第22回銀杯観戦報告、及び"夏への扉" of 福山

 2001.6.30、7.1、福山競馬場

はじめに
この週末の福山競馬、番組的には3歳重賞の銀杯が目玉となろうところだが、土曜日のA1、及び日曜日のA3戦も要注目だったりする。というのも、次開催からの夏競馬(福山では夏の3開催中は、距離千六まででしかレースを行わないのが特徴、この期間を特にこう呼びたい)を前に、それを彩るであろう馬たちが続々登場することになっており、さながら、灼熱のマイル戦線の予告編とでもいった趣。
というわけで、今回の観戦記は、上記三競走について、順次触れていくことにいたします。

6月30日、第11R、虹空特別、A1、1800m
この日はこの最終レースが観られればそれでいいや、ということで、午前中は家事に費やして、正午前から外出。西明石12:08→姫路12:27、乗り換えて12:34→相生12:54。ここで新幹線に乗り換えて、13:15→岡山13:36、と、この区間を時間節約。猛ダッシュで在来線のホームに走って13:38発のサンライナーに乗車。これが福山に14:22着。競馬場行きのファンバスは終わっているので、路線バスにて。
天気晴れ。暑い!馬場状態は良。

見知った人が誰もおらず、「あれあれ」と思っていると、パドックにWSさんの姿が。曰く、「今日は福山で、この後フェリーで四国に渡り、明日は高知。」とのこと。ホンマにこのお方も「どこんでもおるなあ。」。

その虹空特別、出走馬は以下の9頭。()内は騎手、斤量。
ホマレスターライツ(渡辺、57k)、マツノキングオー(楢崎、52k)、シュメイヒーロー(石井、51k)、マーキュリサンダー(藤川、53k)、セブンアトム(岡崎、53k)、アローパッション(岡田、53k)、ヨシユキトップ(吉延、52k)、トモシロヒット(黒川、52k)、ミナミトライバル(山田、51k)
各馬のパドック気配。まずはホマスタ、毛艶は相変わらず良好。身のこなしはゆったりと、しかし次第に気合いが入る。1枠発走を気にしてか、今日はメンコに浅いブリンカーが付いている。ただちょっと左トモの歩様が弱いか、気になる。
とうとうA1に上がってきたシュメイヒーロー。うっすらと発汗だがピカピカのいい馬体。筋肉がピンと張っていて無駄がない。
ヨシユキトップは相変わらず堂々と周回。今日はちょっとトモが堅く見えるが見栄えはする。
セブンアトムは柔らかい身のこなし。だんだん気合いが乗ってくる。思ったより毛艶は冴えないか。
アローパッションは近況もそうだが見た目も平凡。Dハミ使用はこれまでの記憶にない。マツノキングオーは雄大さではヨシユキと遜色なし。
そしてこのレース、個人的に最大の注目馬がトモシロヒット。爆速マイラーの上がり馬として、昨年は夏競馬で一気に出世して金杯までブッコ抜いた馬。しかし秋以降サッパリになって、今日が半年間の休養を明けた緒戦。肩の出が一目でわかるほど堅い、そしてその歩幅も浅い。ヒ腹もあがった感じ、というより馬体自体の実入りがまだまだというところ。馬体重493kは全盛時より10k強軽いが、その通り。
さらに、あのマーキュリサンダーが福山に転じてここが緒戦。元来が平均的な馬格の普通の鹿毛馬なので、調子が上がらず、加えて加齢による衰えは否めぬ現状にあっては、全く平凡にしか見えない。

予想。各馬の現状と距離千八での安定度から、軸はセブンアトムで。「多分連は外さんやろ。」との見立て。相手にホマスタ、上り馬のシュメイ、そして期待を込めてトモシロヒット。トモシロは正直この見た目はいただけず、予想紙上でも好感をもって書かれてはおらぬのだが、休養明けの能検のタイムが破格なので、勝負と思って買う。

さてレース、行きたいクチはトモシロとシュメイだが、内枠の利もあり、シュメイヒーローがハナへ一気。トモシロも押されて前を取りたがるがこれは2番手。セブンアトムはこれに続いて先団キープ。一方ホマスタ、1枠発走での不安的中の出遅れ。1馬身程度遅れをとる、が、ススッと前にリカバーしていく。
正面スタンド前、先頭はシュメイ、鞍上石井騎手の手綱には遊びがあって楽走の感じ。2馬身後ろにトモシロヒットが2番手追走。その2、3馬身後方が先団、内ホマスタ外セブントム。ホマスタの直後にヨシユキトップでミナミトライバル、アローパッションらはこの後ろから。
向こう正面、半ばを迎えずしてトモシロヒットは脚が上がって後退。シュメイは先頭快走。そして三分三厘、ホマスタ、アトム、ヨシユキらが発進。しかしアトムは苦戦気味、ちょっと遅れ始める。4コーナーではインシュメイ中ホマスタ外ヨシユキで回るが、スッと抜けたのはヨシユキトップ。そのままゴールへ。2着にホマスタ、3着シュメイ、4着アトム。トモシロは大差ブービーでマーキュリはさらに遅れたドンケツ。

ヨシユキトップはタマツバキ4着善戦以降、すっかり実力派になった感じ。ここも完勝。この勢いそのまま、マイル戦線に入れるかというところ。
ホマスタはまた出遅れ。しかしそれよりも、三分三厘で好位から自力で先に動いて他馬に負けるという、何だかお馴染みとなりつつある負けパターン。確かにヨシユキとと斤量差5kあるとはいえ、ちょっと上がり目が・・・それより何より、今後休養させず、夏競馬にホンマ挑ませるのか?
シュメイはA1初挑戦で上々の3着。これまでの主戦渡辺騎手から手替わった石井騎手でこれだけ動けたら文句はない。距離的にも、千八からマイルに短くなることは、前記2頭より歓迎だろう。逃げのライバルも多いが、まずは楽しみ。
セブンアトムはちょっと期待外れの4着。しかしこの馬、昨春の条件馬時代からずっとコンスタントに出走して、それこそ1年叩き上げてA1に上がってきて堂々張っているわけで、ぼちぼち疲れが出始めたのではないか?という邪推も。希望としては距離適性的にも、夏競馬の主軸を張ってほしいところだが、さてどうか?
トモシロヒットはまだまだ全然といった感のブービー。今後いくら千八からマイルにレース距離が短縮されるにしても、全然脚も息も保っていない。"爆速夏男"の復活は難しそうか。翌日万歳さんも「トモシロはねえ、復活とか言うよりも、能力的にちょっと峠越えちゃったという感じがさあ・・・」と言及されていたが。
今もマーキュリサンダーに福山A1は荷が重すぎる。兵庫→岩手→佐賀→兵庫→福山・・・ああ、"流浪のお坊ちゃま"。

と、この日はこれだけ観て、各駅停車を乗り継いでとって返す。「ワシ、一体何してんねん?」と自問。

7月1日
翌日曜日は朝から福山へ。7:20西明石→姫路、乗換7:59発→笠岡で快速サンライナーに乗換→福山到着10:20といういつものパターンで。
この日も晴天。朝から暑い。馬場状態は今日も良。
関西からエチゼンさんがいらしている。ちょっとびっくり。曰く「久しぶりにアラブのレースが観たくなった。」。そして広島のTYO.STDさんも。午後になってFUKUさんが、メインレース前に福山競馬万歳さんが。

第10R、銀杯、3歳重賞、1800m
さて、メインレースの銀杯。出走馬は以下の10頭。()内は騎手、斤量。
ウイナー(吉延、53k)、シュウホウウイーク(藤本、53k)、ユウジョー(鋤田、54k)、フジナミスペシャル(嬉、56k)、ワタリエリート(久保河内、53k)、ギャラクシア(野田、54k)、ジーマ(石井、54k)、ゴージャパン(岡田、54k)、ヤマノフィニッシュ(黒川、54k)、サンアイスペシャル(楢崎、55k)
であったところ、当日3レースで藤本サブちゃんが落馬負傷、これによりシュウホウウイークの鞍上が岡崎騎手に変更。因みにこの日は、渡辺騎手は金沢のオールジャパンリーディングジョッキーに出張、片桐騎手は負傷かこのところ欠場、と、有力騎手が二人不在。それにもってきてのサブちゃん落馬であり、結局残った有力騎手は岡崎さんだけ、逆によく岡崎さんがメインに残ってたな、という・・・しかしながらこのサブちゃん乗り替わりは痛い。FUKUさん来場時にそれを告げると、やはり「何だよそれが楽しみだったのに。妙味半減だな。」その理由は後述。
牝馬はウイナー、シュウホウウイーク、ワタリエリート、ギャラクシア、ゴージャパンの5頭。
福山ダービー馬には出走権がないという規約から、ユノワンサイドは姿を見せぬものの、メンバー的には面白いものとなった。また、2歳戦ジュニアカップとヤングチャンピオン、明け3歳キングカップとクイーンカップ、そして福山ダービーと続いた、「出走は福山デビュー馬に限る」という規制、いわゆる鎖国政策がようやく解除。これにより、上山デビューのゴージャパンとワタリエリート、道営デビューのユウジョーの出走が叶った。

さて、パドック気配について。注目馬から。
4番フジナミスペシャル。年明け以降三場交流とキングカップを完勝で、ダービー馬への最短距離にいたところ、ダービーは3着でその次走のB級戦も敗退。早熟、勢い落ちの声に反発し、秋以降の同世代戦線に繋げるためにもここは格好をつけたいところ。やや発汗気味でトモの送りは堅いが馬体は締まっており、総じてまあまあか。馬格に比して体が意外に薄いので、べらぼうに好馬体には見せないタイプ。
10番サンアイスペシャル。福山ダービーと瀬戸内賞を本命の1番人気で臨みつつも、いずれも2着。福山所属の同世代の中では屈指のスピードを誇るのだが、どうも勝負弱い。しかしここも引き続き重賞奪取のチャンス。鞍上は主戦吉延騎手から楢崎騎手に手替わり。相変わらず皮膚を薄く見せる栗毛の馬体。気合い乗りは上々。ちょっとトモの送りが堅いか。垢抜けた外見ではある。
8番ゴージャパン。上山所属の3歳(旧表記)初秋時、重賞若草賞を勝った、当時世代トップ。これが年明けに福山に。移籍したはいいが前述の鎖国政策に遭い、重賞出走は叶わぬまま、C級上位で奮闘。そして迎えたこの舞台。二人挽きで終始鶴首の気合い乗り。チャカチャカするのはこの馬の気性からしてこんなものかという程度。青毛ということもあるがこれがうっすらと発汗して馬体はビカビカ。とにかく気ムラで走ってみないとわからない馬のようで、何とも言えない。
6番ギャラクシア。ヤングチャンピオンとクイーンカップ、これまで二重賞を制すも、ダービー以降印象は大幅後退。元来が地味な鹿毛馬で、スラリでもブリブリでもないフツーの馬体なので、抜群の出来でもなければどうしても平凡に映る。それにもともと毛艶も冴えない。ちょっと狙いにくい?しかし早熟素質馬でありながら地味っていうのも何だかな・・・
と、この4頭がまあ既存の実績馬。そして注目の上り馬となると以下の牝馬2頭。
まずは2番シュウホウウイーク。福山ダービーは4着だが、それ以降2戦をC2級中堅で戦い連勝。差し脚に相当の見どころがあるらしい。ということで、前述のサブちゃん落馬で乗り替わりが残念という理由について。銀杯、差しの上り馬、そしてサブちゃんテン乗りとくれば・・・思い浮かぶのはあの馬じゃあありませんか!昨年のカミよカミ。その見た目、馬体重494kで相当の目方なのだが、馬体はそれほどにも見えない。それに思ったよりトモの力感が弱い。意外に大人しい周回。ちょっと期待外れかなあ、というのが感想。因みにメンコは豹柄。昨秋に北関東では目にしたが、福山では初めて。「お前はミミ萩原か!」と突っ込みたいところだが、ネタが古すぎるので止めておく。
そのもう1頭が1番ユウジョー。これも近2走連勝だが、シュウホウウイークとはクラスが異なり3歳限定戦でのこと。と、ちょっとクラスは下だが躍進ぶりは目立つ。脚質もシュウホウ以上に極端な追い込み一手で、アテにはしづらいが一発の魅力も。柔らかい身のこなし。馬体重472kだが、こちらの方がシュウホウより大きく見せる。活気も上々。
その他、3番ユウジョーは終始チャカチャカと落ち着かない。
5番ワタリエリートはあのアキフジクラウンの全妹。入場直後はチャカチャカとして、トモを大きく振り上げる癖のある保養を見せていたが次第に大人しくなる。回避馬が出て予備馬からの出走ということもあるがちょっと劣勢か。
7番ジーマ。グレートマルゼンの全弟でもあり、春先にはちょっと注目した案外伸びていない。気合いが前面に出た周回でややもすれば煩いとも言えなくないが、悪くはなない。力強さは出ている。馬体重前走比-10kだが、その通りかなり絞った感じ。
9番ヤマノフィニッシュ。キングカップの時はその追い込み脚に期待を懸けたが結局不発。以降も3着には来るがという、「勝負に間に合わぬ追い込み馬」を地で行く近況。馬体重も421kと少ないが、とにかく細い。思ったよりはピーキーではない周回気配。

本馬場入場から返し馬に。フジナミスペシャルは福姫交流時と同様に口向き悪く登場。ゴージャパンは入場からダクに下ろし、そのまま待機所に直行。ヤマノフィニッシュやジーマはかなり強いキャンターで。シュウホウウイークはウイナーあたりは軽く。サンアイスペシャルは最後にキャンターで通過。

予想。サブちゃん鞍上ならばシュウホウウイークから!だったのだが、ここは無難に軸はフジナミ。相手にシュウホウとゴージャパン、プラス、この2頭のタテ目を。ゴージャパンは正直さっぱり判らぬが、取り敢えず買う。サンアイスペシャルは能力はあろうがピーク落ちの懸念と勝ち運のなさから外す。
エチさんとTYOさんはフジナミイマイチ、ゴージャパンとサンアイに好感。FUKUさんは「ゴージャパンはあれで走ると思われん。」、一方万歳さんは、フジナミ中心はいつものことと言いつつ、相手筆頭はゴージャパンという・・・とにかく今回は皆さん各々の見立てがバラバラで、非常に面白い。

いよいよレース。距離千八、スタート地点は2コーナー。
ゲートオープン。大外からサンアイスペシャルが猛ダッシュ。一気にハナを奪い後続をグングン離して単騎先頭。これを追って2番手に内フジナミスペシャル内ユウジョー外ギャラクシアが続く。
そして1周目の直線。先頭は後続を引き離しサンアイスペシャル。楢崎の思い切った大逃げ策に「おいおい大丈夫か?」の声が。そして2番手内フジナミスペシャル外ジーマの併走。やや下がった最内にユウジョーが続き、その直後にゴージャパン。その1馬身後ろ、内にギャラクシア外ワタリエリートが並んで。これを1、2馬身前に見てシュウホウウイークでここまではそれなりの集団。以降離れてケツ2がウイナー殿ヤマノフィニッシュと、追い込み2頭は予想通り後方から。
隊列は2コーナーから向こう正面に。二角でサンアイと2番手以下との間隔が次第に詰まってくる。そして向こう流し半ば過ぎから三角手前、フジナミがぼちぼちと進出開始で前のサンアイに急接近。三分三厘を回るあたりではサンアイも手応えが怪しくなり始め、満を持してフジナミが外から交わして先頭に立つ。何とか粘ろうとするサンアイ、そしてフジナミの上昇についてきたジーマも粘ろうとするところ、三角手前から自力で押し上げてきたシュウホウウイークが迫ってくる。

残り50m(35KB)
残り50m手前くらい
先頭フジナミ、鞍上嬉さんは後ろを振り返る余裕

そして最後の直線。抜け出したフジナミスペシャル。その後も確かな足どりで後続を寄せ付けない。サンアイがインベタで2番手を死守するところ、馬場外目をシュウホウウイークが差し込む。鞍上岡崎、大きなアクションでシバき倒して持ってくる。しかし最後はフジナミスペシャル、鞍上嬉が後ろを振り返る余裕を見せて、優勝のゴール。2着は2馬身遅れてシュウホウウイーク、3着は脚が止まりながらもサンアイスペシャル。4着は追い込んだウィナーで、5着は先行競馬のジーマ。以下6着何となくのギャラクシア、7着ほとんど四角以降しか動いていない追い込みヤマノフィニッシュ、8着結局走らなかったゴージャパン、9着早々に先行バテのユウジョーでワタリエリートが最下位。
フジナミスペシャル(42KB)
フジナミスペシャル、ゴールへ
会心の勝利、まだまだ世代トップは渡さない
シュウホウウイーク(43KB)
シュウホウウイーク、及ばす2着
牝馬ながらダイナミックな差し馬

ということで勝ったのはフジナミスペシャル。福山3歳戦線のトップに踏みとどまったという、この勝ちの意義は大きいかと。ダービーは逃したものの、この銀杯は出世レース。これ以降に期待が持てる。そして秋戦線、ユノワンサイドと再度対決。
シュウホウウイークは素質が窺われた2着では。ただ今回は、差し脚質なので致し方ないが、進出がやや遅くて間に合わなかった感じで残念。パドックではそうでもなかったが走る姿はやはり馬体重相応にダイナミック。牝馬であるがパワーはなかなかなので、今後の3歳戦線での活躍も楽しみ。脚質的にも千八以上がよさそう。因みに母の母がトライバルセンプーやボールドマンを産んだ、名牝インターシユウホウ。血筋はいいのだな。
サンアイスペシャルは思い切った騎乗だったがちょっと無理だったかなという。むしろ瀬戸内賞でこの手を使ってほしかったのだが・・・この逃げキャラがどこまで成長し、通用するかは見物ではある。

第11R、サルビア特別、A3、1800m
銀杯後のこの日の最終レースはA3戦。実はこれがこの土、日一番の注目だったりする。つまり、あのモナクマリンの復帰戦。『福山エース』は"音速の貴公子"と称し、馬券オヤジすら「福山最速馬」と崇める大スターが、昨年12月のアラブ王冠以来、帰ってくるわけ。「今日はモナクマリン観に来たよ。」と、万歳さんもFUKUさんもそう公言してはばからない。
因みに出走メンバーは以下の8頭。()内は騎手、斤量。
モナクマリン(岡崎、58k)、ホクトファイター(山田、54k)、リョージョー(吉延、54k)、ジョージバロン(鋤田、55k)、ピアドオスカー(嬉、55k)、ナンセイローレル(黒川、54k)、フジキタイトル(三村、52k)、コウギョウシャトル(楢崎、54k)
さてモナクマリン。A3からの復帰とクラス的には恵まれたが、斤量58kは相当重い。これは能力を考えれば致し方のないところ。馬体重は420kで休養入り前と変わっていないが、馬体の張りや毛艶はまだまだ。

さてレース。ゲートオープン。最も出が良かったのはピアドオスカーだが、マリンは並の発馬から鞍上岡崎にちょっと仕掛けられるとバフュン!と加速。一気にハナを奪いドンドン後続を離していく。このマリンの走りに目は釘付け。とにかくその脚のピッチが尋常でなく速く、スピード感が観ていて判るというもの。1周目の三分三厘を回るあたりで「はっえ〜!」と、ワシとFUKUさん共々、感嘆の声を発する。
さて、この後ろ、2番手がピアドオスカー、3番手がリョージョー。この各馬の間隔は、三分三厘では3、4馬身程度だったところ、正面スタンド前を走る間に、6馬身からそれ以上の大差に広がっていく。加えて、残りの馬たちの集団は3番手リョージョーからさらに大差後方という、ムチャムチャな隊形。これと同じ光景には覚えが。昨年9月16日、秋競馬開幕開催のB1戦、この時も先頭マリン大差離れて2番手オスカーさらにち切れて後方という隊形だったぞ。
というわけで1、2コーナーそして向こう正面へ。マリンとオスカーの間隔は相変わらず大差のまま。「これ追っかけてるオスカーの方が絶対苦しいぞ。」と、皆さんと漏らし合う。と、やがて3コーナーを前に、マリンの行き脚が鈍ったか、オスカーとの差がどんどん縮まってくる。そしてマリンのリードは、三分三厘の間でほとんどなくなってしまう。皆さん「あ!マリン止まった!」と発する。
4コーナーは先頭内マリン、ほとんど差がなく外オスカーで回る。厳しくなったモナクマリン、しかし岡崎さんも息切れに納得しているからか観念したか、それほどマリンを追い立てはしない。残り100mあたりでオスカーがとうとうマリンを捉え、ジワジワと抜け出してこれが1着。マリンは結局1馬身半差の2着。1馬身差まで3着のフジキタイトルが迫ったらしいが、リアルタイムでは全く眼中にない。

モナクマリン(42KB)
下馬所に引き揚げたモナクマリン
岡崎さん苦笑い

モナクマリンは3コーナーで止まった模様。能力値で押し切ってほしかったというのはあるが、まあ復帰緒戦、距離千八、加えて斤量58kを考えればやむを得ぬか。テンから道中、その誰にも真似できぬスピードの片鱗は見せてくれたので、今後が楽しみ。無事使えれば、夏競馬の主役、その最有力候補は間違いない。それにしても、下馬所に引き揚げてくるときの、岡崎騎手の「今日はしゃーない。」とでもいうような苦笑いの表情が印象的。
勝ち馬ながら言及が後回しになってしまったが、ピアドオスカーについて。嬉騎手は会心だったようで、ゴール入線時発した「ヨッシャ!」の声が我々にまで聞こえたほど。しかしよく考えると、止まったマリンを終い100mでジリジリとしか交わせないというのは、2番手で追ったオスカーもタれているからで、つまりはバタバタ2頭のゴールだったというわけ。それでありながら後ろから他馬は追いつけず、走破タイム1分59秒8は銀杯の時計2分0秒7よりコンマ9も速いという。マリンの前半のペースは一体どんなんだったのか?想像するだに恐ろしい・・・どなたかVTRで測っていただけませんか。

おわりに
ということでこの土、日の競馬は終了。入場門前でFUKUさんとはお別れ。「次いつ来るの?」「薄暮レース観たいからビーナス賞あたりにでも。」「んじゃまたね。」という感じ。万歳さんとエチさんとワシはファンバスで駅前まで。そして散会。
帰路は岡山まで鈍行にて。そして岡山−相生間を新幹線ですっ飛ばし、相生以東は新快速、と、順調に帰宅。

とにかく、福山は夏競馬も面白そう。
「灼熱のマイル戦線」を、是非現場で体感あれ!

2001.7.21 記

兵庫発アラブ現場主義ホームに戻る