第3回全日本アラブグランプリ観戦報告
2002.11.24、福山、2250m
◆はじめに、そして出走馬について
アラブ3歳戦線における、秋シーズン最大の一番、全日本アラブグランプリ。西日本アラブダービーを全国交流に模様替えして3回目、ミスターカミサマが馬体を金色に輝かせて圧勝した第1回から、早くも2年が経った。
さて、今年の出走馬は以下のフルゲート10頭。()内は騎手、所属地区、性、斤量。他地区馬5頭、地元馬5頭。斤量は一律牡馬55k牝馬53k。
アヤヒカリ(嬉、福山、牝、53k)、ミスターサックス(田中、兵庫、牡、55k)、ホーエイトップ(安藤光、笠松、牝、53k)、モナクカバキチ(岡田、福山、牡、55k)、ホワイトキャンプ(片桐、福山、牡、55k)、チョウヨームサシ(蔵重、金沢、牡、55k)、スカイプリティー(北野、高知、牝、53k)、レビンマサ(板垣、上山、牡、55k)、マルサンウイザード(渡辺、福山、牡、55k)、ダイニアキフジ(鋤田、福山、牡、55k)
出走馬には、初夏の3歳全国交流、楠賞全日本アラブ優駿において有力馬と目され、また好成績を収めた馬も多く、その再戦ムードも濃厚で非常に楽しみな一戦となった。
まずは他地区勢。九州からの参戦がないのは残念だが、各々の地区の世代トップが揃い、好メンバーとなった。
チョウヨームサシ − 楠賞を豪快で息の長い差し脚で制した金沢代表。夏の地元戦では古馬A1編入されて好走できなかったが、前走地元3歳重賞アラブ大賞典を楽勝してここに登場。恐ろしく脚の回転の速い、かつ重心の低い走法が印象的。青鹿毛の馬体もあいまって、さながら"黒い弾丸"。
ミスターサックス − 大本命で楠賞に臨むも2着と涙を呑んだ、兵庫代表のフクパーク記念馬。休養明けの初秋2戦はピリッとしなかったが、前走古馬重賞白鷺賞では、正攻法で先輩クールテツオーに挑んで健闘の2着。調子は上向きか。栗毛大流星の巨漢。
レビンマサ − 昨年の全日本アラブ2歳優駿馬。楠賞は7着止まりだったが、以後地元古馬戦線で大活躍、日本海記念とかかしまつり賞の2重賞を制し、既に彼の地の新王者にならんと。ソツのない先行・好位競馬でキッチリ勝つ、天才肌のランナー。
ホーエイトップ − 笠松初夏のアラブダービー馬。名古屋キソノコウリューウと東海3歳筆頭を争った。牝馬ながらも500kに迫る好馬体。父ホーエイヒロボーイで半兄はあのミスターホンマルと、その血筋でも大きく注目を集めている。
スカイプリティー − 兵庫未勝利牝馬が梅雨時に高知に転じて大活躍。彼の地の3歳戦線を程なく平定し、前走3歳三冠最終戦の重賞荒鷲賞を完勝して登場。兵庫時代遙かに格上だったミスターサックスに、化けたところ、見せつけたい。
対する地元勢5頭。今年の福山3歳勢には、結果として突出した戦績を残した馬がここまでおらず、ちょっと大駒不足の感は否めぬか。
というのも、クラスも受賞賞金額も最上位のダイニアキフジが、実力は抜けていると認められ続けながらも、重賞で取りこぼしが多く、イマイチ頼りないが故。10月の鞆の浦賞でも、伏兵マルサンウイザードの逃げ切りを許し2着。前開催の前走古馬A2戦は何とか勝ってここへ。あのアキフジクラウンの全弟ということもあり、長丁場のスタミナ勝負に期待はかかるのだが。
そのダイニアキフジを鞆の浦賞で負かしたマルサンウイザードは、前走B2戦で出遅れ呆気なく5着敗退。重賞勝ちがフロックなのかどうか、問われる一戦。最低限でも逃げて己が色は出したい。
銀杯馬モナクカバキチは大器の評判高いが、前走鞆の浦賞で5着に敗れている。見込まれた素質からすれば、まだまだブレイクしてはいないような。
2歳重賞ヤングチャンピオン馬のホワイトチャンプは成長力にちょっと疑問で、ここまで3歳重賞戦線では苦戦気味。ただ前走B3戦を勝ち、調子は上向いているらしい。
牝馬アヤヒカリはドリーミングの全妹でもあり、早くから素質を認められ、健闘していた。重賞をなかなか勝てなかったが、前開催3歳牝特でそれも叶い、ここに登場する。
◆当日の概況
前日もヤングチャンピオンを観戦したので、この週末は福山を土・日連闘となる。そこで土曜の夜は、"リーダー"前田っち共々、今回初となる福山泊。そして翌当日の朝、10時福山駅前発のファンバス始発便にて競馬場へ。"神出鬼没"さまにべっぴんさんや関万さんも同じバス。
昨日に比べて雲は多いが、今日も天候晴れ。温かく過ごしやすい。
馬場状態は前日同様に良。非常に砂が深い馬場。あまりの深さに、レース毎に厩務員さんや発走員さんらを運んでコース内の外ラチ沿いを走るマイクロバスが、スタックしそうになるほど。午前中のうちは朝露で砂の表面は若干しっとりしていたが、それもじきに乾いてしまう。
◆パドックから発走まで
パドックタイムを前に、装鞍所で待機する出走馬の姿をスタンドの端から眺める。レビンマサは鞍付けの時以外ずっと広場で回されていた。ミスターサックスは馬房の中でちょっとガチャガチャと。スカイプリティーも回していた。
そしていよいよ出走馬が姿を現す。
1番アヤヒカリ。黒鹿毛の毛艶は上々。じんわり気合いが入っている。ややトモは細めでその踏み込みも浅い。主戦渡辺騎手は今回ウイザードに乗るので、今日は嬉騎手が初騎乗。
2番ミスターサックス。馬体重524kは前走比-7k、これは絞れたとも受け取れ、いい傾向だと思う。毛艶はいい。踏み込みはそれなり「この馬やっぱり後ろ脚の力強さがない。」と環ちゃんも。地元戦に比して細かい動きが目立ったが、やがて落ち着いて、じわっと気合いが乗ってくる。主戦の小牧太騎手はこの日JRA京都で騎乗するので、今日は田中学騎手が代打初騎乗。
3番ホーエイトップ。ちょっと煩めで、細かい動きをする。毛艶が一見非常にいいのは帝冠賞と同様。ホーエイヒロボーイ産駒らしく胴はややボテッと太め。トモの出はあまりいいように思われない。
4番モナクカバキチ。鶴首になってスッチャスッチャと周回と、いつものことながら煩い気配。馬体重469kは前走比+10kだが、以前はこれくらいの目方で走っていたので問題なかろう。毛艶はソコソコ、いつも良く見せない。
5番ホワイトキャンプ。のんびりと大人しい周回気配のところ、時折キョロキョロとする。胴回りの太さ厚さが更に増して、巨漢系のイムラッド産駒になりつつある。ボッテリとしているが張りのある馬体。
6番チョウヨームサシ。青鹿毛の体がビカビカ、絶好の毛艶と馬体張りで、皮膚の薄さが一目瞭然、凄い。ちょっとトモの送りはぎこちないが、キビキビとした歩みで、歩幅は楠賞の時より出ている。馬体重467kは前走比-12k、ギリギリ絞ったことが、特に後半身に窺われるフォルムである。が、「金沢の馬は日頃作りと仕上げが緩い。」という先入観がワシにはあるので、これくらいしてくれた方が個人的にはむしろ好感。
7番スカイプリティー。437kの馬体重は出走馬中最軽量、スリムでシャープなスタイルなので、この中に入ると細さがより目立つ。荒鷲賞時と同様やはり煩い気配で、立ち上がろうとするくらいピーキー。毛艶は今一つ。
8番レビンマサ。のんびり大人しく悠々と周回。これはいつものこと。ただそれでも「あまりに覇気がなさ過ぎ、これで大丈夫か?」との評価もあった。厩務員さんに手綱を曳かれて、その後を付いて歩いていた。毛艶も馬体張りも文句なく、歩様もしっかりしている。
9番マルサンウイザード。腹回りの太く見えるコロンとした体型。毛艶と馬体張りは良く、筋肉の付きが目立つ。キビキビと気っぷよく周回している。
10番ダイニアキフジ。これも毛艶と馬体張りは良好かと。胴には実が入っていつつも、フォルムにキレがある。ちゃんとしっかり踏み込んでいる。地元の実績最上位馬として恥ずかしくない出来だと思うし「これならば!」と思わせる。
ということで、個人的に特に好感抱いたのは、チョウヨームサシ、レビンマサ、ダイニアキフジあたり。マルサンウイザードやアヤヒカリなども割といい。
ホーエイトップ、パドック
戦前全くノーマークだったのだが
本馬場入場から返し馬。ホーエイトップは入場口から左折して一角方向へ、そのまま3コーナーの待機所に直行。ダイニアキフジも入場してすぐに駆け出しそのまま待機所に入る。ミスターサックスは入場行進はちゃんとこなしてから駆け出して、これも待機所へ。モナクカバキチやマルサンウイザードは強め。アヤヒカリは前走3歳牝特と同様駆けりはいい。チョウヨームサシは極力軽めに流そうといった感じで走っていく。一方レビンマサはかなりガンガン走ってしまっている。
「ミスターサックス、初めて見たけどエエ馬やんか!ナイスフレンド産駒とは全く思えんなあ。これは買わざるを得んやろ。」と開口一番"同志"ディープさん。意外にも期待以上にまともな馬で驚いたという感ありあり。「ワタシもミスターサックス、ちょっと買っちゃいましたよ。カバキチの2着付けとか。」と電設の男@ともろうさんも。相変わらずのスケベ馬券ながらもこれに混ぜている。「ホーエイトップ、顔がキャーッ!てくらい可愛いねん、ワシは惚れた。」とはまりおちゃん。馬券にはしっかりこの馬も交えた模様。「ミスターサックスは太さんでなく学であるというあたり、ちょっと人気に影響するか?」などと思ったのだが、実際はそんなことほとんどなく、サックスが圧倒的人気。
ワシの馬券は、チョウヨー、レビン、アキフジの三角買い。加えて、アキフジ2着流しで2頭への連単も。これ、かなり自信があって、レースの前から的中させた気分。ミスターサックスは本当は買いたくなかったのだが、「まさか」の時の保険で、前述3頭との組み合わせの連複を、申し訳程度に。結局4頭ボックス買いとなった。
チョウヨームサシ、吼える!
3歳全国交流独り勝ちを狙う
◆決戦!瀬戸の晩秋、二二五
西に傾いた太陽が、雲に遮られるかどうかという、非常に微妙な状態のもと、発走時間を迎える。同じ3歳全国交流戦でも、楠賞には初夏の眩しく濃密な日差しと、若葉や空の青い色が似合う一方、この全日本アラブグランプリには、晩秋の西陽が照らし出す、枯れた色調の風景が似つかわしい。
いよいよレース。距離は2250m、スタート地点は4コーナー、ここから2周と200m強。ホームストレッチを3度通過する長丁場。
ゲートが開く。まずは何が何でもの構えで、大方の予想通りマルサンウイザードがハナを奪取。大外ダイニアキフジもこれに連れて、内に切れ込み気味に先行体勢となり、2番手を狙う。が、内でミスターサックスもすんなり出て、これも早々に前付けの模様、アキフジよりむしろこちらが先んじて2番手に。内ではホーエイトップも先行狙い、ちょうどアキフジの同列あたりに。レビンマサは外からこれにゆっくり続く好位前。逃げるマルサンウイザード以下、続く先行勢の序盤のペースは見た目にかなり速め、後続各馬の間隔は開き、縦長になっての1周目。3、4コーナーあたりで、ようやく流れが落ち着いた感じ。
2度目の直線、遠景
先頭マルサンウイザード2番手サックスがデンと
2度目の正面スタンド前。先頭引き続きマルサンウイザードの単騎逃げ。取り敢えずやることはやったか。5馬身弱下がって2番手にミスターサックスがデンと構えて、折り合いは全く問題なく楽走。半馬身強下がった外目にダイニアキフジが3番手。こちらは土下座状態に首を下げて「たまらん!」といった体裁、鋤田騎手の手綱は張り切っている。差がなく次列、インにホーエイトップが、そしてアキフジの直後外にレビンマサが続く。2馬身弱開いて、チョウヨームサシは4列目6番手外目のここ、ちょっと掛かり気味だがこんなもんか。内にホワイトキャンプが併走し、この内ちょっと下がってアヤヒカリが。スカイプリティーとモナクカバキチが最後列だが、サックスとここまでは比較的一団、スローに流れている。
2度目の直線、2列目以降
アキフジが土下座、3列目外にレビンでチョウヨーはその後ろ
2周目2コーナーを過ぎる。向こう正面前半、「お、レビンマサ動いたな。」と隣のOku師匠、その言葉通り、外からそろそろ押し上げるレビンマサ。これと同様に内からホーエイトップが。このあたり、知らぬ間にダイニアキフジが脱落している。
そして勝者は呆気なく決まる。バック半ば過ぎ、早くも2番手からミスターサックスが動く、いや自然にそうなったのか?先頭マルサンウイザードを難なく交わして先頭に立つ。ほとんど楽走でそれを叶え、三角を回る。そして三分三厘、ブッチギリの独走に持ち込んでしまった。
これを追う後続では、レビンマサが仕掛けたものの、どうもピリッとしない走りであって、ここは併走状態になったホーエイトップの動きの方がいい。結局レビンを抜かせぬまま、三分三厘走ってくる。「おおっ!これはホーエイトップ、やったか!?」とOku師匠の声も大きくなる。そしてチョウヨームサシが、単騎でどうにかこうにか押し上がって、このあたりでホーエイとレビンが射程に入ろうところまでやって来る。
しかし前では、ミスターサックスがトップ独走。鞍上の田中騎手はもう大きく追うところなどほとんどなく、直線は終始見せ鞭だけで、そのまま押し切って、全日本のタイトル奪取のVゴールに飛び込んだ。2着とは結局1馬身半差となったが、これは終い楽走であったがため。印象としては一方的な完勝。
ミスターサックス、完勝で楽走のゴール前
マナブの見せ鞭をジロリと見てる・・・
さて2着争い。2番手で4コーナーを回ったのはホーエイトップ、馬場真ん中に進路を。レビンマサがこの直後で回る。そしてコーナリングのタイミングで、チョウヨームサシが外からレビンに追い付く。レビンマサ、ホーエイの外に出たかったように見えたのだが、そのラインを押さえたのは外をそのまま回ったチョウヨー。結局レビンマサはホーエイの内に。しかしレビンマサは伸び脚を欠いて、程なく万事休す。2番手粘るはホーエイトップ、非常に渋太い、何とか追い詰めるチョウヨームサシ。結局直線の残り半分を切って、どうにかこうにか、強引に交わして、チョウヨームサシが楠賞馬の意地で2着。1馬身差の3着でホーエイトップ。レビンマサは結局2馬身差の4着。
以下はリアルタイムでの印象なし。5着好位から差し上がろうとしたアヤヒカリ、1馬身半差、これが地元最先着。途中隣で電設師が「アヤヒカリー!」と声援一発入れたので、動いた局面があったのだろう。モナクカバキチは後半追い込んだらしいが、結局2馬身差6着。7着3馬身差でスカイプリティー。「最後直線追い込んでちょっと馬抜いただけですわ。」と高知のもりも先生が。ワシ、全く気にしてませんでスミマセン。ハナ差8着ホワイトキャンプ。ダイニアキフジはそれからも大差遅れた、よもやのブービー大敗。最下位はマルサンウイザード。
レース後勝者のミスターサックス&田中騎手の一騎のみが、コースをもう1周して、ホームストレッチにやって来る。しかし鞍上マナブ、手を振ったりするわけでもなく、非常に強めに駆けて、さっさと引き揚げていった。何とも素っ気ないウィニングラン。
◆ゲッソリ反省、そしておしまい
ミスターサックス、どないもこないもない圧倒的な勝利であった。早め2番手も折り合い完璧、早々に前を交わして先頭に立って、後は押し切るだけ、という、ケチの付けようのない競馬だったと思う。そして何より今回は「勝負弱いナイスフレンド産駒」という、血の呪縛を完全に断ち切ってみせた。
加えて田中騎手が初騎乗ながらも、非常にソツなく乗りこなしたのも吉と出たろう。田中騎手って背も高いし顔もガタイもゴツいけれど、レース振りは割と素直、時には愚直で(サンバコールとのコンビを想起して下さい)あまり妙なことしない。ファンとしては安心して観ていられたのでは。「勝ってくれてよかったわ、馬券も一点で獲ったし。いやあ最近巡り合わせの悪い太よりも、学の方がエエと思っててん。」とはアオちゃん。「太じゃないから割引」と考えるのが普通だと思われる中、この見解、ちょっと個性的、でもお見事。
チョウヨームサシは後半ホントによく自力で追い上げて来たのだけれど、前が楽走でブッチ切ってしまったレース展開では、サスガに追い付けなかった、惜しい。道中やや掛かった感じに見えたが、楠賞の前半もあんな感じだったので、大きな問題ではあるまい。ところでこの馬にとって、問題は今後地元に戻ってから。金沢筆頭を狙うには、君臨する"絶対女帝"スーパーベルガーさんを倒さねばならぬからして。おまけに主戦の蔵重騎手は女帝の主戦でもあり所属厩舎も同じ、パートナーが敵に回ること濃厚。さてその時、どう戦う?
ホーエイトップは個人的には全くノーマークで、3着好走は実に意外。「4コーナーあたりでは夢見たけどなぁ、惜しかった。」と"東海の好漢"おーたさん。地元戦ではいつもソラ使って遊び遊び走っているそうで、この力の抜ける走りが長丁場に合ったのか、はたまた当地の深い砂が合ったのか・・・などと、好走の理由を考えるのだが、どれもこじつけっぽくって、結局解らぬ。レース前は「キソノコウリューウにしてもこの馬にしても、マイル戦くらいが適距離で二千超は合わんでしょう。」などと話題にしたくらいで。トドメは「(夏場に)地元でクールショーに負けてるような馬がここで3着なんて、信じれん。」との、ディープさんの言葉。
レビンマサは、長距離適性の不安はあったにせよ、案外の4着。道中ちょっと掛かり気味に見せたのも、想像されたことでもありその頻度も許容範囲だろう。地元古馬重賞で見せた走りはこんなもんじゃない。ただ、勝ち馬が早々にブッチ切るような展開には、どのみち合わなかったかも。それにしても「何となく」負けた印象が強い。が、レース後くもぎりまるさんに色々伺って、納得。曰く「今日はレース前からずっと馬がイライライライラしてて、精神的にイマイチだった。」そうだ。「それで装鞍所でずっと回してたんですか。」と返すと「何だ見てたんだ。」とばかり、それが図星といったところ。
地元勢にとっては、何とも情けない結果になってしまった。掲示板に載ったのが牝馬アヤヒカリ5着の1頭のみ。第1回第2回と地元勢が連取してる、ゲンの良さをもってしても、どうにもならなかった。
「オマエラソコニゼンインセイザデハンセイヤ!」と言いたいところだが、まあ、次開催の重賞アラブ王冠で、顔洗って出直してきていただきましょう。
それにしてもダイニアキフジは一体何だったのだ。道中ああいう感じでブッ掛ってしまう(実はそう見えるだけで、あれはこの馬のフォームの個性かもしれぬ)のは、これまでにも何度も見られたことでもあり、ある程度判り切ったことなので、ワシとしてはこれを最大の敗因とは見なしたくない。「残り600m、さあここからが勝負!」というあたりで圏外に去るようではお話になっていない。実はこの馬、この1年、ほとんど不休で闘っており、いい加減走りに倦んできているのではないか?
馬券は保険で押さえた目が辛うじて引っかかったが、当然トリガミ。それ以上に、戦前軽視した馬=ミスターサックスが楽勝したことで、己が相馬眼の無さが痛感されて、非常にショック、打ちのめされた気分になった。「あーあ、何かごっつうテンション下がったわ。」と愚痴ると、リーダー「まあ、一応人気馬実力馬だから、ねえ。」と至極冷淡。そりゃそうなんだけど・・・
何となくワシ、ミスターサックスとの相性は悪いような気がする。大きくて立派なのに半端に緩い馬体張りと、力感に欠けるトモの送りが気になって、いつも評価を下げてしまう。その割にはちゃんと走るわけで、彼は。
ところがその歩様なのだが、レース後くもさんが「レース終わって引き揚げてきた時の勝ち馬の歩様、(特に繋ぎの動きが)凄く柔らかいんだ。タマツバキで見たマリンレオとかと一緒。上山の某騎手も『そういう歩様してる馬は走る。』って言ってたし。」と言及され、これには、目から鱗が落ちる思いがした。次回はそのあたりまで、注意して観察しよう。
それにしてもまあ、あの栗毛の大流星顔に、「それみたことか!ナメるなよ。」と圧倒されたが如き、今年の全日本アラブグランプリだったなあ。
最後に無関係な余談。メグミダイオーとアキフジクラウンとミスターサックス、並べてレース走らせてみたい。くどくて怖そう・・・
どれが誰だろ?
2002.12.7 記
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