第45回園田金盃観戦報告

 2002.11.28、園田、2400m

園田競馬の大一番、園田金盃。'99年、兵庫にサラが導入されて以降、最も施行条件及び時期かコロコロ変わった競走でもある。かつては12月施行で1年納めの(当然アラブ)最強馬決定戦であったところ、'00年はサラ3歳重賞となり、昨年'01年は、時期を10月半ばに移し、アラ・サラ混合重賞となった。そして今年、昨年同様アラ・サラ混合重賞で、時期は11月下旬に移動した。
アラ・サラ混合重賞とはいえ、その実体は概ねサラ重賞。これにその気のある強豪アラブが出走しうるという程度。過去2回のアラ・サラ混合重賞である、昨年の園田金盃と今春の兵庫大賞典も、アラブの出走馬はそれぞれ3頭2頭にとどまっている。しかしながら、勝者はワシュウジョージにサンバコールと、いずれもアラブに凱歌。

さて今年の園田金盃、結局アラブ陣営からの参戦は、クールテツオー1頭のみ。その他のアラブ勢は尽く、前々日のアラブS1戦に回ってしまった。半年の休養明け緒戦となるワシュウジョージは致し方ないにせよ、好調ぶりが窺われるタカライデンまでもが金盃を目指さずにこちらに出走。結果は、絶好調スーパーチャレンジが逃げ切り1着。タカライデンは2番手ママでやっぱり勝てず2着。ワシュウジョージは後半追い上げるも3着まで。タカライデンって、どこで走ってもこういう勝ち切れぬ馬なのだから、金盃走るも平場のS1走るも大差ないと思うのだが。

その園田金盃の出走馬は以下の9頭。()内は騎手、性齢、斤量。馬齢重量戦。
オースミコンドル(三野、牡5、56k)、シュンエイゼネラル(岩田、牡5、56k)、クールテツオー(赤木、牡4、56k)、フジヤマデュラブ(小牧太、牡5、56k)、エイユータイヨウ(田中、牡3、55k)、マッキーマイケル(永島、牡3、55k)、マッキーエクセル(平松、牝4、54k)、ヒラカツアスカ(松平、牝4、54k)、コスモクロス(下原、牡5、56k)
前述の通り、アラブは太字で記したクールテツオー1頭のみ。主戦の岩田騎手が今日はシュンエイゼネラルに騎乗するので、テツオーの鞍上は赤木騎手。これが3回目のコンビ。

ということだったのだが・・・結果から書くと、クールテツオーは4着に敗退。ということで、正直、観戦記書くのに気乗りがしない。よって以下、ざっと流す程度で御容赦を。

距離は園田競馬最長の2400m、いまや楠賞とこのレースでしか施行しなくなった。4コーナーのスタートから丸2周とゴールまで。
ゲートが開く。テツオーも好発、一旦は先頭に立たんという程だったが、ゴール板50m前あたりで、外からエイユータイヨウとマッキーマイケルが並んでテツオーを抜いていき、内のシュンエイゼネラルも先んじて、結局テツオーは中団からの競馬となる。1周目前半はマッキーマイケルが後続を離して単騎逃げ、2番手エイユータイヨウも単走、縦長となったが、次第にペースは落ち着いて、中団以下は詰まった隊列となる。テツオーは5番手あたりでじっくり。
2度目の正面スタンド前。先頭マイケルで、2番手にゼネラルが堪え切れずか上昇。ここでやや開いて3番手エイユー。以下は一団。クールテツオーはこれに次ぐ4番手イン。外にはフジヤマデュラブ、太さんはテツオー完全マークか。テツオーの内にオースミコンドル、やや下がってヒラカツアスカ、マッキーエクセルが続き、殿は予想通り捲り追い込みに賭けるコスモクロス。
2度目の向こう流し、残り800m、ここからが勝負。ここでインを掬って平松エクセルが動き、ヒラカツも上がり、外のフジヤマも仕掛ける。ここで一瞬、テツオーが反応鈍く、コスモクロスと差がないケツ二に取り残されてしまう。それも束の間で、殿コスモクロスの仕掛けと共に再上昇するのだが。
バック半ば過ぎから三角手前、9頭が一塊りになって、テツオーはその外真ん中あたり。三角でまずは最内からエクセルがスルスルと先頭に、同時にフジヤマが中から前に。そしてここへ大外から、捲って来たのはコスモクロス。三分三厘この情勢のもと、テツオーも必死に追走し、3馬身圏内に頑張るが、その半ばでは遅れてしまった。前ではエクセルを交わしてフジヤマが、更にコスモがこれを捲り切って四角先頭。最後の直線内から差し返そうとするフジヤマとの叩き合いを、コスモクロスが凌いで優勝。
テツオーは四角では再度盛り返し浮上を狙うも、前2頭は遙か前、結局前2頭から遅れたマッキーエクセルも抜けず、辛うじて内のエイユータイヨウをハナ差しのいでの4着が精一杯。勝ち馬からクビ+7馬身+1馬身半差、タイム1秒4差と、残念ながらここは完敗。

テツオー2度目の直線(36KB)
テツオー2度目の直線
前から4、5番手、右の白メンコがフジヤマデュラブ

この日のテツオーは馬体重471k、前走比実に+22kという、一見とんでもない数字で登場。これが敗因とする意見も多かろう。が、パドック周回におけるその姿は、ワシ個人は無茶苦茶に緩くデブとは思わなかった。骨格はガッチリしていながら肉付きは古馬になっても今一つで、特にトモ回りにそれを感じさせてきた馬なので、この日のパンパンに実の入ったフォルムは、「やがてはこうなって欲しいなあ。」という、ワシが思うこの馬の理想型に近かった。ただ、その上げ幅があまりに甚だしいので、若干重めな感は否めなかったところ。一方山根さんは「そら仕上がってないことはないやろけど、絶好とも思われへんで。ワシはどっちかといえば、ヒ腹やトモがスカッとしてた方が好みやねん。白鷺賞ん時の方がまだエエ。キミはそれを『力感がない』と言うんやろけど。」と、あまり気に入ってはいなかったよう。二人曳きで時折スチャスチャと小走りになるのもこの馬なりで、はたまた時には一見大人しそうにジワッと振る舞うのも最近ではあること。

パドックでのテツオー(35KB)
パドックでのテツオー
これでどうだったのだろう?

結果は敗退。2周目バック前半で一瞬遅れたのは、やはり太め残りのせいやも知れぬ。勝負所の三分三厘から四角手前で伸び切れなかったのは「サラとの斬れの差」と評されてしまいそうだが、ワシはそうではなく、これは長距離適性の不安が出たものだと思う。園田二四戦は2周目三角過ぎで二千を越える。最後の直線ヨレる姿を見せたのも、距離保っていないが故だと思われた。

敗因をあれこれ考えても、負けは負け。非常に残念だ。が、間違ってもこの馬、弱い馬では決してない。たまには兵庫でも、サラがアラブに勝つことだってあろうよ。
今年のテツオーは、大事に使われながらもコンスタントに出走してくれて、結局兵庫の古馬重賞、皆勤はこの馬だけ。強豪の稼働率が上がらぬ中、よく古馬戦線を牽引して、立派に戦ったと思う。最も着順が落ちたのが、兵庫大賞典と今回の園田金盃の4着、サラ重賞2つと、これはちょっと残念なところなのだが。まあ、それは来季への宿題、いつかサラを屠るその日に向けて、蹄を研いでもらいましょう。

最後に独り言。「スーパーチャレンジ、金盃出りゃよかったのに。」←無茶

2002.12.7 記

兵庫発アラブ現場主義ホームに戻る