第2回ジュニアキング観戦報告

 2001.12.29、笠松、1600m

12月29日。2001年も残すところ3日。ワシの今年のアラブ重賞行脚もこれでラスト。「そんなこと言わんと、大晦日に荒尾(この日ファン選抜アラブチャンピオンが行われる)来てよぉ。」と、"同志"ディープさんやさまにべっぴんさんが強力に勧めてくださるが、大晦日と元旦だけは、家庭人として大人しく実家で過ごすことにしているので、残念ながら荒尾行きはナシ。
ということで観戦するのは、笠松の2歳重賞、ジュニアキング。「ホントにそれでいいんですか?そもそもジュニアキングに出走する馬たち、どんな馬かわかってます?」とディープさんが突っ込んでくる。その問いへの答えは「ノン!」なのだが、まあ、しゃあない。

笠松へは実家から、親父さんのクルマに同乗して。午後の2時過ぎに入場する。盆の笠松オールカマーの日に続き、2度目の親子での競馬観戦となる。
天気は晴れ。馬場状態は良。路面は乾き切っている。『競馬エース』紙上によると、25日に砂と凍結防止剤の補充があったそうで、かなり深めの馬場のようだ。

今日観戦するジュニアキング。笠松アラブ系唯一の2歳重賞にして、東海格付けSPIの競走。一昨年までは中京スポーツ杯という名称で施行されていたので、こう言われた方がまだピンとくる。昨年はツルギベンサーが勝ち、エムエスファントムが2着。一昨年の覇者はクラボクモン。過去の勝ち馬の名を眺めると、その中にはあのミスハクギンなどもいたりするが、それらがすべからく出世しているようにも思われない。'98年(ホマレスターライツらの世代)制したのは、翌春の楠賞にてかなり人気を集めるも、その後条件クラスに埋もれてしまったタカラフレンドであったりして。

ということで今年の出走馬、内枠より以下のフルゲート10頭。()内は騎手、性、斤量。
タカラミノリ(濱口、牝、53k)、ナニワレディー(上松瀬、牝、53k、名古屋)、セントレア(戸部、牡、54k、名古屋)、ハマミフレンド(東川、牝、53k)、クイックダンサー(湯前、牝、53k)、アイシスエール(宇都、牡、54k、名古屋)、ダンディテイセン(坂口、牡、54k)、ヒロメルシー(安部、牝、53k、名古屋)、キソノコウリューウ(福重、牡、54k、名古屋)、センプーリッチ(柴山、牡、54k)
名古屋からの出張馬が半数の5頭。負担重量は別定とのことだが、一見牡馬54k牝馬53kの定量である。

この日は大井で東京大賞典があり、その場外発売がここでもされる。東京大賞典の発走時刻は15:40。メインレースの時間帯をこれに明け渡した格好で、ジュニアキングの発走時刻は15:00。というわけで、2時半過ぎには、出走馬が姿を現す。
笠松のパドックは内馬場にあるので、馬を間近でしげしげとは観察しにくい。そんな状況での、以下各馬の印象。全馬ワシにとって初対面である。
1番タカラミノリ。3戦1勝2着2回。綺麗な栗毛。実入りの良さそうな馬体。ちょっと煩いか。番手先行が望み。
2番ナニワレディー。道営出身で9月に名古屋に転入してきた。道営では7戦3勝。こちらに来てからは3戦2勝。そのうち1勝は10月30日名古屋での重賞フェニックス賞の星。首を上下に振ってチャカチャカしているが、けっこうしっかりした骨格に見える。ただ、黒鹿毛の毛艶はよく見ると悪い。先行好位付けか。
3番セントレア。6戦2勝2着1回。フェニックス賞3着。グッと気合いが入る。青毛の真っ黒な馬体が西陽に光る。差し。
4番ハマミフレンド。5戦3勝2着2回。笠松勢では戦績は一番。首を下げてややチャカチャカと。456kの馬体重にしては、ちょっと細く映る。前付けを狙おう。
5番クイックダンサー。5戦1勝。内を向いて、焦れ込み気味。ガッシリ型の馬体は他馬と遜色ないが。先行したかろうが地力的にツラそう。
6番アイシスエール。5戦2勝2着1回。フェニックス賞2着。馬体の張りは良い。鶴首でチャカチャカと。馬体重418kの通り、小柄に見える。ピンクの豹柄のパドックメンコにピンクのシャドーロール、四肢にはピンクのバンテージ。差しプロパーのようだ。
7番ダンディテイセン。7戦未勝利3着1回だが、掲示板を外したのも1回だけ。伸びやかに大人しく。歩き方も柔らかい。ちょっと重めだが艶も良く好馬体。物見をするのは余裕か集中力の欠如か。母はカミガモライデンらの半妹という、活躍馬の多い一族の出。毎レース、中団ママでレースを終えている。
8番ヒロメルシー。道営出身で彼の地では12戦1勝2着2回。10月に名古屋へ。転厩後は3戦2勝。ちょっとイライラしているか。腹回りが重く映る。転入後は逃げ馬となっているそうだ。
9番キソノコウリューウ。8戦4勝2着1回。フェニックス賞4着。それほど煩くはなく、ジンワリとした気合い乗り。毛艶もなかなかで、悪くない。逃げから番手競馬にモデルチェンジ中のようだ。
10番センプーリッチ。4戦1勝2着1回。首をグッと下げてジンワリと周回。見た目だけならいい感じ。ここは逃げの一手。

パドック周回を終えて各馬本馬場に。気性に幼さの残る2歳馬だからか、大半の馬が抑えが効いていない、凄いピッチのキャンターで返し馬を敢行する。

ナニワレディー(42KB)
ナニワレディー、返し馬
1着入線G前写真は逆光キツ過ぎてボツ、しょうがないのでこの写真を

ゴール板前でその様子をカメラに収め、振り返ると、そこには"東海の好漢"おーたさんと、すけさんの姿が。「珍しい人間かおるがや。」といった感じでニヤニヤとワシの姿を眺めていらっしゃる。おーたさん、開口一番「どうしたの?こんなところで。去年とかは来てなかったのに。」と。「いやあここ2年、この日はホマスタやイーシー観に宇都宮行ってましたから。」。と弁解。

予想。自分なりにポイントだと思ったのは以下の二つの事柄。一つは、前回高知の銀の鞍賞で痛い目に遭ったことを教訓にして、「2歳戦、それも初距離のレースで、人気馬といえども、逃げ・先行タイプに過度の期待を懸けるのは危険。」ということ。よってここは、好位差しが出来そうな馬を狙いたい。そしてもう一点、これは東海アラブ界の現状において、笠松よりは名古屋所属馬がレベル的に優勢であるということ。
よってワシの軸馬は、まさに名古屋の有力差し馬、アイシスエールということに。馬券は地元笠松期待のハマミフレンドから売れている模様だが、上記の見地からワシは軽くヒモにつけるだけ。フェニックス賞馬ナニワレディーへの馬複が本線で、プラス、名古屋のセントレアにキソノコウリューウへも。オマケのお楽しみ馬券としては、良血ダンディテイセンからの馬複流し。これはかなりの穴狙い。
マークカードを塗っていると、横からおーたさんが、「あ、ナニワレディー買うんだ。ワタシは真っ先に消したけど。」「そうなんですか。そのココロは?」と問うと、「まずはあの冬毛の馬体。それにフェニックス賞だって、(吉田)稔で勝ったようなもんだって思っとるんで。」そうなのか。続けて、「ワシはダンディテイセン買いましたよ。」「うわ、そうくるかぁ。でもまあどの馬にとっても初の千六だから、何が来てもおかしくないんだけどね。」などと。

いよいよレース。笠松千六のスタート地点は3コーナーのポケット。
タカラミノリが最内から前へ。クイックダンサーも続く。ハマミフレンドも前に。

1周目(35KB)
1周目、先団
先頭内タカラミノリ、2番手中ハマミフレンド

正面スタンド前、先頭はインでタカラミノリ。この外に馬体を併せてハマミフレンドが続く。さらにその直後外にクイックダンサー。ナニワレディーが次列インで追走。この位置の外に逃げると思われたヒロメルシーが。セントレアはナニワレディーの直後、キソノコウリューウは先行できずこのあたり、中団の大外。アイシスエールはセントレアを斜め内に見て。センプーリッチは逃げられずブービーで、さらに開いて殿はダンディテイセン。「ワシのお楽しみはあんなケツちんたら走ってアカンやん!」と思わず口にすると、「いつもあんなもん。行き脚なくって後半じりじり詰めて掲示板っていう。」と、おーたさんが解説して下さる。
勝負所の3コーナー以降、ここらでタカラミノリがお疲れさんで後退。代わってハマミフレンドが先頭に。このあたりでアイシスエールが中団から外を通って進出、ナニワレディーらを交わして、三分三厘2番手に進出する。しかし外からナニワレディーがスルスルと上昇、直線入り口では前を射程圏内に捉える。
最後の直線、馬場真ん中を抜け出すナニワレディー。後続とのリードをセーフティーなものにして、最後は楽走でゴールに飛び込む。2着はアイシスエールがしっかりと。着差は3馬身。さらに1馬身半差の3着は、中団から差し込んだセントレア。地元期待のハマミフレンドは先行競馬も終い後ろから抜かれ、2馬身半差の4着。5着が最後方からやっぱりモチャモチャ差を詰めたダンディテイセン。前半フロントに位置したタカラミノリとクイックダンサーはそれぞれブービーに最下位と、ただの先行馬はやっぱり終いまで保たなかった。

終わってみればフェニックス賞の1着2着馬がそのままここでも1着2着。「ナニワレディー、強かったんだ。あっさり勝たれちゃったな。」とおーたさん。レース運びも先団から抜け出すという、一番利詰めで理想的なレースができたのはやっぱりこの馬だった。
アイシスエールは自分の差し競馬で2着。三分三厘ナニワレディーより先に前に出たのはちょっと意外だったが、結局抜き返された。牡馬ながらまだ馬体が小さく華奢。今後パワーアップするのか、はたまたクラボクモンを見習うが如く、こんな感じのまま斬れ脚を磨くことになるのか。
ハマミフレンドはやはり名古屋勢に跳ね返された体裁の4着という結果。さて、これからどうなる。

ハマミフレンドが連対落ちしたおかげで、単勝2番人気と4番人気の組み合わせで、払戻金は枠複1310円、馬複1280円、枠単2280円、馬単2130円と、いずれも4桁配当。この的中はオイシイ。が、連複連単いずれも馬より枠のほうが高配当という、まあよくある結果になった。因みに我が親父さん、示し合わせたわけでもないのにワシとほとんど同じ買い目かつ購入金額で的中。前回もこんなことがあり、「やっぱり親子だな。」と、またまた感心。

このレース、1着賞金150万円と低額ながらも、SPIなので、レース後の口取り撮影、そして優勝レイが、ある。ということで、ウィナ前のコース上で記念撮影に収まるナニワレディーと鞍上上松瀬騎手、そして関係者さん。上松瀬騎手、東海の競馬に疎いワシとしては全然知らなかった若手騎手(4、5年目くらいか)。金髪に加えて、それこそ連獅子か官軍の隊長のような、ド派手なヘアスタイル、これが妙に印象に残った。おーたさんは表彰式の後、すかさずサインをゲット。

ナニワレディー、口取り(43KB)
口取り撮影のナニワレディーと上松瀬騎手
馬はおすまし、騎手はパツキン

この後は東京大賞典の中継の放映。とりあえずトーホウエンペラーの単勝だけ買って観戦する。4コーナーでちょっと行きっぷりがイマイチに見えつつも、終いしっかりやって来て差し切るトーホウエンペラーを見て、思わず「勲!」「勲!」と、笠松オヤヂの中で声援を送るワシであった。払い戻しは後日することにして、ちょっと早めに親父と競馬場を後にするのであった。

さて、このレース出走の面々から、翌年の東海、ひいては全国のアラブ3歳戦線を沸かす、スターが出現するのだろうか。馬と客とも一期一会、せっかく目にした馬たちなので、今後大成してほしいものである。

以上をもちまして、本年のアラブ重賞巡り、これにて無事終了。のつもりだったのだが・・・・

2002.1.11 記

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