2002年度、高知・荒尾・福山交流特別競走観戦報告

 2003.2.8、福山、1600m 但し重賞ではなく特別競走

はじめに〜出走メンバーについて
福山競馬の2月開催(ちょうどこの時期です)、昨年までは益田・福山交流特別(通称益福交流)なる競走が存在した。益田と福山の明け3歳補助馬(昨年は馬主会補助馬と中央補助馬混合)の交流戦であった。これが、昨夏の益田競馬の廃止に伴い、既存の形態では存立し得なくなったところ、招待対象地区を高知と荒尾に改めて、新装開催成ったのが今回この競走である。前身が上記のような競走なので、このレースの性格も、それを踏襲したものとなっている。すなわち3歳補助馬交流、距離1600m。

出走馬は内枠より以下の9頭。()は騎手、性、斤量。
マリンズゴールド(黒川、牡、54k)、マルサンバイオ(古泉、牡、54k、荒尾)、ストロングオー(徳留、牡、54k、高知)、イテオンウイーク(石井、牡、54k)、ドウモナラン(片桐、牡、54k)、タダモンジャナイ(池田、牡、54k)、ホワイトセーラ(嬉、牡、54k)、キリシマボーイ(西村、牡、54k、荒尾)、モンゴリアン(岡田、牡、54k)
全て牡馬、斤量は馬齢定量54k。それにしても、珍なる名の馬が多いと思うのはワシだけか。

広域交流競走の観戦記においては、アウェーの馬について先に触れるのが常なのだが、ハナシの流れ上、今回は地元福山勢から。実は今回出走する地元6頭、補助馬勢のトップクラスでは、ない。馬主会補助馬については、先月の園田・福山交流特別競走に登場した面々の、その下の格付けの馬たちである。中央補助馬についても、今回動員された馬主会補助馬と同等な連中。これは、前身の益福交流においても同様だったので、それを引き継いだ結果かと。尤も、出走対象たる、その線引き(番組賞金や格付け)には、明確な規程があるわけでもなさそうなのだが。というわけで、そんな程度のクラスの6頭である。馬主会補助馬のトップで園田・福山交流特別競走を勝ったラピッドリーランや、中央補助馬の出世頭のユノエージェントなどは、当然のことながらここには出てこない。
荒尾からは2頭。荒尾の補助馬としては、元旦の重賞門松賞を勝ったメグミヒリュウが一番手たろうが、門松賞の成績が選出に考慮されなかったのか、また逆に、福山勢に合わせて、出走馬の持ち賞金に上限を定めているのか、これは登場しない(陣営には当初参戦の意志があったと聞き及んでいる)。
高知からの1頭は、昨年末の重賞銀の鞍賞を勝ったストロングオー。これが出走9頭中唯一の重賞ホースだが、その1着賞金45万円であるからして、仮に収得賞金の上限があったとしても、抵触しなかろう。当初は銀の鞍賞4着のスパンキーレオも登録していたのだが、これは事前に回避となった。でありながらこの馬、翌々日10日の地元3歳戦に出走しているので(12頭立ての結果10着)、ひょっとすると昨年瀬戸内賞時のテイケイミチカヒメの如く「登録したものの、実は非補助馬でそもそも出走資格がなかった。」なんてことはあるまいか(←イヂワルな疑念)。

当日の概況、そしてメインレースまで
というわけで、重賞レースではないのだが、3地区広域交流でもあり、「なかなかに面白そう」と思われるので、現地観戦に腰を上げた次第。当日早朝家事を片付けて、現地には1時半過ぎに着。
天気予報はくもりのち雨。住処を出る時はまだ曇りだったが、正午を過ぎて、道中ちょうど岡山あたりから雨が落ち始める。そして到着した福山は完全に雨。止む気配は全くない。雨の土曜日開催ということもあってか、お客さんが非常に少ない。
その雨で、良馬場発表で開始された馬場状態も、第7競走以降は稍重となる。時間が経つに連れ、馬場が雨を吸って湿り気を帯びてくるのがひと目で判る。

メインレース前の第8競走、C2の7組戦、距離1600m。ここに、昨年の上山2歳No.2だったホマレスターボーイが登場。彼の地の昨シーズン終了と同時に福山に移籍し、以後1組で2戦して1着4着、そして今開催古馬編入となりここに登場した。パドックで目にしたその姿は以前と変わらず雄大。「ちょっと冬毛出てましたけどね。」と3号馬さん。
レースでは、ピアドティジェイ(ピアドタイトルの娘)がポンと出てそのまま単騎逃げ、ホマレスターボーイはすんなり先団前列を取って追走。勝負所の2周目三分三厘、動くHSボーイ、4コーナーでピアドを外から交わす。ここにグリグリ本命のミスターポンタが前半後方から追い上げて、HSボーイの外に並びかける。暫し叩き合った結果、ミスターポンタが差し切って勝利。ホマレスターボーイは2着。古馬編入緒戦としてはまずまずだと思う。

パドックから発走まで
そしてメインレースのパドックタイム。雨は止まない。またもや"リーダー"前田っちに傘を差し掛けてもらって、写真を撮る。そして各馬の観察は、2階の指定席"わくわくルーム"から、硝子越しに見下ろすポジションにて。遠目でのことなので、毛艶に関しての言及は、今回は出来ません。
1番マリンズゴールド。あのイッテンヨカイチの半弟で、真っ黒芦毛のイムラッド産駒。馬体重461kに増してガッチリした立派な作りで、かなり重厚。時折小走りになって気合いが乗る。歩様はやや硬めだが力強い。4戦2勝2着1回。前走前開催の3歳6組戦で勝利。
2番荒尾からマルサンバイオ。青鹿毛の黒々した馬体。胴は長めでゆったり。割とスッキリ見せる。余裕なのか散漫なのか、首を大きく動かしてしきりに物見をする。9戦1勝2着2回。前走門松賞をブービー10着。
3番が高知のストロングオー。輸送のせいか、馬体重427kは前走比実に-13kなのだが、ガレた感じはしなかった。目方以上に雄大に見せる。ただ、馬体の締まりにはやや欠けるか。時にキビキビ、ちょっと気配は煩め。毛艶にあまり冴えのないのは銀の鞍賞時と同じ。踏み込み、歩様はこの馬が一番大きくてしなやか。8戦2勝3着2回。銀の鞍賞勝ちの後4着、これが前走。
4番イテオンウイーク。シュウホウウイークの半弟。謎の種牡馬リバーイテオンの産駒。概ねスッチャスッチャと小走りに周回。ちょっと胴のラインは下がり気味か。4戦2勝3着1回。前走前開催の3歳8組戦で勝利。
5番ドウモナラン。芦毛のニホンカイユーノス産駒。歩幅は大きいがその送りはギクシャク。ユーノス産駒らしさはあまり感じなかった。11戦2勝2着1回3着1回。前走前開催の3歳5組戦で勝利。
6番タダモンジャナイ。あのグレートマルゼンの半弟。雨に濡れそぼって青鹿毛の馬体が異様に黒い。おかげで馬体張りはあるよう見える。ガチガチに硬い歩様で、気配は煩め。12戦1勝3着1回。前走前走前開催の3歳5組戦9着。1勝は9走前。
7番ホワイトセーラ。明るい灰色芦毛でこれが膨張色だからか、479kの値なりに大きく見える。首の付く角度が高く、コロンとした胴回り。頭をチャッチャと上下させて、キビキビと周回。歩幅は浅い。3戦2勝1着1回。前走前開催の3歳7組戦で勝利。2着を2秒離しての逃げ切り勝ちだそうで、これが効いて、今回予想紙上では中心馬となっている。
8番荒尾のキリシマボーイ。全体的にやや緩めな馬体だが、体高があって馬体重444k以上に大きく見せる。力強さを感じさせる。2戦1勝2着1回。前走1着。
9番モンゴリアン。小走りにもなったが、首を下げてじわっと気合いが乗ってくる。馬体は緩めで、腹回りは重い。4戦1勝2着2回。前走前々開催の3歳6組戦2着。前開催は熱発で休み、そこからの立ち直りはどうか。
細かい動きの目に付く馬が多い。また、胴体がピシッと締まった馬は少ない感じ。また、改めて戦績を記すと、地元勢には、3歳上位クラスではないものの、それはキャリアが浅い故で、近走好成績な馬が多いことに気付く。

ストロングオー(36KB)
ストロングオー、本馬場に登場
徳サン頑張れ〜

本馬場入場から返し馬。タダモンジャナイが真っ先にギュンギュンと飛ばして通過。次いでタダモンジャナイが楽走からスタンド前で加速して。モンゴリアンが続いて、残る6頭は一団でまる1周ダク、そしてスタンド前をドバドバ駆けていく。

予想。各地区のトップとも言い難い遠征馬に、地元の「これからの」馬たちが対峙するレースとあって、正直難しい。加えて出走9頭のうち、マイル戦の経験があるのはタダモンジャナイ1頭だけ。マルサンバイオは千五戦、ストロングオーは千四戦、キリシマボーイは千三戦まで、他の地元5頭は1250m戦までの距離経験。
こんな状況なので、ホワイトセーラの前走圧勝が、押し出されたように脚光を浴びるわけだ。しかしながら「福山の予想紙って、下級条件でこういう勝ち方した経験浅い馬に重いシルシ打ちたがるんだけど、信用出来ないんだよな。勝ち時計速過ぎると、次に反動まともにくるし、それが祟って将来伸びないもん。」とは地元おさるさん。まりおさんとニーナさんは嬉騎手馬券を買うので、必然的にそのホワイトセーラから。まりおさん、西村騎手の横断幕携えてその応援にやって来ているにも拘わらず、西村騎手とは馬券の相性最悪だそうで。
ワシは高知のストロングオーを応援したいので、これを中心に。展開がもつれて差し馬に出番が回ってくるようだと有り難い。が、前の馬に押し切られる流れとなると苦しいか。「ストロングオーとしては、とにかく混戦待ちだよね。」と3号馬さんと。ここからホワイトセーラ、マリンズゴールド、そしてキリシマボーイとモンゴリアンの8枠へ、枠複で、タテ目も少々、結果4枠ボックス買いとなった。「朝青龍の横綱昇進もあって、時事ネタ的にはモンゴリアンでしょう。」と、おさるさんらとベタベタな会話をしつつ。

レースなり
さあレース。距離は先に記したように1600m。スタート地点は向こう正面半ば。小降りながら雨は止まぬままである。
ゲートが開く。快速との前評判通りスッとホワイトセーラがハナに立つ。大外から押してモンゴリアンがこれに続く。一方ストロングオーはアオってしまい、やむを得ず後方から。内のマリンズゴールドとマルサンバイオもいい出ではない。1周目の三分三厘では、内からマリンズゴールドがリカバーして3番手、イテオンウイークが押し上げてこれに続く。
正面スタンド前。先頭引き続きホワイトセーラ。2番手離されずモンゴリアン、その差1馬身強。さらに1馬身ちょっとあって、3番手インにマリンズゴールド、その外これも1馬身強でイテオンウイーク。ここまで先行勢。以下2馬身ちょっとあって、馬場五分どころでドウモナラン。その外にストロングオーがここまで上昇して。因みにストロングオー、4コーナーでヨレてドウモナランとバッチン。ドウモナランのインコースちょっと下がってマルサンバイオがいて、キリシマボーイはドウモナランとストロングオーを2馬身くらい前に見る8番手。単騎殿がタダモンジャナイ。隊形は割と等間隔の縦列。

1周目(28KB)
1周目、正面スタンド前
先頭ホワイトセーラ、2番手モンゴリアン

1、2コーナーあたりでは、荒尾の2頭は仲良く?後方7、8番手で併走気味。ちょっと前とは距離がある。
向こう正面、前の順位に変動なく進む。そして三角手前。モンゴリアンがホワイトセーラとの間合いを若干詰める。このあたり、マリンズゴールドが内を掬い気味に、そしてドウモナランとイテオンウイークは馬場中程を、それぞれ先行2頭にちょっと接近。ストロングオーはドウモとイテオンに付いていこうと懸命か。
3コーナーを回る。ここでホワイトセーラがモンゴリアンをスッと引き離す。このまま単騎独走に持ち込んで、これで勝負あり。モンゴリアンも前を追いつつ単走で、後続とはチ切れた。まさに行った行ったの体裁の競馬。というわけで、ホワイトセーラ、最後は3馬身差、リアルタイムの印象としてはそれ以上にセーフティーに、逃げ切って勝利。2着もそのままモンゴリアン。

ホワイトセーラ(32KB)
ホワイトセーラ、逃げ切ってゴールへ
雨馬場なのにちっとも泥を被っていない

さて後続の争い。中ドウモナラン内マリンズゴールド外イテオンウイークが3番手候補。三分三厘ドウモナランがやや先んじた感じだが、差なくレースは進み4コーナーから最後の直線。結局内からマリンズゴールドが抜けて3着。2着とは3馬身差。4着1馬身差でドウモナラン。ストロングオーが三分三厘遅れつつも、どうにかこうにか差し込んで、3馬身差の5着。イテオンウイークは半馬身6着に落ちた。荒尾勢はキリシマボーイ7着マルサンバイオ8着。最下位タダモンジャナイ、結局下位3頭は中盤以降後方ママとなってしまった。

振り返って、そしておしまい
ホワイトセーラ、何だかんだでここでは強かった。「予想に反して完勝されちゃったな。」とおさるさん。さて今後、ラピッドリーランをはじめとしたスピード自慢の上位勢と、いかに渡り合っていくのか注目ではある。ユノエージェントもユタカリュウオウも先行上等な強敵だ。カヅミネオン産駒なので、絶対スピード磨くにせよ、平均ペースで押し切れる馬を目指すにせよ、地力が伴えばその素地はあろう。ただ、「勝ちタイム1分51秒9かあ、今日の(稍重)馬場ならせめて1分50秒切ってほしかったよな。」とは"大御所"Oku師匠。他のレースのタイム見るにつけ、この日は概ねちょっと時計掛かっていたようだが。
モンゴリアンは熱発明けでこれならまずまずか。これもカヅミネオン産駒である。マリンズゴールドは行った行ったレースではここまでだろう。イムラッド産駒は3歳年明けから4月あたりまでが伸び頃なので、今の時季好走してほしいのだが。
ストロングオー、残念。しかしながらこんなところか。出負けは痛恨だったが、逃げ馬のレースになってしまい、どのみち展開も合わなかったが。JRA所有者賞も合わせて5着賞金115,000円、地元の3歳戦で連対するよりは稼げてやれやれだろう。
荒尾の2頭は見せ場に乏しかった。停滞気味の馬と2走しか実戦経験ない馬では、これも致し方ないか。福山のレベルと招待地区のレベル鑑みるにつけ、ちょっと出走馬選出に難があったかも。次回への課題が、図らずも浮かび上がった結果となったか。尤も。次回来年、このレースがあればの話だが。

馬券は一応的中したが、比較的本命サイドでの決着だったので、結局トリガミだった。
そしてレース後の表彰式。勝利騎手の嬉サン、最終レースに騎乗がない。これ幸いとばかりに、まりおさんとニーナさん、ここで「サインちょ!」攻撃敢行。握手までしてもらって、御満悦でありました。因みにワシは、ストロングオーに勝ってもらって、徳サンのサインが欲しかったんだけれども(←応援の動機はそれかよ!不純)・・・

最後に。「ホワイトセーラ」って、牝馬の名前だよなあ。

2003.2.13 記

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