2000年度、福山、園田・益田・福山交流特別競走観戦報告
2001.1.14、福山、1600m
はじめに
園田・益田・福山交流特別競走――何とも長いレース名だが、その性格は名称の通り、園田(=兵庫)、益田、そして福山の明け3歳の補助馬(馬主会補助馬、JRA補助馬は除く)による交流重賞。そしてこれが、全国のアラブ系3歳重賞のうちでも第一弾である。
福山大賞典はパスしてしまったので、ワシの今年の福山詣ではこのレースから。例によってチボリ号にて。エチゼンさんも福山行きということで姫路で合流、チボリ号の車中同行。
当日の天気予報は曇り時々雪、この数日、日本列島は寒波の真っ直中。競馬の中止、そして鉄道ダイヤの乱れが危ぶまれた程だが、これについては無事でやれやれ。しかしながら福山に到着すると、予報通りやはり雪、それも時折激しい降りに。風も強く、とにかく寒い。
というわけで競馬場に着くと、何はともあれ指定席券を購入。到着時10時35分頃の時点で残席数僅かに5つ程。この天気、誰しも考えることは同じ、ギリギリセーフで押さえることができた。
競馬が始まって暫くして、ゴール板前のスタンド席に、電設の男@ともろうさんの姿が。雪の中一人腰掛けている。「指定席入ろうと思って早く来たつもりなのに売り切れてるんだもん・・・」お気の毒。身体を暖めるべく焼きそば補給中。この後に熱燗も入る。
やがて"大御所"Okuさんが現れる。これが本年初競馬とのこと。そしてディープさん。今日は出勤で不在と思われた、現地駐在おさるさんも来場。ということで、何だかんだで"西日本アラブ系デフォルト"の面々が、この雪模様の中、集結。
天気はそうこうしているうちに、雲が散り始め、青空も時折のぞくようになる。しかし北の彼方に雪雲が相変わらず居座っていて、雪は完全には退散しない。それでも馬場状態は良。
カメラを準備する、と、またもや凡ミス。レンズのフードを家に忘れてきている。何だかなあ・・・
見物、8R、C2−2組、1600m
ここに、ちょうど1年前の園・益・福交流を、益田代表として本命1番人気で臨み、雨馬場で惜しくも2着敗退したイッテンヨカイチが登場。昨年11月末の全日本アラブグランプリ以降福山に移籍し、今日が転入緒戦。そのヨカイチ、当日の馬体重426kは前走から+16k。その数字の通り、やはりちょっと馬体は緩い。パドックでの歩様は滑らかだが。『福山エース』のシルシは対抗から単穴評価(結局単勝2番人気)、しかし連単ではヨカイチアタマはあまり売れておらず、来ればおいしい。
また同レース、明け3歳、年末のヤングチャンピオン4着で正月の若駒賞の勝ち馬ムツミプラウデーも、持ち賞金の関係上、早々に古馬条件に編入されて登場。これはパドック周回中、ちょっと落ち着きなく厩務員さんに頭を預ける素振りなど見せ、まだ幼さを感じさせた。牝馬だからか、馬体重451k(前走比-8k)の割には線が細く見える。
加えて、すっかりC2上位の主と化してしまった観のある、ユートエクセランも出走。これは晩秋以降不振で上昇ムードが冷え切っている。トモも堅く、時節柄もあろうが毛艶も悪い。
おまけの注目点は、福山初の女性ジョッキーなのだが、長いことほとんど騎乗していない白津騎手が、このレース騎乗ということ。ディープさんですら「初めて見る」そうで、無論ワシも初目撃。
さてレース、エクセランはハナにも立てず既に終了。ヨカイチは差し馬なので中段から。そして2周目向こう流し、進出しようと鞍上片桐騎手の手綱が動くが行き脚が目に見えて悪い。ヨカイチの後方から白津騎手の馬が来るが、こちらの方が反応が良い。片桐騎手は福山でも屈指の腕っぶしの強い、追い込みも得意な騎手、一方の白津騎手は騎乗技術云々以前の能力、ということからも、この手応えの悪さはヨカイチ自身に帰因しようとは想像に難くない。
ヨカイチ、最後の直線何とか差し込んできて結果は4着だがこれは勝負の圏外。3歳馬ムツミプラウデーも後方から追い上げたようだが7着敗退。白津騎手は8着、ユートエクセランはブービー9着。勝ちタイム1分49秒8。
そしてメインレース
さて、メインレースの園田・益田・福山交流特別競走。出走馬は内枠より以下の通り。3番グレートカイドウが取消競走除外で9頭立て。
()内は鞍上と、他場所属馬については所属地。斤量は、牡馬は54k、牝馬のギャラクシア、ヒロノラプラティー、シェリーラインは53k。
ユノワンサイド(石井)、マルフジキング(岡田)、エイラントップ(寺地、兵庫)、フジナミスペシャル(渡辺)、ホワイトウェーブ(鋤田)、ギャラクシア(嬉)、ヒロノラプラティー(荒美、益田)、シェリーライン(宮本、益田)、ユタカダイフク(野田)
福山勢は、昨年末の重賞ヤングチャンピオンの勝ち馬ギャラクシアと、同2着で将来を嘱望されるユノワンサイド、同3着フジナミスペシャルが出走しているということもあり、レベルではリードしている模様。
益田勢の2頭、シェリーラインとヒロノラプラティーは、かの地の12月の3歳補助馬重賞、若鮎特別の1、2着馬だが、レベル的には例年に比しても小粒との世評。
兵庫からただ1頭参戦のエイラントップは未勝利馬。「アラブ系縮小で、3歳補助馬にこんなのしかいないのか?」と思ってしまうが、実績上位馬のパスで結局お鉢が回ってきた模様。なお、兵庫の今年の3歳補助馬には、昨年末の園田3歳優駿で超大物クールテツオーの2着になったソレユケイチマツを後日負かした、オカノヒリュウ産駒ボールドヒリュウを筆頭に、ソコソコ役者は存在するとのこと。でありながら未勝利馬しか腰を上げないあたりに、兵庫のやる気のなさもちょっと見え隠れし、あまり面白くはない。
パドックに各馬登場。
1番ユノアウトロー。ヤングチャンピオン2着の後は正月の若駒賞はパスしてこれ一本狙い。二人曳きでちょっと気合いが入っているのか時折カチャカチャ。
2番マルフジキング。重心低そうな体型。仕上がり具合も良さそう。福山勢の中では格下のようだが見た目だけなら好感。
4番エイラントップ。馬体重-8kの465kだが数字以上にぼってりした体型。覇気もあまりない。因みにこの馬、あのエイランボーイの母、エイランスイセイの弟。
5番フジナミスペシャル毛艶良し。時折ちょっとバタバタしている。
6番ホワイトウェーブはごく平凡な芦毛馬。
7番ギャラクシア。ヤングチャンピオン勝利の後の若駒賞は5着敗退。背の高い体型。毛艶はややイマイチ。
8番ヒロノラプラティー、毛艶は良い。前半身に比してトモが細そうな体型。
9番シェリーラインも毛艶は良い。腹回りがどっしりしている。
10番ユタカダイフクは周回のスピードが遅く、前との間隔が開いている。
好感は2番マルフジキングと益田の2頭。それをディープさんに言うと、曰く「でも今年の益田はレベル低いですからねえ。あってシェリーラインが直線突っ込んでくるかどうかくらいですよ。」。
 ユノワンサイド、パドック |
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 ギャラクシア、パドック |
そして本馬場に入場。各馬続々と返し馬。ユノワンサイドの走りは口向きが悪い。ホワイトウェーブは鋤田騎手の制御も無視して突っ走り、4コーナーを思いっ切り逸走。
レースまでの間、話題のメインは何故かエイラントップと寺地騎手。Okuさん、「何やあのタポタポした馬体は、やる気あるんか?」「寺地って知らんぞ。どんな騎手や?」「ここは兵庫の人間としては当然買うんやろ。」。『んなこと言われても・・・』状態のワシ。「寺地騎手はたぶんこれが重賞初騎乗。」「裏切り者と言われようが絶対(エイラントップの馬券)買いません。」。
レース発走。千六のスタート地点は向こう正面中程。
1枠から本命ユノワンサイドが押されて一気にハナに。連れてフジナミスペシャルも。結局この2頭がそのまま先行。「あれ!?ユノワンサイドって逃げ馬だったっけ?」とは電設師。「まあ他に行く馬もいないから自在に・・・って、おいおいホントにだれも鈴着けに行かないのかよぉ。」とおさるさん。2頭の後ろは一団でぞろぞろと続々と。
隊列は正面スタンド前に。先頭ユノワンサイド、この1馬身直後の外目にフジナミスペシャル。これを3馬身程前に見て内マルフジキング中ギャラクシア外ホワイトウェーブが併走。この後ろはやや切れて、エイランカイキョウとヒロノラプラティー、後方に追い込みのシェリーラインとユタカダイフク。
1周目スタンド前
先頭ユノワンサイド2番手フジナミスペシャル
レースは向こう流しへ。相変わらず先頭は前述2頭、後続勢からこれに取り付いてくる馬はいない。逆に前の2頭と後ろとの間隔は開いていく。三分三厘ではまさに併せ馬の形、そのまま最後の直線を向いてくる。後方はギャラクシアが3番手堅守の模様、シェリーラインが押し上げる体勢に入る。
最後の直線、内ワンサイド外フジナミで馬体びっちり。2頭ともちょっとフラフラとして真っ直ぐ駆けないので、途中馬体がバチバチ接触しつつの追い比べ。が、残り50m手前でフジナミがジリジリと抜け出す。最後はワンサイドに1馬身1/2差でVゴール。勝ちタイム1分49秒8。前述の8レースよりはコンマ2速い。直線競ったからか。3着は自分のポジションを守った体裁のギャラクシアだが、ワンサイドに遅れること8馬身。4着後方から突っ込んだ益田シェリーライン、5着中団ママといった感のホワイトウェーブ。
フジナミスペシャル、ゴール前
オヤジはヘイセイパウエル!
レース終わってOkuさん、開口一番、「しかし渡辺騎手、むっちゃ楽な展開のレースになったなあ、大名マークやんか。」。そして電設師曰く「それにしてもユノワンサイド、呆気なく負けちゃうな。」「いやあんなもんだって。」ビシリとおさるさん。さらに続けて「フジナミスペシャル、一世一代のスタート(の出の良さ)だったよなあ。」。皆さん一様に辛口。ワシは明け3歳馬の将来を見定め得るような目利きではないのでフムフム状態。Okuさんは2歳戦3歳戦がホントにお好きで、若いスター候補を求めて全国を巡っているので(これを称してまさに"青田買い"か)サスガに目が肥えておられる。ワシはどちらかというと古馬戦が好きで、格やキャラのある程度定まった面々のドタバタ争いに惹かれるタイプ。結局保守的なだけだが。
で、フジナミスペシャル、『福山エース』が記すに、晩成型で現時点では荒削り、本格化はまだまだ先とのことだが、何だかんだで重賞獲ってしまった。さてこの先、更なる素質開花、それに連れた進撃はあるのだろうか。名前はしかと記憶したぞ。
ユノワンサイドはどうか?好素質の評判の上に胡座をかいて何となく走っていると、勝ち星稼ぎそびれているうちに過去の馬になりかねないような・・・ホーエイヒロボーイ産駒だけに、躍進する時が来るかもしれぬが・・・
見物、最終10R、紅梅特別(B2)、1600m
ここに、昨年の園・益・福交流の勝者、人気薄雨中激走で前出のイッテンヨカイチを破った、ダイホーマが登場。この重賞勝利がとにかく大穴だったこともあり、停滞・凡走と、思い出したかのような穴好走の繰り返しの、一筋縄ではいかぬ1年を過ごしてここに至る。が、昨年末からどうも上昇ムード、前走もB3クラスを1番人気本命勝利でここも大本命、えらいキャラの変わりよう。ワシは個人的にこの馬好きなので注目度大。
そしてそして、一部でカルト的な人気を誇る、兵庫中堅上位のムラ馬、ホームランオーが福山移籍でこれが転入緒戦。兵庫時代は怪しいパープルラメのメンコがたまらなかったのだが、今日は普通の青メンコ。そのパドック周回、かつてアラブファンくんをして「あの馬、毛艶だけはエエっすよ〜」と言わしめた馬体、やはり良い。ただガチャガチャしたところが周回後半になっても収まらないのが気になる点。能検を1番時計で走ったこともあり、ここは単穴評価。しかし能検後ジンマシンを発症したらしい。いちいち笑わせる。
で、レース、ホームランオーは鞍上岡田騎手に促されて前へ、先行勢に混じり走るが、3コーナーあたりで後退、一巻の終わりで結果6着。で、本命のダイホーマ、今日は鞍上が片桐騎手、最近は吉延騎手と主戦を分け合う形。前走は吉延jk騎乗で2番手から四角先頭勝利だったようだが、今日は中段から。「ほほう?」と思っていると、向こう流し、おりゃ!とばかりに捲って上昇。「格が違う」と言わんばかりの走りで最後の直線程なく先頭で独走V。いかにも片桐騎手らしい勝ち方。「ダイホーマ、強いよぉ!」ちょっと嬉しくなってワシ、声を弾ませると、ディープさん、「まあ1年前もそうだったように、この時季は走るんですよ。」。Okuさんは、「タイムはどないや?1分49秒8か、普通やんか。まあ相手も相手やし、こんなもんやろ。」、皆さん冷静でちょっと盛り下がるワシ。確かにこの時計は8レースのC2と同じでメインよりも遅い。「マイラーズカップとかローゼンとかソコソコやれませんかねえ?」と、往生際悪く思うものの、「ゆうてもこれB2だからねえ、よっぽどこの後好走してローゼンに推薦でもされなければ無理無理。」とおさるさん。納得。
競馬終わって
ということで、本日の競馬、終了。おさるさんはマイカーで帰路に。駅前までのファンバスで、ある御仁の幻影を見て(爆!)ちょっとびっくり。駅前で先に帰るOkuさんとはお別れ。電設師、ディープさん、エチゼンさんと4人で茶をしばいてから電車に。ディープさんは新幹線、電設師、エチゼンさん、ワシの3人は快速サンライナー。岡山駅で電設師とはお別れ。師曰く「また酒飲みたくなってきたよ、寄ってこうかなあ・・・」。師匠、ホント酒、好きなのね。今度ゆっくりとお付き合いさせていただきます。
この先はエチゼンさんと鈍行で姫路を目指し、そこから先は新快速。車中、「今日出走した馬の中から後のスターが現れてくれるといいですねえ。」とエチゼンさんが仰ったが、まさにそれはその通り。年明け間もないこの時期の3歳戦、将来の大物探しは一つの醍醐味。これから春シーズンに向けて、
「さあ出てこい、スター候補!」
2001.1.23 記
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