第2回全日本アラブグランプリ観戦報告

 2001.11.23、福山、2250m

はじめに
さて、全日本アラブグランプリである。ひとことで言えば、「全国アラブ系3歳戦線、年度総決算の大一番」なのである。たぶん。

というわけで、観戦するべく福山へ。この三連休、姫路−福山間に臨時快速としてチボリ号が運行されるのでこれを利用。
因みにワシ、昨晩自主飲酒で飲み過ぎ(たまにお世話になっているバーで、豪快なお姉さんのお客に捕まり、マスター共々「そこの古男子!」呼ばわりでドカドカ飲まされたという・・・)、この朝は相当二日酔い気味。まあ自業自得であるが。
姫路駅でリーダー前田っち、同じく姫路在住のまりおちゃん、園田在住の大西さん、関西写真系のエチゼンさんとS水さんに合流。ワシを含めたこの6人で列車に乗り込む。
8:28に列車は出発。途中和気駅で、鳥取から朝一番の特急スーパーはくとにてやって来たニーナちゃんが乗り込んでくる。チボリ号は順調に山陽路を西下し、10:20、福山に到着する。
まりおちゃんの携帯メールに、クールテツオー関係者の御一行が、10:33福山着の新幹線で乗り込んでくるとの情報が入電され、一同福山駅の玄関で、これを"出待ち"(タカラヅカ用語だな)することに。ここへ、10:22福山着の新幹線にて到着した環さんが現れ、一緒に待つ。
予定通りやって来る御一行。岩田騎手も当然この中に。ジーパンにジージャン姿でリュックを背負った岩田騎手、ムチャムチャ少年っぽい。「頑張って下さい。」などと、適当に声援を送る。
タクシーにて競馬場へ向かう御一行と別れ、我々はファンバスにて競馬場へ。ということで、11時前には福山競馬場に到着。

そして福山競馬場
撮影許可証を貰い、まずは横断幕装着の作業。岩田幕に下原幕(オーナーはリーダー!)、そして今日がデビューの西村幕。この3つを特観席2階、パドック側の窓から吊り下げる。だんまく隊のボスはまりおちゃん、その指示に従い、幕を窓の外に出して、張り出す一同。なお、我々一行が張り出した後で、岩田騎手のお母さんが来場され、幕を張り出しておられた。張り出し中のところ、たまたまその下を通りかかり、お母さんにご挨拶するワシ。

この日の福山競馬場、秋口から工事していた、4コーナー寄りの観覧席の改装工事が竣工し、今日がそのオープンデー。「どきどきルーム」と名付けられた、ガラス張りで空調完備の一般席エリアである。せっかくなのでこれを探検に、大西さんと足を運ぶ。
造りは500円の特観席「わくわくルーム」と似たもの。オープンほやほやなので当然綺麗である。ただその位置が4コーナーから直線を向いて程なくであり、ゴール板からは遠い。また、正面スタンド前にある馬場内ビジョンからも遠く、その映像がほとんど見えない。三分三厘から四角の攻防は目の前であり、また向こう流しを3コーナーにやって来る隊列はよく見えるのだが、最後の場面は結局モニター頼りになってしまう。この施設はスタンドの2階と3階で、3階には小洒落たカフェレストランのようなスペースが設けられている。が、見栄えのするこうしたものを新設することが、売り上げ不振の打開策に直結するとも思われず・・・

この「どきどきルーム」オープンに因んでか、この日の福山競馬場、「ファン感謝デー」として、色々とイベントが組まれている。しかしどうもそれらの仕切りが拙かった模様。ただ、これを機に、これまでかなりの長期間存在しなかった騎手名鑑・ハンドブックが発行され、これは有り難い出来事。

サスガに全国交流、ご来場のお知り合いの数も多い。栃さんも既にお越しになっている。九州からはさまにべっぴんさんと"首領"Tienさんのお二人もTienさんには九州アラブダービーの写真を見せていただいたり。高知のもりも先生、地元駐在おさるさん、Oku師匠に、"同志"ディープさん。上山応援家のくもぎりまるさん。ふささんが午後になって、そして地元FUKUさんもやや遅れて登場。

メインレースの展開などについて、栃さんらとあれこれ語り合ったりする。「このレースなあ、クールテツオーをマイペースで行かせちゃったら他の馬マズいんだよな。誰か鈴を付けにいかないとな。エムエスファントムなんかが動いてくれるとねえ。」「エムエスは逃げるときもあるみたいだけれど、プロパーじゃないからどうでしょう。ホントはフジナミスペシャルあたりが適任なんやろけど、多分自分の競馬に徹して、同じ地元勢とはいえ、ライバルのユノワンサイドとは共闘しないでしょう。」などと。FUKUさんとは、「予想紙のシルシ、エムエスファントムやたら厚いですよね。」「近2走あのマリンレオの3着2着ってのが、評価引っ張り上げてるか?それとも東海の提携予想紙(例えば『福山エース』にとっては『競馬エース』)から、ホットラインで誇大情報聞かされてるとかさ。」あーだこーだと。

天気は晴れ。11月下旬というのに非常に暖かい、それを通り越して、暑い。天気予報がそう告げていたのを聞いて、薄着で正解。ちょと着込んできた方々は、相当暑がっておられた模様。分厚いタートルのセーターにコーデュロイのブルゾン、ジーパンの下にはタイツまで履いてきたというまりおちゃんなど、見るからに暑そう。そういえば昨年のこのレースの日も暑かったな。
馬場状態は良。予想紙によると、砂が補充されたそうで、確かに見た目にも馬場は深そうである。時計もややかかっている模様。展開的には、逃げ差しいずれの決着もみられている。

"接待レース"について少し
この日の番組、メインを除くと、前半戦は2歳の下級条件と中堅戦、そして3歳条件戦(11月になってまだ3歳条件戦があるという!)にC2の中堅下位戦、といった具合で、パッとするものがない。ただ、アラブグランプリに登場する招待馬に騎乗する、他地区騎手の騎乗、いわば接待レースがあり、ここらあたりが見どころといえば見どころ。
まずは第4レース。岩田騎手登場。騎乗馬フジノセンプーは人気の一角だが、最近かなり差し一辺倒のようで、決して乗り易い馬ではなかろう。ここで岩田騎手、後方からラストしっかり追い込んできて、ゴール板前ではクビの上げ下げの接戦に持ち込む。結果惜しくもハナ差で2着に敗れたが、久々の福山での騎乗、テン乗り結果を出すところ、サスガ岩田騎手である。
第5レースには、荒尾の西村"エイキチ!"栄喜騎手が登場。騎乗馬スタースピネル、予想紙のシルシは薄い。レースは発馬イマイチで後方追走のまま、見せ場もなく7着に終わる。一緒に下位入線したのは佐藤徳子騎手や高森クンやマイナー松本騎手、といった「う〜ん・・・」な面々。しかし殿負けは鋤田センセイだったりする。
第6レース、ソレユケイチマツに帯同してきた、兵庫の下原騎手が登場。騎乗馬チグサローズはミスターカミサマの半妹である。さてその騎乗、何が何でも先行するこのコンビ。しかし三角手前ではちょっと怪しい手応えに。ところがここから三分三厘にかけて下原騎手、それこそがむしゃらな手綱シゴきと鞭連打、無理から馬を動かして先頭を死守している。「あれじゃアカン」「もう駄目や」と思ったところ、そのまま終いまで持ちこたえ、押し切っての勝利。これにリーダー以下、沸き返る兵庫からのお客さん。「メインレース勝ったみたいやな。」というくらいの(局地的な)盛り上がり。脱鞍所に引き揚げて下馬した下原クン、満面の笑み。「あれ絶対騎乗馬サイドから、『何が何でも押しまくれ』って指示出てるな。それに愚直に応える下原クンってのが、いかにも彼らしくってカワイイ。」などと思った次第。下原クン、実は広島県出身。以前に「だから一度福山では乗ってみたいんですよ。」いう彼の想いを聞いたことがあり、今日はそれが、しかも1着という形で叶い、それもあっての脱鞍所での笑顔だったかと。
この第6レースには上山の山田騎手も騎乗しておりこちらは8着。続く第7レースには名古屋の岡部騎手が登場し、これは7着であった。このお二方に対しては意識が及ばず、着順だけの記述です。ゴメンナサイ。

※全日本アラブグランプリについてはここからです
さて、メインレースの全日本アラブグランプリ。出走馬は内枠より以下の10頭。()内は所属地区、騎手。
ソレユケイチマツ(兵庫、下原)、ユノワンサイド(福山、石井)、ユウジョー(福山、片桐)、エムエスファントム(名古屋、岡部)、シュウホウウイーク(福山、岡田)、クールテツオー(兵庫、岩田)、ゴージャパン(福山、岡崎)、コウザンシンオー(荒尾、西村)、フジナミスペシャル(福山、嬉)、ホマレエリート(上山、山田)
負担重量は牝馬のシュウホウウイーク、ゴージャパン、ホマレエリートの3頭が53kで、他の牡馬は55k。

8レース発走前の時間に、装鞍所を眺める。ユノワンサイドは馬房の中で終始大人しく佇んでいた。コウザンシンオーは鞍着けの時以外は馬房の外の広場に。フジナミスペシャルはちょっと煩い。クールテツオーは最後に装鞍所にやって来る。馬房の中で割と大人しくしていた。

パドックから発走まで
ということで、パドック周回の時間を迎える。この頃、午前中不本意ながらも出勤させられ、仕事を終えて速攻駆けつけた、電設の男@ともろうさんが、間に合って到着する。
1番ソレユケイチマツ。秋2戦は連続8着と全く振るわないが、ノースパークの回避によって、単に収得賞金上位ということで(楠賞までは兵庫次位だった)ここに登場。馬体重481kは前走比+8kだが、これで春の馬体重に戻った。しかしちょっと腹は緩めか。毛艶は良い。気合いは入っている。この馬としてはまあまあだろうが、近走成績からもここは劣勢。
2番がユノワンサイド。楠賞2着の後、夏を越え秋を迎えて、「煮え切らない馬」から完全に一皮剥けた感じ。古馬A2戦連勝から、三冠第2関門の鞆の浦賞を完勝。地元の大将格としてここに臨む。ゆったりと大人しい周回気配。毛艶は良い。いかにも実が入ったという感じの馬体で、印象は非常に良い。
3番ユウジョー。前々走は鞆の浦賞6着で前走C1戦を7着。地元勢5頭のうちでも最も格下。鶴首気味になってチャカチャカと周回。筋肉はよく付いていると思う。
4番エムエスファントム。東海筆頭として出走した楠賞では6着。その次走、地元のアラブ王冠は勝利で東海トップの座は堅守。秋になっての前走前々走は古馬オープンで2着3着。マイペースで大人しく。スリムで伸びやかな胴体。毛艶は悪くないが、もっと良く見せる余地がある感じ。トモの踏み込みはちょっと浅めか。
5番シュウホウウイーク。前々走の鞆の浦賞ではフジナミスペシャルに先着の2着、前走福山3歳牝特で重賞初勝利を飾ってここに登場。494kの堂々たる馬体は牝馬離れしているが、毛艶は前走時よりは落ちた。期待していたのだがちょっと割引が必要な感じ。
6番がクールテツオー。馬体重464kは+10k。輸送で減ることを見越して仕上げたところ、意外に減らなかったのか?しかしながら横の環ちゃんは「テツオー、馬体細くなってない?」と感想。確かにケツのボリュームが、かつてより目立たなくなったかも。それとも体型自体が変わってきたのか。周回気配、装鞍所での大人しさからは一変。口を割って頸をひん曲げて、小走りにジタバタと、いつもエキサイト気味になるこの馬の周回としても、焦れ込みがキツ過ぎる。「うわテツオーアカンわ。」と口にするリーダー。ワシもちょっと気に入らない。
7番ゴージャパン。前走は福山3歳牝特、シュウホウウイークに終い際どく迫る2着。前を歩くクールテツオーの焦れ込みにつられてか、時折暴れる。見た目自体は前走と同様の体型で張りと艶。悪くない。
8番コウザンシンオー。地元の荒尾記念では佐賀ニシケンシーザーに敗れて2着も、敵地佐賀に乗り込んでの九州アラブダービーを制し、九州代表として、堂々ここに登場。全く落ち着いた周回気配。馬体の張りも毛艶も良く見える。黄色のパドックメンコに赤いシャドーロール、原色の取り合わせが目に痛い。
9番フジナミスペシャル。前々走の秋緒戦、A3戦を人気薄で勝つも、鞆の浦賞では3着敗退、前走A2戦も本命で2着。ライバルのユノワンサイドの充実ぶりとは対照的に、この秋はイマイチ波に乗れていない感じ。馬体自体はスッキリと仕上げられた印象でで、出来は良さそう。大人しく周回。
10番ホマレエリート。牝馬ながらも上山3歳断然の筆頭。前走は3歳重賞コスモス賞を楽勝して、上山3歳二冠を達成。3走前の古馬重賞かかしまつり賞ではペルターブレーブに先着の2着。前々走では、その後奥の細道大賞典を勝つアオイリュウセイも下している。元来がスマートな馬であるが、馬体は実に引き締まっており、その張りも艶も良好。踏み込みも深く、何より雰囲気自体がシャッキリしていて非常に良い。
といった具合で、個人的に特に好感を抱いたのは、ホマレエリート、ユノワンサイド、コウザンシンオーあたり。

本馬場入場。クールテツオーは地元戦と同様、入場して1コーナー方向へ直行。しかし意外だったのは、キャンターで正面スタンド前を流した点。地元では多分したことがない。初コースの感触を馬に味わさせるためか、馬体重増が気になったか。慣れないからか、若干掛かり気味。ユノワンサイド、エムエスファントム、シュウホウウイークあたりは軽く。フジナミスペシャルも軽いキャンター。ゴージャパンは掛かり気味に。コウザンシンオーの走りは力強い。ホマレエリートは正面スタンド前半ばまではダクでやって来て、ここから駆け出す。

予想。ワシは本命馬券を結構買う方だが、今回の、テツオー−ワンサイドの組み合わせはパスする。両頭それぞれから、ホマレエリートとシュウホウウイークの牝馬2頭に馬複で流し、さらに欲をかいて、ホマレ−シュウホウの組み合わせも少々、都合5点買い。要は4頭ボックスからド本線の一本を抜いたということ。中でもホマレエリートに期待。クールテツオーの気配は正直気に入らないが、事前予想の本命であるので、それなりに押さえる。ユノワンサイド、やっぱり軸には堅そうな雰囲気あるなあ。

レース!〜3歳頂上決戦
いよいよ発走。距離は2250m。スタート地点は4コーナー、ここからまる2周。
ゲートオープン。まずはクールテツオーがスッと出て、これがハナを奪う。内のユノワンサイドも前に。そして外からはフジナミスペシャルも。クールテツオーの直後につける。この3頭の次列にはエムエスファントムや大外発走のホマレエリートが。シュウホウウイークは中団、コウザンシンオーは出が良くなかったか、シュウホウの外直後で何とケツ2。ゴージャパンが最後方で最初の正面スタンド前を通過。
1周目(34KB)
最初の正面スタンド前
まずはクールテツオーが先頭に
これも1周目(29KB)
これも1周目の正面、その先団
テツオーの内にワンサイド、外にフジナミ

そして1コーナーを回る。ここで何と、クールテツオーの内からユノワンサイドがグイッと加速、敢然とハナに立つ。場内これでドッとなる。楽走に持ち込んでいたであろう岩田クールテツオー、これはちょっと不意を衝かれた感じ。しかしここで岩田騎手は、仕掛けてワンサイドに競り掛けはせず、ジッとそのまま2番手に控える。そしてこのクールテツオーの外目に、フジナミスペシャルがひたと追走。という具合に、人気2頭が先頭2番手、それも逃げると思われた方が後ろになっているということもあってか、ペースはそれほど上がらない。しかしお互いが、折り合いに専念しつつも相手を警戒している雰囲気が醸し出され、ジリジリとした神経戦の様相を呈する。
そして2度目の正面スタンド前。引き続き先頭はユノワンサイド。1馬身前後のリードを取って。石井騎手の手綱はやや張り気味だが、よく抑制された走り具合だと思う。2番手にクールテツオー。フジナミスペシャルはこの半馬身弱の外直後に張り付いている。フジナミの外1馬身くらいにホマレエリートが続き、このやや後ろのインにエムエスファントム。次列内にソレユケイチマツ、この外目にコウザンシンオー、道中若干押し上げた感じの好位後ろ。ユウジョー、シュウホウウイークと続き、最後方はゴージャパンで変わらず。
2周目の1コーナーから2コーナーにかけて、前のペースが次第に上がってきた模様。このあたりで、「シンオー駄目だ、もう遅れた。」と環ちゃん。その言葉通り、二角を前に後退加減。2コーナーを回って、後ろからシュウホウウイークが発進した感じだが、やはり前が速いか、隊列をなかなか上昇できない。
向こう正面も半ばを過ぎると、前3頭の加速がより明確に。後続が離され始める。と、3コーナーの手前、クールテツオーの手応えが怪しい。一方のユノワンサイド、ここからテツオーを突き放しにかかる。しかしこれについていけないクールテツオー。手綱を押しつつ、インベタで何とかしようとする鞍上岩田。この、伸びないテツオーとは対照的に、外からフジナミスペシャルがグングン上昇。三分三厘ではテツオーを交わし2番手に。先頭ユノワンサイドに急迫。
4コーナー以降は、ユノワンサイドとフジナミスペシャルの一騎打ちの様相。遂に両者の馬体が並ぶ。そして最後の直線、繰り広げられたのは火花の出るような叩き合い。抜け出さんとする外フジナミスペシャル、必死で粘らんとするユノワンサイド。ここで、巻き返そうとするワンサイドが外にヨレ加減になる。しかしながら鞍上石井騎手、それでも構わず右鞭連打、ますますワンサイドが外にヨレ、フジナミスペシャルに体当たりする格好になる。この状況が暫く続き、叩き合いは馬場外目にどんどん寄ってくる。しかしフジナミスペシャルも負けていない。首と脚を高いところから振り下ろすフォームで力走、残り100mを切って、ジワリジワリと馬体をワンサイドの前に出す。形勢逆転、しかしワンサイドも内から差し返し。激しい!
が、結局残り20mくらいで勝負あり。最後は半馬身抜け出して、フジナミスペシャル、秋の3歳日本一のゴール。

フジナミスペシャル(37KB)
フジナミスペシャル、叩き合いを制してゴールへ
西陽にその馬体を照らされて

2着ユノワンサイド。クールテツオーはインベタで必死に追走するも、直線巻き返すには至らず、5馬身差の3着完敗。
これより後方、エムエスファントムは三角あたりで4番手に上がったらしいが、結局保たず。これを再度交わしたホマレエリートが好位を死守して、テツオーから5馬身遅れの4着。後半どうにかこうにか追い上げたシュウホウウイークが、終いホマレエリートの外に迫って、3/4馬身差の5着。コウザンシンオーは後半ついていけなかったながらも、脱落した馬を抜いての6着。エムエスファントムは結局7着。8着殿から終い2頭だけ抜いたゴージャパン。9着ソレユケイチマツ、最下位ユージョーと、これは格と実力通りか。


フジナミスペシャル、口取りへ(37KB)
フジナミスペシャル、口取り撮影に臨む
嬉サン、ファンに向かって「一番!」のポーズ

総括など
フジナミスペシャルは完全な人気の盲点。終わって振り返れば、前2走のイマイチさで評価を必要以上に下げた感じ。予想紙のシルシも気持ち悪いくらい薄かった。結果単勝オッズは人気最低で、その配当何と、15150円!一方で複勝は1番人気、完全に乱オッズ。それにしても先行3番手、道中願ってもない位置取りと展開になって、勝負所では力が最大限に出た。加えて、最後の叩き合いに、相手の体当たりも負けないパワー。今日はお見事!
ユノワンサイドは負けはしたが、テツオーを自ら負かしにいって、なおかつ勝ちにいった競馬。実に強いレースをしたと思う。「ユノワンサイドは恥ずかしくない競馬をした。」という評価が大勢。しかしそれにしても最後の直線、外にヨレているのにさらに右鞭くれる、つまり内から外に鞭を振るう石井騎手の騎乗は怖い。「いくら何でもあれはやり過ぎやろ。」とFUKUさんらと振り返る。が、この競馬ぶり、「煮え切らぬ馬」というかつてのレッテルは別として、レース運びもルックスも地味な印象の強かったこの馬に、改めて個性といおうか人格ならぬ馬格といおうかを与えるものだったとも思う。
ということで、今年は地元福山勢がワンツーを決めた。因みに西日本アラブダービー時代からも含め、地元勢ワンツーは、'93(平成5)年の、ナタリージョージ−オールセンプー以来であるそうだ。
それにしてもこの2頭。これまでの3歳シーズン、福山世代筆頭の座を巡る形勢の優劣を、何度も入れ替えてここまで来ている。フジナミスペシャルとしては、三冠重賞2つはワンサイドに譲れど、制した重賞の数はこれで4つ目で、数ではワンサイドの倍となった。
クールテツオーは楠賞3着に続く、自身2度目の敗戦。楠賞と同様、長丁場の競走において自分のペースで逃げられずの黒星となった。マイペースで運べずとも勝ち負けに持ち込めるのは、適距離の、あまり長くないところまで、ということか。今日に関しては、レース運びも出した力としても、完敗かと。加えて、危惧されたとおり、やっぱり輸送が悪い方に出てしまったとも。
ホマレエリートは好位で健闘したのだが、前3頭には及ばす4着。惜しい。もっと走れると思うのだが。やはり二千超の長距離戦ではパワーがもうほんの一息、足らなかったのか。
シュウホウウイーク、この流れでは、後方からの捲り差しは厳しい。それでもよく5着に来たと思う。この4着5着の牝馬2頭は、醒めて振り返れば充分走った方かも。個人的にはもっと走ってほしかったが。
コウザンシンオーは案外。全然先行競馬になっていない。エムエスファントムも自在性が裏目に出たような、中途半端な立ち回りだったと思う。

馬券、外れ。勝ったフジナミはあまり人気はなかったのだが、ホマレエリートと同枠ということで、"同志"ディープさんをはじめとして、ホマレを評価した少なからぬ方々は、連単で的中させていた模様。ワシは馬複買いで、フジナミ絡みの馬券など持ってるわけもなく、馬券は惨敗。正直今回はかなり凹んだ。

おわりに
最終レースのことなど記憶にも残らず、辛うじて横断幕の撤収を手伝い、メゲメゲ状態でこの日の競馬を終える。
駅前行きのファンバスが、いつもと異なり一向に発車せず、焦れたオッちゃんが、ファンバスの運行を仕切っていると思われるオバチャンに罵声を浴びせかけていた。
駅前で、相当数の方々とオフ会に参加する。がしかし、店内でワシ、体調急変。一気に血の気が退き、どうしょうもなくしんどくなる(前夜の二日酔いのぶり返しではありません)。遂に耐え難くなって、宴の途中で辞去。同行者のリーダーやまりおちゃんも残して、先に帰ることに。まさにこれは「競走中止」、馬券戦線共々、何とも尻すぼみな1日になってしまった。

今日の結果を踏まえて、えらいことになったのが、次開催に控える、福山三冠の最終戦、アラブ王冠。全日本のタイトルを奪取し、他に3重賞を制しているフジナミスペシャル。ここまで福山二冠を手中にし、楠賞とアラブグランプリ、全国交流戦2ついずれも2着にきているユノワンサイド。2頭のうち、このアラブ王冠を制した方が、アラブの3歳全国年度代表馬となりそうだ。「これぞ年度代表馬決定戦やね、ホンマ!」
ということで、今回の観戦記の冒頭で、「これが3歳総決算!」とブチ上げたのだが、ホントの総決算は次回だったという、何ともまあこれが・・・

2001.12.16 記

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