開設記念 第17回南国桜花賞観戦報告
2000.4.1、高知、1900m
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はじめに〜南国へ
現在高知競馬にはアラブ系古馬重賞が、正月の南国王冠高知市長賞と4月の南国桜花賞の二つしか存在しない。南国王冠は元旦開催が通例で観に行くのが困難。とあればどうしても観たいのが南国桜花賞。昨年に続いて観戦となった次第。
昨年と同様往路は夜行快速ムーンライト高知。西明石から加古川まで最終列車で行って、ここから深夜の1時18分に乗車。この快速、通常ならば全車グリーン車なのだがこの日の便には普通車指定席も連結。これを利用すれば、青春18切符で乗車できお得なのだが、この指定席車が禁煙車ではなく喫煙車。イヤなのでグリーン車で。ここでコツが。ムーンライト高知の禁煙グリーン車のうちの1両は、カーペットカーなる、いわゆる雑魚寝席車。こいつは避けたい(去年これに当たって失敗した)ので、旅券購入時に「カーペットカーじゃない車両!」と注文して、座席車を確保するわけ。この座席車は3列シートの肉厚のソファー席で足置き付き。グリーン車としては納得。
乗車早々ワンカップを飲み干し眠ろうとするが、なかなか寝付けない。結局車中ほとんど休めぬまま高知に到着。高知平野に入ってからの車窓の景色、既に田植えが始まっている。さすが南国高知。
降り立った早朝の高知、寒い!日中暖かくなるという天気予報を聞き、夜中寒いのを我慢して薄着で来たところがこの寒さ。参った。そして移転したというファンバス乗り場を確認。駅の改札を出て右手に行った観光バス乗り場の端っこ。なるほど塀に申し訳程度に案内看板が掛けてある。しかしこの前にバスが横付けされたら看板は隠れてしまうのでアカンのではないか?
ここで江戸平多さんにばったり。夜行バスで東京からいらしたとのこと。曰く、「ドバイ行っちゃったからお金なくってさぁ・・・」ファンバスの始発が10時10分なのでそれまで街をぶらつくということで一旦江戸さんとは別れる。駅前から街へ、というところで、ロータリーに停まっている車から呼ぶ声が。これがOku師匠。フェリーで高知入り。ここで先週のフクパークトライアルでのクールテツオーの話などちょっとして「じゃあ後ほど」と別れる。
しばらく市内をぶらつき、ドトールコーヒーで暇を潰して、10時前に、路面電車に乗って駅に戻る。実はこの日、路面電車が新たに高知駅の正面に乗り入れる、その初日。これまでは駅前に並行に走る大通りの中程に、駅前停車場があったのだが、それが移転したということ。10時半からセレモニー開催の模様。
始発のファンバスには先ほどの江戸さんが。そして九州のさまにべっぴんさんが。車中では中津の話題など。
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高知競馬場!〜メインレースまで
ということで競馬場に到着。好天で素晴らしい陽気だが、日中になっても高知にしては寒い。昨年訪れたのは4月23日で、桜などとっくに終わっており「どこが桜花賞やねん!」と突っ込みが入ったが、今年は場内の桜は丁度見頃。
1レースがアラブ系D4クラス、つまり最下級条件戦。ここに、ワシュウジョージ、シャインマンリー、ワシュウテイオウの兄であるワシュウタカハルが登場。今年度開催の第1レースの1号馬である。結果は先団ママの3着。まあ歳も歳(10歳)であるし・・・
競馬場には、地元のもりも先生、先に駅前で遭ったOku師匠、伊丹から飛行機でひとっ飛びのディープさん、そして香川県競馬組合主催電設の男@ともろうさん、続々御歴々が来場。結局のところ、いつもの"西日本アラブ系デフォルト"メンバーであったりする。江戸さんが加わった以外は、昨年の南国桜花賞と同一の面々なのである。
「今日は前レースアラブ系ですね、ココロが癒される一日だ。素晴らしい。」と、来場早々口にするディープさん。1レースのワシュウタカハル以外にも、名の知れた馬が全国各地から転入してきており登場。例えば4レースには元道営OP馬モミジホウオンとか、7レースには笠松千四のレコードホルダーとしてその名を刻むホーエイアバレンボとか・・・
新年度開催の開幕日ということで、5レースの終了後に主催者からの挨拶と、全騎手の紹介が表彰台にて行われる。ということで騎手の皆さんが表彰台に登場し、2列に並んで紹介を受ける。なかなかに新年度気分が盛り上がるいいイベントだったと思う。
6レースのA3戦、ここにあのチーチーキングが登場。メインの南国桜花賞に出てきて欲しいところだが、これが的鞍。鞍上は荒尾セイユウ賞で倉兼騎手から手替わりになった北野騎手のまま。馬体はいつもながら細いものだが、まああんな感じかという許容範囲だとは思った。しかしレース、結局捲れず差せず届かずの3着。ちょっとリズムが崩れているか。
※南国桜花賞についてはここからです
さて、メインレースの南国桜花賞。出走メンバーは内枠より以下の通り、フルゲート12頭。
サウンドマスター(西川、55k)、チュウオーロッサ(徳留、55k)、スマノガッサン(川添、55k)、ナスノセンプー(西内、55k)、ホエールシャドウ(鷹野、55k)、サンエイヒリュウ(明神、55k)、ブルースマノ(今村、55k)、ウェストウイン(倉兼、55k)、デルタフォース(中西、56k)、イチノタイトル(赤岡、55k)、リッショウエリック(北野、55k)、パワーレイク(中越、56k)。
前述のチーチーと、先月佐賀に出張したアポロスイセイの4歳コンビがいないのは寂しいが、元旦の南国王冠の覇者で稀代の追い込み馬、ご存じ10歳デルタフォースに、昨年のこのレースを制したスター、パワーレイクは登場。その他の面々もオープンを賑わせている馬たち。
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パドック、そして返し馬〜発走まで
パドックに出走各馬が姿を現す。一昨晩来急に冷え込みが戻ったからか、どの馬も冬毛が出て毛艶が悪い。よってその点に関しては以下今回は言及しない。有力馬、注目馬については次の通り。
12番のパワーレイク。前走は5ヶ月の休養明けの叩き緒戦で5着。今日の馬体重は-24kで454kだが、これは休養入り前に戻した結果で心配ないとはもりも先生のご指摘。ここは是非とも勝って、この後に待ち受けている全国交流競走出走へアピールしたいところ。
9番がデルタフォース。「いつもやる気のない周回」とは、電設師が常々言うことだが、まあ歳が歳だけにこんなものだろうといったところ。モヒカン状のタテガミに水色のパドックメンコ。ちょっとトモの踏み込みがゴトゴトしているか?
3番スマノガッサン。オープンの有力馬の座を長くガッチリ。今日は重賞獲りのチャンス。顎でリズムを刻みながらキビキビとした周回。時折尻尾をブルンブルン振り回している。全体的には悪くはない。
1番サウンドマスター。元名古屋OP馬。ディープさん曰く、「名古屋のアラブのレベルがそんなに大したことなかった時代の一線級馬」。A級格付けで転入後、前走8戦目にして高知初勝利。上昇ムードで陣営も期待大のよう。踏み込みはしっかり、落ち着いている。鹿毛の毛艶も他馬に比べれば随分よい。
11番リッショウエリックも好調馬。元来の毛色が黒鹿毛で見栄えもするということもあるが、毛艶に関しては際立ってよく見える。胴長背垂れな体型で、そのヒ腹が若干上がり気味なのが格好悪いが、気合い乗りは上々。「パドック見たら思わずリッショウエリック買いたくなった。鞍上北野やし。」とはディープさん談。
2番がチュウオーロッサ。昨年のこのレース、故障発生で競走中止。以後戦線離脱して復帰後も良積なし。気の強そうな顔つきはロッサらしいところだが、馬体がどうも・・・殊に腹回りがボテボテ。「予想紙の調教欄にもタイム載っていないように、ロッサほとんど調教できてないみたい。だから馬体が全然絞れてない。」とはもりも先生の御教授。今回は見送りが妥当か。
その他に見た目的には5枠の2頭、サンエイヒリュウとホエールシャドウがまあ良好。
スターの近況1.チュウオーロッサ
腹回りボテボテ
スターの近況2.パワーレイク
良好だとは思ったのだが・・・
豪華なことに2頭の誘導馬に先導され、本馬場入場。そして返し馬へ。リッショウエリックが鞍上北野に手綱をガッチリ押さえられているためか、首がかなり高いフォームでキャンター。スマノガッサンのジンワリとした気合い乗りを感じさせる走りも好感。パワーレイクも割と軽快で問題なしと判断される。
スターの近況3.デルタフォース
それなりなのでは?
で、予想。実績と期待、それに当日気配からも、パワーレイクを中心に。相手筆頭はデルタフォース。「今回は二四(南国王冠の距離)じゃないしまあ連下程度に。」とはディープさんの判断だが、ここは個人的期待を込めて素直に。この枠単の裏表を本線。パワーレイクと同枠にリッショウエリックがいるので、これも同時にカバーということになる。本来ならばスマノガッサンを中心に据えるのが無難なところだろうが、内の3枠という点、それに鞍上が昨年度9勝しかしていない、加えて2着3着が多い騎手というのが大きな割引材料。よってパワーレイクとデルタから軽く流すにとどめる。サウンドマスターは、馬の調子と気配から判断すれば買うべきところだが、絶対不利の1枠発走。よって消し。
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南国古馬決戦
さて、何だかんだでレース発走。距離1900m。スタート地点は2コーナーを回ったところ。ここから1周半と少し。
ゲートが開く。積極的にハナを奪ったのはナスノセンプー。そしてサンエイヒリュウやホエールシャドウも前へ。パワーレイクも前々で。チュウオーロッサは中団以降に、そして例によってデルタフォースは後方待機。やがてナスノセンプーとホエールシャドウが隊列を引っ張る形で1周目の正面へ。
ホームストレッチ、先頭は内にナスノセンプー外にホエールシャドウが併走。これを2馬身くらい前に見つつ、やや外目に3番手のパワーレイクが単騎追走。ここからさらに3馬身ほど開いて好位集団。このアタマのインにサウンドマスター、その後ろに内スマノガッサン中サンエイヒリュウ外リッショウエリックが同列で。直後インにウェストウイン。やや遅れてインにチュウオーロッサ、そして後方がデルタフォース。
1コーナーを回ったところで、3番手のパワーレイクが控えたのか前の2頭との間隔を開ける。ここでサウンドマスターが直後から差を詰めつつ馬を内から外に持ち出し、パワーレイクを交わす。その余勢を駆って、サウンドマスターはジリジリと先団へ。
向こう流しも半ば過ぎ、ここで後方からデルタフォースが進出開始。ちょっと仕掛けが早いか。そして3コーナーから4コーナー。内で後退気味のナスノセンプーを尻目に、先頭のホエールシャドウの外へサウンドマスターが、そしていよいよスマノガッサンが押し上げてサウンドマスターの外へ。パワーレイクに伸びが見られない。
最後の直線。四角を外へ張り気味に加速したサウンドマスターが先頭、これに若干振られながらもその外にスマノガッサンがびっしり張り付いて食らいつく。さらに大外、捲り上がったデルタフォースが出現。前の2頭が射程圏内に入る。リッショウエリックが鞍上北野の一瞬の判断か、直線に入ってインへ。ドサクサ紛れといった感じで突っ込んでくる。
馬場の真ん中に先に抜け出した2頭、対して最内と大外に追い込む2頭という形になったが、大外デルタの伸び脚は今一つ。弾けるような加速感はなく、終いは前と脚いろが同じになって万事休す。結局勝負は前のサウンドvsガッサンの争い。接戦となったが最後までサウンドマスターの脚が確かで、競り勝ってVゴール。2着はガッサン。3着争い、勢いは内のリッショウエリックだったが、大外デルタが何とか死守。
パワーレイクは9着、ロッサは10着といずれも惨敗。両者ともレース後半は目にも入らなかった。
サウンドマスター、V!
外スマノガッサン内リッショウエリックを振り切って
ということで、パワーレイクも負け、デルタも不発で盛り下がる我々。このサウンド→ガッサンの組み合わせ、かなりの人気であったにもかかわらず、一同のなかで獲った人間がいないところが不思議といえば不思議。
勝ったサウンドマスターは名古屋時代も含めて、これが重賞初勝利とのこと。生え抜き主義者の電設師などは「萎え〜」状態であったが、まあ確かに年に二つしかない古馬重賞勝つような馬かよ?という感じもなくもない。しかしながら、撮った写真を見直すにつけ、この馬の走るフォーム、首がよく伸びていてなかなかいい。「向こう正面から先頭に寄せてきてそのままゴール前まで止まらなかったのはなかなか。」という地元の方の声もある。それにしても1番枠でよく勝ったよな。ひとえに1コーナーでスポンとインから外に出せたところが最大のポイントだったような。因みに鞍上西川騎手はこの日1、3、8レースに続く4勝目だったりする。
スマノガッサンはいい競馬をしたが惜しい負け。しかしレース的にはサウンドマスターの完勝か。
デルタフォースの今日の追い込みはイマイチ。明らかに動くのが早い。「キミの見せ場は勝てなくてもさ、他馬とどれだけ上がりのタイムが違うかってところなんだから、あんな仕掛けじゃ駄目でしょう。」という声が。観ていて「伸びないな〜」と判るようじゃ魅力半減である。とはいえ当年10歳、よくやっているのは認めるが。「ここ勝って、5月のタマツバキに出て欲しかったよな〜」というのは個人的未練。
リッショウエリックの最後の突っ込みはなかなかだったが、最後3着争いでデルタに敗れたあたり、やはりインコースが不利となったか。
パワーレイクは残念至極。3歳(旧4歳)秋以降、どうも交流競走を目前にしての運がない。タマツバキが遠ざかるぅ。
ロッサは仕方がないといった感じ。
最終レースの本馬場入場後に表彰式が行われたのだが、今回は口取り撮影が、ない。「おいおいこれって今回レイ作れなかったからやれないってことか?」「別にレイに拘らなくったってええやんか。」と、いい気分ではなかった次第。
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おわりに
最終レースも終わり、Oku師匠とは競馬場でお別れ。バスの時刻の関係でさまにべっぴんさんも早々に高知を後にされる。ワシは電車の時刻まで僅かながら時間があったので、もりも先生、電設師、江戸さんにディープさんと、居酒屋でちょっと一杯。鰹のたたきなど食し、高知を訪れた気分を味わう。しかしながら、地元のもりも先生が鰹のたたきが苦手という事実にはびっくり。
帰路は高知駅18時24分発の特急南風で岡山まで。確実に座れるよう指定席を取っていたのだが、この南風の列車、3両編成で、指定席は3両目の半分だけ。3両目のもう半分は別部屋になったグリーン席で、1、2両目はそれぞれ禁煙車喫煙車の自由席車。乗車前に駅弁を買い込み、発車早々に平らげると、居酒屋で呑んだ酒が効いてきて車中はほとんど熟睡して過ごす。
岡山には20時54分着。21時2分発のこだまに乗り換え、西明石に21時48分帰着。深夜からの丸々一日を費やした高知遠征、これにて終了。
鯨カツに焼きソバにアイスクリン(名物の原始的アイスクリーム、というよりはシャーベット)、酒も呑めて居心地上々。施設や場内の雰囲気も好き。なかなか行けない高知競馬場だが、またまた行きたい高知競馬場でもあるのだ!しかしまあ、最近は"現場主義"はさておき"昼酒主義"だな・・・
2001.4.10 記
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