの後ろ、トガミアスリート以下後方3頭は、早くも大きく置かれ気味。
勝負が動き出すのは向こう正面半ば過ぎ。マルワサンライムがセイフクガバナーを交わして先頭に取って代わる。しかしセイフクも後退はせず、1馬身圏内でマルワに付いていく。そして3コーナー手前あたりから、前をめがけて外からアオイリュウセイが、内からエルソパレードが進出。マルハチフレンドもこのあたりにいるはず(そうとは後になって確認されたが)だがその印象は薄い。レビンマサはインでまだまだ我慢か。ミルフィーユアレスは後退した。
4コーナー。前の2頭の直後まで、エルソパレードが、外からアオイリュウセイが。ただしアオイの動きは今一つ。そしてそして、遂に来た来たレビンマサ。
レースは最後の直線勝負。まず先頭はマルワサンライム、脚いろ確かに。最内でセイフクガバナーも脱落せず粘る。マルワの外、馬場ど真ん中をエルソパレードがスパッと。マルワを交わし抜け出さんと。それをめがけて、次列からレビンマサが大外に進路を取ってズンと出現。ジワリとエルソパレードを追い詰める。アオイリュウセイは伸びない、追い付けない。ということで直線走路、ゴールまでの大半を前3頭が1馬身圏内で追い合う。一旦は中エルソパレードがクビほど抜けたような。しかし残り50あたり、外からレビンマサが差し込んで、満を持して先頭に。しかししかしゴール寸前、エルソがもう一度巻き返し、首の上げ下げにまで勝負を持ち込む。最後はかなり際どくなってゴール板通過。結果は?

最後の直線(36KB)
残り30mくらい、内で粘るマルワ、中エルソ、大外レビンマサ
今日はエルソが内、そしてレビンが外から差し込む

レビンマサ、キッチリクビ差差し切って1着。2着エルソパレード。3着1馬身差でマルワサンライム。4着どうにかこうにかアオイリュウセイ、3/4馬身差。セイフクガバナーは最後アオイに捕まりクビ差5着。ここで5馬身開いて、6着ミルフィーユアレス、7着トガミアスリート、マルハチフレンドは結局8着、9着ブルーユキコで最下位はまたしてもホマレリクオー。

レビンマサ、ゴール前(40KB)
ゴール寸前、キッチリ差し切るレビンマサ
しかしエルソパレードも頑張る

振り返って、そしておしまい
レビンマサ、3連勝で古馬重賞連覇。今日は道中比較的後ろからの競馬となったが、慌てず騒がずといった感で差し切った。(着差が)大きく勝たないのはこの馬の特徴、このレースセンスは大したもの。「それほど斬れる脚のある馬じゃない。」とは常々山形さんらの評するところだが、それでも今日はロングスパートの差し競馬でちゃんと勝った。「4コーナーで外回した分僅差になっただけで、その実は完勝だよね。」と環ちゃん。気になるのは今後の動向。奥の細道大賞典に進むか、その5日後の3歳全国交流、全日本アラブグランプリに打って出るか。それぞれ2300m戦に2250m戦と長丁場。「距離伸びて必ずしもいいことはなかろう。」との評価が大勢なので、いずれの途を選択しても、克服すべき問題がつきまとう。「挑戦の晩秋」といったところか。
エルソパレードはまたしても2着。これで重賞2着が5度目。道中スムーズに運べれば終いは確実に伸びるし、根性もある。前野騎手もキッチリ乗っていようし。「所詮重賞2着までの馬でしかない。」のか、「常に能力を出し切れるから2着に5度もなれる、健闘できる。」のか、どう評価したものか・・・
マルワサンライムの3着は立派。この馬、道中進行のセンスは元々豊か、今日の三角先頭粘り込みもアタリだろう。「距離千五を越えると不安増大」と見なされた馬が、正攻法でここまで走れるまでになった。ビソウサウス産駒で古馬になってこれだけ躍進するのは非常に稀かと(超早熟、底力は期待出来ずが大半)。
アオイリュウセイは「何となく」しか走れなかった競馬か。やはりまだまだ良化途上だったということか。圧倒的なパワーの発露がないと・・・今後の参考にはあまりならぬ、今回の走りだったと思う。小国騎手との相性も結局謎のまま。今日は敗れたものの、昨年と同様、狙い澄ましたが如く、そのピークを"総決算"奥の細道大賞典に合わせてくることは必至。
セイフクガバナーはベストを尽くしたのでは。5着とはいえ大負けでは全然ないし。「この馬千八でもホンマ粘れるようになりましたねえ。」と言うと、「まあねえ、尤も、大きく突き放して勝てる馬が今(上山のトップクラスに)いないってのもありますけどね。」と山形さん。
ミルフィーユアレスはもう一回り経験と地力を付けたいところか。
それにしてもマルハチフレンドは・・・漫然と3列目追走から脱落した。積極的に先行するわけでもなく、ロングスパート仕掛けるわけでもなし。それが叶う現状ではないのか?「勝て」とまでは言わぬし期待もしないが、ここまで呆気なく力落ちるか?

アオイリュウセイが4着止まりだったので、ワシの馬券は大外れ。上位馬、人気馬を安直に信頼し過ぎるのはワシの悪癖。今回もその典型。「大人しく2連勝式の馬券買ってりゃあ、エルソパレード流しという手も打てたろうに。」何を言っても後の祭り。「3連複ナドナケレバヨカツタノニ・・・」とは、ワシの理不尽な愚痴。「よしっ!エルソパレード2着っ!」と、隣でしっかり獲った環ちゃんと明暗クッキリ。

帰路は山形−伊丹便の飛行機。昨年同様、JASのバースデー割特にて。2枚取れるチケットの、その相方が環ちゃん。ということで帰りは一緒に空の旅。また一つ、無駄に歳をとる。ただただ古男子(フルダンシ)一直線のワシ。

先に掲げた「同門対決」というテーマからすれば、ちょっと尻すぼみ、食い足りない結果になってしまった感は否めないか。まあ、二強対決とはえてしてこんなものである。今後再び、それも両者共にピークの出来で相見え、好勝負を繰り広げてくれれば。それがポストペルターブレーブの時代、上山アラブ界を盛り上げる、最強の呼び物であろうわけで。
さて今後、秋の深まりに連れて、上山アラブ戦線も佳境へ一気。涼感が冷え込みに変わった頃、総決算、奥の細道大賞典。仕上げに悔いを残すなよ、みんな!

2002.10.4 記

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