第13回アラブ大賞典観戦報告

 2000.12.30、高崎、2000m

2000年のアラブ重賞観戦は29日のイーシーvsホマスタの最終決戦でフィナーレ、かと思いきや、翌30日、駄目押しでもう1日。すなわち高崎競馬場、アラブ大賞典。
前夜泊まった津田沼の親類宅から高崎へ。上野駅10:30発の高崎線快速アーバン号にて。12時過ぎに高崎駅に着。高崎線の車窓の景色は変化に乏しく、また、いわゆる"カボチャ電車"の直角クロスシートであったこともあり、90分間の車中がとても長く感じられた。
駅から競馬場までは近いとは知っていたが、タイミングよく駅前ロータリーに送迎バスが待っていたのでこれに乗車。発車すると、ものの5分弱で競馬場前に到着。初めての、そして恐らく最後の高崎競馬場である。

場内でネット系の人に行き会う。まずは昨日も宇都宮で一緒だったディープさん、くもぎりまるさん。久々のメイ後さん、そして「高崎といえば」のチッキさん。その他東の人々が多数いらしたがワシには詳細不明。
さてその高崎競馬場、外ラチの柵は低く観戦しやすい。外ラチとスタンド席の間は狭く、このあたりは笠松にやや似た印象。コースは1周1200mで直線300mと、押し潰された楕円形の形態は姫路に近く、向こう正面の距離感もそれと似たもの。噂の直線300mは、遠近感が掴みにくいせいか、それほどの長さには見えない。が、競馬場内のエリアは直線ゴール前200mくらいまでしかなく、それより四角寄りは場外。さらに驚いたのは、競馬場のホームストレッチに面して、民家があること。「いくら競馬好きでもあそこには住みたくないですねえ」とディープさんと語らう。全体的にこじんまりした競馬場だが、スタンド出入り口が四つ折れ(W字形に開閉する)の自動ドアになったいたり、パドックのお立ち台が木材で丁寧に組んであったり、場内のコンパニオンのおねえちゃんが可愛かったり、と、所々に光るものがある。
当日の天候は薄曇りといったところ。馬場状態は良。

宇都宮と同様高崎でも、昨年来アラブ系縮小化が一気に進み、既に在籍するアラブの数は30頭はいるまいといった現状。今開催出走登録アラブは僅か17頭(うち12頭はアラブ大賞典出走馬)。そういった中、高崎最後のアラブ重賞として行われるのが、このアラブ大賞典。当初のスケジュールでは年明け2日に開催予定だったものが年末に繰り上がった。しかしここからが問題で、高崎競馬のHPの年間スケジュールには30日と載ったものの、『優駿』『週刊競馬ブック』『ハロン』といった雑誌の月間予定には31日と掲載され「一体どっちなの?」状態。このあたり「もう誰も気に留める人間はおるまい。」といった雰囲気がプンプンして非常に悲しくなる。実際、前日の宇都宮で「これ明日高崎行ってアラブ大賞典やってなかったらどないしよう?」などと、マジで心配していたのだが、開催されてやれやれ。

※アラブ大賞典についてはここからです
さて、お目当てのアラブ大賞典は第8レース、準メイン扱い。メインレースはサラ系重賞、三歳優駿。日頃はアラブのAB選抜戦でさえ午前中にやってしまう高崎だけに、準メインとはいえどもまだまし。ゼッケンは赤地に黄文字でレース名と馬名が入ったちゃんとした重賞ゼッケンで、その待遇は納得いくもの。そして出走馬は内枠より以下の通り、フルゲート12頭。()内は負担重量。
シゲタカキヨコ(54k)、カズタカショウグン(61.5k)、ペガサスパレード(54k)、グリーンセンプー(55k)、ヨシゼンファイナル(55k)、イチカツルビー(54k)、アラブフォンテン(55k)、ニシネイットー(55k)、ジャパシュキング(59.5k)、ユウシンロプロス(55k)、イチカツシーザー(53k)、ダイナマイトスター(54k)
ここはもうカズタカショウグンvsジャパシュキングの一騎打ちの様相。その実績、地力がハンデに一目瞭然に現れている。これは両頭、1勝する毎に0.5kずつ斤量を課せられ、辿り着いた結果。地力が抜けている故の重斤なので致し方ないところだが、距離二千の長丁場(日頃はほとんど千五戦)でこれがどう影響するかが問題。特にカズタカとジャパシュでも斤量差2kある。
ということで出走馬がパドックに登場。高崎のパドックはかなり小さく、馬が観客の間近を通る。福山よりも近い。悪くいえば窮屈な印象。
さてその出走馬、季節柄仕方がないからか、概ね毛艶が悪く、冬毛が出かかった馬もまま見受けられる。ここはやはり二強の見た目が断然。
カズタカショウグンは昨年5月の園田の楠賞以来。当時の馬の印象は残っていないが、ハナキーくんが「カズタカいいじゃない」と言ってみんなに否定されていた様が懐かしい。当時と同様鞍上横山騎手の服色に合わせた黄地に赤星のパドックメンコ。黒鹿毛でバンバンの馬体。鼻息が荒い。
一方のジャパシュキングは一時期兵庫所属で高崎出戻り、昨年の播磨賞@姫路以来だが、当時の彼は兵庫オープンのその他大勢、詳細な記憶はない。馬体重464k以上に雄大に見せる馬格で余裕の周回。改めて見るとやはりホーエイヒロボーイ産駒らしい。首でチャッチャとリズムを取って歩む。
その他では、11月のとちぎアラブ王冠@宇都宮の時も騙された、4歳ダイナマイトスターの気合い乗りはよい。ただ前回よりは毛艶は落ちている。7番アラブフォンテンの風格が妙に目立ったがこれは馬体重504kで出走馬中最大だからか。4歳有力馬で前走ダイナマイトスターに先着し1着となったニシネイットーの踏み込みはよい。そしてヨシゼンファイナルの出来がなかなか。
「このレース、二強と言っても昨日のホマスタ−イーシーよりは荒れる要素多いですよ。」とはディープさん。「ヨシゼンファイナル、母ヨシゼンって、これミスターヨシゼンの弟?」と訊くと、どうもそのようだ。予想紙『アカギ競馬』にも書いてある。「これヨシゼンファイナル狙いなんだよね、二千成績[0.4.0.0](左から1,2,3,着外)だしね。」と栃さん。ディープさんも狙いはそのようで。「今年の(高崎)観音賞の時もなあ、イーシー−カズタカで決まるかと思ったところ2着ヨシゼンファイナルだったもんな。」と栃さんが駄目を押す。

誘導馬を先頭に各馬本馬場に姿を現す。ゴール前50mあたりまで一列に歩いていって、そこから各々順次返し馬に。カズタカは早めに、ジャパシュは最後に駆け出す。因みにジャパシュキング、アナウンスでは「ジャパッシュキング」にされている。

カズタカショウグン(38KB)
カズタカショウグン、返し馬
一応"人馬一体メンコ"です。

で、予想、カズタカ−ジャパシュの本線は一応押さえつつ(1.6倍程度だったかと)、両頭に、ヨシゼンファイナルからと、とちぎアラブ王冠2着のイチカツシーザーから。以上馬連5点買い。イチカツシーザーは最近好走したのがとちぎアラブ王冠だけのようで。「これ距離二千になってまた差し込んでくるかもしれませんよ。」とディープさんの入れ知恵あり。それをワシが買ったと知ると、「ホントに買ったんですか?!」とディープさん、そりゃないぜ。

ということでレース発走。高崎二千は向こう正面二角寄り、ここから約1周半。
ゲートが開いて、ダッシュよく飛び出したのは2頭。これが二強のカズタカとジャパシュ。暫し併走するが最初の3コーナー手前あたりからカズタカがどんどん加速して単騎逃げに持ち込み、2番手もジャパシュの単走。やや開いて3番手にヨシゼンファイナル、これも単走。
そして迎えた正面スタンド前、先頭カズタカショウグン、かなり間隔が開いて2番手ジャパシュキング、さらにここから間隔が開いて3番手ヨシゼンファイナル。以下は全く眼中にない。
ホームストレッチを通過して1、2コーナーから向こう流しへ。このあたり、カズタカがさらにスピードを上げたのか、2番手ジャパシュとのリードを広げる。向こう流し前半では最大50mくらいは開いただろうか。「あれカズタカ速いよ」と、チッキさんあたりの見解が聞かれる中、レース後半へ。
どうなるカズタカ、と観客注視の中、3コーナーを前にして、一気のそのリードが小さくなり、短い3、4コーナー中間でジャパシュに並ばれる。そして最後の直線へ。

最後の直線半ば(33KB)
最後の直線半ば
抜け出すジャパシュ追う外ヨシゼンファイナル、降参内カズタカ

先頭に躍り出たのはジャパシュキング、これは足どり確かに一気にゴールへ。「カズタカ2着には残るだろ。」の希望的観測のお客さんの声の中、カズタカ、直線半ばあたりでそれも怪しくなる。代わって進出は「やっぱり!」のヨシゼンファイナル。カズタカを交わし前のジャパシュの外から追いすがるが、馬体が合うかどうかといったところまででゴール。
ということで1着ジャパシュキング2着ヨシゼンファイナル、その差3/4馬身。カズタカは結局これから2馬身1/2遅れた3着。4着これにハナ差まで迫ったニシネイットー、5着イチカツシーザー。

ジャパシュキング、ゴールへ(40KB)
ジャパシュキング、ゴールへ
高崎アラブの歴史に花束を

栃さんディープさんの御教授で馬券は的中。ただし馬連1100円のところ、枠連1250円で「しまったなあ」。
レースのポイントはやはりカズタカのバカ逃げの是非。重斤気にして、溜め逃げで早々に捕まって斬れ勝負で負けるよりは行ききった方がまし、と考えてのことだろうが、結局4コーナーで降参。その戦法のやむを得なさが何となく想起され、また馬券を勝てたのでワシは涼しい顔をしていられたが、かなりの方がカズタカ−ジャパシュの一点買いをしていたらしく「(カズタカの鞍上横山騎手に対し)あの下手くそ!」との罵声が多々聞かれたことは事実。確かに愚直にガンガン行きすぎたかも。もう少し幻惑ペースとか刻めないものか・・・しかし一大スペクタクルといった塩梅で、高崎最後のアラブレースを飾るには相応しい、派手なレースだったとは思うが、如何。

メインレースの9レースはサラ系重賞三歳優駿。これに高崎3歳No.1コイノボリが出走。ということで皆さん9レースのパドックに行ってしまい、アラブ大賞典の表彰式は閑散としたもの。「あれ優勝のレイ、第12回ってなってるじゃない(今回は13回)、これ前回のレイ(前回は2000年1月2日)流用したな。」と、栃さんから鋭く突っ込みが入る。
三歳優駿は本命件のコイノボリが余裕のV。口取り撮影に、若い馬主さん夫妻ともども参加するチッキさんであった。
この後は宇都宮のとちぎ大賞典の場外発売。アラブ大賞典がなければ宇都宮連闘で、現場で観ていたところである。ブライアンズロマン、オリエントハンター、キングフィーバーの三角買い。結果1着オリエントハンター2着ブライアンズロマンでこれは堅く的中。
最終レースも終わり、東の皆さんは宴会の模様。栃さんや関万さん(遅れて来場していた、実にご本人とは桜花賞以来)と別れの挨拶を交わし、ワシとディープさんは徒歩で高崎駅に。ディープさんは新幹線で東京へ。羽田から空路高知へ、そして大晦日、元旦と高知競馬の模様。この1年、ディープさんには全国各地でお世話になりました。

そしてワシは高崎駅から在来線で。明日は新潟競馬場の銀嶺賞!っていうのは大嘘で、これにて2000年の競馬観戦は終了、往路と同様快速電車で上野まで、そして東京駅から新幹線。通常であれば自由席でも案外余裕なのだが、この日は帰省ラッシュのピーク、結局名古屋まで立ちっぱなしなのだった。

ということで、2000年、アラブ系重賞観戦報告、これにて幕でございます。2001年は正月2日、アラブギフ大賞典から、来年もよろしくお付き合いの程を・・・

2001.1.1 記

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