福山グランプリ 第12回ローゼンホーマ記念観戦報告
2001.3.20、福山、1800m
◆はじめに〜今年のローゼン事情
福山今年度開催のフィナーレを飾る、グランプリ、ローゼンホーマ記念。過去一定期間の獲得賞金上位6頭に、主催者選考馬4頭を加えて行われる大一番。賞金上位馬として、ミスターカミサマ、パッピーケイオー、ワールドアイ、アローパッション、ホマレスターライツ、スマノボーイが名を連ね、選考馬として、セブンアトムにイチノキングオ、エイコウライン、マツノキングオーが選出された。
過去数年、福山筆頭は3月初旬の佐賀のアラブ大賞典に出張し、ローゼンはパスのケースが多かったのだが、今年は事情が違う。すなわち、佐賀に行ってほしかったミスターカミサマが出走できず、結局すんなりとローゼン出走へ。一方佐賀大賞典に選出されたアローパッションは見せ場なく7着に敗退、そして今回、涼しい顔で出走。今年度重賞を3つ獲った、昨年のこのレースの勝者、パッピーケイオーも勿論登場。ローゼンホーマ史上初の連覇へ虎視眈々。そして何より、ホマレスターライツが福山転入から1ヶ月と少し、2戦目にして早くも重賞の舞台に登場。ということで、役者は揃った。
他地区のアラブ系縮小に伴って、続々となされる福山への強豪転入、その象徴とも言うべき存在がホマスタ。明け4歳のカミサマともども、昨年までの古馬A級の既存勢にとっては、この2頭はまさに強大な新勢力。ということで、勢力図再編、新時代到来の感――
◆園田組、大挙福山へ
この日は姫路でもヒラ開催があったのだが、お隣の福山でこれだけの目玉重賞があるとあっては、見逃す手はないとばかりに、園田組の皆さんがこぞって福山行き。"ツアコン"リーダー前田っちの情宣活動も効いた模様。
ということで、チボリ号乗車をめざし、姫路駅まで。西明石駅から各停に乗車すると、同じ車両に環さんが。「この列車京都いつ出たの?」と問うと「5時45分。金ないから行きは在来線。」とのこと。姫路に到着、ここでリーダーとまりおちゃんに合流。ブリセイくんもホームに姿を見せ、大西さんも予定通り合流。ローゼン観戦を表明していたインターロッキーくんも結局同行。と、都合7人の集団。
祝日でかつ18切符の使用期間はチボリ号の乗客が多い。入線と同時に座席争奪戦となるが、そこは慣れたもの、行列の先頭にリーダーと並んで、ドアが開くと同時に電光石火の連係プレーで座席確保。一同ドカドカと車内へ。程なく列車は出発。これだけの数の友人との車中は楽しく、時間があっという間に過ぎる。そして岡山駅、ここで「あっ!」と驚く出来事が。目の前の列車のドアから、大荷物持参のバタ臭い顔の客が乗車。「ピーター・フランクル!」と隣のブリちゃんに囁くと、やっぱりそうで一同驚き。ピーターさん、一旦リーダーと大西さんの前、ロッキーちゃんの隣の空席に座る。暫し「ウヒョー」状態だったが、程なくピーターさんは席を立って、どっかに行ってしまった。印象的なのは荷物のアルミの大トランク。胴体に色シールで「ピーターフランクル」と貼ってある。結局ピーターさんは福山まで乗車で、福山駅に降り立っていた。
我々も福山にて下車。ファンバスに乗車し一路競馬場へ。メンバー中、ロッキーちゃんだけが今回福山初体験。ここで勝島競人さんとばったり。「サスガ北関東から来るんだ」と思っていたところ、転勤で現在は大阪在住とのこと。
◆メインレースまで
ということで競馬場に到着。まずは前日のレースのリプレイVTRに注目。目当ては最終レースのA3戦、マイクリスの実に3年振りの勝利。メンコも取った素顔で、柄にもない先行競馬、道中2、3番手から三角手前で先頭に、イムラッドシンゲキが差し込みワンダータイヨウも粘り、最後は馬体ビッチリ3頭の接戦、終いハナ差だけワンダータイヨウを凌いで1着。う〜ん、貴重な映像だ。
この後撮影許可証を貰いに警備本部へ。ここでの傑作はブリちゃん。今日がデジカメデビューで撮影許可証書くのも初体験。曰く「許可証の『目的』の欄、何て書いていいか分からなかったから『ワールドアイ』って書いた。」これは笑いのツボにはまった。しかしこの理由はいい!次回ワシも「目的=ホマスタ」って書こうか。
続いて腹ごしらえでまずは尾道ラーメン。一同ズルズルと。環さんは美食取材でおさるさん御推奨のちらし寿司。ブリちゃんはラーメンの直後に速攻で焼きソバにも手をつける。
ここ2年ローゼンデーはぐずついた天気だったのだが、この日は好天。薄曇りといった感じで写真撮影には願ったり。気温も温かく、絶好の競馬日和。福山としては珍しい週中の祝日開催だからか、グランプリだからか、お客さんの入りが相当良い。馬場状態は良。概して時計がかかっており、砂はやや深い模様。
そうこうしているうちに第1レース。ここにはモナクマリン(ということは同時にマツノホープの)の全弟、ビックワンサンセイが登場。能検は過去にも通したものの、パンとせず、結局これがデビュー戦。抑え気味に先行して最後は楽勝。サスガに血筋がしっかりしているだけのことはある。今後勝ち続けて、いつの時季に3歳戦線の一線級に上昇してこれるか、楽しみな1頭。レースは片桐鞍上の単穴馬が2着、一点買いで仕留めて幸先のいい馬券戦線。
この日はメインレース以外はこれといった注目のレースもなく、ひたすら馬券。概して好調で、サクサクと当てて収支プラス維持。因みに今日の馬券戦線、主役は嬉騎手だったかも。3レースから登場。シルシの厚い先行馬というのは嬉jkの勝ち頃、人気も背負ってのレースだが、こういった局面でこの日の嬉さん、悉く期待を裏切る。「嬉エーコラ!」と、嬉ファンのまりおちゃんからも罵声。ワシは嬉騎手のトぶバイオリズムの裏がかけて、被害はなし。しかしこの日は犠牲者多数。
この間、ふささん、ディープさん、そしてOku師匠、それに福山競馬万歳さん、FUKUさんと、お知り合いの方々と合流。グランプリへの注目の高さが窺われる。高速バスで福山入りのエチゼンさんも遅れて登場。途中でOkuさんがカメラを出すので何故かと思いきや、この日の4レースがC2の36組、つまりは福山の最下級条件だったりする。
暫くしてから焼きソバを買って、酎ハイを飲みながらまりおちゃんと食べる。このあたり、完全に電設師の影響。暖かい陽気の中、満腹になってアルコールも回ると、アタマの神経が弛緩して、思考能力がピロ〜ンと低下してくる。まりおちゃんも昼酒にちょっと酔った感じで暫く指定席で休養。写真撮影の都合上、薄曇りのままでいてくれればいいのに、やがて雲が晴れて西の空から日射しが。あ〜あ、今日も写真は逆光に泣かされそう・・・
福山といえば、の御両人、おさるさんと電設の男@ともろうさんだが、おさるさんは出勤のようでこの日は姿を見せず残念。一方の電設師、休暇の申請を出しづらそうな状況で、来福ピンチだったところ、「親戚殺して」土壇場で登場。そうこなくっちゃ(って、親戚殺すこと推奨するわけではないが)。
この日は高知で黒船賞が行われ、その広域場間場外発売を福山でも行う。この黒船賞の発売・発走にメインレースの時間帯を割くため、ローゼンと最終レースは通常より40分発走を繰り下げて行われる。黒船賞自体にはさほど関心はなかったのだが、福山のマークカードの「他場」欄を塗る機会もあまりなかろうということで、適当に馬券を買う。そして福山の場内に、黒船賞の模様と橋口さんの実況の声が流れる。結局馬券は外し、いよいよパドックに、ローゼンホーマ記念の出走馬が姿を現す。
※ローゼンホーマ記念についてはここからです
さて、その出走馬は内枠より以下の10頭。斤量は全馬56k。
スマノボーイ(黒川)、マツノキングオー(楢崎)、ホマレスターライツ(片桐)、セブンアトム(藤川)、ミスターカミサマ(渡辺)、ワールドアイ(嬉)、パッピーケイオー(野田)、イチノキングオ(岡田)、アローパッション(吉延)、エイコウライン(石井)
役者は揃ったが、実際は三強対決の様相。すなわちカミサマvsホマスタvsパッピー。この3頭と他の7頭との間には確実に地力差があると思われる。しかしながらこの3頭、それぞれが不安材料を抱えてはいる。ミスターカミサマは佐賀の大賞典出走に望みを託して前開催をパス。結局佐賀には行けずでレース間隔がかなり開いている。また、佐賀に向けてピークに仕上げたという情報もあり、仕切り直しの影響が懸念される。加えて距離千八は本領発揮にはやや短いやも。ホマスタは前走の福山緒戦が、極悪かつ超高速馬場という特殊条件、2着という着順自体はさほど気にはならぬが、福山コースへの相性というあたりがまだ未知数。そして何より慢性的なゲート不安。実際のところ、発走してみないと、どういう競馬をするか予測のつかぬ状況。パッピーについては、ここまでは恥ずかしくない重賞成績を残してはきたものの、ホマスタとカミサマという、全国レベルの強豪に渡り合うとなると、実力そのものが足らぬのでは?という疑念が起こる。というわけで、なかなか微妙な三強決戦ではある。
因みにカミサマとホマスタ双方をお手馬に持つ、渡辺騎手の騎乗馬が注目されたが、結局カミサマということに。ホマスタは片桐jkを鞍上に。ズブ馬癖馬を腕っぷしで持ってくる、追い込み得意の剛腕騎手が、ゲート難有りで神経質なホマスタをどう御すかが見もの。
◆パドックから発走まで
各馬の写真を撮り、気配を観察していたところ、ものの4、5周周回したくらいで「止ま〜れ〜」の声。腹立たしいほど短い周回時間だったので、まともに観察できたのは三強の3頭ぐらいで、他馬にはほとんど注目できず。通常なら8レースとメインレースとの間は35分あるのだが、この日は黒船賞発走とローゼンのそれとの間隔が30分。皺寄せがてきめんにここにきた。
1番スマノボーイ。元兵庫所属で、昨秋B1級格付けで福山転入、以降6戦4勝2着2回という抜群の戦績でA1目前にまで出世してきた。既にA2戦の勝利経験あり。栗毛の肌艶は良好。コンパクトな馬体。
2番マツノキングオーはヨシユキトップの回避で予備馬からの繰り上がり出走。1月下旬のA2重賞新春賞の勝ち馬。新春賞勝利後もA2に据え置き。ゆったりとした馬体で伸びやかな身のこなし。
そして3番がホマレスターライツ。転入緒戦の前走の仕上がりも相当良かったが、今回はそれ以上、まさに最高の仕上がり。黒鹿毛の肌艶、その張り、体のライン、全て文句なし。加えて、前走時はかなりイライラしたパドック周回だったが、今日はその様子もなく、比較的落ち着いている。二人曳きで鶴首気味なのは彼のよく見せる仕草。馬券購入時に「ホマスタはかなりいいですよ。去年の佐賀のセイユウ賞に次ぐ出来ですよ。」と言及したのはディープさん。しかし同時に「でもこの馬、見た目と走りの結果が必ずしも一致しない馬ではありますけど。」とも。これはワシも共通見解。
4番セブンアトム。重賞未勝利ながらも下級条件から着実に勝ち上がり、近2走はB1連覇。気がつけばカミサマ、モナクマリンに次いで明け4歳3番手。皮膚の薄い綺麗な栗毛であるべきところ、今日は意外にも冬毛。踏み込みもやや浅め。現状では千六がベストで千八には良積なし。
5番がミスターカミサマ。前走荒尾セイユウ賞時、-10kで468kにまで落ち込んだ馬体重は+2kの470k。前走時パッとしなかった毛艶と張りだが今回は良い。元々踏み込みがさほど深くはない馬のような気がするが、彼のパドック気配としては活気のある方か。これまで目撃した中でもかなり好感な部類。個人的にはカミサマに関しては、パドック気配と調子の関連性が全く掴めないので、パドックの印象を予想のファクターには敢えてしない。
6番ワールドアイはいつも通りのボリュームと気配。今日も一人曳き。彼自身好調でも、現状では勝負に通用するかどうかは難しいか。騎乗命令がかかった時点で、ややうるささを見せた。ブリちゃんは何はともあれといった感じでデジカメを向けていた。
7番がパッピーケイオー。久々に馬体重500kを割った前走からさらに馬体重を落とし、-7kの491k。胴や腰のフォルムがかなりスリムになった印象。艶と張りは維持しているので相当シャープに作ってきた感。因みに頭絡がメンコの下で、これは従来と異なり素顔でレースを走るということか。勝負がかり?今回もあまり走らぬ比較的大人しい周回。「止ま〜れ〜」でうるさくなったのはワールドアイと同様。「パッピー以前とメンコの色が違う。」と環さんが指摘したが、実はパッピーってメンコの柄、頻繁に替えている。「色々バージョンあるねんで。」と、FUKUさん共々フォロー。
8番イチノキングオ。A1に何となく定着した差し馬。やや馬体の艶が落ちているか。ゴトゴトした歩様に見える。
9番アローパッション。これは馬体重発表の時にまずびっくり。前走佐賀の大賞典から、20kも落とした445k。出走馬掲示盤の記述を一瞬疑ったほど。周回中ほとんど注視できなかったので、この馬体重減が馬体にどう現れているかは確認できず。「アローもメンコ替えてるやん。」と、リーダーから突っ込みが入った通り、これまでの緑メンコから青メンコに変更、前走敗戦のゲン直しか。
10番がエイコウライン。ホマスタを下すレコード駆けの前走が効いたか、選出馬として登場。今日は意外に活気のある周回。
スマノボーイ、返し馬
重賞初舞台、飛躍の目前で・・・
本馬場入場。ホマスタは目を爛々とさせ、涎の糸を引きつつ登場。抜き足差し足のダクに下ろす。カミサマも抑制気味にダクから入る。パッピーは早めにキャンターで流す。体型がいつもとちょっと違うこともあってか、とても鋭いキャンター。「う〜ん、パッピーいいねえ。」と万歳さん。ホマスタは手綱を抑えられ鶴首になってのキャンターで通過。カミサマはさほど強くないキャンター。ワールドアイの返し馬がド迫力なのは通常通り。セブンアトムやスマノボーイあたりは軽快に。
さて、馬券購入。三強のうちでもホマスタ−カミサマが断然。連複も連単もどちらかというとホマスタ中心のよう。当然この2頭での決着では大して配当はつかない。とは言えパッピーの存在もあり、オッズの低さほど信頼性のある買い目ではないし、パッピーが絡んだところで穴と言うほどでもない。ましてや他馬を狙うつもりもなく、あまり馬券的に旨味のあるレースではない模様。ということで、10倍台の配当が見込める、パッピーアタマでホマスタとカミサマへの馬単という、スケベ臭い馬券をメインに、この組み合わせの連複も併せて購入。
◆さあ、グランプリ
いよいよ発走。距離は千八。2コーナーからスタート。結局太陽は翳らず、逆光食らいながらの写真撮影に。「まあそれでも12月とかと比べたら全然ましやろ。」と、余裕、達観のOku師匠。ワシ、「発走時刻が広域場外の発売で40分繰り下がってるのが勿体ないよなあ、陽がその分落ちるもん。」師、「まあそれはそうやけどな。」。
ゲートオープン。戦前危惧された通り、ホマスタの出があまり良くない。出遅れとまではいかぬがやや後手踏み気味。最内からスマノボーイが鋭発でハナへ。セブンアトムも行きたいクチ、負けずに前へ。パッピーは鞍上に気合いを入れられつつ前付けを狙う。ワールドアイは外へ馬が出せたのはよしとするも、中団以降の位置取り。
ということで、最初の3コーナーを、先頭スマノとアトム、3番手パッピーで通過。ホマスタはここまでの向こう流しで、4番手にまで押し上げる。
1周目の直線、先頭内スマノボーイに外セブンアトム、これはほとんど併走。2頭を3馬身くらい前に見つつ、やや外目にパッピーケイオーが願ったりの3番手で追走。やはり素顔で走っている。ここから5馬身くらいは差が開いて、4番手にホマスタ、鞍上片桐、手綱をガッチリ抑えて、ホマスタは顎を引いて下を向きつつ、掛かるのをグッとこらえているような走り。ホマスタより後ろは中団。ホマスタの2馬身弱後方のインがマツノキングオーでその外にミスターカミサマ。今日は極端な後方待機ではない。カミサマの外にワールドアイ。この後ろはアローパッション、エイコウライン、イチノキングオといった、お約束の後方待機勢。
レースが動くのは2周目三角手前。先頭快走スマノボーイの一方で、セブンアトムはこのあたりでギブアップ。2番手パッピーめがけて、ホマスタが一気に寄せる。パッピーは鞍上野田に叱咤されるも三分三厘で早々にホマスタに交わされてしまう。これでホマスタ2番手浮上、抜群の手応えで先頭のスマノボーイを追撃に、そして四角進入。
この頃後方からは、アローパッションがお得意のロングスパート。スルスルと押し上がり、パッピーに届くあたりまで上昇。しかし他方で、中団の比較的前に位置したカミサマに目立った動きがない。
勝負は最後の直線へ。インで先頭を死守するスマノボーイにホマスタが並びかける。さあここから一気に先頭へ、と思ったところ、スマノボーイの脚がまだまだ相当シャープで、なかなか降参しない。むしろホマスタを差し返しているかのような走り。それが残り100m少しの地点、「おいおいこれ渋太いやんけ!」と思ったその刹那、スマノボーイの馬体がガクンと崩れ、もんどり打って馬場に倒れ込む。明らかに脚もとボッキリの故障事故。
スマノボーイの馬体は左側にねじれて倒れたため、これがスマノの外に併せたホマスタの真っ正面を塞ぐことに。ここでホマスタ、この不利をものともせず、転倒したスマノボーイを跨いで、というよりはズバリ飛び越えて、挫けることなく突き進む。
しかし間が悪かったのはミスターカミサマ。直線ようやく追い込みモードになったところ、進路の真ん前でスマノボーイが転倒。かなり危険な状況だったが、咄嗟に外に大きく膨れて(極端に示せば「Ω」の字のように)追突は回避。しかし勝負はここで万事休す。
スマノボーイの後方で、内を掬ったアローパッションとこれに併せたパッピーは、転倒馬の内に避けて不利は小さかった状況。この2頭が通過した後、鞍上から地面に叩きつけられた黒川騎手、本能的に内ラチ際へ転がり込むが、そこでピクリともしなくなる。スマノボーイは立ち上がるも既に3本脚で立っている状況。
残り50m、先頭ホマスタ
逆光で真っ黒・・・
レースはホマスタが先頭に。しかし内からアローとパッピーが鋭く迫る。ホマスタの脚勢が終いそれほど絶好には見えなかったので、正直ピンチかと思ったのが、結局最後は3/4馬身内二騎を振り切り、グランプリホース襲名のVゴール。
2着争いはパッピーがアローをクビ差押さえつける粘り勝ち。カミサマ体勢を立て直して追い込むも、アローから2馬身半遅れた4着。以下、マツノキングオー、イチノキングオ、逃げ脱落セブンアトム、追い込み不発エイコウライン、中団から全く動けず殿負けのワールドアイという着順。スマノボーイは言うまでもなく競走中止。
ゴール20m前、外からホマスタ、パッピー、アロー
パッピーは素顔!ピントどこに行ってんねん?
ホマスタは嬉しい福山初勝利が重賞勝ち、鞍上片桐騎手は1月21日の新春賞(マツノキングオーにて)に続く今年2つめ目の重賞獲りであるのだが、さすがにこの状況、ウィニングランは出来ず。直線取り残されたスマノボーイの姿が見るも痛々しい。
◆振り返るのも何なのだが・・・
ということで、何とも後味の悪いレースとなってしまった。故障したスマノボーイの走りが実に素晴らしく、2着は充分あって、ひょっとするとアタマまで、といった走りだっただけに・・・せめてもの救いは、土壇場勝負所での転倒でありながら、多重事故にならずに済んだということか。
この状況で総括も気が重いが、まずはホマスタ。ともあれ新天地での初白星、それも重賞勝ちは祝福しておきたい。振り返ると4歳時の怪物振りも、5歳の昨年は重賞未勝利。これが一昨年末のとちぎアラブ大賞典以来の重賞Vとなる。これでひとまずは福山でトップの一員としてやっていける目途は立ったろう。ただ、今日のレース、絶好の手応えで2周目三角から三分三厘を走りつつも、四角の周回で一旦脚を緩めて直線追い出して以降、思ったほどの爆発力が感じられないのが気に懸かるところ。やはりこの1周1000mの弁当箱コースはこの馬には合っていないのか?宇都宮のコーナーの緩い広々としたコースのようにはいかぬということか。しかし福山を新天地としたのも運命、やっていくしかない。「西日本の人間としては、ホマスタってホントに強いのかどうかわからん。」という電設師の感想は、楠賞をはじめとした4歳時の走りを実際目にしていない、師の現場主義的視点からすれば、至極真っ当なものではある。それにしても倒れたスマノボーイを飛び越して、怯まず走り続けた闘志はサスガ。
ホマスタ、戦い終わって
2着のパッピーは、三分三厘でホマスタに一気に交わされた場面では、ここまでかと思ったが、アローが割と早めに上昇して馬体を併せに来てくれたことが幸いしたな、というのが個人的見立て。併せ馬状態になると実に強い。パッピーは結果として今年度重賞6戦3勝2着2回4着1回で5連対。今年度の全戦績が13戦4勝2着3回3着3回で7連対なので、いかに重賞の舞台で勝負強いかがわかる。今回はパッピーもアローも、スマノボーイの故障の被害をさして被らぬ進路取りだったということで、ツキはあったとも。しかし何だかんだで重賞時になるとパッピーはツキをも呼び込む。
アローパッションは、馬体重-20kも何のそのの3着複勝圏入り。佐賀でのトホホ負けや兵庫時代のヒラオープン馬振り、それに比しての福山での後方からのロングスパートの確実性を見るにつけ、この馬、要は福山巧者ってことか。しかしながらパッピーにはこれで3連敗。そのいずれもが直線早目にパッピーに並びかけて併せ馬に持ち込んで競り負けるという形。パッピーがああいう根性型の粘着走法の馬なので、対パッピー戦においては、出し抜けや泥棒差しなど、手を工夫せねばならぬのでは?まあアロー自身が馬体を併せぬと燃えぬというのであれば致し方ないが。
カミサマはここぞ!という局面で手痛い不利。しかしながら今回は、極端な後方待機ではなかったものの、勝負掛かりが遅く、よしんば不利がなかったとしても前に届いたかどうかは怪しい競馬であった。結果、銀杯優勝でスターダムに躍り出て以降、初めて複勝圏を外すことになった。やはり距離が長くならないと鬼脚が最大限に活きないということか。千八までの、始終道中が忙しく、流れも落ち着かない状況ではイマイチなのか。後日おさるさんは「やっぱなあカミはレース間隔あまり空けない方がいいクチなんじゃないかなあ。」と指摘された。まあ今後巻き返しの機会はいくらでもあるので、悲観するには値しない。
セブンアトムはここではさすがにまだ役者が足らぬか。千八への順応はまだまだというところ。ワールドアイはレースについていけてない。現状A1の一線級に互するにはかなり厳しい。という間にもA2陥落が近いのでは?夏にもうひと浮上出来るかが、馬生最後のヤマ場か。エイコウラインはまあこんな感じか。レース中、「石井頼むぞ!」という声援が起こったが、ワシ思わず「んな二匹目のドジョウなんかおらへんて。」と突っ込んだ次第。
◆おわりに
最終レースが終わる。時刻はもう5時に近い。この日が今年度の開催最終日なので、これにて2000年度の福山競馬は終了という次第。
この後、駅前寄り道組、新幹線乗車組、サンライナー組等に散開。リーダー、まりおちゃん、ブリちゃん、ワシの4人は帰路も在来線。「貧乏人は在来一本!」などと口にしつつ。因みに「貧乏人は麦を食え!」は池田勇人、「パンがなければお菓子を食べればよいのです。」はマリー・アントワネットである。ベルバラ2001年版も始まっていることやし(謎)。各停で岡山まで出て、県境越えの各停に乗り換えて姫路まで。ここでリーダーとまりおちゃんは下車。姫路からは新快速で。無事帰宅。
4月になれば福山も来年度開催。発表された日程に目をやると・・・その第1回開催には早速古馬重賞桜花賞が、伝統の距離二二五戦。そして5月27日、まさに東京優駿と同日に、相方の園田に降りられて消滅した山陽杯のリニューアルレース、古馬全国交流、全日本タマツバキ記念アラブ大賞典(何ともベタなネーミングやな)が。大一番はもう間近、なのである。ということで、
「これを励みに向こう二月、生きていけるぅ・・・」
2001.3.29 記
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