第5回九州アラブグランプリ観戦報告

 2003.6.25、荒尾、2000m

はじめに〜出走メンバーについて
初夏から真夏にかけて、九州交流の古馬重賞は3つ。今回観戦した九州アラブグランプリはその第2弾。5月の九州アラブ王冠賞と8月のアラブ大賞典、両者の真ん中である6月下旬に施行される。
開催日程からすれば、このレース、九州アラブ王冠賞の再戦たる様相を呈しようし、そうあって欲しいところなのだが、実のところ、例年両者の関連は薄い。荒尾古馬オープンのレギュラーメンバーに、数頭の佐賀勢が混じる程度。
そして今年、その関連性は、皆無。というのも、王冠賞と今回のアラブグランプリ、2つとも出走する馬が1頭もいないから。
王冠賞に荒尾から唯1頭参戦したシルキーオーはそれ以来実戦から遠ざかっており、昨年来荒尾古馬陣の顔として、積極的に交流戦に出走したコウザンシンオーも、3月の西日本アラブ大賞典を最後に、レースを走っていない。佐賀から参戦の1頭すら、九州アラブ王冠賞を走っていない(これについては後述)。現在佐賀古馬界では、キングダイオーが、非常に強いトップとして存在しており、2番手ホーエイハンターも安定している。実はこの2頭同厩で、その所属厩舎(的場厩舎)というのが、あまり遠征したがらないそうで。

というわけで、今年の出走メンバー、内枠より以下の11頭。()内は騎手、性齢、斤量。牡馬セン馬56k牝馬55kの定量戦。
サカノブルショワ(吉田隆、牡7、56k)、トチノグレイス(高山、牡7、56k)、イチノポリス(椎葉、牡5、56k)、シゲルマーキュリー(中留、牝5、55k)、マルトウブルショワ(佐藤、牡10、56k)、ハイメーカー(尾林、セ5、56k)、ベストイチ(吉留、牡7、56k)、パッピーケイオー(西村、牡8、56k)、シルバーハヤカゼ(牧野、牝9、55k)、スターライトマルコ(石川、牝5、55k、佐賀)、ワールドアイ(古泉、牡9、56k)

佐賀からの参戦は1頭スターライトマルコのみ、九州交流としてはあまりに寂しい。そして迎え撃つのは荒尾のロートル軍団。とにかく出走馬の馬齢が高い。試みに11頭の平均値出したところ、これがジャスト7。5歳馬が4頭いながらこの数字なんである。
なお、過去4回は距離2150mであったところ、今年は2000mでのレースである。加えて賞金も、1着200万円から150万円に減額されている。「賞金減らした分、距離はおまけで軽くしてあげよう。」とわけではなかろうが。

当日の概況
九州行きの常で、今回も当日早朝住処を出て、新幹線にて博多へ。そして鹿児島線の快速に乗り換えて、現地には正午前に着。
今年の梅雨は非常に梅雨らしい梅雨で、スカッと晴れ渡る日が少なく、くもりと雨がメリハリなくどよどよと続く。事前予報ではこの日も雨だったところ、運良く回復してくれて、梅雨の中休みに当たった。到着した荒尾の天気、もこもことした雲は多いが、それも切れ切れで青空も覗いている。この時季の九州としては、意外なほど、それこそ拍子抜けするくらい爽やかで、湿度も気温もソコソコ。午後になると、南風が非常に強くなった。
馬場状態は稍重。砂の湿り気は見た目にも程々。概ね先行有利ではるが、逃げ切りは少なく、また馬場外目を終い差し込んで連入する馬も目立つ。人気馬どうしで決まるレースが少なく、馬券的にはかなり波乱の1日。メインレースまでに、馬単で万馬券が4本も出ている。

メインレースまで〜その他のアラブ競走
メインレース以外にアラブ戦は4つ。うち、第6競走と第8競走の古馬B級戦は、いずれも3歳馬が中心視されている。「予想紙のシルシも厚いけど、そんなに簡単に、ここで勝てるかな。」と、栃さんはこの扱いに懐疑的。
まずは第6競走のB2B3戦、距離1400m。
注目はハリマブルース。昨年末の2歳重賞ヤングチャンピオンを、未勝利の身で勝った馬で、前々走荒尾記念では3着。ホーエイヒロボーイ産駒の割には、ぱっと見ヒ腹が薄くて、首差しの細さも目立ったが、よく見ると腹構えはどっしりしている。ホーエ産駒の牝馬には、こうしたルックスのものが案外いる。
レースでは5番枠から先行するも、終始2、3列目のイン、後半になっても抜け出せず、結局そのまま、勝ち馬からコンマ5差の4着止まりであった。勝ったのはスミノオージャ、中団から終い外を差し切った。昨シーズンまでは上山所属で、年明けから当地で走っている。マジックフエルドの半弟で、ホワイトキャンプの半兄。

そしてメイン前の第8競走、B1戦の唐人川カップ、距離1500m。
注目は荒尾記念馬ワタリタキオン。上山デビューで、昨季終了の後、当地へ移籍。以後5戦3勝2着2回の好成績で大一番に臨んで、制した。前開催は休んだので、それ以来の実戦となる。この馬、昨秋上山で観ており、その時は快勝したものの、見栄えと気配は感心しなかった(奥の細道大賞典の観戦記、その前半に記述あります)。ところが今日の彼、胴の実入りは充分でギスギス感は皆無、毛艶もいい。二人曳きで舌を括られていたりと、気性難への対策は施されているものの、想像以上にじんわりとまともに歩いている。ズバリ「以前と別馬だわ。」。これなら重賞勝ってもおかしくないと思った次第。
他には4歳の有力どころハイセイアポロの姿も。雄大なルックスは相変わらず。「見た目だけならやっぱりハイセイアポロだな。」と栃さんも。道営出身の逃げ馬コバツーウイングも登場。「あんな体型だったっけ?」と栃さんが訝るほど、胴回りがやたら太い。
さてワタリタキオン。吉田隆二騎手が跨ると、俄然煩くなり出した。そして本馬場入場。登場して即左折で一角方向へ。ところが一角過ぎの外ラチ沿いで、膠着。そして反転して、隆二サンの指示に、全く従わず、ちっともまともに返し馬をしようとしない。返し馬まともに出来ないのは上山時代と同じ、性格は簡単には変わらぬようだ。「荒尾記念のときもあんな感じで、『こんな気性の悪い馬、勝てるわけねーだろ。』って、喜んで馬券から切ったらさ、ムチャムチャ強い勝ち方してくれるんだもんな。参ったわ。」と、"九州の首領"Tienさんが。結局、吉留騎手のブラウンホウセキがダクを踏んで近づいてきたのを幸いに、その内に無理矢理並ばせて貰って、どうにかこうにか四角のゲート裏まで歩いて行った。
そのレース、内キヌカゴゼン外コバツーウイングで2頭競り合って、後続を引き離す。優勢なのはキヌカの方。ハイセイアポロは逃げず、離れた3番手。この後ろにワタリタキオンがドカッと構える。そしてバック半ば、タキオン上昇開始で三角前では2番手直後まで、程なく交わして先頭に立って、勝負あり。以降ブッチ切りかつ楽走で、2着とは8馬身差。
人気薄のヤシロガールが終い差し込んで2着。ハイセイアポロは好位競馬の体裁だが、中盤意外にも位置が上がらず3着止まり。キヌカゴゼンが残って4着。一方コバツーウイングは6着に落ちた。
ワタリタキオン、これは強い!大本命人気だったツルギビックワンを敗り、重賞勝ったことも納得。「楠賞、出てくれば面白かったかな。」とも思われたりして。尤も、この気性では、輸送競馬は、駄目かな。とまれ、秋に向けて、非常に楽しみだ。肥後さざんか賞(九州アラブダービー消滅の替わりか、今年は九州交流となる)が11月19日、全日本アラブグランプリが11月30日、中10日、ハシゴするには相当ハードな日程ではあるが、何とか目指してほしいものだ。

ワタリタキオン(32KB)
ワタリタキオン、楽勝のゴール前
サスガ荒尾記念馬。これは強い!

そしてメインレース、パドックから発走まで
ワタリタキオンの姿をゴール前で写真撮影して、急いでパドックに駆けつけて、九州アラブグランプリの出走馬を待ち受ける。程なくそれらが登場。
1番、北関東アラブ最後の時代を走り続けた、あのあのサカノブルショワ。昨年11月のサラ重賞とちぎSP天馬杯11着が、彼の地最終戦績で、今年4月から荒尾で走っている。しかしながら4戦8着6着8着7着と敗退続き。二人曳きながら大人しい気配、覇気無いとも言える。毛艶と張りはまずまず。直線的で、妙に四角い体型。馬体の幅は薄い。
2番トチノグレイス。今春は九州アラブ王冠賞4連覇が懸かっていたのだが、西日本アラブ大賞典8着の後、佐賀から当地に移籍して、当地初出走は4月9日。結局、5月の九州アラブ王冠賞には遠征せず、4連覇は呆気なく振った体裁。移籍後は3戦2着3着1着。ゆったりした胴回りで、いい意味で余裕ある馬体の作り。「馬体重429kには見えないよねえ(それよりは大きく見える)。」と栃さんも。
3番イチノポリス。二人曳きで若干鶴首だが、じんわりした気合い乗りで回っている。毛艶、馬体張り共にまずまず。カチッとしたフォルムだと思う。
4番シゲルマーキュリー。明るい栗毛の体表には発汗が目立つ。皮膚は薄そうに見え、馬体はムキムキッと締まった感じ。身のこなしはかなり硬い。
5番マルトウブルショワ。懐深そうなゆったりした胴長体型。濃い鹿毛の艶は良好で、じんわりと大人しく歩いている。見た目だけなら好感抱かされた1頭。
6番ハイメーカー。これも濃い鹿毛馬。その毛艶はピッカピカ、馬体張りも抜群。ムチャムチャ背が高くて胴詰まりという元来の体型もあって、これは目立った。
7番ベストイチ。直前を歩くハイメーカーとは正反対に、こちらは体高が低く胴長。両者のフォルムのコントラストが可笑しいほど。のんびりと歩いている。胴は重めか。
8番があのパッピーケイオー。かつての福山の強豪も、一昨年の金沢セイユウ記念3着激走以降は著しく戦闘力を落とした。昨年9月戦が福山最終出走で、いつの間にか荒尾移籍、今年4月9日が当地緒戦で、以後4戦3着5着4着3着。「パッピーは荒尾でもパドックで暴れて、関係者さんを怖がらせているらしい。」との噂が耳に入り、その姿を非常に楽しみにしていたのだ。が、今日のパッピー、二人曳きでじんわりとはしているが、全く大人しく、以前のように走り出そうとする素振りなど、全くない。ワシ、これにはかなり拍子抜け。毛艶はソコソコ、全盛時の馬体張りには到底及ばないが、まあ歳なりか。左トモをちょっと引き摺り気味なのが気になった。
9番シルバーハヤカゼ。黒鹿毛の馬体にかなりの発汗が相まって、馬体はピカピカ。ホントにいつも変わらずスカッとした馬体で出てくる。大したオバサンだ。「ここまできたら毎度毎度良い悪いもないよねえ。」と、栃さんと言い合う。
10番スターライトマルコ。兵庫デビューで、姫山菊花賞9着の過去を持つ。福山に転じ、3月下旬を最後に佐賀に移籍。前走前開催の古馬オープン戦が佐賀緒戦で、キングダイオーの2着して乗り込んできた。というわけなので、今回唯1頭の佐賀所属馬ながら、九州アラブ王冠賞には出ていないのだ。牝馬ながら馬体重485kと相当な目方、ルックスはそれ以上に大柄、そして首長胴長。スリムなフォルムでありながらデカい。この巨躯で、伸び伸びと、また大股で大外を歩くものだから、やっぱり目立つ。
11番ワールドアイ。のんびりと、と言うよりは覇気無く、内々を回っている。舌を括られているがこれをずっとモゴモゴさせている。馬格は相変わらずあるが、張りと実入りは落ちたような。全体的な雰囲気や見た目が、明らかに老けてきている。
参考に、以下、地元出走馬の近2開催の対戦成績を掲げておく。

 前開催 A1、1900m前々開催 A1、1500m
サカノブルショワ7着8着
トチノグレイス1着休み
イチノポリス4着7着
シゲルマーキュリー ※1
マルトウブルショワ8着9着
ハイメーカー休み3着
ベストイチ2着5着
パッピーケイオー3着4着
シルバーハヤカゼ9着2着
スターライトマルコ ※2
ワールドアイ5着休み
※1、シゲルマーキュリーは前開催A3B1B2戦4着、前々開催 A3B1戦4着。
※2、スターライトマルコは佐賀所属。
※3、前々開催1着のレインボータッチは今回不出走、前開催はA1戦は6着。

本馬場入場から返し馬。パッピー、首をガチャガチャ振りつつ登場して、馬場に出て「にょえ〜っ」と伸びを一発、彼らしい仕草を見せた。ベストイチが真っ先に、大外を楽走で通過。次いでマルトウブルショワが突っ走る。サカノブルショワはインを軽く。スターライトマルコは完歩の大きいダイナミックな走り。パッピーは首を外にひん曲げて。トチノグレイスは軽快に。ワールドアイは首を下げて強め、これはいつもの彼のキャンター。最後にシルバーハヤカゼが、外を向きつつ、ほとんどダクのように。ハイメーカーはダクのまま待機所に直行で、再度ホームには来なかったようだ。

予想。中心はパッピーとトチノグレイス。相手筆頭には穴狙いで、「忘れた頃に好走する」ワールドアイを。スターライトマルコは、このレース過去4回の佐賀勢よりは明らかに格下、「こんな程度の馬に好走されたら困る。」とばかり、買わない。上の表からも窺えるように、距離延びてのベストイチは気になるので少々。一方ハイメーカーは、どちらかというと距離短い方が良かろうと思い、人気の割には、ワシは厚くは買わず。

サカノブルショワ(43KB)
サカノブルショワ、パドックに登場
ここで再会できるとは

レースなり
さてレース。距離2000mのスタート地点は、2コーナーを立ち上がって暫く行ったところ。スタンドからはゴール板を挟んでちょうど真っ正面のあたり。
ゲートが開く。最内サカノブルショワが鋭発決めて、僅かの間ハナに立ったが、程なく外から、パッピーケイオーとシルバーハヤカゼが、これを交わして前に出て行く。結局シルバーハヤカゼが、3コーナーまでにハナを奪う。そしてはじめの三分三厘、スターライトマルコが外からスルスルと、いつの間にかにやって来て2番手に。パッピーは控えたか3番手。サカノブルショワは結局4番手である。好位までは縦列等間隔なれど、中団以降はかなり離れて、既に縦長となっている。
正面スタンド前。並びをざっと記してみよう。先頭変わらずシルバーハヤカゼ、じわっとマイペースに落としての走行か。1馬身差で次列。外にスターライトマルコ、内にイチノポリス。イチノの直後にサカノブルショワがいて、パッピーはこの外目、差のない5番手。ややあって外にハイメーカー、この同列から僅かに下がった内にベストイチ、彼にしては意外と前。ここで隊列が切れて、以下はぽつんぽつん。外にワールドアイ、トチノグレイスはこの後ろ。マルトウブルショワがケツ二で、殿がシゲルマーキュリー。

1周目(38KB)
最初の直線、先頭シルバーハヤカゼ
直後外2番手マルコ、画像右端5番手パッピー

1、2コーナーから向こう正面へ。先頭から好位勢までは、間隔がちょっと詰まったものの、中団以降の馬たちは、相変わらず前後間隔開いたまま。
3コーナーが近づく。ワシ注目のパッピー、彼らしいと言えばそれまでだが、このあたり、やっぱりズブい、モタモタしている。そうこうしているうちに、スターライトマルコが2番手からスッと先頭に立って、2度目の三分三厘、そのまま後続との差をじわじわと広げてしまう。ハヤカゼは次第に置かれていく。「何だよマルコかよ・・・」正直盛り下がって見届ける、4コーナーから最後の直線。
先頭スターライトマルコ。後ろとの差は3馬身はあろうか。完全に押し切り態勢。パッピーケイオーが四角2番手で回るも、藻掻いて藻掻いての見た目に割には、ちっとも前に迫ってこない。やがて馬場外目の五、六分どころ、ハイメーカーが差し込んでくる。中盤比較的好位から発進していた模様。これが残り50までに、パッピーを交わしてマルコに迫る。が、スターライトマルコ、ハイメーカーを1馬身凌いで、真っ先にゴールを駆け抜けた。終いはかなり楽走。

スターライトマルコ(35KB)
スターライトマルコ、ハイメーカーを抑えてゴールへ
馬体はとにかく長い!

2着ハイメーカー。パッピーケイオーは1馬身差の3着。パッピーの直後、大外をトチノグレイスがぶっ飛んで来たが、半馬身及ばず4着止まり。ベストイチは4番手で四角回ったが、グレイスに1馬身交わされ5着。シルバーハヤカゼは最後伸びずに6着。サカノブルショワも同様で7着。8着イチノポリスも先行脱落。9着ワールドアイ、中団から全く伸びず。10着シゲルマーキュリー、最下位マルトウブルショワはいずれも後方ママ。

また反省
スターライトマルコ、鞍上の石川浩文騎手は前中津所属。中津廃止に伴って佐賀に転じた騎手の、これが重賞初勝ちだそうだ。同時に管理している矢野久美師も中津から転じた調教師だそうで。以上はTienさんの御教授。というというわけで、今年も佐賀所属馬の勝利なり。シャインマンリーに続く、地元勢2勝目は成らなかった。
それにしても快勝だったなあ。2番手早め抜け出し、理想的な競馬だ。オカノヒリュウ産駒としては、ボールドヒリュウ、スカイプリティーに続き3頭目の重賞ホースとなった。意外にコンパクトでスリムな産駒が多い中で、この馬、馬体の雄大さに関しては、かなり父似だ思う。
ハイメーカーはまずまずの好位競馬で何とか2着。戦前距離を云々したが、よく考えれば、昨年大晦日のファン選抜アラブチャンピオン、距離二一五で2着だったんだよなあ。まあ、比較的若いこの馬が、地元最先着だったことは、ちょっとは意義があろうか。
パッピーなあ。勝負所でやたらズブくて、それでも何だかんだで終いまでという、このレースっぷりは以前と同じ。ただぁし!そのまま丸ごと、弱くなっているんだよなあ。まあ、盛りを過ぎた8歳馬に、多くを望むのは酷なんだけれど。それでも、この中に入れば、もうちょっとはやれると思ったんだけどなあ・・・しかも、勝たれた相手がマルコ、萎える。
トチノグレイスは勝負決しての追い込みで届かず。「前半いくら何でも離され過ぎだよな。長距離得意の追い込み馬にしても、あれじゃあ無理だって。最後もねえ、明らかに脚余してたじゃない。」と、栃さんがズバリ。確かに、かなり勿体ない負けだと思う。
反対にベストイチは、意外に好位寄りからの競馬。しかし却って末の斬れに欠けた感じ。シルバーハヤカゼは、距離二千であるからして、逃げ残れずとも文句は言えまい。ワールドアイは、ちょっと無理だよなあ。
馬券は大敗。パドックで目立った2頭での決着なんだよなあ。さりながら、雑多な先入観は、なかなか落とせぬもので、その通りには買えないな。特に今回のマルコはなあ。

おわりに〜思うところなど
何度も書いて、ホントに申し訳ないが、それにしてもスターライトマルコに勝たれるとは・・・この馬、佐賀所属とはいえ、つい2ヶ月前までは、福山のB級中位で「どうにかこうにか」といった程度の馬でずぜ。これに呆気なく負ける、荒尾A1のベテランさんたち、ズバリ、弱過ぎ!
福山B級中位といえば、2月の九州アラブ栄冠で勝った、ホワイトキャンプとほぼ同クラス。この勝ち馬と、3着に敗れた地元4歳ハイセイアポロとの着差は、7馬身。よって、ホワイトキャンプを間に挟めば、ハイセイより現状上位の4歳有力どころが、マルコに当たったとしても、ソコソコ渡り合えるという計算、充分成り立ってしまうんである。
ところがこのあたり、荒尾競馬のクラス編成って、全くそのように出来ていないのだなあ。
金持ちの高齢馬が続々移籍して来て、次から次へと上位格付けされる一方で、生え抜きの素質馬は、中級条件でいくら好走しまくっても、高額重賞一発当てでもせぬ限り(昨年のコウザンシンオーのように)、B1やA3あたりで出世がどん詰まってしまう。こうなると、クラス据え置きのくせに小金は貯まるので、賞金別定の負担重量は着実に増えて、結果、こんな条件で、A1連中よりも、日常的に重斤背負わされる、何とも割に合わぬ境遇に陥ることになる。例えばダイナマイトキング。昨年の九州アラブダービーを制して以後、今年も好調で、どんどん勝ち星重ねるも、B1に据え置き5回食らって、この間58kで2走もしているのである。
このあたり、Tienさんがバッサリ。「結局、こうした馬たちに対して、『現状がイヤならとっとと他地区に移籍してもらって結構』って感じだもんな、ここの主催者は。クラス据え置きの代わりにハンデも上げないならともかく、『出世はできない、斤量は増える』じゃあ、いいこと一つもない。」と。全くだ・・・

ここにおいて、どうしても触れずにはおれぬ件がある。すなわち、あのマルシンヴィラーゴの娘、マルシンランサーのこと。
彼女もダイナマイトキングと同様、B1ないしA3からちっとも上がれず、肥後さざんか賞の後、実に9戦現級に据え置き。この間、57kで2走、56kで5走。4歳牝馬が平場で背負う斤量としては、あまりに重い。そして前日の24日、メインレース立夏特別。2周目3、4コーナー中間で競走中止、故障発生で予後不良とのこと。荒尾競馬が、それも当地デビューとして得た、実力的にも話題的にも、全国に通用しようスター(スター候補と言うべきか)の、余りに短い馬生が終わってしまった。
故障の原因が、素人が口を挟めるような単純なものではないとは諒解している。亡くなった馬を引き合いに出す不謹慎さもわかっている。が、今後、彼女のような最後を遂げる馬、出て欲しくないから、敢えて書く。「この遠因、当地のクラス編成と不可分ではあり得ないんじゃないか。」と。ここにおいて、主催者さんには、そのあたりの見直し、強く望む次第だ。そもそも、面白いレース組むことは、そして客を呼び込むスターを売り出すことは、増収の為の主催者努力の一つのはず。「関係ない」とは言って欲しくない。

マルシンランサー(17KB) どうぞ安らかに。今頃は向こうで母と駆けているのだろうか?
最後に目にした、2月16日、最終レースにて。結果4着。

言いたいことは、シンプルに一つ。ファンの勝手な言い分、それでも結構。
「旬な馬の、旬なレース、普通に組んで、魅せてくれよ!」
イイカゲンツキアイキレナイゾ・・・ ←今回のレースの結論なり

2003.7.7 記

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