第18回笠松オールカマー観戦報告

 2000.8.17、笠松、1600m

今年の盆のアラブ競馬巡りの締めは、昨年と同様、笠松競馬盆開催の末日に施行の、笠松オールカマー。アラブとサラの混走重賞。

前日に日本海記念を観戦して、山形からその日のうちに名古屋の実家に移動。よってこの日は、滞在中の実家から笠松へ。父親のクルマで競馬場まで送ってもらう。30分ほどで競馬場に到着。ここで親父さんが「俺この後暇だから、一緒に入場して競馬していいか?」と言うので、別に断る理由もなく、一緒に入場して競馬観戦することとなる。因みに親父、これが競馬場初体験だとのこと。

入場した後、親父に「まあ適当に楽しんどって。」と言い残し、別行動に。先日場内にオープンしたという、イタリアンカフェを探しに。目的のそれは、スタンド裏手の売店群の並びの一番正門(西)寄りの端にあった。外観は最近街なかで見かける、外資系のチェーンのカフェのような、壁面ガラス張りで小洒落た感じの、特段奇抜なものでもないのだが、これがローカルムードたっぷりのあの売店・食堂の中に混じると違和感ありあり。ちょっと入るのに二の足を踏む。
そこで外から店内を覗くと、外に向いたカウンター席に腰掛ける、面識のある御仁。これが"東海の好漢"おーたさん。手を振ると気がつかれたらしく、一瞬ニヤッとして「何やってんのよ!?入ってきなよ。」とばかりに手招きしてくれる。入店してビールを注文しておーたさんの隣に腰掛け、暫し談笑。三条での話や翌日の小倉遠征(小倉日経オープンにレジェンドハンターが出走)の予定のことなど、色々と。因みにこのイタリアンカフェについてはおーたさんは「個人的には結構好きなんだけどね。」とのこと。
あまり親父を放ったらかしてもおけないので、一旦店を出て、おーたさんと別れる。この後も折に触れ、おーたさんにはご助言をいただくことに。サスガ"東海の好漢"頼りになります!
親父と合流すると、いつの間にか予想紙も買って、見よう見まねで馬券を買っている。まあお節介をする必要もなさそうなので、好きにさせておこう。

馬場状態は良だが、前日夕立でもあったのか、ちょっと砂は湿っている感じ。砂の補充がされていない外ラチ沿い5mほどは砂も浅くなって、踏み固められてカチカチになっている。

さて、メインレースの笠松オールカマー。
昨年の同レースでは「アラ系A12、サラ系C12」と、出走馬のクラスに規定があったのだが、今年は単に「3歳以上オールカマーオープン」とのこと。実際のところ、出走する面々を見ると、アラブはA1級クラス、オープン馬、一方サラはB1からA3あたりの、いわば中堅クラスの馬が出走している模様。
とにかく、ワシ、ただでさえ東海の競馬事情に疎く、ましてやサラについてなど全く無知であるからして、今回は「知らん馬ばっかり。」。前日上山でディープさんと語らった際にも、「明日ホンマに笠松オールカマー行くんですか?あの出走メンバーで。日本海記念の感動が薄れますよ。」と言われてしまったのだが・・・それでもまあ、昨年の勝ち馬、サラのボナンザーローマンはその後金沢に転じ、かの地の7大重賞の一つ、今年の百万石賞を制するまでになったそうで、何がどう転ぶか先のことはわからない。

というわけで、出走メンバーは以下の9頭。()内は騎手、斤量。
オグリパピー(サラ、安藤勝、54k)、トライハートキング(東川、54k)、コウエイエンジェル(川原、53k)、マユネキング(サラ、佐藤、55k)、ブルックリンガイ(サラ、高木、55k)、ショウリイットー(岡部、53k)、ビクターリベロ(山崎、55k)、オグリラシアン(サラ、安藤光、55k)、ホマレメガミ(次井、53k)
以上、アラブ5頭vsサラ4頭の争い。
しかしこのメンバー。前述のディープさんの辛口発言ではないが、アラブの面々、ピンとこないなあ。クラボクモン、マルカシード、ケイエスマジックといった、春戦線を牽引した最上位の3頭が姿を見せず、ホーエチャンピオンも金沢に去り、ミカワチャンピオンも登録抹消され・・・という具合で、結果、「これは!」という馬の姿がない。加えて今回は名古屋からの出張馬もいない。

さて、コースの内馬場に出走馬が姿を現す。
2番トライハートキングは黒鹿毛の馬体が光る。艶は良好。ジンワリとした気合い。先行馬で今日はおそらくこれが引っ張る展開。「今日後ろからの馬が届くみたいだからトライハートキングは目標にされてキツいだろうな。」とおーたさん。
3番コウエイエンジェル。目下4連勝中で前走は東海グローリを勝った馬。予想紙のシルシが一番厚い。伸びやかで活気ある周回。馬体の張り、ボリュームもある体型。ちょっとトモの踏み込みの浅い歩様。
6番ショウリイットー。クラボクモンとは同厩で、前開催の準重賞ひまわり賞ではクラボクモンとのワンツーでの2着。歩様は力強い。顔立ちはスッとしているのだが体型が良く言えば重厚、悪く言えば鈍重。馬体重516kの大型馬だからか。
7番ビクターリベロ。岩手OB。堅実駆けも勝ち切れないキャラか。グイグイと気っぷ良く周回。身のこなしも思った以上に好感。
9番ホマレメガミ。5歳の追い込み牝馬。448kの馬体重より貧相に見える。歩様もイマイチ。キャラを考えるに、このほど定年(だと思われる)で登録抹消された、アスターダルシャンと非常にダブる。

コウエイエンジェル(41KB)
コウエイエンジェル、返し馬に
1番人気

パドックでのお披露目を終えて、各馬馬場に散る。コウエイエンジェルが1コーナーへキャンターで、ブルックリンガイがダクで歩を進めた以外は、みんな四角方向に駆け出し待機所に直行。

予想。コウエイエンジェルにショウリイットー、今回はアラブ優勢だとの予想紙の見立てだが、気になるのは安勝鞍上、サラのオグリパピー。よってコウエイを軸に、オグリパピーとビクターリベロへの、2点買い。ワシは原理主義者ではないので、サラ絡みの馬券だって買う。

レース発走。距離は1600m、スタート地点は3コーナーのポケット。
先手を奪ったのは大方の予想通り内からトライハートキング。連れて外からブルックリンガイ、1枠のオグリパピーも前に。
そして正面スタンド前、先頭はトライハートキング、1馬身くらい間を置いて、2番手にブルックリンガイその直後内にオグリパピー、外にオグリラシアン。この次列内にコウエイエンジェル、この外併走マユネキングで、ここまでが先行・好位集団で一団。これから4馬身以上は離れて、ショウリイットーが追走し7番手、直後内にビクターリベロが続き、殿がホマレメガミ。

1周目(35KB)
1周目、正面スタンド前
先頭トラハ、画面右端の後方馬がショウリイットー

隊列は1、2コーナーから向こう流しへ。相変わらず先団と後方が割れた体形。三角を回っても先頭トラハとオグリパピーは頑張るが、ここに外を通って後方からショウリイットーが一気に来る。一方コウエイエンジェルに際立った動きはなく、四角を回って勝負は最後の直線に。
ブルックリンガイ、トライハートキングと、順次先行勢は脱落して、勝ち負けは内で粘るオグリパピーと馬場真ん中を差し込むショウリイットーでの争い。遅ればせながらコウエイエンジェルが追いすがってきているが、これは圏外。2頭並んで後続を離しての追い合いで、途中一旦はショウリイットーが一瞬オグリパピーを交わしたかにも見えたのだが、そこは安勝、しっかり残し粘ってのV。最後はクビ差。2着ショウリイットー。5馬身遅れた3着は1番人気のコウエイエンジェル。4着好位で立ち回ったマユネキング、5着四角ドンケツからのホマレメガミ。この走り、やっぱりアスターダルシャンの後継者!

オグリパピーvsショウリイットー(38KB)
ゴール直前、オグリパピーvsショウリイットーの叩き合い
オグリパピー良く粘る

というわけで、1着はサラのオグリパピー。3歳時(旧表記)に重賞ジュニアクラウンを勝った現3歳馬。つまりはそれなりの素質馬だそうで。
ともあれ今回もアラブは勝てず。ショウリイットー2着で辛うじて面目を、といったところ。「ショウリイットーは三角までかなり後ろだったのに、よく来たけどねえ。」とはおーたさん。それは同感。しかしこの馬から寸法測るにつけ、ここにクラボクモン出てくれれば、ねえ・・・と思わずにはおれない。
コウエイエンジェルは案外。三分三厘の勝負が動く、つまり前が忙しくなるところで後手を踏んでいる印象が非常に強い。

というわけでメインレースの馬券は外れ。気を取り直して最終レース、アラ系A2戦の立秋特別に臨む。ここに、福山C2級中上位だったのだが、知らぬ間に名古屋に移籍していたマルカンガバナーが笠松出張で登場。辻本くんやまりおちゃんと、「立派に見えるいい馬」と言い合ったことのあるマルセンガバナー産駒。「この馬馴染みあるから買おうかな。」と言うと、おーたさん曰く、「買ってやって買ってやって。名古屋のA級じゃ家賃高いから、今日が走り頃かも。」。ということで、このマルカンを中心に、本命サウンドタカラと、対抗マルヨライダーに連複で流す。すると1着はサウンドタカラ圧勝も、2着は中団から終いマルカンが間に合って、嬉しい的中。7.9倍は美味しい。
ということで払い戻して帰ろうと、親父に言うと、親父さん「俺も当たったよ。」。馬券を見ると、ワシと何も示し合わせていないのに、何と全く同じ買い目同じ購入金額!「やっぱり親子だねぇ〜」と、感心することしきり。この親父の分と併せて換金して、帰路についた次第。

日頃は気ままかつ自堕落な独り暮らしの、三十路独身オトコであるワシも、年に二回、盆と正月は実家に帰って"家庭人"として親孝行をするのだよ、ということで。「え〜!家族サービスなんて年に一度で充分ですよ。大晦日に荒尾来てよぉ!元旦に高知来てよ!」と、他人事だと思って無茶なことは言わないでね。ねえ同志よ・・・

2001.9.9 記

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