第29回金杯観戦報告
2003.8.15、福山、1600m
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はじめに〜出走メンバーについて
福山競馬のお盆開催、その目玉にして、"灼熱のマイル戦線"の頂点競走は、古馬重賞の金杯。特徴は二点。一つは福山マイラーズカップ共々、当地唯二つの古馬マイル重賞であるということ。そしてもう一点は、ファン投票を踏まえた出走馬選定方法。投票上位馬に主催者選考馬を加えて決定される。因みに
ファン投票の結果はこの通り
。
さて、その出走馬は内枠より以下の通り。出走登録馬だったホマレユウキと、補欠・予備馬待遇のラピッドリーランが回避したので、フルゲート割れで9頭立て。()内は騎手、性齢、斤量。
クールテツオー(鋤田、牡5、57k)、アイアイヤマト(渡辺、牡6、57k)、ユノエージェント(嬉、牡3、55k)、ホマレスターライツ(吉延、牡7、57k)、ホマレエリート(野田、牝5、55k)、ライトジュビロ(對ィ、牡7、57k)、ネーチャーフレンド(片桐、牡6、57k)、セブンアトム(佐原、牡6、57k)、モナクカバキチ(岡田、牡4、57k)
斤量は定量、古馬牡馬57kで、牝馬ホマレエリートと3歳牡馬ユノエージェントは2k軽い55k。
実はこのハンデも金杯の特徴。当地の競馬、特に上位勢にはあまり背負わせないので、牡馬57kという斤量は、日頃のレースに比して、かなり重い。
近走良積ある馬が目立つのは、このレースが"灼熱のマイル戦線"の総決算である証左だろう。その一方で、ネームバリューのあるかつての強豪が、近走成績とは関係なくここに混ざるのは、いかにもファン投票レースらしい。勝ち負けに足るかどうかはともかくとして、なかなかに面白い、いかにもクセのあるメンバー構成と見なせよう。単なるA1重賞では、こうはなるまい。
その中でも、勝負の中心にして注目馬はこの2頭かと。
まずは前年の覇者ホマレエリート。千六戦は恐ろしく強い、まさにマイルの女王。前開催のビーナス賞を楽勝してここへ。中11日のローテーションは一見タイトなれど、この連戦は予定通りだろう。陣営の腹積もりは、ビーナス賞の時点で「ホントの勝負は金杯」であったはず。
そして今年の福山ダービー馬ユノエージェント。3歳日本最強との呼び声も高い。瀬戸内賞圧勝の後は前々開催のA3・マイル戦で1走。これが前走で、持ったままでタイレコード出したそうだ。その評価、ますます上がる中、勇躍登場。3歳馬の出走は近年さほど多くはないが(昨年のダイニアキフジや'98年アキフジクラウン、'96年ダンディズムにダギロくらい)、いずれも古馬には通じていない。ここを勝てば、'94年にあのミナミセンプウが遂げて以来の、3歳馬による金杯制覇となる。
なお、ユキノホマレは、前週金沢セイユウ記念に遠征したので登場しない。尤も、彼にとってマイル戦は明らかに距離不足・守備範囲外なので、無理して出ることもなかろうが。
また、ファン投票3位のドリーミングの姿もない。金杯、出るものだとばかり思っていたのだが、何と、ビーナス賞の後、直ちに佐賀へ電撃移籍(小倉のushiken経由で情報取得。ネタの出所は
こちら
かと)。タマツバキ記念以後、戦績不振だったのは事実、ビーナス賞もよもやの5着。されど、まだまだ当地でA級張れるはず。「事情・背景は判らぬが、福山出すのは早いんじゃない?」、ちょっとショックだった。「A1陥落する前に去るというのが、美学だったのかな。」とは、擬人化過剰か。力士の引退でもあるまいに。
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当日の概況
今年の夏は全く天候不順。東日本の方がより甚だしかろうが、西でも然り。8月に入ってようやく真夏の暑さが到来したところ、前週後半の台風10号の襲来が真夏らしさを挫いた。おまけに前日、関西以西では大雨、しかも関西のそれは、真夏とは到底思えぬ冷たい雨で、まさに体感温度迷走の夏である。幸いこの雨は当日の朝早いうちに上がってくれて、競馬観戦に支障来すことなく済んでやれやれ。
曇天のもと、住処を出て西へ。福山着は1時半前。無料ファンバスは1時に終わってしまうので、路線バスにて競馬場まで。駅からバス停にかけて、"同志"ディープさんと"ザ・アラブファン"辻本くんと行き会って、自然合流。
現地の天気は概ねくもりだが、雲は薄いので空は明るい。直射日光に晒されることなく、また風もあるにせよ、拍子抜けするくらい涼しい。やっぱり福山でも夏が挫けている。真夏の福山競馬場といえば、逃げ場のない灼熱地獄というのが個性であるからして。
前日の雨が残って、馬場状態は朝から不良。砂がたっぷり水分を含んでいる。ただ、水の退きは着実で、昼過ぎの時点では、水が表面に浮いているのは外ラチ沿いにうっすらという程度。
前日は完全に先行有利の高速馬場で、加えて1番枠の連対連発だったようだ。この日も時計は若干速め、ただし前日ほどでもない。問題は展開傾向。"リーダー"前田っち曰く、「もうムチャムチャや。掴まれへん。」とのこと。比較的後方から差し届いてるようだ。
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パドックから発走まで
競馬場に到着したのが2時前と若干遅めだったので、ラーメン食ったり雑談したりと、ダラダラ過ごしているうちに、金杯のパドックタイムとなる。
1番クールテツオー。タマツバキ記念の後、そのまま福山に移籍。6月22日のA1・千八戦が転入緒戦だったが、逃げるもホマレエリートに捕まり、ユキノホマレの追い込みにも屈し3着だった。これが前走で、ここから2開催開いての実戦となる。被っているのは、園田時代トレードマークだった金ラメメンコではなく、白地に赤い縁取りのメンコ、頭絡はメンコのメンコの下。イライラした素振りも見せず、のんびり物見までしつつの周回。これを見てまりおさんとニーナさん、「こんなんテッちゃんと違うー!」。実入りは余裕を感じさせるほど充分だが、ちょっとトモのボリュームは落ちたか。
2番アイアイヤマト。層が著しく弱化した最近の兵庫中堅上位において良積重ね、いよいよS1に定着かという直前に福山へ。当地緒戦は5月24日のB1戦で2着。続く2走はA3戦で連続2着だったが、前々走B1戦と前走A3戦を連取してここに臨む。クラスは下だが夏の好調馬とは見なせよう。スラッとした首長胴長体型で、首を上下に動かしつつの周回、身のこなしのキビキビ感は目立つ。
3番がユノエージェント。馬体重500k、その値通りの大型馬。目方自体は2歳秋からさほど変わっていないものの、見る度に身が締まって、一層力強い雄大な馬格になってきている。茶色がかった濃い芦毛で毛色は綺麗ではないが、馬体張りは文句ない。時折頭をガチャガチャ振るくらいに元気いっぱいで、前に追い付きそうなほど気っぷよく歩いている。
4番ホマレスターライツ。6走前の5月4日、A2落ちした一戦ではあったが、実に1年11ヶ月ぶりに勝利でA1復帰。しかしその後の近5走は、3着8着9着7着7着と全く不振。'99年の楠賞馬も衰えは隠せぬか。さりながらファン投票では5位に入り、出走馬に選出された。良く言えばじんわりと、有り体に言えば覇気無いほどに全く大人しく、内々を周回。若い頃に比べて、馬体のフォルムは全体的にボリュームが増して、かつての研ぎ澄ましたような線の細さは全くない。黒鹿毛の馬体はピカピカ、張りも充分だが、歩様は浅くて力感今一つ。
5番がホマレエリート。いつも通り、やっぱり歩くのが遅くて、内々を回りつつも、前との間隔は次第に大きく開く。スラリとした首を前に出して、至極のんびりと進んでいる。毛艶は上々、相変わらずのスッキリスリムなフォルムで、無駄肉は全く感じられい。馬体重460kは前走比-1kで適正値だが、ちょっと後半身は細くなっているか。
6番ライトジュビロ。岩手アラブ最後の世代の1頭で、ホマスタと同じく既に7歳だが、その割にはまだ若々しいイメージ。前々走はA3まで落ちたこともあり2着、そして前走前開催のA2戦で勝利してここへ。予想紙も「現在体調は絶好。」と記す。胴の厚いガッチリ体型で、馬体張りは上々、肌艶もいい感じ。概ねのんびり歩いているが、トモの踏み込みはやや浅めか。
7番ネーチャーフレンド。今年度開幕以降、すっかりA1に定着。近2開催、マイルシリーズとなったA1戦を連取してここに。ホマレエリートやユキノホマレを欠いた、層が弱化した中でのこととはいえ、調子の良さと地力強化あってこそのことだと思う。鶴首美味になって、尻尾も振りつつ、気合いを表に出しての周回。身のこなしはキビキビしている。筋肉の締まりとフォルムの剛直さが目立つのは、この馬らしいところ。
8番セブンアトム。条件級からこつこつ出世して、堂々A1張って好勝負演じたのも2年前のこと。昨秋以降はすっかりA2A3ホースとなった感がある。3走前と前々走をA2で連続2着するも、前走前開催のA1戦では逃げて早々に沈み9着最下位。マイル戦は得意のはずなのだが、この程度にしか走れていない。「体調悪い。」と予想紙も記している。明るい栗毛で艶は悪くない。首差し細い胴長体型だが、胴回りの厚いのは個性。とにかく歩みがスタスタしている。
9番モナクカバキチ。素質馬との評判高かった昨年の銀杯ホースが、遂に古馬A1まで出世してきた。A1初挑戦は3開催前。ここは6着敗退だったが、前々走A2戦を勝ってすかさず巻き返し、前走A1戦でネーチャーフレンドの2着に好走し、ここに挑む。背垂れ気味で腰の力感の乏しい格好と、ソコソコにしか見えない肌艶は相変わらず。それでも3歳時に比べれば、馬体はカッチリしてきた方か。ガシガシと大股に踏み込み深く歩むのも個性。3歳途中からトレードマークだったシャドーロール、今日は装着していない。
本馬場入場から返し馬。クールテツオーが真っ先に登場し、入場口から即左折で一角方向にすっ飛んで行く。「おー!これぞテッちゃんやわ。」と、ここに兵庫時代と同じ所作を認めて口にするまりおさん。ユノエージェントが真っ先に、伸びやかなフォームでスタンド前にやって来る。次いでホマレスターライツが、バック半ばからグッとハミを取って鶴首になって、土下座走法で駆けて行く。真っ先に返しに入ったテツオーは、バックではダクになって、ユノとホマスタに抜かれて、ホームにやって来たのは3番目、軽く流して通過。ネーチャーフレンドはキビキビとした駆けり。モナクカバキチは強めに、上に跳ねる感じで滞空時間の長い走法。ホマレエリートは軽快に。最後にセブンアトムが。
予想紙上では、ユノエージェントの評価が断然。概ね本命ズラリ。圧勝続きの近況に、とにかく前走の、マイル戦タイレコード(1分44秒0!)駆けが効いているようだ。"同志"ディープさんですら、「ユノエージェント、見た目エエやん。勝つんとちゃうか(この発言、裏を返せば、事前の見込みでは「そうは思っていなかった」ということの現れでもある)。」と口にする。その一方で、意外に醒めていたのはオーナーの眞吾さん。曰く、「他人の馬だったら、客観的に『強いなあ』って思えるけれど、自分の馬じゃけ、周りに『凄い凄い』言われても、実感あまり沸かんのよね。金杯使うのだって、一月一走のローテーション守ったら、たまたまここになっただけで。」と。
そこでワシの予想。ユノエージェントは確かに底知れぬ感あるが、ワシは今回はホマレエリート全面支持で、こちらが軸。とにかくマイル戦の彼女は凄い。そんなに容易く、3歳ユノエージェントに負けはしないだろうと思うので。というわけで、両頭の馬複は保険で押さえつつ、勝負馬券はエリート→エージェントの馬単、裏は買わない。加えて、エリートから、モナクカバキチとネーチャーフレンドに。カバキチの中盤捲りはなかなかいいし、大外発走も願ったりかと。ネーチャーフレンドは息長い差し脚と、充実の近況を買って。「スタミナ派でマイル戦では忙しい。」との予想紙の評価とは逆に、ワシはこの馬、マイル戦も充分守備範囲だと思うし。あとはオマケで、「出来イマイチ」と予想紙は告げつつも、万が一好走されたらイヤなテツオーを少々。
馬券の人気は、ユノエージェントからが断然。ホマレエリートを軸にするだけで、見込み以上の好配当となる。さて、どうなることやら。
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レースなり
さてレース。距離1600mの発走地点は向こう正面中程。ここから1周半。
ゲートが開く。大外モナクカバキチが出遅れたか。さて前ではホマレエリートが、今日もドンピシャ好発決めて、一旦は先頭に。しかしながら、1番枠からクールテツオーが、発馬もまずまずで、その余勢を駆ってハナを奪いに出てくる。暫し2頭競り気味に進んだが、3コーナーまでに、ホマレエリートはすんなり控えて、これでクールテツオーが先頭に立った。ホマレエリートは離され過ぎぬ程度に間を取って、楽々2番手で追走して行く。さて注目のユノエージェント。発馬は並、ここから若干押されて前に出てくるが、前2頭に届くところまでは上昇せず、後続集団のフロント、3番手に座った。ホマレスターライツは三角までに、1頭ドカ遅れのポツン殿追走となっている。
正面スタンド前。先頭変わらずクールテツオー。そして2番手ホマレエリート、両者の差、四角回ってきた時点では3馬身はあったところ、ホームを進むに連れ、次第に詰まって、一角周回では、2頭ほぼ併走に。エリートを追って3番手にユノエージェント、ラインはエリートの外五分どころ。次列内にライトジュビロがいて、この外にネーチャーフレンドが併走。同列の内ラチ沿いにはアイアイヤマト。ネーチャーフレンドの後方外にはセブンアトムが、三分三厘まではユノに次ぐ先行体勢だったところここまで下がって。次いでモナクカバキチがいて、殿は変わらずホマレスターライツ。
正面スタンド前、先頭クールテツオー
2番手ホマレエリート、次列外にユノエージェント
1コーナーから2コーナー、先頭クールテツオーにホマレエリートが外から並び掛け、2頭馬体が完全に合って進行する。そして、向こう正面、3番手ユノエージェント以下との間隔はやや開いた。引き続き先頭2頭は併走気味に進むが、主導権握っているのはホマレエリートか。余裕綽々、いつでも交わせるといった感。
そしてバック半ば過ぎ、内クールテツオーの脚捌きに素軽さが失せたところ、ジワッとホマレエリートが仕掛け、三角前までに半馬身、ちょっとだけ先んじる。そしてユノエージェントが、満を持して自力で上昇、3番手以下の集団を置き去って前に迫る。
3コーナー、内のテツオーを可愛がりつつ、しかし抜け出さないホマレエリート。そしてここへ、ユノエージェントが外からぐいぐい迫る。その差半馬身、「追い付いてここから」というところ、ホマレエリートがスパッ!と加速。瞬く間にユノエージェントを突き放す。そのまま4、5馬身はリードを稼いで、三分三厘、先頭独走に持ち込んだ。ユノエージェントは追って2番手、クールテツオーはどうにかこうにか3番手死守。モナクカバキチが捲り気味に迫り、後続勢の前列まで。しかしながらネーチャーフレンドの動きは全く目立たない。
そして最後の直線。楽々とホマレエリートが逃げ込んでくる。最後まで足取りは確か。ユノエージェントが2番手で回って、諦めずに前を追う。これで2頭の間隔は次第に詰まってはくる。が、最後はホマレエリート、1馬身半差ながら、印象としてはそれ以上に完勝で、金杯連覇のVゴールを駆け抜けた。
ホマレエリート、完璧に走りおせてゴールへ
実に強い。痺れた!
2着ユノエージェント。中盤上昇したモナクカバキチが4馬身の3着。3馬身差の4着には、ホマレスターライツが三角8番手から追い込んで食い込んだ。ネーチャーフレンドは好位から大きく伸びずに5着止まり。クールテツオーは結局6着に落ちた。ライトジュビロは序盤先行の流れに乗りそびれ、ネーチャーと同列の好位維持から終い遅れて7着。アイアイヤマトは好位から中盤あっさり後退して8着。セブンアトムは先行競馬すら叶わず、早々に沈んで最下位。
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振り返って
勝ち時計1分45秒4は、この馬場にしても充分速い。同距離のビーナス賞より1秒1速い。馬場条件さえ整えば、このタイム、平気で叩き出すホマレエリートってホンマに強い。これで福山マイル戦では7戦全勝。うち金杯連覇とマイラーズカップの星を含むので、この1年強の間、マイルのオープン戦はほぼ一頭占めなんである。それにしても完璧な走りだった。レースのキモは2周目3コーナー。「さあらっしゃい!」と言わんばかり、ユノエージェントを待ってからスパートしたところ。瞬時にこれを置き去った様には、ホンマに痺れた。ニーナさんもまりおさんもゴールのシーンではびっくり。目を真ん丸にして口ポカーンの巻。
ユノエージェントは本命人気には応えられず。されど、古馬オープン級の力を既に備えていることは充分実証できたろう。「前半でんと構えて余裕で上昇していくという、何らしくじりのない乗り方ですよね。終いまでちゃんと走っているし。ただ計算違いだったのは、相手が想像以上に強かったってことで。まあ言い方換えれば、『相手舐めた』わけですけど。」とは、辻本くんが戦後言及するところ。
モナクカバキチはこの馬らしい捲り競馬。テンが悪いのは気性もあって致し方ないか。年下に先着許したのは面白くはなかろうが、今後A1に定着する、大きな足掛かりは築けたかと。出世競走ではユキノホマレに捲られた体裁だが、再度追いすがってきたわけで。秋以降の走りに注目。
ホマレスターライツは後半だけの競馬で4着。「パドックや返しの気配よかったからなあ。期待してたのに、スタートで終わりましたねえ。よく追い込んだけど。」とは辻本くん。どうやらここからスケベ馬券買っていた模様。マリオさんもスケベ馬券はホマスタだったようで。老いてもあのピカピカのルックス、やはりミーハー心をくすぐる。
ネーチャーフレンドは全く見せ場なく凡走。「何でこんなに不甲斐ないかなあ。マイルの持ち時計平凡ではあるけどなあ。」「地力上位の面々と当たると、結構"格負け"するクチなのかなあ。」などと、辻本くんと語らったが、結局のところ、どれも当たっているような。
クールテツオーは逃げて保たず掲示盤落ち。これは私見なのだが、現陣営、この馬のこと、逃げ馬だと思っているんじゃないか。園田所属で当地に遠征した2戦、全日本アラブグランプリとタマツバキ記念、いずれも逃げ競馬であったし。さりながら昨年来、好位競馬に脚質が変化しておるので、この先入観、捨てるべきだと思うのだが。まあ今日は1番枠だったので、先手の競馬も致し方なかろうが。「元々が状態と相談しつつ、間隔開けて使われてきた馬ですから、コンスタントに稼働すること求められる競馬場は、やっぱり合わないかも。それにしてもこの馬、岩田じゃないと走らんよなあ・・・」とは辻本くん。
狙った通りのホマレエリート勝利。2着ユノエージェントとの馬単で620円、裏目ならば210円だったわけで、非常にオイシイ結果となって、ワシは大満足。
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ちょっと注目の最終レース
最終第11競走がB1戦のあさがお特別。ここにドリーミングの全妹で前走ビーナス賞4着のアヤヒカリと、クールテツオーの全弟の3歳で、楠賞6着の後、兄を追うように福山にやって来たクールフォーチュンが登場。
クールフォーチュンは序盤先行も、正面スタンド前では埋没するように好位に。アヤヒカリは殿から、しかし隊列の間隔は詰まっており、先頭とは6馬身もない。そして向こう正面、アヤヒカリが捲って出る。三角では外から先頭に立とうかという位置まで。しかしながらここから一気に交わせず、また先頭ハッタアイランドが渋太く食い下がりトップを譲らない。競り合いながらの最後の直線、おまけに中団から上がったモリヒロシャープが内を掬って差し込んで、結局3頭の叩き合い。終い際どくなったが、クビ差辛うじて外アヤヒカリの勝利。2着内モリヒロシャープ、3着アタマ差ハッタアイランド。クールフォーチュンは中盤過ぎても上昇できず、結局好位維持のまま4着。
アヤヒカリ、これが昨年の福山3歳牝馬特別以来、実に9が月半ぶりの勝ち星。それにしても、あの捲り脚で勝負を決められぬとは。「見た目といいジリ脚加減といい、姉にそっくりやなあ。」と思わずワシ。「ホントだ。じわじわと交わすあたり、
ローゼンの時のドリーミング姉さんと同じ
。」とニーナさんも。
クールフォーチュンは着順ほどの見せ場もない走りで敗退。兵庫時代と同じ、金ラメで右目だけ深いブリンカー付いた耳なしメンコ装着で、しかしながら下に被った紫メンコの耳がニョキッと出ているあたりが奇異に映ったくらい。前々開催のB2戦が当地緒戦で2着、前走B1戦も2着だったが、ここで初めて連対落ちとなった。
アヤヒカリ、どうにかこうにか終い先んじる
姉にそっくりの泥浴びた差し切り
◆
おしまい
「ユノエージェント絶対」の前評判も、終わってみればホマレエリートの実力を追認せざるを得ぬ結果となった。中11日の強行ローテも何のその、サスガに"福山最強マイラー"、「強いものは強い」んであった。
「言うてもワシ、まだ3歳じゃけ。」
by舌出しユノエージェント
「ホマレエリートは強え・・・」
恐らく馬券を外したと思しき地元の濃い馬券オヤヂが、レース後吐き捨てるように言ったこのセリフが、非常に印象的だった次第。
「福山マイル、免許皆伝ぢゃ・・・」こんなニュアンス、そこに漂っていて。
2003.9.1 記
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