第13回クリスタルカップ観戦報告

 2003.4.22、名古屋、1800m

はじめに
東海地区、春のアラブ古馬戦線は、4月上旬のアラブチャンピオン賞(笠松)と、5月の名古屋杯が二大レース。いずれも東海グレードSPI競走である。ここにおいて、今回観戦が叶ったクリスタルカップは、両レースの繋ぎといった体裁で、その中間に施行されるSPII競走。事実、「名古屋杯トライアル」と銘打たれ、その性格は端から明確となっている。1、2着馬には名古屋杯への優先出走権が与えられる。
というような、中1ヶ月強の間隔で施行される二大決戦の谷間の地味重賞、勝ち馬はソコソコな連中かと思いきや、近年の勝者には、アカネリンボーにサンデンビスタ、ローテーション、ブレーンワークと、他にも重賞を制したことのある強豪の名が並んでいる。一昨年の勝者クラボクモンはこの後名古屋杯も制し、前走のアラブチャンピオン賞勝利と併せ、春の古馬重賞三タテを成し遂げた。昨年ヘイセイチェッカーと宮下瞳騎手のコンビが、人馬共に悲願の重賞初勝利を達成したのは記憶に新しいところだ。因みに第1回1991年の勝者はアイノドリーム、ドリームボールの父として、今も辛うじて名を目にする馬である。

出走メンバーについて
さて、今年の出走馬は内枠より以下のフルゲート12頭。()内は騎手、性齢、斤量。
サマーバース(丸野、牝5、52k)、ボールドヒリュウ(竹下、牡5、53k)、ブラウンダンディ(安部、牡7、57k)、キソノコウリューウ(戸部、牡4、54k)、アラブドラゴン(倉地、牡6、53k、笠松)、ケイウントップ(横井、牡5、54k)、セトノランボー(宇都、牡6、55k)、ゴールドランチ(宇佐美、牝5、52k)、グロリアスメロディ(上松瀬、牝7、52k)、ジョニーダンサー(柴田、牝8、52k)、スマノリーフ(宮下、牝5、52k)、ゴールドランプ(兒島、牡6、55k)
ハンデ戦。アラブドラゴン1頭が笠松からの出張馬。しかし鞍上は名古屋の倉地騎手。ジョニーダンサーは河端騎手が騎乗予定だったところ、当日柴田騎手に乗り替わり。

東海最強にして日本最強アラブのマリンレオは、昨秋来地元ではサラ戦を走っているので登場しない。が、それを除いた名古屋の有力どころが数多く登場して、トライアル戦ながら楽しみなものとなった。マリンレオを除けば、最近の東海のアラブ古馬戦線は混戦の様相を呈しており、名古屋杯の行方を占う上でも、例年に増して注目に値しよう。ただ、躍進中の4歳馬アイシスエールの不出走はちょっと残念。

さて土古へ、そして当日の概況
例年春の名古屋杯は、ゴールデンウイーク中の祝休日施行なので現地観戦し易く、またレースの格式としても観戦するべきものなのだが、今年は連休の終わった翌日、平日の5月6日施行となってしまい、観戦断念。その代替と言っては何だが、今回初めて、このレースへ足を運んだ次第。東海の地味重賞を観るのも、「アラブの亡者」としては有意義なこと。
というわけで、当日正午に職場を脱出して土古へ。新大阪13時ちょうど発のこだまに乗って名古屋を目指し、現地には3時前に到着。
当日の天気は曇りだが、空の所々は雲が切れて日が差し、充分明るい。風は強く、気温もソコソコで暑くはない。平日の地味なアラブ重賞が故か、明らかにお客さんの数が少ない。そしてお知り合いの人もいない(後日ゴールドレットさんも来場されていたと判明するが、現地では遭遇できず)。
馬場状態は稍重の発表だが、砂の表面は全く乾いていて、見た目に良馬場と変わらない。名古屋の馬場は、インコースの砂が深いのが常なのだが、最近はインが浅い状態が続いているとのこと。

パドックから発走まで
件のクリスタルカップは11レース施行の第10競走で15時35分発走。入場してカメラ組み立てると、程なくパドックタイムとなる。
1番サマーバース。皮膚が薄そうに見える明るい栗毛の馬体。腹回りはちょっと余裕があるか。活気ある周回だと思っていたところ、後半はイライラ気味に煩いくらいになった。昨夏笠松のアラブスプリンターカップで重賞初制覇し、正月のアラブギフ大賞典でも2着好走、しかしながら春を迎えて成績は下降気味。前々走アラブスプリング賞7着、前走笠松のアラブチャンピオン賞9着。
2番「2001年ワシのココロの楠賞馬」ことボールドヒリュウ。スカッとシャープなフォルム、充分な馬体張りで皮膚も薄そう。キビキビとした身のこなしも相まって、やっぱり見た目はイイ。が、戦績は相変わらず愚図愚図したもの。前々走アラブスプリング賞8着、前走前開催のA2戦(前開催A1戦の施行はなし)3着。そもそも兵庫から転入以来東海で18戦して、勝ったのは3歳重賞帝冠賞だけ。
3番ブラウンダンディ。うっすら発汗していて、濃い鹿毛の馬体をテラテラ光らせている。撮影した写真に写った姿は、ちょっと胴回りが緩いが、リアルタイムでは充分締まった馬体という印象だった。身のこなしはキビキビと。事前には「見た目に衰えが目立つのでは?」と思っていたが、雰囲気はあるし悪くない。4走前の昨年末シルバー争覇を勝って健在ぶりをアピールしたが、3走前のアラブギフ大賞典は6着敗退、1月29日の名古屋競馬場開設記念(アラ・サラ混合重賞)も5着。この後休養し(笹針打ったとのこと)3ヶ月ぶりの実戦となる。
4番キソノコウリューウ。実入りはバンバンで張りはピチピチ。毛艶はソコソコだが問題のないレベル。じわっと気合いを滲ませた気配でそれほど煩くは見えず、この馬としてはよく抑制されていると思う。正月冬の名古屋杯が5走前で5着、4走前と3走前を平場のオープンで連勝し、前々走アラブスプリング賞は3着、前走アラブチャンピオン賞7着。渋く評価を受ける一方で実力への疑問の声も絶えない、昨年の名古屋3歳筆頭馬だが、何だかんだで古馬オープンで格好を付けている。
5番アラブドラゴン。ちょっと毛あしが伸びていて馬体張りもソコソコのレベル。やたら胴長で背も高い520kの大型馬だが、ヒ腹からトモはちょっと貧相。金沢所属の昨シーズンは常時530〜540k台で競馬をしていたので、サスガに当時のボリューム感はない。尤も、金沢の馬の仕上げって、概して太い傾向があるのだけれど。笠松に出稼ぎにやって来て(そのまま居座った模様)、連戦連闘で10戦するも、掲示盤に載ったのは3着2回5着1回の3回だけ。前々走アラブチャンピオン賞8着、前走前走前開催の名古屋A2戦9着。
6番ケイウントップ。活気あるキビキビとした身のこなしだが、しきりに首を振っている。トモの踏み込みは深くて歩様も柔らかい。灰色芦毛なので毛艶はわからぬが、毛あしはちょっと長いか。こつこつクラスを上げてきた生え抜き馬で、A1に届いたのがちょうど1年前、春の名古屋杯の頃。以後ほぼ不休で走り続けてきた。年明け以降好調で、3走前、アラブスプリング賞を制して遂に重賞ウィナーとなった(2001年夏のケンタウロスカップの勝ち馬だが、これは騎手が主役の重賞なので除外)。前々走と前走はそれぞれ前々開催前開催のA2戦で、いずれもアイシスエールの前に2着4着。
7番セトノランボー。がっちりしてかつ流線形の、格好いい雄大な馬体。しかし張りと毛艶はソコソコ。ゆったり落ち着いた周回気配で、決して悪くはないのだが、どうも雰囲気が平凡。前回目にした正月の名古屋杯時には及ばない。歩様はガチガチで硬め。名古屋杯を制し、マリンレオを追う名古屋古馬勢の2番手争いを一歩抜け出したかと思われたのだが、その後がいただけない。次走開設記念はサラ混合とはいえよもやのブービー11着。続く前々走のオープンも7着、前走アラブスプリング賞はケイウントップにハナ差差されて2着。『競馬エース』紙上の「サラを相手にした開設記念で少しリズムを狂わされた」という評も、「何だかなあ」というものだ。
8番ゴールドランチ。しげしげ見ればちょっと冬毛気味。踏み込みはあって歩様は柔らかいし、フォルムもスッと締まっている。前々走と前走はそれぞれ前々開催前開催のA2戦でいずれも8着。近8走掲示盤に載れておらず、オープン最上位は家賃が高い感じ。
9番グロリアスメロディ。首を上下させてリズムを取って周回。滑らかな体表で、明るい鹿毛の馬体の腰には銭形模様が浮き出ている。正月の名古屋杯時は冬毛ボーボーだったので、ルックスは格段にいい。その名古屋杯でも人気薄で4着に差し込んだように、何だかんだでコンスタントに掲示盤に載っている。3走前のアラブスプリング賞5着、前々走と前走はそれぞれ前々開催前開催のA2戦で6着5着。
10番ジョニーダンサー。腹回りが太めでコロンとした体型。毛艶はまあまあだが張りはまずまずある。前々走と前走はそれぞれ前々開催前開催のA2戦で10着7着。オープン最上位に入ると格下の感は否めぬところ、加えて近走戦績も振るっていない。
11番スマノリーフ。スッキリした毛艶で、踏み込みもしっかりしている。悪くない。3走前のアラブスプリング賞9着、前々走と前走はそれぞれ前々開催前開催のA2戦で4着6着。これも格下の感は否めず。
12番ゴールドランプ。この馬はホンマに胴が長い。加えて栗毛大流星で、何となくオカノテイセンと似ている。筋肉はガッチリ付いていて、馬体に締まりがある。至極大人しく、やる気なさそうに歩いている。この馬、いつ見てもトモの送りがガッチガチに硬い。前々走は前々開催のA2戦3着、前走アラブチャンピオン賞6着。本質的には先行馬だと思うのだが、揉まれ弱いそうで、それが原因か、後方追走そしてママのレースも多い。

ケイウントップ(52KB)
ケイウントップ、パドック
「首ひん曲げた写真使うなよ!」

本馬場入場から返し馬。ジョニーダンサーが入場口から一角方向に直行。他の馬は正面スタンド前を行進し、かなり進んでから反転して駆け出す。サマーバースは内ラチ沿いを軽く。セトノランボーは迫力あるキャンターで。ブラウンダンディも強め、力感溢れた駆けり。ボールドヒリュウはグッと首を下げて、ちょっとテンション上がっている感じ。キソノコウリューウも気合いが入って強く。ゴールドランプは外ラチ沿いに入場して、最後に駆け出す。これら殆どの馬は、このまま3コーナーの待機所に入って、再度ホームを流さない。唯1頭ケイウントップが、ゆったりダクから入って、馬場をまる1周、軽快に流して行った。

予想。当初はセトノランボー中心で、これを軸に流せばいいと思っていたのだが、前記の通り、どうもピンとこぬパドック気配であったので、ボックス買いの1頭に格下げ。そのボックス馬券、買ったのはセトノ、コウリューウ、ケイウン、ブラウン。キソノコウリューウは道中いつも掛かり気味の走りで、外から被せられて窮屈になると駄目なタイプ、よって今日の4番枠は微妙だが、見た目にはまずまず買える。その割には、予想紙上に載った陣営のコメントのトーンは上がっていない。ブラウンダンディもこのパドック気配ならば、これまでの実績と地力からしてまだやれると思われた。ケイウントップも充実の近況から外せない。『競馬エース』1面の「今日の顔」なる、メインレースの注目馬を写真付きで紹介するコーナーにも抜擢されている。しかも本紙本命。一方で「距離千六超での実績不足」と不安点も強調されており「ホンマはどうなのよ?」。上記4頭に加え、ボールドヒリュウも申し訳程度に買う。「ここまで付き合ったら半ば意地」の心境。結局単勝1番人気はセトノランボーだったようで、連勝式もこの絡みからよく売れていた。

レースなり
さてレース。距離は1800m、スタート地点は向こう正面半ば手前。名古屋杯などの1900m戦のそれより、当然のことながら3コーナーに100m近い。
ゲート入りが進む中、スマノリーフが扉を突き破って、数10m走ってしまう。が、引き返して再入。因みに瞳騎手のフライングを目撃するのは、昨年春の名古屋杯、ヘイセイチェッカーに続き2度目。
ゲートオープン。アラブドラゴンが躓いて出遅れるが、他は横一線の発馬。外スマノリーフのダッシュが目立ったが、程なく最内から、サマーバースがスッとハナに立つ。内外離れた両者の間に、ブラウンダンディが二の脚使って入り込み、これが2番手に。ブラウンの外でキソノコウリューウが併走気味の3番手。これら内3頭の先行態勢のもと、スマノリーフは三角前では4番手になった。ケイウントップは好発から好位に控えた。セトノランボーもまずは好位から。
正面スタンド前。先頭内ラチ沿いをサマーバースが、折り合ってマイペースで。1馬身強あって、2番手ブラウンダンディは掛かり気味に。半馬身程度下がった次列は3頭。ブラウンの外にキソノコウリューウが、やっぱり口を割っている。その半馬身遅れの外にスマノリーフがいて、同列のインにボールドヒリュウ。コウリューウの直後にケイウントップ、その内でセトノランボーが追走、これはボールドの真後ろ。ケイウンの外はグロリアスメロディ、さらに外にはゴールドランプ。ややあって内アラブドラゴン外ジョニーダンサーが続き、殿がゴールドランチ。サマーバースの逃げは見た目にも溜めたもの、よってレースの流れもゆったりと。隊列の前後間隔は比較的詰まっている。

1周目(40KB)
1周目正面スタンド前
先頭サマーバース2番手内ブラウン。次列外の赤帽がコウリューウ

そのスローさ故か、一角周回から1、2コーナー中間、ボールドヒリュウは直前ブラウンのインを掬う形になる。そしてセトノランボーが、ボールドのさらにインからスルスルと。あれよあれよという間にボールドやブラウンを抜いて、二角前では先頭に立つ、いや、立ってしまう。このあたり、ブラウンは外外を回って3番手キープ。直後外目で、キソノコウリューウは前半から一変、ぴたりと折り合っている。
向こう正面に出る。先頭内でセトノランボーだが、敢然とハナに立って押し切らんと、と言うよりは、何とか宥めすかして終盤に繋げようといった感じ。サマーバースが外に併走しているが、両頭競り合っているようには全く見えない。
そして三角周回、レースが動き出す。セトノランボーが単騎先頭に、1馬身強は先んじる。ブラウンダンディがサマーバースの外へ馬体を寄せる。さらにその外へ、キソノコウリューウも併せてくる。サマーバースは漸次後退。これを内から交わして、ボールドヒリュウも再度前に。ケイウントップはボールドとの内外併走から、サマーバースの外に持ち出し上昇開始、その反応は実に機敏。
コーナリングの妙もあり、セトノランボーが先頭で四角周回するも、ここでキソノコウリューウが加速、3番手からストンとフロントに躍り出る。これを外から追うケイウントップの脚いろもいい。一方、ブラウンダンディはセトノとコウリューウの間で持ちこたえるも、直線に入って脚を失して脱落。ボールドヒリュウは最内で伸び切れない。
最後の直線、勝負も佳境。インでセトノランボーが粘り込みを図るも、脚勢が目立つのはキソノコウリューウ。そしてケイウントップがコウリューウの外へ急接近。暫し3頭横並びで争ったが、残り100、じわりとばかり、キソノコウリューウが先頭に立つ。セトノは脚を鈍らせ降参。ケイウンは末脚振り絞って追いすがる。叩き合いになって終いまで伸びる両頭だったが、最後はキソノコウリュウーウ、半馬身凌ぎ切って、嬉しい古馬重賞初勝ちとなった。

キソノコウリューウ(42KB)
キソノコウリューウ、ケイウントップを振り切ってゴールへ
いい勝負だったぞ

ワシ、2頭の競り合いしか眼中になかったので、以下の着順、リアルタイムでの記憶はなし。1馬身半差の3着は、意外や意外グロリアスメロディ。三角以降ケイウントップを追って進出し、終い外に出しての競馬。セトノランボーは最後1馬身半交わされて4着止まり。ボールドヒリュウは5着。6着ゴールドランプはグロリアスメロディの同列外から差して。ブラウンダンディは結局7着に落ちた。8着ゴールドランチ、逃げたサマーバースは9着、アラブドラゴン10着スマノリーフ11着ジョニーダンサー最下位12着。

レース終わって、振り返る
レース後、ウィナでの表彰式における勝利騎手インタビュー。戸部騎手と実況さん(?)のやり取りの大意は以下の通り。
−今日は好位からの競馬だったがそのあたり?
「一番いい位置取りになった。」
−手応えは?
「3、4コーナーでは予想以上によかった。」
−(最近の凡走から)復調してきたのでは?
「前走いいところがなかったが、これでまたよくなったと思う。」
−次走は名古屋杯になると思うが(抱負など)?
「次もまたがんばります。」

というわけで、当事者の戸部騎手にとっても、理想的な勝利だったようだ。これは端から観ていても、全くそう感じられた。「乗りにくそうな馬」というイメージがホンマに強いのだけれど、今日は何ともスムーズな競馬だったと思う。外のスマノリーフがやや控えてくれて、外に被さってくる馬がいなかったことも幸いしたろう。加えて中盤以降の、気色悪いまでの折り合い。さながら満点の答案用紙。「ちょっと出来過ぎか?」とも思われて、「いつもこんなに巧くいくかいな?」とばかり、"次"を想うに、却って懐疑的にさせられるほど。まあ、お見事ではありました。
ケイウントップは地力強化を知らしむるに充分な走り。過去良積のない千八戦で連入し得たあたり、それが如実に現れていよう。この馬の道中進行もまた、好発→すんなり好位待機→楽に始動→末脚発揮と、無理無駄がない理詰めなものだった。「これだけやれれば、名古屋杯も楽しみだよねえ。」と、後日"東海の好漢"おーたさんも言及されていた。ブラウンダンディやセトノランボーをちゃんと差し切ったというのはポイント高い。因みにこの馬鹿児島産で、父はシナノリンボー産駒のマイナー種牡馬(だと思う)スギリンボー。そして何故か芦毛(母系からの遺伝のよう)。謎キャラだ・・・ルックスはイムラッド産駒とビソウサウス産駒の特徴足して2で割った感じなのだけれど。ますます意味不明か。
グロリアスメロディって、ワシにとっては印象極薄の馬なのだけれど、何だかんだでソコソコ走っている。今日もいい末脚だった。
それにしてもセトノランボーは・・・道中イヤイヤ先頭に立たされる、実にマズい競馬になってしまった。昨年末のシルバー争覇もこれをやらかして、本命人気裏切って4着。パワーには富んでいるはずなので、そんなにちんまりとした競馬せずに、もっと豪快に、ワイルドに、荒々しい競馬を希望したい。まあ、最近の名古屋勢には、ガンガン隊列を引っ張ってくれる、強いスピード逃げ馬が不在というのも、折悪いと言えば悪いのだが。さりながら、前半緩いペースで進行するのは、土古の競馬の伝統で個性、順応するなり問答無用で強くなるなりしないことには、同じ失敗繰り返しかねないぞ。「セトノランボーはアテにならないよなあ。こんな馬に付き合い続けたら、(馬券収支)とんでもないことになる。」とは、これも後日おーたさんの語ったところ。
ボールドヒリュウはこんなもんか。三角手前、ケイウントップと同位置から仕掛けてこの結果、今の充実ぶりと能力、差が出たなと痛感。
ブラウンダンディは積極的な先行競馬だったが、最後まで保たなかった。リプレイ見直すと、四角周回時に安部騎手が後ろを振り返っており、「あ、脚上がって脱落するのが判ったんだ。」と諒解された。叩き初戦が故か、衰えが故なのか。

ケイウントップ絡みの馬券が意外と売れていなかったようで、この1、2着の組み合わせ、購入した4頭ボックス6点のうち最も高配当、おかげで黒字。さりながらその配当、馬複1,040円のところ、枠複1,230円。馬複買ったワシ、とても損した気分。東海で馬券当たる時、かなりの頻度でこんな目に遭う。「腹立つなあ。高知見習って、枠番式なんか廃止してまえ!」と、言いたくなるぞ。

おしまい
無事に現地観戦、終了。名古屋の繁華街に寄り道するわけでもなく、即帰路に。名古屋滞在、3時間なり、せわしない火曜の午後でありました。
大一番のトライアル、地味重賞ではあるものの、なかなかに見応えのある、佳作レースだったと思う。本番の名古屋杯、現地観戦叶わぬが故に、無理矢理持ち上げて評価してるのでは、決してありませんことよ。
ということで、次開催は決戦の名古屋杯。今日の結果を糧として、勝者も敗者も、どっちも頑張れよ!

名古屋杯までの中13日は呆気なく経って、この観戦記の執筆時には、名古屋杯、とっくに終わってしまっている。ということでその結果・・・
勝者はクリスタルカップに出ていない、笠松のホーエイトップ。2着は「忘れた頃に好走する」ゴールドランプ、単勝9番人気で先行粘走。ブラウンダンディがまずまず盛り返して3着になった。え?クリスタルカップ上位勢は・・・
キソノコウリューウ…5着。ケイウントップ…4着。グロリアスメロディ…9着。セトノランボー…8着。ボールドヒリュウ…9着 ―― 何だかなあ。このトライアル戦・・・
「本番にちっとも繋がってないじゃん!」

2003.5.9 記

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