2003年度、南国乙女特別観戦報告

 2003.8.24、高知、1600m 但し重賞ではなく準重賞競走

はじめに
「夏は牝馬」
いわずと知れた競馬の格言である。「牝馬は夏により好走する。」というのが、勿論その謂いだろう。が、この格言があるからか、アラブ界には、夏場に牝馬限定競走が少なからず存在する。例えば福山競馬のビーナス賞とか。
高知競馬の南国乙女特別も、まさにこうしたレース。ビーナス賞と同様、彼の地唯一の古馬(3歳以上)牝馬競走である。レースの格付けは準重賞。非重賞ではあるものの、注目度と興味は重賞に比肩するあたりも、ビーナス賞と同じである。
このレース、現在に続く形のものとして成立してからの歴史は浅い(昔のことは知りませんが)。'01年夏、「南国乙女賞」の名で施行されたのが1回目であり(ワシの調べた範囲では。間違っていたらすみません)、今年で第3回となる。因みに昨年の2回目から、レース名は「南国乙女特別」に、微妙に変化している。

出走メンバーについて
さて、今年の出走馬は内枠より以下の11頭。()内は騎手、馬齢、斤量。
グレナクイン(西川、6歳、55k)、リーダーエース(赤岡、5歳、57k)、キノパートナー(古川、8歳、57k)、トチノリンボー(中西、7歳、55k)、チュウオーマイピヤ(堅田、4歳、53k)、ミエドルマン(鷹野、8歳、55k)、コウエイエンジェル(花本、6歳、57k)、スカイプリティー(明神、4歳、57k)、テイケイミチカヒメ(上田、4歳、57k)、クールリップ(中越、6歳、53k)、マスパスオール(倉兼、9歳、55k)
別定重量戦。どうやら番組賞金から算定されたもののようだ。

出走馬の選定はビーナス賞と同じで単純明快。現在稼働している古馬牝馬、格付け順に上からゴソッと動員。結果、上はA級最上位から、下はC級上位(当地のアラブ古馬クラス編成中、上から1/3くらいのところか?)までの牝馬が、一堂に会することとなった。中には、7歳8歳9歳といったベテランさんも混じっていて、「これで乙女はないやろ。」状態ではあるのだが。
牝馬に強豪のいない状況でこういった性格のレース組むと、層がスカスカの、何とも締まらないメンバー構成に陥りがち。が、現在の高知古馬戦線、最上級においても牝馬が健闘している。そして今回、有り難いことに、これらがあらかた登場してくれた。
前走A1戦を走った馬は4頭。すなわち、コウエイエンジェル、リーダーエース、スカイプリティー、テイケイミチカヒメ。そして重賞ウィナーは、コウエイエンジェル、スカイプリティー、テイケイミチカヒメの3頭。当然彼女らが、このレースの中心となろう。4頭ともハンデ57kと、かなり背負わされているにしても、だ。
それにつけても、高知の牝馬を語る際、未だに挙がるのはチュウオーパールのこと。昨年破竹の勢いでオープンまで出世して、「さあ南国王冠!」というところ、その目前に福山に移ってしまった馬である。快進撃の途上、前年のこのレースを制してもいる。移籍せず高知に残っておれば、コウエイエンジェルの天下もなかったやも知れず、今年のこのレースも、より厚みあるものとなったろう。「チュウオーパールがいればなあ・・・」は、"高知の主"もりも先生の、今や定番フレーズとなっている。

当日の概況
今回も、朝7時半に三ノ宮駅前を発車する高速バスに乗っての日帰り旅。今回もバスは順調に走り、11時前には、はりまや橋のバス停に。
バスを降りると、目前の路面電車の軌道上に、昨年導入された超低床車両"ハートラム"が停まっている。どうやらはりまや橋から南下して、桟橋方面に向かう便のよう。ワシ、実は路面電車好き、しかしながらこいつにはまだ乗ったことないので、思わず飛び乗って、岸壁通まで(仕業後車庫に入る便なので、路線の終点桟橋通5丁目までは行かない)の10分弱、その乗り心地を堪能する。低床部のロングシートに腰掛けると、目線がミニバンの運転席と同じくらいの、かなり低い位置になる。この目線位置、ノンステップバスの低床部席でのそれとほぼ同じ。とはいえ、軌道上をクルマに邪魔されず、また滑るような走行感も相まって、流れる景色と乗り心地の爽快さは、ノンステップバスとは雲泥の差、断然優る。
そして降りた電停から最寄りのバス停、桟橋通5丁目からファンバスに乗って、競馬場には正午前に到着。

梅雨明けが遅く、明けて以降も暑い日がちっとも続かない今年の夏であるのだが、前週の半ば過ぎ8月20日あたりから、再度暑く、いや、ようやく夏本番の暑さが到来した。当日の高知はドッカン晴天で猛暑。風はあるが熱風、これに当たってもちっとも涼しくない。が、この日は"アラブ応援家"3号馬さんの協賛レースがある日。3号馬さんの御厚意で、協賛者に付いてくる、来賓待遇のおこぼれに与らせて戴いたので、スタンド最上階、空調完備の来賓室にて、快適に過ごすことができた。アリガタヤ・・・
馬場状態はバサバサの良。レースの合間毎に、散水車が出動して走路に水を撒くものの、すぐに乾いてしまう。砂は結構深め。砂深い乾いた馬場であれば、「内が外より明らかに深くて、終い馬が伸びない。」というのが、当地の馬場の常態であるところ、この日はどういうわけか、イン差し決まったレースが2鞍もあった。
好位からレースを進めた馬の上位入線が目立つ。極端な逃げでは終いまで保たず、また極端な追い込みも全く決まらない。鍵は3コーナーでの位置取りのようで、この時点で余力残して先団・好位にいられれば、終盤勝負が叶うよう。序盤後方でも、中盤好位まで楽に来られれば、そこから捲り切るのも可能。因みにこれを実践して勝ったのが、第8競走、アラブC1戦のリーダー(馬)である。

パドックから発走まで
南国乙女特別は16時発走。3時半頃になって、ようやくそのパドック周回が始まる。
1番グレナクイン。胴回りは太いがトモは細め。前肢の捌きはギクシャクしている。明るい栗毛の艶はまずまず。前走前開催のB1・千六戦で勝利。
2番リーダーエース。首を下げて若干鶴首気味に、しかしじんわり大人しく歩いている。ややカチカチしたトモの歩様ではある。黒鹿毛の馬体にうっすら汗が浮かんで、見映えはする。ちょっと胴回りは重いか。前走前開催のA1・千四戦で4着。A級での勝利経験こそないが、この春以降なかなか健闘している。
3番キノパートナー。栃栗っぽいくすんだ栗毛で、艶の目立ちにくい毛色だが、発汗も充分で皮膚は薄そう。のんびり大人しく、周回速度は遅い。前走前開催のA2・千六戦で6着。
4番トチノリンボー。胸前は厚いがヒ腹はスリム、妙に脚長に見える。皮膚は薄そう、鹿毛の毛色をより濃く見せている。前走前開催のB1・千六戦で5着。
5番チュウオーマイピヤ。これも黒鹿毛の馬体が光る。スマートな首差しはスマノヒット産駒らしいが、胴は下がって余裕ありそう。外外を歩いている。前走前開催のC1・千六戦で2着。
6番ミエドルマン。426kの軽い馬体重通り、押し出し感ないこじんまりした馬体。内々をのんびり大人しく歩いている。ちょっと覇気に欠けるか。前走前開催のAB混合・千六戦で8着。因みに'01年このレースの勝者である。
7番がコウエイエンジェル。この馬らしいガチッとした体型だが、無駄肉なくスッキリした馬体で出てきている。元旦の南国王冠や3月の佐賀遠征の時は、冬場でもあり毛艶は冴えなかったのだが、そのあたり、今日は全く問題ない。トモの踏み込みが浅いのはこの馬の個性かと。それにしても歩みがセカセカせわしない。3月佐賀の西日本アラブ大賞典最下位敗退の後は、3ヶ月半実戦から遠ざかったが、6月22日のA1戦で復帰(2着)。その次が前々走でA2戦を勝ち、前走前開催のA1・千四戦で3着。休養前の「地元に敵無し」だった状態からすれば、まだまだ完調手前との感も。
8番スカイプリティー。入場早々からチャカチャカと小走りに、結局2周しただけで入り口脇に引っ込んで隔離される。これは以前も見られたこと。フォルムは相変わらずシャープ、遠目に見ると貧相に映るほど。「発汗が相当キツいですねえ。」とは3号馬さん。後日撮影した写真見直すと、特に胸前から鞍下が、汗に濡れて真っ黒になっている。前走前開催のA1・千四戦は7着止まりだったが、4走前と前々走で、A1戦を勝利している。殊に4走前はコウエイエンジェルを下してのもの、相手が休養明け緒戦だったとはいえ、これは評価できる。今やすっかりオープン主力の1頭だ。
9番テイケイミチカヒメ。馬体重481k、目方もあるが、この馬は見た目にホンマに大きい。首を高くして、物見しつつゆったり歩いている。身のこなしものびのびと。灰色芦毛の馬体は、4歳夏を迎えてもさほど白くなってこない。前走前開催のA1・千四戦で最下位11着。5月以降A1格付けされ6戦するも全て着外大敗。クラスの壁もあろうが、調子も底であるような。昨年末から春先にかけて、B級上位からA級に上がってきたあたりでは好調だったのだが。
10番クールリップ。明るい栗毛の馬体は毛艶上々で輝いている。ちょっと胴回りは余裕ありそうで、若干背垂れな感じ。前走前開催のC1・千六戦で勝利。
11番マスパスオール。首差しスラリで小顔、一見シャープでスリム、しかし胴のフォルムは四角い箱形、ホマレブルショワ産駒らしくはある。毛艶は非常にいい、9歳牝馬にしては上等。前走前開催のB1・千六戦で10着最下位。因みに兵庫デビューで、金沢、高崎を経て当地へ。「園田時代は平井厩舎所属ですからねえ(この厩舎「出走手当だけが目当てで、馬を使い倒す」と一部で有名)。山内主戦でっせ。」とは、"ザ・アラブファン"辻本くん。

どの馬も、概ねサラッといい感じで発汗しており、皮膚も薄そうに仕上げてきている。総じて好印象のパドックだったかと。
騎乗命令が掛かる。ここで、入り口脇に退避しているスカイプリティーが何度も立ち上がる。このエキサイトぶりは目立つ。

本馬場入場から返し馬。全馬整然と正面スタンド前を行進して、順回りに駆け出す。コウエイエンジェルが真っ先に馬場を1周して、馬場外目を、力強い駆けりで再度ホームにやって来る。リーダーエースはインコースを、まずまずの強さで。スカイプリティーは、鞍上明神騎手が何とか力を抜いて走らせようとしている感じ。テイケイミチカヒメは楽に、内ラチ沿いを流して行く。

予想。やはりA1格付け4頭、そのうちテイケイミチカヒメを除いた3頭の競馬だと思う。実績的にはコウエイエンジェルが断然ではあるのだが、まだ完調とも思われず、ここはスケベに、これが2着止まりとなるのを希望して。好走期待はリーダーエース、最近の好位・先行競馬はなかなか確実で渋太いので。というわけで、期待値の順に並べれば、リーダー、プリティー、コウエイ、となる。
されど、何だかんだ言っても、ワシの買い目も本命サイド。クラスの上下差が大きく、力もそれに比例していそうで、大荒れの線は薄そう。この状況のもと、"スケベ馬券師"の誉れ高い電設の男@ともろうさんすら「妙味ないからここは"見"。」。

レースなり
さてレース。距離は1600m。スタート地点は3コーナー、4コーナーに向いたポケット。ここから1周と1/3くらい。
ゲートが開く。大外マスパスオールが、アオり気味ながらもドッと前に出てハナを窺う。内からミエドルマンも好発で、フロントに顔を出してくる。テイケイミチカヒメはまずまずの出だったが、結局先頭は奪えず。そうこうしているうちに、二の脚ついたコウエイエンジェルが、3、4コーナー半ば、苦もなく先頭に躍り出る。誰もこれに絡んではいかない。
というわけで正面スタンド前。先頭コウエイエンジェル。ゴール板通過時点でのリードは1馬身半弱、花本騎手の手綱は張っており、若干掛かり気味なのを覚悟でじっくり抑えている感じ。2番手外目にマスパスオール。テイケイミチカヒメは直後さらに外で3番手。この同列内にミエドルマンがいて、リーダーエースはミエドルマンのさらに内、半馬身下がっての好位5番手。次列内グレナクイン、中チュウオーマイピヤ、スカイプリティーはこの外目中団位置。キノパートナーとトチノリンボーがこれを追って、殿はクールリップ。先頭から後方まで、まだまだ前後間隔はない。

1周目(34KB)
正面スタンド前、コウエイエンジェル
2番手マスパスオール、次列外芦毛がミチカヒメ

が、1、2コーナーから向こう流しへと進行すると、次第にコウエイエンジェルが後続との差を広げてくる。そのままバック半ばから3コーナー、ぼちぼち本気モードと言わんばかり、楽々後続を突き放し、これでもう勝負あり。最後の直線も独走のまま。2着に6馬身、1秒2差つけての圧勝劇。文章にすると、何とも味気なくって困ってしまう。

ウエイエンジェル(38KB)
コウエイエンジェル、逃げ切り楽勝でゴールへ
鞍上花チャン、思わず左手が挙がったか

さて2番手以下について。場面を向こう正面まで戻して。
バックに出た時点では、引き続きマスパスオールが2番手維持で、次いで外にミチカヒメ、内からリーダーエースが位置を上げて、ミエドルマンは一旦これらに遅れた形。この直後に、内からグレナクイン外からスカイプリティーが上昇ムードで。
バック半ばを過ぎると、チ切ったコウエイエンジェルを追って、リーダーエースが単騎抜け出し2番手に。マスパスオールは後退して、内ミエドルマン中ミチカヒメ外スカイプリティーが併走3番手。しかし三角前、ミチカがまず脱落。外スカイプリティーは差し脚開陳、先んじてリーダーエースを追う。ミエドルマンは一瞬遅れをとるものの、再度渋太く食い付いていく。
4コーナー、2番手リーダーエースの外に、スカイプリティーが取り付く。さらにリーダーエースの内にはミエドルマンもやって来た。最後の直線は、馬場の外目、3頭激しい叩き合い。残り50を切って、遅れたのは内ミエドルマン。中リーダーエースが踏ん張ったが、ゴール寸前、外スカイプリティーがチョイッと前に。結果クビ差先んじ2着入線。
3着リーダーエース。ミエドルマンは1馬身差の4着。グレナクインは前3頭をインコースで追い掛けたが届かず、2馬身差5着。以下、6着クールリップ、7着トチノリンボー、8着テイケイミチカヒメ、9着キノパートナー、10着マスパスオール、最下位チュウオーマイピヤ。

スカイプリティー(38KB)
スカイプリティー、ゴール寸前差し切り2着
内に隠れた3着リーダーエースが惜しい

コウエイエンジェル、恐れ入りました。「完調手前」も何もあったもんじゃない。やっぱり「強いもんは強い」のであった。正味なハナシ、最初の四角前で、難なくハナ獲った時点で、勝負決してしまったよな。表彰式での勝利騎手インタビューの際、花本騎手は「掛からないように気を付けて乗ろうと思ったが、やっぱり掛かった。」とコメントしていたけれども、これもこの馬の個性かと。別に逃げプロパーではないと思うのだが、フツーに走ってこの形になるのだから、それに逆らう必要もないわけで。
スカイプリティー、オープンで戦ううちに、ホンマに"差し馬"って感じになってきたような。シャープなフォルムも相まって、この脚質、合っていると思う。サスガに最上位で常時決まる保証はなかろうが、「隙あらば、スッパリいくわよ!という空気、漂う。
リーダーエース、惜しかったなあ。馬券的には2着残って欲しかったのだが・・・しかしこの馬、地味ながら、堅実で競馬巧いなあと思う。先団・好位からしっかりいい位置占めて、終い粘るという。
ミエドルマンは中盤ちょっと出入りがあったけれども、近況を思えば大健闘だろう。グレナクインはそれなりの差し競馬なれど、やはりスカイプリティーとは格の差が出たか。テイケイミチカヒメは凡走、個性すら発揮できず。やっぱり調子が・・・

注目の最終レース、古馬A1戦。南国スプリンター特別
さて、最終第11競走の古馬A1戦が、3号馬さんの協賛レース。距離1400m、当地ではオープンクラスでも、時折千四戦を施行する。今回は3号馬さんが「是非に千四戦で!」とお願いしたそうで。おかげで、協賛レース名(命名者は勿論3号馬さん)ズバリの一戦となった。

出走メンバーは内枠より以下の10頭。()内は騎手、馬齢、斤量。牝馬はメインレースに動員されたので全て牡馬。
マルジュウラッド(西川、5歳、55k)、エイランヒット(西内、7歳、55k)、サヤテンザン(古川、7歳、55k)、ニシキノマーク(鷹野、8歳、55k)、テル(緒方、6歳、55k)、インディシュート(☆上田、5歳、54k)、ダスティー(倉兼、7歳、55k)、サンユウラピート(☆堅田、7歳、54k)、ナスノセンプー(宮川実、7歳、55k)、マルサントウショウ(中西、7歳、55k)
斤量は別定とのことだが、一見全馬一律55k。上田騎手と堅田騎手は1k貰いの減量騎手なので、それが適用されて騎乗馬は54k。
これも好メンバー。注目馬を以下ざっと。
実績・実力上位は何と言ってもダスティー。されど、この重厚で不器用そうな追い込み馬に、千四戦は明らかに不向きかと。追い込み決まらぬ今日の馬場傾向も問題。マルジュウラッドは兵庫から移籍してこれで5戦目。前走前開催のA1・千四戦を、好位抜け出しで勝っている。ここまで通用するとは思わなかった。マルサントウショウは近3走全てA1戦で2着と好調のよう、しかしながら何故か毎回人気はソコソコの先行馬。インディシュートは一昨年の秋に兵庫から転じ、そこから昨年夏までにかけて、下級条件から勝ち星重ねた馬。前走前開催のA2・千六戦を勝って、今回A1初挑戦。

そのレース。距離1400mのゲートは4コーナーポケット。
前が一団の発馬のところ、最内からマルジュウラッドが、西川騎手に押されてハナに立つ。しかし単騎抜け出すわけではなく、外にナスノセンプーが併走2番手。さらにこの外マルサントウショウが3番手。インディシュートはこの後ろ好位。エイランヒットは意外にも中団より前。中団以降で隊列が切れて、後方からは3頭。テル、サヤテンザン、そしてダスティー。サスガに千四戦、ペースは淀みないようで、殿ダスティーも気合い付けられての追走。
向こう正面に出る。ダスティーはテルとサヤテンザンを抜く。そしてバック半ば過ぎあたりから仕掛け加減。一方前では、マルジュウラッドが先頭維持、中盤はゆったり走っていたが三角あたりでは叱咤されつつ。ナスノセンプーが2番手で続く。マルサントウショウの手応えが怪しい。早々に中西騎手のアクションが大きくなって、三分三厘では遅れ加減に。
その三分三厘、ダスティーが瞬く間に捲り上がる。4コーナーでは既にフロントまで。「これダスティー勝ってしまいそうなんですけど・・・」ボソリともりも先生。
そして最後の直線。マルジュウラッドが持ちこたえる。が、外からダスティーが追い付いている。そして残り100。交わし去って、終いは1馬身半抜け出す快勝。

ダスティー(40KB)
ダスティー、差し切ってV!
尻尾ブンブン振り回しながら

ダスティー、凄いな・・・距離千四も関係なし。ホンマに一気に捲り倒してるもんな。直線も斬れていたし。この馬は、ホンマに魅せる。
2着マルジュウラッド。ハナを切ったのは意外だったが、折り合い充分、よく残ったと思う。西川騎手は巧い。
3着差してテル。「ダスティー、テルまで連れてきたか。」とは辻本くん。ちょうどそんな体裁。4着先行粘ったナスノセンプー。これは近況思えば大健闘。逆に案外だらしなかったのは5着マルサントウショウ。6着サヤテンザン。インディシュートは7着止まり。思うように前の位置が取れていない感じ。8着ニシキノマークも同様。両頭A1戦の格を実感したか。9着エイランヒット。最下位サンユウラピート。
ダスティーは前記のマイナス要因で人気を下げていたので、この馬単、2,900円もついた。「最近のA1は、やっぱり荒れる。」とはもりも先生の語るところ。

おしまい
注目の二大レース、それぞれ実績馬が持ち味存分に発揮して制した形になった。逃げも追い込みも決まらない馬場のはずが、片や逃げ切り、片や捲り追い込み。「強けりゃ展開も馬場も傾向も関係ないのよ。勝つときゃこんなもん。」といったところでしょうか・・・

とまれ、これにて8月のアラブ競走観戦も終了。振り返るとこのひと月、牝馬限定戦2鞍の存在もともかくとして。それ以外の重賞、全てにおいて牝馬が大活躍。ホマレエリートは金杯完勝するわ、ホーエイトップは笠松オールカマー勝利に加えてセイユウ記念3着だわ、スターライトマルコもアラブ大賞典2着だわで。つまりは、
やっぱり、「夏は牝馬」なんであった。(←ベタ落ち!)

2003.9.10 記

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