第4回全日本アラブグランプリ観戦報告

 2003.11.30、福山、2250m

レースのあらまし、そして見どころなど
アラブ3歳、秋の全国交流競走、全日本アラブグランプリ。同じ3歳全国交流重賞である、園田初夏の楠賞が、兵庫のサラ化政策のもと、今年で最後となってしまい、また主催者自らの手で、その権威を失墜させられてしまった今となっては、名実共に、アラブ3歳頂上決戦となった。
前身である西日本アラブダービー(3歳兵庫以西交流重賞)からスケールアップして誕生したのが2000年。今年で第4回となる。過去の勝者は、ミスターカミサマ、フジナミスペシャル、ミスターサックス。初め2回は地元福山勢が連取。しかし昨年は1着から4着までを他地区勢が占め、地元馬は完敗だった。

さて今年。前評判としては、地元二枚看板優勢。すなわち、福山ダービー馬ユノエージェントと、鞆の浦賞馬スイグン。昨年の全日本2歳アラブ優駿の勝者クールフォーチュンも福山所属となり、地元3番手として控えている。
一方乗り込む他地区勢。楠賞馬サンクリントは、8月の古馬全国交流セイユウ記念アラブグランプリ6着敗退の後は実戦から遠ざかっており、不出走で残念。アラブ競馬を施行する競馬場、アラブ競走馬の数、共に減少しており、アラブ界の裾野が確実に縮まっている現実のもと、その面々、過去3年に比してちょっと小粒な感は否めぬか。さりながら、実績と個性を兼備した、楽しみな顔触れである。

当日の概況
事前予報ではこの週末は雨とのことだったが、その回復が早まり、当日の現地の天候はくもり。気温はソコソコ、ちょっと寒い。
前日の雨で馬場状態は朝から不良。直前に砂の補充があったようで、馬場は深い。特に目立つのはコースの内半分の深さ、表面に水が浮くに至らぬほどの含水力、それくらい深い。
差し決着もあったが、概ね逃げ・先行有利。「最後の直線外通って追い上げると、届きそうなのに意外に伸びないよねえ。」とは、環さんらの語るところ。

注目の第9競走
メインレース前の第9競走、C2の3組戦、距離1600m。ここに注目の1頭が登場。すなわちダイヘイゲン。昨年の道営2歳王者である。全日本2歳アラブ優駿にも出走予定だったが、脚部不安出て回避。3歳となった今季もそれが慢性化しているよう。道営唯一の古馬重賞にして今季唯一のアラブ古馬オープン戦である、門別のアラブ王冠をカムロギシンワの2着。これで今季の道営シーズンは終了。その後当地、名門弓削厩舎に転入、今日が福山緒戦である。状態に問題なく、元気に稼働出来たならば、道営代表として今日のメインレースに登場しても全くおかしくなかったのだが・・・
その実物。身のこなしは活気あってキビキビと。尻尾と顔だけちょっと白いが、他は黒褐色で、まだまだ芦毛に全く見えない。問題は馬体重。532kは前走比何と+16k、生涯最高値。値通り胴回りは太い。肌の張りはあるものの、肉感はタポタポ。予想紙読むと調教不足気味、やはり脚部不安かと思われる。
レースはブービー9着惨敗。序盤から追走に苦しんで、結局後方ママ。レースで勝負になる、息の保ちや馬体の仕上がりには程遠い、というのが感想。個人的にはこの馬、昨年門別の鳳凰賞で目にして、限りない可能性を抱かされた、超注目馬であるので、この現状、かなり泣ける・・・

全日本アラブグランプリ、出走馬とそのパドック
ダイヘイゲンの悲しい走りを見届けて、人混み掻き分け慌ててパドックに。"リーダー"前田っちやまりおさんニーナさん環ちゃんらの一群に混ぜてもらって、メインレースの出走馬を待ち受ける。
1番高知のエスケープハッチ。彼の地の三冠第一弾マンペイ記念の勝者。この後休養してしまい、南国優駿は不出走、休み明け2戦目の荒鷲賞は4着。当初高知からはチーチーボーイが出走予定だったが、これが回避したので代わって登場。これを歓迎する声は多かった。馬体張り上々。踏み込みもいい。大きく見せる。前回目にした荒鷲賞の時より、フォルムが格段にシャープで好印象。キビキビとした身のこなしだったが、周回後半さらに気合いが乗った。
2番兵庫のミハラエンペラー。下級条件からの連勝馬として臨んだ楠賞は7着。以後10戦6勝2着4回の好成績で登場。しかしながらこれは中堅条件でのこと、層の弱化した兵庫アラブ界の現状を思うに、本当の実力は未知数。馬体重517kの大型馬だが、異様に胴長。「ゼッケンより後ろにはみ出る(胴の)部分がムチャムチャ多いよね。」と環ちゃんと言い合う。首も長いが角度は高め。のんびりと落ち着いて周回。トモの踏み込みは大股で深い。
3番佐賀のヤングシャイン。デビューから6連勝して地元2歳重賞はがくれ賞に臨むも、キヨノサウンドに3着敗退。結局以後白星なく、荒尾記念も5着。全国交流出走に足る実績・実力を有するかは、正直怪しいのでは?と思われるが・・・首差しが細く、また皮膚薄そうな明るい栗毛の毛色も相まってか、馬体はスッキリ見せる。腹回りはポコンとしているが張りはまずまず。が、485kの馬体重の割には、押し出し感が全くない。キョロキョロしつつ、遅い歩み。気配はちょっと散漫。
4番地元クールフォーチュン。鞆の浦賞3着の後は、連闘で11月2日のA3戦を使い圧勝、そしてここに。馬体重449kは生涯最高値。されど太め感は皆無、数字の分だけガッシリ実が入って、まさにこの秋の成長の証かと。トモもよく踏み込んでいるし、適度に気合いも乗っていよう。この大人びた様に、まりおさんニーナさんは「エーこんなんフォーチュンと違うぅ!」と漏らすが、環ちゃんとワシ、声を揃えて「全然イイやん。」とズバリ。
5番荒尾のワタリタキオン。上山デビューで今年1月から荒尾所属。荒尾記念を本命ツルギビックワンを下して制し、一気に九州3歳トップに。以後6戦全勝。11日前の地元3歳重賞肥後さざんか賞、出れば確勝のところ、これを蹴ってまでの攻めの参戦である。パンパンの馬体張り。大股で歩様も力強く好印象。周回を重ねるに連れ、どんどん気合いが乗ってくる。が、2歳時相当煩かったことを思えば、よく抑制されていると思う。「ワタリタキオン、イイ馬やん。」とは"同志"ディープさんも。
6番地元ユノエージェント。相変わらずデカい。じんわりしつつも気っぷ良さは感じさせる周回。馬体張りと実入りは充分。前走鞆の浦賞ではスイグンに交わされ敗れたが、実力は全く負けていない。注目は鞍上嬉騎手の乗り方・戦法かと。果たして鞆の浦賞と同じく逃げを打つのか?はたまた番手競馬を選ぶのか?鞆の浦賞の後、嬉騎手は「何が何でも離して逃げる。」と言及したらしいが、ホンマにそうなるのかどうか。
7番ミルフィーユマリモ。10月から名古屋所属だが、上山代表と表現した方がしっくりくるような。昨年の全日本2歳アラブ優駿を、そして今年の楠賞を共に2着した実績馬である。名古屋緒戦がいきなり重賞帝冠賞で4着、以後A2戦で2走して連勝。馬体重が430kを越えているのは、少しでも目方増えた方が望ましかろうクチだとおもわれるのでやれやれ。実際、414kの激細馬体だった楠賞時よりは大きく見せている。身のこなしもキビキビと。ただし、腹回りにかなりの冬毛。よって正直見た目はイマイチ。
8番地元スイグン。パンパンの実入り、ピッチピチの馬体張り、黒光りする肌、ルックスは文句なし。鞆の浦賞時はかなり大人しい気配だったが、今日は気合い乗りも充分。と言っても楠賞時ほどは激しくもない。楠賞では2着入線しつつも、1周目三角でブラウンブルドンの進路を妨害して、これを競走中止せしめたとして、悪夢の失格。しかしこの後は5戦全勝。着実に出世の階段を上がってきた。
9番地元ラピッドリーラン。前走は福山3歳牝馬特別、出遅れて逃げ損ない、イケノスカレーに敗れたが、最後の差し脚は、地力を改めて示したものだった。馬体重456kは+15k、さすがに胴は重そうだし、これまでのこの馬より大きく見える。冬毛気味になっているが、昨晩秋から今年春先まで、寒い時季はだいたいいつもこうだったと記憶している。
10番笠松のヤマノユーノス。今季前半は東海の3歳重賞3つを総取り、そして楠賞3着。が、9月以降勝ち星なし。古馬オープンに通じないのもともかくとして、3歳重賞帝冠賞でも3着敗退したのはいただけなかった。馬体の張り艶はいい。結構激しいクチのこの馬としては、まずまずじんわり歩いている方かと。二人曳き、メンコ二重被り、ハートハミ、引き返しと、対策は過剰なほど。トモの踏み込みは浅いか。気になったのはパドックメンコ、黒地に青の水玉模様、これは去年の全日本2歳アラブ優駿5着時の柄と同じ。今季前半では見られなかったものであり、正直「縁起よろしないんとちゃう?」と。
エスケープハッチ(42KB)
エスケープハッチ、パドック
高知の雄、シャープに仕上げられ好印象
クールフォーチュン(30KB)
クールフォーチュン、返し馬
鋤田騎手、掛かり癖と刺さり癖をどう宥めて乗り切る?

レース模様
さてレース。距離2250mのスタート地点は4コーナー。ここから2周と少し。ホームストレッチを3度通過する長丁場。
ゲートが開く。出遅れ癖あって発馬が注目されたのはヤマノユーノスとラピッドリーランだが、両者ともすんなり出た模様。ヤマノユーノスは好位に。そしてラピッドリーランはハナを主張して前へ。ところがそれはすんなり叶わず、ユノエージェントが猛然とフロント取りに出てくる。嬉騎手は出鞭までくれていたらしい。結果最初のゴール板前までに、先頭を奪ったのはユノエージェントの方。ラピッドリーランはその外半馬身弱下がって、絡み気味に2番手。ややあってスイグンが、願ったりの先行3番手にドッカリと。その外にヤマノユーノスが続き、クールフォーチュン、ミハラエンペラーはやや下がった好位。

最初の直線(33KB)
スタートして150m、最初の直線
徹底先行でユノエージェントがハナに。外に絡むはラピッドリーラン。

レース1周目、前2頭ユノエージェントとラピッドリーランはガンガン飛ばす。3番手スイグンとの間は相当開く。
そして2度目の正面スタンド前。ユノエージェントが頑固にハナを堅守し、2番手ラピッドリーランとの間合いを広げた。スイグンは変わらず3番手、先団の前列。片桐騎手、手綱ガッチリで折り合いは申し分なし。1馬身程下がった次列、内にヤマノユーノス、外にクールフォーチュン。この両者、1周目前半とは内外入れ替わっている。次いでミハラエンペラーがいて、ミルフィーユマリモもこの一群で好位追走。この馬の道中としては結構前々の競馬。以下は後方勢、ワタリタキオン、エスケープハッチ、そしてヤングシャイン。タキオンの位置からスイグンまででも、相当距離がある。
2度目のバック。ラピッドリーランが早くもペースを鈍らせて、ここでユノエージェントが独走態勢に。このまま3コーナーを回ろうかというところ。しかしながら前半のオーバーペースが祟ったか、更に脚を伸ばすことは出来ない。一方後方からは、満を持してスイグンが進出開始。バック半ばから、自力で動いてエージェントを追う。三角回って、エージェントに急接近。そして三分三厘、失速しつつあるユノエージェントを、「グシャリ」とばかりに粉砕。外から一気に葬って、これで勝負あり。最後の直線は余裕の独走。2着に6馬身差を付けて、圧勝で3歳日本一の座に君臨した。

スイグン、ゴール前(31KB)
スイグン、独走でゴールへ
2250m走破しながら、楽々な感じに見えるぞ。

さて2着以下の争い。時間をちょっと戻して。仕掛けたスイグンを追って、この直後だったクールフォーチュンもスパート。パワー差が故、スイグンに離されてはしまったものの、三分三厘押し上がって、四角周回では、売り切れたユノエージェントを交わして2番手に。フォーチュンを猛追してきたのがワタリタキオン。2コーナーでは後方7番手も、ここから急上昇。四角手前までに、フォーチュンの直後にまで急接近。そして最後の直線へ。クールフォーチュンの脚いろも確かなれど、勢いあるのはやはり追う側ワタリタキオン。しかしながらタキオン、フォーチュンの真後ろを追い掛けて来たが故、走るラインが同じまま直線を迎えてしまい、進路切り替え外に持ち出さざるを得なくなってしまうロス発生。それでもタキオン、フォーチュンを追い詰め、馬体が重なる体勢にまで持ち込む。が、クールフォーチュンも終いまでしっかり踏ん張って、半馬身差ワタリタキオンを振り切った。

ワタリタキオン(35KB)
2着争い、外からワタリタキオンが迫るも・・・
惜しくもフォーチュンを交わせず。追い込んで馬体は砂まみれ。

ユノエージェントはどうにかこうにかの4番手、そのままゴールに辿り着くかというところ、その寸前、エスケープハッチがすっ飛んできてこれを交わして4着獲り。ユノエージェントはまさかよもやの5着落ちなり。
  1着 8◎スイグン      福山 牡3 55.0 片桐正 千同武 502 +7 2人 2:34:2
  2着 4 クールフォーチュン 福山 牡3 55.0 鋤田誠 鋤田久 449 +6 3人 2:35:4 6
  3着 5▲ワタリタキオン   荒尾 牡3 55.0 吉田隆 宇都徳 441 -2 7人 2:35:5 1/2
  4着 1 エスケープハッチ  高知 牡3 55.0 西川敏 田中譲 470 -5 8人 2:36:0 21/2
  5着 6○ユノエージェント  福山 牡3 55.0 嬉勝則 番園一 504 -3 1人 2:36:0 クビ
  6着 7▲ミルフィーユマリモ 愛知 牝3 53.0 吉田稔 錦見勇 431 -1 5人 2:36:6 3
  7着 2 ミハラエンペラー  兵庫 牡3 55.0 小牧太 謝良文 517 -1 6人 2:38:6 大差
  8着 3 ヤングシャイン   佐賀 牡3 55.0 倉富隆 高砂哲 485  0 9人 2:40:9 大差
  9着 9 ラピッドリーラン  福山 牝3 53.0 佐原秀 那俄哲 456+15 10人 2:41:0 クビ
  10着 10×ヤマノユーノス   笠松 牡3 55.0 東川公 今井孝 484 +1 4人 2:41:2 3/4
    (予想印はワシの現地最終判断)
レース終わって、各馬を振り返る
スイグン(1着)
ライバルたるユノエージェントのハイペース逃げを前に、自身は悠々先団に。長丁場であっても折り合いに問題ないのは楠賞で実証済み、今日もバッチリ。エージェントが自滅してくれて、労せずこれを捉えた図となった。そうであったにしても、自ら動いて前に迫れるのは、地力あればこそのこと。鞆の浦賞の観戦記でも書いたが、勝負賭けてからのこの馬の走りは、ホンマにパワフルであるし、行き脚に斬れがある。お見事!
それにしてもこの日の彼、パドックにしても返し馬にしてもホンマに絶好だった。「スイグン見た目凄かったもん。『ああ、やっぱり勝ったわ。』って納得したわ。」と、ニーナさんまりおさんらも脱帽の模様。そして絶賛。曰く、
「何とも麗しいお姿だわ・・・」
クールフォーチュン(2着)
秋になってからの地力強化は顕著。されど掛かりがちで、加えて内に刺さる癖があり、道中スタミナロスの多かろう走りだというのがワシの認識。が、今日の道中この馬にしてはスムーズで、最後の直線も比較的まともに駆けた。結果、想像以上の逞しさで、最後まで乗り切った。因みにワシ、「この馬の走りじゃ終いまで保つまい。」と思って、馬券戦略は無印評価。よって大外れ。
ワタリタキオン(3着)
「パドックはまともに歩けるようになったが、返し馬は危なっかしい。」と見込んでいたのだが、今日は何とか無難に入場してキャンターに下ろせた。道中は後方。あの位置からよくぞここまで押し上げた。この馬もホンマに力ある。なお、このレースの3着賞金は180万円。肥後さざんか賞の1着賞金は150万円。「濡れ手に粟」だった地元重賞を蹴ってまでここに挑んだ甲斐、まずはあったかと。それにしても勿体なかったのは、前述の通り最後の直線、ライン変更でのロス。あれがなければフォーチュンを差し切れていたかも。が、勝負は勝負、結果は結果。
エスケープハッチ(4着)
これも中盤までほとんど殿に近い位置から、終いの追い込みでここまで迫った。追い込みプロパーではないので、前半の後方位置は、追走に苦労したが故とも思われるところ。元来が走りに斬れのあるクチのようなので、この好走が叶った感じではある。西川騎手らしい、鋭い騎乗であったとも。このレースの4着賞金は120万円。地元三冠重賞総ナメしても稼げぬ額であるので、この馬も遠征大成功といったところ。
ユノエージェント(5着)
嬉騎手、宣言通りホンマに逃げてしまった。それも頑ななハイペース逃げ。あれで終いまで押し切れる自信、あったのだろうか?御本人の談、聴きたいところだ。結果完全なる騎乗ミス。いっくら何でもあれじゃあ止まる。「ラピッドリーランが絡み過ぎ。あそこは佐原が退くべき。」との声もあったが、ラピッドリーランとて逃げ馬、その存在・出方は折り込み済みで乗るべき。言い訳にはなるまい。「あーあ、嬉、賞金1200万円を60万円にしてしもうた・・・」とは"福山駐在"おさるさんの切り口、こう表されると、彼のしくじり、実に生々しい。
ミルフィーユマリモ(6着)
前述の通り、道中は好位、比較的前々の競馬。しかしながら後半の伸び脚に全く欠けた。道中後方からでも、必死になって追い込んできて、大一番であればあるほど、上の着順を獲る"根性走法"こそが彼女の真骨頂。その個性からすれば、今日は全く案外だったかと。
ミハラエンペラー(7着)
まずまず好位でソツなく進めるも、勝負所からは印象極薄。自分の位置を守っただけの競馬になってしまった印象。まあ、こんなもんだろうとは思われ、その評価からすれば、よく走ったのではないだろうか。
ヤングシャイン(8着)
出走履歴を見るに、当初は先行馬だったはずなのだが、近走は概ね後方からの競馬。今日も然り。結局、出走するレースの流れに、付いていけていないということなんじゃないか。今回初めて目にした馬のことであるので、あまり偉そうには書けないけれど。
ラピッドリーラン(9着)
主戦片桐騎手がスイグン騎乗で乗れぬので、今日は自厩舎の佐原騎手騎乗。スタート決まっただけでも何より。好発ならば逃げたいのは当然のこと。ユノエージェントを潰した一因と見なすのは酷。サスガに2周目二角過ぎで脱落したが、彼女にとって二二五は明らかに長い。致し方なかろう。
ヤマノユーノス(10着)
出遅れなくスタート決めた。すんなり好位に収まった。と、前半の走りは特段問題なかったろう。戦前の気性の激しさを思えば、若干の掛かりっぷりも想定されたこと。それにしても最下位とは・・・いくら秋になって勝ち星なく、成長度に疑問符付くとしても、これは負け過ぎ。「2周目向こう正面で、もうアレアレって感じで売り切れちゃったもんな。」とは、"東海の好漢"おーたさんの観察。
スイグン、レース終わって(38KB)
口取り終わって、ファンの前に姿披露のスイグン
納得。

おしまい
最後に、再びスイグンについて。馬主の村上さんは、「スイグン」の冠名で知られる方で、その所有馬は「ナントカスイグン」といった具合に名付けられている。
ここにおいてこのスイグン、冠名ズバリの、まさに「ザ・スイグン」であるわけだ。馬主さんの期待は想像に難くない。あのエイランボーイの全弟でもあり。そしてその偉大なる兄と同様、3歳春を越えて急成長、トップホースの仲間入りを果たした。
されど、今回の圧勝も、彼にとってはまだまだ通過点かと。これだけ強い走りを見せつつも、鞍上片桐騎手、レース後「この馬、まだ最後まで本気で走ったことない。」と豪語していたそうで。

さて今後。実は今回のレース、勝ち馬には正月の福山大賞典への出走権が与えられるそうで(他地区馬が勝ったらどないするんや?という疑問・突っ込みも沸くところだが)、さし当たっての目標は、この福山"頂上決戦"大賞典となろう。
馬主が村上さん、名前がスイグンとくれば、想起されるのは勿論、瀬戸内に名を轟かせた村上水軍。負うたその名に相応しく、来春早々、瀬戸内完全制覇、果たして成るか?その目、充分あろう雰囲気は、大いに漂うぞ。
そしてその決戦の舞台にて立ちはだかろうのは、ディフェンディングチャンピオンの最強ステイヤー、御存知"瀬戸内の鬼脚"、そう、ユキノホマレ――


ちょっと付け足しまして。
実はこの観戦記にて、念願の200本執筆達成でございます。'00年1月2日のアラブギフ大賞典からスタートして、100本目が'02年1月20日の福山新春賞。そして今回、ようやくのことで200本になりました。
書かれた重賞の日程としては、最初の100本は2年と1月弱で達成、101本目から200本は、1年と10ヶ月強で押し切ったこととなります。このあたり、ワシの"アラブの亡者"ぶりが、時を経るに連れ甚だしくなっていることが、よく現れているのでは。
その一方で、11月30日の重賞の観戦記が、その後2ヶ月経っても書き上げられないあたり、もうアップアップになってきている近況も、滲み出ていますなあ。
さてこの先、一体どうなることやら。
ホンマ自信ないわ・・・

2004.2.4 記

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