第26回鞆の浦賞観戦報告

 2002.10.20、福山、1800m

はじめに〜当日の概況
福山競馬3歳三冠競走第二関門、鞆の浦賞。夏を越えた3歳有力馬たちが一堂に会し覇を争う。この2開催、約1ヶ月後には全国交流全日本アラブグランプリが控えており、他地区馬を迎え撃つ、地元勢の陣容を見定める上でも、注目の一戦である。なお同日金沢では、これも3歳重賞のアラブ大賞典が施行されるのだが、ワシは鞆の浦賞を選択した次第。

現地には正午前に。6月23日の銀杯以来、約4ヶ月ぶりの福山訪問である。
到着時の天気は曇りだが、この週末は終始ぐずついた天候との予報で、今にも雨が降り出しそうな空模様。前日も雨だったようで、馬場状態は稍重。実に適度な湿り気の馬場で、これは福山においては、差し馬が最も台頭しうるコンディション。道中3列目以降から、レース中盤から後半押し上げた馬の連入が目立つ。
しかし1時過ぎ頃から雨が落ち始め、着実に馬場を渋らせる。メインレースからは、状態重の発表に変わる。そして結局雨は止まぬまま、鞆の浦賞を迎えることとなる。そういえば去年の鞆の浦賞も雨の中での観戦。ワシ、天候には非常に恵まれており雨中観戦の頻度はかなり低い人間なのだが、どうもこのレース、そのあたりよろしくないらしい。

出走メンバーについて
出走馬は内枠より以下のフルゲート10頭。()内は騎手、性、斤量。
ホワイトキャンプ(片桐、牡、55k)、モナクカバキチ(岡田、牡、55k)、イケノグレイス(石井、牝、53k)、フォートワース(池田、牡、54k)、サンコーアイボ(藤本、牡、54k)、ダイニアキフジ(鋤田、牡、57k)、マルサ(野田、騙、54k)、アヤヒカリ(渡辺、牝、54k)、マルサンウイザード(吉延、牡、54k)、ユキノホマレ(嬉、牡、54k)
斤量は賞金別定、牡馬54k牝馬53kの馬齢定量から、番組賞金に応じ加増された値かと。ダイニアキフジが3k余分に背負う57kトップハンデで、ホワイトキャンプとモナクカバキチ、アヤヒカリは1k増し。

今年の福山3歳戦線は、重賞を複数制した馬が1頭もいない、すなわち重賞毎に勝ち馬が異なるという、一見戦国模様、中軸不在でどんぐりの背比べ的状況。
が、実際のところはそうでもなく、2歳秋よりここまで、常に主役を張っている筆頭が存在する。すなわちダイニアキフジ。ヤングチャンピオン、全日本2歳アラブ優駿、キングカップ、福山ダービー、銀杯と、出走するも勝てたのはキングカップのみで他は全て2着。重賞勝ち馬が続々誕生するのも、結果的に混戦模様に見えるのも、此奴1頭のせいだと思えてしまうわけだ。が、決して弱い馬ではなく、銀杯2着の後はA3戦を勝ち、前々開催の前々走ではA2戦でも1着。3走前の古馬重賞金杯と前走A1戦ではそれぞれ7着9着とブタれてはいるが、古馬オープン級の地力を有するのは明らかかと。
まあ、このように気前よく金星を量産してくれるということは、逆に言えばムチャムチャ図抜けた能力でもなく、勝負弱いわけでもあり、今回も他馬の付け込む余地は充分。既に重賞を獲った馬に加え、夏の躍進馬にも注目に値するヤツがいたりと、楽しみな一戦となった。
ただ、ダービー馬トモシロトーザイは不出走。その理由は確認できず。ダービーを制し楠賞6着の後も、地元では連勝と順調だっただけに甚だ残念

パドックから発走まで
小雨降る中、パドック周回が始まる。今回は雨を避けて、2階の指定席"わくわくルーム"から、硝子越しに見下ろすポジションにて各馬をチェック。ということで、いつもとは異なった位置、距離感でのパドック評価であることを、はじめにお断りしておきます。
1番がヤングチャンピオン馬ホワイトキャンプ。灰色芦毛の馬体はちょっとだけ白さを増したか。灰色というよりは焦げ茶が脱色されたような毛色になっている。これまでは大抵素顔だったのだが、今日はパドックメンコを被って周回。そのメンコ、柄が鞍上片桐騎手の勝負服のそれである。これが効いたか、二人曳きながらもイライラした感じはない。馬体重475kは+4kで初夏の値に比して約20kも重い。成長分もあろうが、胴回りはかなり重い。元来がコロコロ体型にしても、だ。銀杯6着の後は夏場4開催休み、前開催B3戦のマイル戦で復帰し勝利。先行四角先頭で押し切ったようだ。
2番が銀杯馬モナクカバキチ。チャカチャカと小走りになる、相変わらず細かい動きの目立つ煩めの周回。ケツのボリュームも従来通り貧弱な感が否めず、腹回りも締まった感じはしない。こういった、あまり好評価付けにくいルックスは、この馬なりであって「まあこんなもんか」と思うしかない。ホワイトキャンプ同様、銀杯後の4開催は休み。前開催B1B2戦のマイル戦で復帰し、三分三厘捲り差しで勝った模様。見た目はイマイチだが破壊力と素質は光る。ただ、「前走は銀杯後の故障明け」と『福山エース』にあり、これは寝耳に水で気になるところ。
3番イケノグレイス。ややチャカチャカした気配だが、黒鹿毛の毛艶はいいのでは。デビューは名古屋、福山は5月18日が緒戦。転入以降8戦5勝2着2回の6連対と勝ち進み、前開催C2の6組戦を制しここに間に合った。出走馬中番組賞金額が最も低い。因みに佐賀のキンコートウザイの半妹である(これは3号馬さんのチェック)。
4番フォートワース。この馬の身のこなしというのは、実にキビキビとしておりかつ伸びやかで絶品なのだが、今日もいい。ただし腹回りがダービーや銀杯時に比して明らかに重い。それとの対比もあってかトモの力感はソコソコのレベル。銀杯4着の後、次の開催はC2の5組で勝つも、2開催開いて臨んだ前々走と前走、それぞれC2の3組戦と4組戦を3着2着。人気もしておりこのクラスなら勝ち進んで然るべきところ、どうも差し届かないようだ。個人的注目馬なのでちょっと不満。主戦岡田騎手がカバキチ騎乗で、今日は新人池田騎手との初コンビ。池田クンは重賞初騎乗となる。
5番サンコーアイボ。鹿毛の馬体がテラテラ光っていて毛艶はパッと見とてもいい。周回当初は歩き方に元気がなかったが、次第にシャンとしてきた。銀杯3着の後、1開催休んだ次走をC2の4組戦で勝利。その後3着2着ときて、前走C2の2組戦で4着。C2の上位で安定しているが、これもどうも差し届かないレースが多いようだ。ずっと主戦だった嬉騎手が今日はユキノホマレに騎乗するので、前走に続いて藤本サブちゃん鞍上。
6番がダイニアキフジ。馬体重487kは+6kだが490k台でも適正体重なので、これはむしろ戻したというところ。馬体のフォルムは春先に比してスリムな印象すらある。パドックの外目を周回。踏み込みは力強く、歩幅も出ている。前走のA1戦が、9着殿負けもともかくとして、「ダービー→楠賞→銀杯→夏競馬、そして金杯」と、銀杯後に1開催抜いただけでほぼ不休。「ゆったりローテーション組める身分だろうに、これではあまりにも使い詰めではないの?とすれば前走大敗はやはり出来落ちか?」などと思っていたのだが、何の何のの出来映え。10頭のうち、雰囲気はやはり一番あるし、とても軽視できない。
7番騙馬マルサ。のびのびゆったりと周回。元々バランスのいい、筋肉と骨量に富む馬体ではあるが、ちょっと線が細くなった気がしなくもない。毛艶や馬体張りはまずまずのレベル。瀬戸内賞では地元最先着の2着で銀杯は不出走。以後不休で5戦して、4走前のC2の2組戦と前々走のC2の1組戦で勝利。前走はC1特別で5着。徹底先行、逃げ切ってこそ良さが出る馬、主戦野田騎手の心積もりも重要なファクターか。この人、頑なな騎乗をした方が結果が出るタイプだと思うので。
8番アヤヒカリ。馬体重487kは前走比+1k、500k近くまで増えていい馬であるのでプラス傾向は何より。ただ、馬格の良さに実入りと締まりが追い付いていない感ありありで、腹回りも緩く、馬体全体の力感にかなり欠けている。黒鹿毛の艶はまずまずではあるが。銀杯は7着と振るわなかったが、その次走1組勝ちでC2を卒業、C1B3と連取し、前走は前々開催のB3戦で2着。中団以降からキッチリ差し届かせる競馬。正月開催の3歳特別若駒賞を勝った素質馬がここにきて本格化か。ただ勝負賭けは次開催の3歳牝馬特別であり、今回は仕上げ途上であろうとは想像に難くないところ。
9番マルサンウイザード。胴の丸みが目立つコロンとしたフォルム、大人しく、ぽてぽてと周回。ただ、甘えているのか、厩務員さんに顔を預ける仕草が目立つ。黒鹿毛青メンコでフォートワースとちょっと紛らわしいが、この2頭は共に名門弓削厩舎所属。メンコは浅いブリンカーが付いたもので、耳は露出している。2ヶ月半の休養が明けた5月始め以降、9戦5勝2着2回3着2回と躍進し、重賞出走が叶う位置まで上がってきた。前走C2の3組戦で勝利。
10番ユキノホマレ。銀杯5着の後、破竹の5連勝でC2の7組から2組まで通過、一躍注目・中心馬として脚光を浴びることとなった。登場して2周は入り口で控えて、遅れて周回に加わる。元々胴長のゆったりした体型だが、初夏頃より胴回りが厚くなり、今日はちょっとそれが重い印象。毛艶も平凡であるし、何よりあまりに覇気がない。これは実に案外な出来で、ファンの注目と期待に応えられるのか、ちょっと心配になる。脚質は差し・追い込みプロパー。5連勝は三分三厘一気で四角先頭でモノにしたものであり、加えて近2走は前半のポジションがかつてよりかなり前、これが躍進のミソか。
周回の途中でわくわくルーム"を出て、おさるさんとローゼンホーマさん(運良く北海道から来福が叶ったようで、福山大賞典以来のご対面)に合流。そのローゼンさん「ダイニアキフジとホワイトキャンプは、以前観た時(正月開催でしたっけ?)に比べて、歩様が柔らかくなってる感じで、いいですね。ホワイトキャンプのボテッとした胴は、これはもうこういう体型の馬でしょう。それとこれは好みの問題ですけど、モナクカバキチの歩様はいいと思いますよ。あとは4番(フォートワース)あたり。」といった感想を述べられる。

本馬場入場から返し馬。一列になっての入場時、池田クンがフォートワースからポロッと落ちる。そして恥ずかしそうに再騎乗。ダイニアキフジは例によって頭をグッと沈めてダクに。そのまま三角の待機所に直行、ホームを流さない。イケノグレイスも待機所にそのまま入る。他の馬は、一様にじんわりと1周目をこなし、そしてホームストレッチへ。モナクカバキチは何ともフラフラした足どりのダクで四角までやって来て、軽めのキャンターに移行。キャンターの駆けりも頼りない。ホワイトキャンプはキビキビと強め。フォートワースも同様。マルサはスピードの乗ったキャンター。ユキノホマレは楽走気味。サンコーアイボは強め。最後にアヤヒカリ、これも楽に。

ユキノホマレ(29KB)
ユキノホマレ、返し馬
5連勝で単勝1番人気に祭り上げられる

予想。ダイニアキフジは2着は外すまいと思い、連軸に。馬複で(これが結果アチャチャになるのだが)モナクカバキチとユキノホマレへ厚く。加えてフォートワースとホワイトキャンプ。更にタテ目を適当に。予想紙上でシルシの重いのはアキフジとユキノホマレ。カバキチは意外にもソコソコの評価にとどまっている。状態面に全幅の信頼を置きかねるからか、それとも2走目のポカを危惧してか。注目どころに差し馬が多く、漸次渋化する馬場状態がどう展開を左右するか、非常に微妙。ローゼンさんは「うわ〜っ!迷うなあ。」と、締め切りギリギリまで検討されていた。

レースなり
さてレース。距離1800mのスタート地点は2コーナー。
ゲートが開く。マルサは好発、一旦はハナを獲らんとするが、外からマルサンウイザードのダッシュも良く、二の脚はこちらの方が勝った。両者ガンガン競り合い、個人的にはマルサがハナに拘るかと思いきや、3コーナー手前までには、先頭マルサンウイザード2番手マルサに、思いの外すんなり落ち着いた。2頭を追って、内からイケノグレイスも前を目指して、最初のバックでは3番手。隣のフォートワースも続く好位。そしてそしてダイニアキフジ、出は並だったが、三角までに外からジワッと位置を上げ、前の2頭の直後まで。これ以外の馬は中団以降。ユキノホマレは今日もやっぱりダッシュが悪かった。
3、4コーナー中間点で、ダイニアキフジが外からマルサを交わして、早くも2番手に上昇。このあたりのマルサと野田騎手、あまりに呆気ない。隊列は既に縦長に。
そして正面スタンド前。先頭は引き続きマルサンウイザード。後続に5馬身くらいは差をつけて単騎快走。2番手にダイニアキフジでこれも単走。鋤田騎手の手綱は張り気味で、馬はグッと頭を下げて我慢している、これまでよく見られた光景。さらに2、3馬身開いて3番手にマルサ、馬場二、三分どころと、比較的インのライン取り。さらに隊列が切れてイケノグレイスが続き、この後ろにアヤヒカリやフォートワース、ホワイトキャンプが中団を形成。モナクカバキチはこの集団の後詰めといったポジションを追走で、サンコーアイボとユキノホマレは後方待機。
1、2コーナーから向こう正面。相変わらずマルサンウイザードが単騎逃げる。が、バックも後半、3コーナーが近づくと、ダイニアキフジがジワッと間合いを詰めてくる。一旦は2馬身弱にまで接近。「さて、アキフジいつ捕まえる?」と、観ているこちらとしてはまだ冷静。
が、それもここまで。三角のコーナリングから三分三厘にかけて、マルサンウイザードが再び、しかも一気にアキフジを置き去る。5馬身は先んじたろうか。本来ならばここで嵩に掛かってねじ伏せたいのはダイニアキフジの方であるのだが、何だか非常にモタモタしている。
それにしても好位・中団勢の動きが全く悪い。マルサが依然3番手追走で、それ以降に脚勢の目立つ馬が、いない(というのはワシの個人的記憶と印象の範囲でのこと。雨模様で暗く、馬群の視認性が非常に悪い状況と、関心が追い上げ勢より先行二騎に行ってしまったことが相まって。)。
4コーナーから最後の直線。先に回ったのはマルサンウイザード。ダイニアキフジは外に振って、四角の出口では1馬身半まで再接近する。そして直線勝負!と思いきや、ダイニアキフジ、これが何とも・・・なかなか前を抜くことが出来ない。後ろの馬はもう間に合わない。
ということで、マルサンウイザード、あれよあれよという間に、ビックリ逃げ切り重賞V!2着ダイニアキフジを1/2馬身封じた。
こういう場合のゴール前、通常は「伏兵の大金星に騒然」となろうところ、今回だけはちょっと違って主役はヤネ。「うお〜!吉延悲願の重賞初勝利ぃ!」と、おさるさんやFUKUさんやワシ、揃って発せられたセリフがこれなのであった。
マルサンウイザード、ゴールへ(28KB)
マルサンウイザード、ゴールへ
伏兵、まんまと逃げ切る
コール前(35KB)
ゴール前、届かないダイニアキフジ
鞍上鋤田センセイ必死の形相も・・・

さて、3着以降は遅過ぎた争い。直線半ばまでマルサが内で粘走するも、ようやく差し馬勢が数頭やって来る。フォートワース、ユキノホマレ、モナクカバキチ(自信はないが多分内からこの順番)が差がなく横に並んでやっとこさっとこ。結局ユキノホマレが真ん中を半馬身抜け出して3着。アキフジとは4馬身差。4着で半馬身差でフォートワース。モナクカバキチはアタマ差、5着止まり。終始先団で終いは差し馬に屈した形のイケノグレイスが6着、カバキチとは半馬身差。マルサは結局7着、アタマ差。8着アヤヒカリ、9着ホワイトキャンプ、最下位はほとんど殿ママのサンコーアイボ。

マルサンウイザード&吉延クン(31KB)
口取り撮影に臨む勝者の人馬
吉延騎手、よかったね

反省、そしておしまい
マルサンウイザード、徹底先行で行き切ったのが大吉。「スタートはこれが一番良かったしね。」とは皆さん認めたところ。後はスイスイ。展開的にも多分に恵まれたところもあろうし(それは後述)、雨が降り出し馬場が渋って、前残りの舞台になったことも利いたろう。レース後に、下馬所で口取り撮影を待っている時点で、息が早々に戻っていたのには感心した。しかしワシは、この馬完全にノーマーク。ことここに至って、「あら、この馬前走フォートワースに勝ってるわ。」と気付いたくらいで・・・「まあ今日は勝っちゃったけど、次(全日本AGP)は○○○(伏せ字)な。」とは、シニカルにFUKUさん。
ダイニアキフジはまたしても2着。「ホンマに勝負所でズブいというかジリだよなあ。全然スパッと動けないもんなあ。」とワシ。返すおさるさん、「ああいう馬じゃん。2歳の頃は兄貴(アキフジクラウン)よりはキレてたけれど、だんだん気性が落ち着いてきたら、それと一緒にキレがなくなっちゃったよなあ。」と。ここで言うキレとは、終いの末脚の鋭さというものを指してではなく、仕掛け所での反応の良さや伸びのこと。あとは皆さんでひたすらこの馬の「煮え切らなさ加減」談義。まあ何とも脇の甘い馬だこと。
そして何と言っても、このレースの展開と結果を決定づけたのは彼の位置取りと走り。逃げ馬が格下の人気薄で、本命馬たる彼が単騎2番手。後ろの馬は動くに動けず、「何だかアキフジモタモタしとるな。」と気付いた頃には時既に遅し。というわけで、「マルサンウイザード、大笑いの巻」となったわけだろう。
勿論、ダイニアキフジ以外の馬たちの態度にも問題があったろう。このあたり、ローゼンさんがズバリ核心を突く述懐を寄せて下さったので、以下引用します。
今回の鞆の浦賞ですが、わたしの感想を述べますと、消極的にすぎたレース展開だったな、と思います。特にマルサとユキノホマレ。
マルサは野田騎手のコメントからするに、無茶してでも一縷の望みを、というほどの期待もしてなかったようですが、結果先行馬が2頭になってしまってそのまま「行った行った」ですから、戦犯の1頭でしょう。
また、ユキノホマレは明らかにゲートが悪いというかダッシュ鈍いというか。過去、下級条件を目の覚めるような末脚で勝ち上がってきた馬が初重賞で壁に当たるのは何度も見てきたこと。5連勝とはいえ、考えてみたらモナクカバキチだって休養挟んで4連勝だったんじゃないの。鞆の浦賞に限っていえば、過大評価だったかもしれませんね。
しかし、パドックの出来の差とはいえ、前走で負かされてる方のフォートワースを取ったのは反省ですねぇ。素直にマルサンウイザードを買ってりゃ・・・。
でも負け惜しみに過ぎませんから、前向きに前向きに。
「アキフジに届かないのは致し方ないにしても、他のライバルには負けたくない。」とばかりに、互いに牽制し合った部分もあろう。が、結果、2着すら叶わず。各馬の入線タイムとその差からもそれはありありと窺われる。3着ユキノホマレと最下位とのタイム差は僅か1秒、6馬身弱圏内でのこと。勝ち馬とユキノホマレとが0.9秒差である。つまりは、勝ち馬はまんまと行き切って、それを単騎追った本命馬が地力なりに2着、それ以外の面々、殊に差し馬勢は、終盤慌てふためき追い上げて、トホホな接戦混戦、ということ、だ。
その典型が、ローゼンさんの挙げたユキノホマレだろう。いくら何でも勝負に遅過ぎる。「午前中の差し届く馬場だったらどうだろうか?」は言うまい。最終的にこれが単勝1番人気だったそうで。「過大評価」との反省には全く同感。
フォートワースは好位からの競馬、カバキチに先着したのは評価できるが、終いユキノホマレに交わされるあたりは格負けか。実際のところ現状での実力はこんなところかも。
モナクカバキチも捲り不発で自分の展開に持ち込めず。前走復帰戦勝ちの反動なのか?それにしてもいいところがなさ過ぎた。
そして問題の1頭マルサ。ホンマに逃げ馬のくせに出方を日和るので困る。その日和見が自身にとってプラスに出ているとも思われないのが何ともトホホ。
ホワイトキャンプはレース中の印象が皆無。好位から伸びずだったようだ。伸び悩みか、こんなもんなのか、差し一発から好位抜け出しへの脚質転換に手こずっているのか。

勝ったマルサンウイザードはユキノホマレと同枠なので、枠複と枠単はそれぞれ大本線の配当、320円に640円だったのだが、馬複は3,360円と好配当。「枠で買ってりゃ代用で当たったのに・・・」馬複勝負でキッチリ外すトホホなワシ。単勝は3,820円(6番人気)もつけた。

今回の着差に表れたように、結局のところ、今回の出走メンバー、やっぱり実力に大差ないのかも知れぬ。勝負弱くジリジリな筆頭馬に、脚質に不確実性を残す差しの面々、不徹底先行のオ○マ馬やら、悩めるヤングチャンピオン馬。そして今回、逃げの伏兵の台頭で駄目押し。
とまあ、全国交流の大一番を前に、他地区勢迎撃の陣容を整え、その陣形が明確となるどころが、さらに混沌の度合いが増してしまった感がひしひし。佳境を前に、「福山3歳戦線、異常あり。」か?

2002.10.25   記
2002.10.28 追記

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