タマツバキ記念 第10回山陽杯観戦報告観戦報告、別館
闘い終わって〜各馬にひとこと
まずもって勝者のワシュウジョージ。今回は楠賞にて完敗のホマスタの存在、そして「上半期はトップだったが何だかんだで最強はやっぱりエイランボーイ」の見立てもあって、実力に比して戦前評価が上がらなかった点は認めざるを得まい。しかし結果は、「やっぱり強かった」。差し馬ゆえに、単騎バカ逃げ馬を捉えそこなう危険性はついて回ろうが、常識的な競馬であれば展開不問、必ず差し込んでくる能力には脱帽。中団から鞍上に叱咤されるでもなく馬なりで上昇し、直線さらに豪脚を発揮できる芸当は他馬の真似できぬところ。これほどスムーズかつ強靱な差し競馬をできるアラブは他に見当たらないのではないか。今後は遠征競馬の克服、そして不可避となる重斤量への対応が課題となろうか。それをもクリアした時、"バケモノ"の称号が自ずとついてこよう。しかし今回は恐れ入りました。
2着のシャインマンリーについては、春先からアラブファンくんともどもその地力強化は大いに認めていたのだが、これほどにまでなるとは予想外。殊に今回は先行同型脚質の実力馬多数、劣勢は否めぬか、と見込んでいたのだが。いざレースの蓋を開けてみれば、常に先行前列でペースを主張し、道中折り合いもばっちり。直線追い出されると、粘るというよりはさらに伸びている。鞍上太郎ちゃんの完璧な騎乗も相まって、見事な2着。ここまで走ったら勝たせてあげたかったという情も湧くが、それは次回のお楽しみ。
ブラウンダンディは、鞍上平松っちゃんの決め打ち差し競馬に応えての3着。三分三厘寄せてくる時の迫力、確かな伸び、東海最強の実力は充分示せたのではないか。輸送の影響も皆無だったかと。これでもハナキーくんは、「まだまだこんなもんじゃないよ!」と見込んでいるようであるが・・・後方待機に拘らない好位からの競馬をしたとすればどうであったろうか?という"if"への興味はあるが。来春荒尾のセイユウ賞へ向けても、この馬は楽しみ。
ホマレスターライツの4着は、致し方ないところだと思うのだか。特に不利もなく実力一杯に走ったとは思われたのだが。今回は先行に拘った競馬だったが、よしんば差しに回ったとしても、ワシュウと同時発進では厳しかったのでは?馬体の仕上げ、気合い共問題なかったと思われるので、残念ながらこれが現状発揮できうる能力なのか?地元におけるアラブ系競争の適鞍のなさ、サラとの混走、恵まれぬ近況は言い訳にしたくはないが。とりあえず年末にあると予想される、イーシーキングとの対決は、楽しみに待ちたいと思う。
メグミダイオーは先行脚質であるにもかかわらず痛恨の出遅れ。結果として後半よく差を詰め追いすがってきて5着入線。厳しいせめぎ合いの先行馬群から離れての脚、結果オーライとの見方もありうるが、道中やや折り合いを欠く素振りも見せ、やはり自分本来の競馬は出来なかったとする方が妥当か。せっかくの全国交流の晴れ舞台、メグミらしい競馬で完全燃焼してほしかった。
イセイチフブキはサスガに最後は力尽きて6着と惜しくも掲示板は外したが、これは着順以上に大健闘だと思う。前半単騎逃げは望み通りも、2周目向こう流し、かなり早めにマンリー以下に仕掛けられ、後半はほとんどリードをなくしての競馬。4コーナーでは既にマンリーに馬体を合わされ、ここでギブアップかと思われたのだが、直線入口インベタのコーナリングを利して再度先頭へ、残り100mあたりまで持ちこたえたのだから。現に伸びを欠くエイランには抜かせなかったわけで。「でもな〜ムカシのイセイチだったらもっとやれたんじゃないかな〜!」という、ハナキーくんの声が聞こえてきそうだ。
大本命エイランボーイは結局7着惨敗。戦前見込まれた「レースに行っての唯一の死角といえば斬れ脚のなさ、下手に他馬の出方を見て道中抑えたり脚を惜しんだりするようだと競り負ける危惧あり」という、敗戦への最悪のシナリオを、まさにそのまま演じてしまったといった状況。本来ならば2着のシャインマンリーのした競馬をエイランがしなければならず、これまでは現にしてきたわけで・・・道中いつものエイランのレースをしていれば、ゴール前でのワシュウとの雌雄を決するその結果は神のみぞ知るところであろうとも、連は外しようがなかったのでは。そして今回気になったのはレース運びのみならずその仕上げ。馬体重マイナス10キロはメイチの仕上げとも思ったのだが、振り返るとやはり馬体がちっこく映ったな。必勝を期した仕上げであったとは思うがその実体調及び脚元はどうだったのだろう?赤木騎手の敗戦の弁が聞いてみたいところ。この敗戦もともかく、気になるのはこの馬の今後。元来無理使いの利かない馬だけに、ここでこれだけ仕上げてしまったその影響、どう出るのか?ともすればその進退に関わってくるとも。一敗地に塗れた今回だが、それでもなおワシ個人的には"現役最強"の称号は彼のものだと思っているだけに。
ケイエスヨシゼン8着。道中は彼なりに岩田の指示をきいて、折り合っていたように見え、勝負所の2周目向こう流しも進出の気配までは見せていたのだが、如何せん他馬のペースとスピードが緩むことのない、軽馬場、多頭数の競馬。小頭数で唯一頭をマーク、という競馬のようにはいかず、やむを得ずの結果か。三分三厘ではエイランめがけ先団の直後までには食らい付いてきてはいたのだが、そこから先は止まらぬ前、この時点で策尽きる、といったところ。奇跡は起きず。
9着シンセイマックス10着マキオリンボーにとっては、案の定敷居の高い競走となってしまったようだ。シンセイはその立ち回りの動向がちょっと気になったのだが、スタートでやや後手踏みで結局後ろから。マキオは今季は道中行き脚なく、残念ながら見せ場なし。
11着、最下位入着となってしまったワールドアイ。ブリンカー効果絶大とはいえ、外から被されかねない内枠発走は得手ではなかろうところを、最初の直線にやって来るまでに外に出られたのはレース巧者の一端か、いやこれは単に鞍上嬉のワザか。前半はエイランと併走の先団キープも2周目二角過ぎで早々にギブアップ。落鉄とのことだがそれと大敗との因果関係は不明。落鉄せずとも、このレース、特に後半の厳しい流れ、先行・自在馬とはいえスピードにおいて劣勢の彼が好走できたかは疑問。王者アキフジ不在次位パッピーが今一歩で柱を欠き、ヒラオープンクラスの面々が星を食い合う現福山古馬戦線、本来ならばオープン大将が適任のワールドあたりを代表にせざるを得ないという現状がツラい。トモシロヒット、出てくれればねえ・・・
惜敗シャインマンリー、ゴール10m前
ワシュウ1着でボツ、惜しいのでここに載せたれ!
2000.10.18 記
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