第29回アラブギフ大賞典観戦報告
2001.1.2、笠松、1900m
まずは年頭のご挨拶
さあ、年も改まって2001年。今年もアラブ競馬をよろしくです。
さて私事、この先1年、どこまでアラブ系重賞巡りができるか、そして昨年のような形態の、この冗長な観戦報告が書けるかわかりませんが、まあ、行けるところまで、やれるところまでGoGo!ということで、深く考えず成り行きにその身を任せていこうかな、と。
今回の観戦記の序です
ということで1年最初の競馬観戦にしてアラブ系重賞観戦は、2日の笠松競馬、そのメインレースのアラブギフ大賞典。この日は高校時代の同級生と笠松競馬というのがここ4年年中行事と化しているので(因みに競馬観戦の後は同級生と新年会)、観戦予定デフォルトの重賞。
朝の9時頃友人がクルマで実家に迎えに来てくれ、これに同乗して競馬場へ。実家から走ること30分強で笠松競馬場に到着。第1レース発走は10時50分なのでそんなに早く競馬場に行かなくてもよいのだが、何となく気が急いてこの時刻。そして入場口で、正月2日のお約束の来場者プレゼント、初夢宝くじを貰って場内へ(2年前、この競馬場配布分から1等的中が出て話題になった代物です)。
天気はどんよりした曇り。陽が射してくれないのでかなり寒い。風がないだけましだが底冷えがする。馬場状態は稍重、凍結防止剤が撒かれている故の渋い馬場とは予想紙『競馬エース』紙面より。
場内で、元旦は高知で南国王冠第28回高知市長賞を観戦し、連闘で笠松入りされてツワモノの御歴々にお会いする。まずは栃さん、昨夜は夜行快速列車のムーンライト高知の車中、そして笠松へ来場とのこと。そしてディープさん、今日はクルマにて。午後になって電設の男@ともろうさん。因みに南国王冠を制したのは10歳馬(昨年までの数え年では11歳!)デルタフォース、十八番のG前大外強襲とのこと。デルタ、凄すぎる!
このお三方、ワシに会うなり「3日、福山だって?やるじゃない。」と声を掛ける。元旦に高知に行くリーダー前田っちに「ワシ新春賞やめて福山大賞典にする・・・」と、大晦日に言ったのが高知で伝わったのだ。が、ワシ、その後変節、やっぱり園田の新春賞に。「福山大賞典のメンバー、多分今年何回も見られそうやけど、新春賞のメンツはそうそう見ることできないやろから。」という、福山の方が身近だと言わんばかりの妙な理由で福山大賞典をパス。それを聞くなりお三方、一様に「なぁ〜んだ」と失望の色露わ。年明けからワシの評価、キュンと上がりカターンと下がった模様。所詮こんな程度でございやす・・・
この日の笠松競馬、馬券戦線、堅すぎる!朝から概ね本命サイドで、枠連などどれも300円台の配当。3点買いでコンスタントに当て続けてもトントン、1レースでも外そうものなら赤字転落という、非常にシビアな状況。
加えてこの日は"8枠飛びデー"。笠松の8枠は要注意、来る日はとことん8枠絡みだが、来ぬ日はさっぱり。因みに前日は11レース中5レースに8枠が絡んだまずまずの"8枠デー"だったのだが、今日はダメダメ。前半しつこく8枠買いを続けて無駄な出費を増やしたアホなワシ。
さらに笠松の馬券戦線を左右する男、そう、安勝の存在。この日はメインレースまでに3鞍騎乗。どれも予想紙のシルシの重い馬だが全て当然のように勝つ。ここで欲をかいて、安勝を連単のヒモにしようものなら・・・おマヌケ状態である。
昼過ぎから時折陽が射すようになる。そして、東海といえばこのお方、"好漢"おーたさんと、遥々大阪からアラブファンくんが登場。
※アラブギフ大賞典についてはここからです
さて、メインレースのアラブギフ大賞典。長期休養することなくコンスタントに活躍し賞金を獲得していかないと、クラスがなかなか上がらない笠松のアラブ事情もあり、ベテランの高齢馬の争いといった趣が強かったこのレース、昨年のイケノエメラルドの参戦、勝利には新風を感じたものだったが、今年はそれにも増してホットな面々によって争われることとなった。
これは、全国的なアラブ系縮小の波に反してイキがよくなっている東海、特に名古屋のアラブ競馬の現状と無関係ではあるまい。そしてその名古屋に君臨するのがブラウンダンディ、これが2日後の中京開催の名古屋杯に参戦とあって、それとの対戦を避けた有力馬がこのアラブギフに流れ、結果、アラブギフらしからぬ豪華メンバーの競演とあいなった次第。
その出走馬は内枠より以下の通り、フルゲート10頭。()内は負担重量、ハンデ戦。
ラッキーモラール(53k)、マルタカフレンズ(57k)、イワノヒットキング(50k)、クラボクモン(52.5k)、ホマレメガミ(49k)、イケノエメラルド(54.5k)、ブレーンワーク(55.5k)、マルカシード(54k)、ミカワチャンピオン(54k)、クールマックス(52.5k)。
上記の内、イケノエメラルドとブレーンワークは名古屋からの出張馬。
注目は名古屋No.2、ブラウンダンディの次位筆頭のブレーンワーク。喉から手が出るほど欲しいSPI(SP=スーパープレステージ、東海重賞のグレードのこと、SPIはその最上位、この上はダート統一グレード)のタイトルを目指して、ブラウンとの競合を避けこちらに参戦。そして活きイキのいい明け4歳、アラブダービー馬のラッキーモラールと、その世代の東海3歳(現行の数え方では2歳)チャンプ、中京スポーツ杯馬のクラボクモンの2頭の登場。過去4年でアラブギフに4歳馬(以前の5歳馬)の登場は、昨年のイケノエメラルドと'98年のマルタカフレンズの2頭のみ。このフレッシュさはこのレースにはなかったもの。
パドック、そして発走まで
ということで出走馬が馬場内のパドックに登場。
1番ラッキーモラール。前述の通りアラブダービー馬、明け4歳。キビキビとした周回で毛艶も良い。浅めのブリンカー着用。逃げプロパーでとにかく行きたいクチ。
2番マルタカフレンズ、実に4年連続のアラブギフ出走。獲得賞金額の関係で昨年初頭からサラ編入、編入先はC1クラスだがさしたる戦果は挙がっていない。昨年は休養が多くあまり走っていないが、明けて7歳、ちょっと峠は越した感。にもかかわらずここはハンデ57kの背負い頭、苦戦必至。出来自体はゆったりしていても歩様もよい。524kのグラマーな馬体で二人曳き。
3番イワノヒットキング。このところオープンで好走。ディープさん曰く、「笠松の秘密兵器」。ハンデも50kの恵量。馬体の艶は出走馬中随一。黒メンコ&黒シャドーロールでとても精悍に見える。
4番が4歳クラボクモン。かねてから一度見たかった馬、お初。「AGPで(メダリスト)ヒザワじゃなくってクラボクモン観たかったよな。」と、電設師がしきりに言う。おーたさんや3号馬さんから聞かされていた通り、400kソコソコの華奢な馬体に、真っ正面しか見えぬであろう、可哀想なくらい深いブリンカー着用。そのブリンカーのデカさが目立って、とても仮分数に見える外観。その奇っ怪なルックスに目を奪われがちだが、馬体はやはり細い。そして小刻みなトモの送り。これが追い込み一手、個人的注目度大。
5番牝馬ホマレメガミ。49kのハンデ最軽量。戦績的には見劣り。馬体は平凡か。時折跳ねる。
6番がイケノエメラルド、昨年の同レース、冬毛ボーボーながらも充実度で楽勝。その後グランドミックスを制し、佐賀セイユウ賞に挑んだが8着敗退。この佐賀遠征が堪えたか、5月の名古屋杯ではブラウンダンディの前に4着。その後道営に移籍し、4戦2着1回3着1回の戦績、その勝利には重賞黄菊賞を含み、先月再び名古屋に戻る・・・と、激動の1年を過ごした。前走名古屋復帰戦は5着。さて今日は?毛艶こそまあまあであるが、有り体に言えば、普通の馬。意外と大人しい周回。ちょっと狙い辛い。
7番が注目のブレーンワーク。前述の通り、ブラウンダンディに次ぐ、今や押しも押されぬ東海No.2。必勝態勢での参戦。当然ここは本命。相変わらず筋骨隆々の馬体、そしてバキバキの歩様。ただそれはいつものこと、期待していたよりは案外普通。「ブレーンワークあの程度?」と某くんに問うと、「それでもまあ見栄えは良いですから。」さして心配はなかろう。
8番は笠松オープンの常連マルカシード。近走2連勝で5連続連対中と堅実。その割には54kと背負い慣れたハンデ。良く言えばゆったりと、悪く言えばやる気のない周回。しかしこれは以前目にした時もそうであったので個性か。馬体重520kくらいの大型馬だがどうも風格というものに乏しい。そういう"なまくら"なキャラ。
9番真っ白芦毛のミカワチャンピオン。「あ、誘導馬がもう1頭!」というお約束の突っ込みが入る。とにかく透き通るくらいに白い、誘導馬よりも白くて綺麗。芦毛のくせに皮膚の薄さがわかる。これがまた500k超の大型馬なのでさらに見栄えがし、顔も整っている。パキパキとしたトモの送りでパドックの大外をやる気充分にグイグイ周回。前を歩くマルカシードがやる気なく周回が遅いのでそれを追い越しそうになる。戦法は追い込み一点張りとのことで、クラボクモンとの末脚合戦が楽しみの一つ。
10番クールマックス。馬体はスッキリ歩様はキビキビ。外観だけなら好印象だが戦績的には苦戦か。
騎手が騎乗し、各馬パドックを出て返し馬に。ここで返し馬を撮影するワシ。と、2頭撮ったところで、恐怖の電池切れ。NikonのF100って、作動に常時かなり電気使っているらしく、電池交換準備の警告サインが表示されるや否や、うんともすんともいわなくなるので非常に困る。まあレースの最中でなかっただけまし、ということで電池交換。しかし再度準備完了となった時には返し馬は既に終了・・・
さて予想。ブレーンワークの中心は動かし難いところ。問題は相手。ワシはクラボクモン、ミカワチャンピオン、イワノヒットキングの3頭に、プラス、クラボクモン−ミカワチャンピオンの追い込みコンビのタテ目。マルカシードは堅実だが重賞だと最後のひと脚が足りないタイプなので安心して蹴る。ディープさんは、ブレーンワークからイワノ、ミカワの2点、「これで充分です。」「クラボクモンは?」「2ヶ月休みが入ったのが気になるので買いません。」ときっぱり。おーたさんはブレーンワークは押さえつつもお楽しみはクラボクモンのようで。クラボクモン−ミカワチャンピオンの買い目は元来おーたさんのお楽しみ馬券。
レースなり
そしていよいよレース発走。と、発走を目前にして、突然上空が暗くなり、雨粒が落ち始める。それも小雨どころではなくかなりの降りで、冬の寒さに加え、雨の冷たさの中での観戦となる。ブルル・・・ワシのすぐ右手で観戦していたオッチャンが、さした傘を前に傾けていて、それが撮影の邪魔になっているところ、おーたさんが気を遣って、オッチャンに傘を退いてくれるようお願いして下さる。ホントに優しいおーたさん、このあたりが"東海の好漢"として、絶大なる信頼を寄せられているその要因の一端なのでしょう。ホント、感謝でした。
笠松千九は2コーナーを立ち上がったところ。ここから1周と半分少し。
ゲートオープン。マルタカフレンズ、マルカシードあたりの出がよい。最内ラッキーモラールも前へ。ミカワチャンピオン1頭がドカ遅れ。大きく離されポテポテ追走。
1周目の3、4コーナーを通過するあたりからラッキーモラールが単騎逃げに持ち込む。かなりのやる気でどんどん逃げる。そして隊列は正面スタンド前へ。
ホームストレッチ、先頭はそのラッキーモラール、直線走行中にややペースは落ち着く。2番手マルタカフレンズ3番手マルカシード、ここまでの3頭はいずれも単走。この後ろ、やや差があって好位から中団の馬群。そのフロントに川原イワノヒットキング、これを見て倉地ブレーンワーク、その内に坂井クラボクモン、意外や意外後方ではなく中団それもイン。イケノエメラルドはさらにこの後ろ、馬群の中では後方。馬群が切れてポツン殿は安勝ミカワチャンピオン。「クラボクモンどうしたの、中団じゃん。」と、おーたさんらと確認し合う。
1周目スタンド前通過の好位勢
隊列の先頭イワノヒットキング(赤帽)その直後外ブレーンワーク(橙帽)内クラボクモン(青帽)
隊列は1、2コーナーから向こう流しへ。2コーナー通過直後、ラッキーモラールが早々に売り切れ一気に後退、馬群から離されていく。その、モラールがポツン1頭になったのとほぼ同時、単騎殿だった安勝ミカワチャンピオンが一気に仕掛ける。向こう流し一杯を使って前の馬群に急迫。何といっても鞍上が安勝、前述の通り本日3騎乗全勝、ドッと場内が沸く。そして3コーナーあたりで馬群に取り付く、さあこれも蹴散らして!と、そうは問屋が卸さず、この時点で馬群の流れとミカワの脚色が同じになって見物はお終い。
さてモラール脱落の先団は、マルタカ、マルカがフロントで進行するが好位勢もビッタリ。三分三厘ではかなり一団となって最後の直線を向いてくる。
マルタカは早々に脱落し、インベタでヘコヘコ粘るマルカシード、外から満を持して交わしにかかるブレーンワーク、その外から追いすがるイワノヒットキング。残り約100mで先頭はブレーン、内マルカがかなり抵抗、そして大外からクラボクモンが追い込む。
残り20mあたりでマルカが降参、イワノがブレーンの外から差を詰める。が、ブレーンワーク、最後は着差クビながらもきっちり勝ち切る。鞍上倉地騎手、ゴール入線と同時にスタンドに向かって左手を挙げ、人差し指を突き立てアピール。
2着イワノヒットキング3着クラボクモン4着マルカシード。ここまでの着順、結果的に単勝の人気順。5着後半の馬群最後方から直線差し込んだらしい、ハンデ最軽量ホマレメガミ。向こう流し大立ち回りのミカワチャンピオンは6着。イケノエメラルドは「案の定(と言ったらイケノファンには悪いでしょうか)」見せ場無しの7着。
最後の直線残り僅か、抜け出すブレーンワーク
外から追うイワノヒットキング内で渋太いマルカシード
ブレーンワーク、ゴール
鞍上倉地、クビ差でも勝利の一本指
ブレーンワーク、ここではやはり強かった。「福山時代の印象全くないけどここまで出世して嬉しいね。」(ブレーンワーク、実は道営デビューで4歳時に福山移籍後B1まで出世したらしい。アキフジやダイキチと同世代。これは後日電設師の御教授)とは電設師やディープさん。戦前、「倉地騎手、またガッツポーズするでしょうか?」「着差開いて余裕だったらするでしょう。」と、おーたさんらと話していたが、クビ差で出た。倉地騎手、余程自信があったのだろう。
2着イワノヒットキングは期待に違わぬ結果。しかし単勝2番人気では"秘密兵器"でも何でもない。
3着クラボクモンは道中中団の位置取りという、進境を見せたレースとなったのでは。最後はしっかり追い込んできている。イワノより2.5k背負わされてもいるし、実力は確かだと示せたのでは。今後の活躍が大いに楽しみ。おそらく彼が今後の笠松アラブ界を背負って立っていくことになろう。交流競走登場に期待。
4着マルカシード、結果はこの着順だがよく粘ったよなあ。もうひと腰あったら馬券的に危なかったやないか。7歳だがまだまだ走れそうなので頑張ってもらおう。オープンの常連という役どころも重要よん。
ミカワチャンピオン、盛り上げてくれたがあれは勝ちにいく競馬ではないんでないの?おーたさんの「安勝、ええカッコし過ぎ。」というコメントが今日のミカワwith安勝のこれ以上ない総括だろう。しかしルックスといい脚質といい、スター性はあるよな、また見たいという気になるもん。
イケノエメラルドはなあ・・・今日はコメントするべきことが見いだされるレベルの走りではない。立て直しが叶うのであればその日を待ちたい。
このアラブギフ、SPIなので口取り撮影と表彰式はある。「おお!ちゃんとこっち向いてるじゃない。」と、栃さんが指摘したように、レイを掛けられ、写真に収まるブレーンワーク、実はちゃっかりカメラ目線。
表彰式の後、サイン責め、握手責めを受ける倉地騎手。例によって電設師は単勝馬券に、ワシはプリント写真にサインをして貰う。
ちょっと注目の最終レース
最終レースはハッピーサンライズ特別なる、アラブのオープン戦。上はアラブギフの出走メンバーに漏れた馬から下は中堅どころまで、登り馬下り馬、多士済々の一戦。
既に雨はあがって西陽が差している。一体何なの、メインレースの雨は・・・
ここの注目は、アラブギフに出走してもおかしくなかったビクターリベロ、元岩手オープン馬。安勝鞍上で必勝態勢。他には、一昨年のこのレースの勝者で、その後兵庫に移籍して再度笠松に出戻ったイッシンユメマルや、これもアラブギフ出走の選に漏れた、追い込み牝馬アスターダルシャンなど。
ワシはここはビクター−アスターの一点買い。これは趣味、アスターダルシャン、結構好きなので。しかしこの日のアスター、これほどシルシを貰うことは今後二度となかろうというくらい高評価。「本命までありますよ。とんでもないですよ。絶対買いませんけど。」と、ディープさんらと話す。と、電設師、何を思ったのか、馬券、アスター→ビクターの一点買い。「むっちゃチャレンジャー!」と盛り上がるが、師曰く、「だって20何倍もつくんだもん、思わず買っちゃったよ。」
そしてレース、距離は千八、本命ビクターは終始2番手から、問題のアスターは指定席の殿。最後直線でビクターは余裕の抜け出しで勝利。しかし2着が・・・アスターより人気薄、単勝8番人気の逃げた坂井ショウリイットーが粘って波乱。アスターは直線何となくの5着といつも通りの結果。
ということで、21世紀競馬はじめは無事終了。栃さん、電設師、ディープさんは明日は福山大賞典、ワシとアラブファンくんは園田の新春賞。おーたさんとは明後日の名古屋杯、中京でかな、といった塩梅で、新春アラブ競馬は続く模様。
2001.1.9 記
2001.1.11 修正
ホームに戻る