観るべし!!兵庫大賞典2000
2000.5.5、園田、1870mにて開催予定
――今年もやってくる、兵庫アラブ、春の頂上決戦、兵庫大賞典―― |
であるのだが、今年より距離が1870mに短縮。「最強馬決定戦は長距離でなければならない、それが伝統と格の重み。」であるとは山ちゃんのみならず私も大いに思うところである。(「兵庫大賞典は園田の春天、紛れのない長距離を一流馬が、がっぷり四つの真っ向勝負で争ってこそ、そこにレースと勝利の重みがある、距離二千に短縮した秋天を見よ、レースの格、カターンではないか、千八の大賞典、そんなもの大賞典に非ず」山根先生の持論である、これは先生直々に)
などど思っていたところ、どうやらアラブでの大賞典はこれが最後との情報が漏れ伝わってきた。「それやったら今年くらい二四でやれ」環さんのみならず考えるところである。
とまあ、兵庫のアラブのレースを記そうとすると、いつも話題の"ツカみ"は面白くないネタばかりになってしまって嫌なのだが、気を取り直して。
兵庫のアラブを巡る状況は寒いばかりだが、それでも大賞典は開催される。距離が一八七ということで、出走登録馬の数も集まり、賑やかなレースになろうかと。その登録馬、メンバーを見渡すに、お休み中の"王者"エイランボーイ(御意見無用!)、丸一年間音沙汰無しのサンバコール、播磨賞で頓挫したやも知れぬノースタイガーを除けば、まさに古馬最強のラインナップ。春の頂上決戦のフレーズに不足無し。
というわけで、その大賞典を、無理から盛り上げんと、アラブ主義者のあがきの文章、記させていただきます。
本番の大賞典に先立ち、4月中に古馬オープン戦が二鞍行われたので、それをダイジェストで振り返りましょう。(深夜の「園田競馬ダイジェスト」のダイジェストです。非現場主義的記述、ご容赦)
◇4月12日(水)園田 第8競走 1870m (別定重量)
(2周目三角より)先頭はニシノハクリュウ2番手外シャインマンリー、その後ろ内アローパッション、その外ヨシゼンがもがき外マノノトップガン、この大外をカズミサチフジが後方から矢のように駆け上がる。最後の直線ハクリュウまだ粘る、内を掬ってアローパッション、ハクリュウの外直線入り口でもたついたシャインマンリーが再度伸びる、カズミ大外も突き抜けない、ここまでゴール前殺到、さあどうだ?というところ、アローとハクリュウの間を割って素顔のヨシゼンがアタマをねじ込みクビ差V。1着ヨシゼンから5着カズミまで1馬身以内の大激戦。
☆ポイント
ヨシゼンに復調の兆しと走る気がみられたのが第一。メンコを付けずに出走には驚き。本番はいかに?シャインマンリー、ニシノハクリュウとも先行して最後まで脚が鈍らず。本番の、前にサンダー後ろにワシュウの展開でどう持ちこたえるか。アローパッションはツボにはまった感。カズミ、ロングスパートで今回は直線斬れ脚及ばず、というか前の他馬も止まらず速かった感。こうなると苦戦か?本番は更なる脚を披露できるのか。マノノ、道中好位で巧くレースを運ぶも四角からの激しい流れに置いていかれる。まだパワー不足は否めぬか。
2000年4月12日(水)園田 第8競走 1870m (別定重量)
着 順 | 枠 番 | 馬 番 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 厩舎 |
馬体重 | タイム | 着差 | 人 気 |
1 | 7 | 7 | ケイエスヨシゼン | 牡 8 | 59.0 | 岩 田 | 保利照 |
507 +7 | 2:03:7 | | 3 |
2 | 8 | 9 | シャインマンリー | 牡 6 | 55.0 | 永 島 | 上田二 |
486 0 | 2:03:7 | クビ | 5 |
3 | 5 | 5 | ニシノハクリュウ | 牡 5 | 55.0 | 松 平 | 山 元 |
467 -2 | 2:03:7 | アタマ | 4 |
4 | 4 | 4 | アローパッション | 牡 6 | 54.0 | 上 川 | 橋本和 |
450 -2 | 2:03:7 | アタマ | 7 |
5 | 2 | 2 | カズミサチフジ | 牡 5 | 54.0 | 赤 木 | 森 沢 |
467 +7 | 2:03:8 | 1/2 | 1 |
6 | 3 | 3 | マノノトップガン | 牡 5 | 53.0 | 小牧太 | 渡 邊 |
494 +8 | 2:04:1 | 11/2 | 2 |
7 | 8 | 8 | マイクリス | 牡 6 | 55.0 | 木 村 | 森 沢 |
505 +6 | 2:04:1 | クビ | 6 |
8 | 1 | 1 | ハッタグレード | 牡 7 | 53.0 | 谷 川 | 利国彦 |
477 -2 | 2:04:4 | 11/2 | 8 |
9 | 6 | 6 | イチノタイトル | 牡 6 | 54.0 | 米 田 | 前 田 |
485 -2 | 2:05:3 | 6 | 9 |
◇4月20日(木)園田 第10競走 1870m (定量)
平然とトライバルサンダーがハナ、2番手オカノテイセン、メドウ好発から3、4番手、イムラッドシンゲキが1周目三、四角から掛かり気味にオカノテイセンを交わして2番手にいってしまう。メドウの外にアドミラル、内ユタヒロ、マイクリス今日は積極的に中団外、最後方ベストスイセイ。2周目向こうでイムラッド売り切れ、アドミラルが待ちきれず押し上げる、同時に内からユタヒロ、テイセンはやや後退、メドウ相変わらず好位置キープで機を窺う。いつの間にか最内をベストスイセイがするすると上がる。最後の直線、サンダー先頭であとはゴールへ一目散。結局発馬から後続他馬とほとんど絡んでいない。別次元の走り。2番手で直線を向いたアドミラル、インのベストスイセイの伸びがいい。四角外に張ったメドウがアドミラルの外から、その大外ゴール前マイクリスも。内外広がった2着争いは結局メドウ。
☆ポイント
サンダーの強さは抜きん出ている。何も言うことはない。メドウ流れにうまく乗れた。復帰緒戦としては上出来か。ベストスイセイはしてやったりのレース運び。但し前哨戦で手の内見せたとも。アドミラルはS1で豪脚が直線維持できるかが鍵。道中燃えすぎると直線苦しいか。今回のマイクリスは道中のやる気も最後の追い込みも近走のベスト。この調子で本番も。オカノテイセン、勝負所で他馬の寄せが激しいハイペースになるとスピード不足か。イムラッドシンゲキは掛かったのか岩田が脚質試したのか姫路の前走とはうって変わって逃げバテ。試走のつもりか姫路巧者なのか?ユタヒロ向こう流しから寄せは良かったが直線伸びず沈没。単に無駄に出入りが激しいだけなのか。
2000年4月20日(木)園田 第10競走 1870m (定量)
着 順 | 枠 番 | 馬 番 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 厩舎 |
馬体重 | タイム | 着差 | 人 気 |
1 | 4 | 4 | トライバルサンダー | 牝 6 | 56.5 | 田 中 | 田中道 |
509 -2 | 2:01:5 | | 1 |
2 | 6 | 6 | ヤングメドウ | 牡 7 | 55.0 | 永 島 | 森 沢 |
454 +7 | 2:01:9 | 21/2 | 5 |
3 | 8 | 11 | ベストスイセイ | 牡 7 | 52.0 | 下 原 | 寺 嶋 |
486 -4 | 2:02:0 | クビ | 10 |
4 | 5 | 5 | アドミラル | 牡 7 | 53.0 | 平 松 | 野田学 |
479 -1 | 2:02:0 | アタマ | 3 |
4 | 7 | 8 | マイクリス | 牡 6 | 54.0 | 木 村 | 森 沢 |
504 -1 | 2:02:0 | 同着 | 8 |
6 | 6 | 7 | イチノキングオ | 牡 6 | 53.0 | 尾 林 | 角 田 |
425 +6 | 2:02:7 | 4 | 6 |
7 | 7 | 9 | イーグルホーマ | 牡 6 | 53.0 | 小 林 | 緒 方 |
456 -11 | 2:02:7 | クビ | 9 |
8 | 2 | 2 | オカノテイセン | 牡 8 | 55.0 | 小牧太 | 曾 和 |
512 +3 | 2:03:0 | 2 | 2 |
9 | 3 | 3 | イチノタイトル | 牡 6 | 52.0 | 米 田 | 前 田 |
482 -3 | 2:03:2 | 3/4 | 11 |
10 | 1 | 1 | ユウターヒロボーイ | 牡 7 | 54.0 | 赤 木 | 寺 嶋 |
511 -2 | 2:03:2 | アタマ | 7 |
11 | 8 | 10 | イムラッドシンゲキ | 牡 6 | 55.0 | 岩 田 | 清 水 |
489 +12 | 2:04:1 | 6 | 4 |
おせっかいながらも以下、大賞典を彩るであろう出走有力馬の横顔を、極私的に紹介します。あくまで私見です。予想、馬券検討の一助にしないで下さい。責任は負いかねます。
予想的印は一般的見解を考慮したワシのシルシ
アルファベットは出否の見込みの度合い
・A:ほぼ出走か
・B:出走の意志は窺われるが格的に回避するやも
・C:陣営があえて取り止める可能性あり(同厩他馬との兼ね合い、陣営の思惑etc.)
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トライバルサンダー 牝6 田中道厩舎 ◎ A
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昨秋兵庫転入以来、転厩前の名古屋時代から通算14戦12勝2着2回と完全連対中。牝馬であることを超越した速さと強さを誇る。未だ強さの底を見せていない観あり。3月の播磨賞を制し、それ以降も3戦順調に使われ本番へは万全か。他の牡馬の挑戦を逃げ真っ向勝負、受けて立つ。ライバルワシュウジョージが2ヶ月振りということでこちらを本命に推す。
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ワシュウジョージ 牡5 曾和厩舎 ○ AC
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昨年の二冠馬、エイランボーイ不在の年明けの古馬戦線を連勝して目下兵庫のトップ。5歳になり差しの威力がさらに増した。前述のトライバルサンダーの唯二つの黒星はいずれもワシュウによるもの。本来ならワシュウ本命のところだが、出走となると3月佐賀のセイユウ賞以来のぶっつけ。佐賀の激戦の反動を懸念してここは2番手評価。
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ケイエスヨシゼン 牡8 保利照厩舎 ▲ A
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無敵の三冠馬の4歳時、掛かり癖がついて苦戦の5、6歳時、ズブさと気ムラさ一層露呈の7歳時と、そのキャラを変えて8歳に。歳を加えるにつれ長距離偏向の距離適性の度合いを増す。8歳冬の2戦は気配も気合いも欠如し「終わったか」と思わせたが、前哨戦、メンコを取って出走。闘志に再び火が付いたか、激戦を制し、良化を感じさせた。今年の大賞典は一八七、適距離ではないがやる気になったときの底力に期待。鍵は当日のパドックの気合いと歩様。
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カズミサチフジ 牡5 森澤厩舎 △ AC
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この冬最大の成長株。2月の特別ウィンターカップを制し、播磨賞2着。三分三厘から直線、眼を見張る斬れ脚を誇る。単に鋭さという点においてであれば、その脚はワシュウジョージをも凌ぐやも。森澤厩舎二頭出し、三頭出し(&ヤングメドウ、マイクリス)は果たしてあるのか?
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ヤングメドウ 牡7 森澤厩舎 × A
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3年前の二冠馬だが、5歳以降勝ち方を忘れた観がある。平場では何となく走って勝ち切れず、重賞では善戦するも着拾いが続く。脚の使いどころが難しい印象。しかし前走7ヶ月振りのレースを2着に持ってきて、地力の一端は見せた。ここ一番の勝負強さを発揮し、一角崩しが成るか?4歳時の獰猛な走りの復活を待望。はたまた昨年の大賞典の如く、持てる力の全てを"森澤軍団二段駆け"に注ぐことになるのか?
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アドミラル 牡7 野田学厩舎 AB
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昨年笠松より転入、S級にのし上がる。この冬の中堅上位から準オープンを勝ち上がった頃は、カズミサチフジにも負けない差し脚を披露。鞍上平松の個性によく応える走りっぷり。ここは相手が強いが播磨賞以来、再度挑戦。
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ニシノハクリュウ 牡5 山元厩舎 A
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下級条件からこつこつ出世し昨秋姫山菊花賞を勝ち重賞馬の仲間入り。その後も使い詰め。5歳にしてベテラン・いぶし銀の印象。かつてのランニングフリー的キャラ。堅実派だが重賞一戦級に混じるとスピードと斬れ不足の印象は否めないが、その地道さ振り、そのうち報われるか?
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マイクリス 牡6 森澤厩舎 AC
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2年前の楠賞2着だが4歳3月以来勝ち星から遠ざかっている。"来ない追い込み馬"が板に着いてしまったが、このところ敢えて使い込み、復活の糸口を見出さんとしているように見受けられる。
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ユウターヒロボーイ 牡7 寺嶋厩舎 A
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ここ2年オープンの常連、昨秋の白鷺賞で待望の重賞制覇。とはいうもののかつてより地力が増したとも見られない。道中よく掛かるのでそのロスがかなり大きい走法。どちらかといえば園田より姫路巧者。馬体はいつもよく見せる。
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シャインマンリー 牡6 上田厩舎 B
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2年前の楠賞3着でワシュウジョージの1つ上の半兄。昨年秋までにかけてオープン平場で力を付けた。前走休養明け2戦目は先行から直線また鋭い脚を見せ進境振りを窺わせたが、重賞の本番ではどこまで食い込めるか?
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イムラッドシンゲキ 牡6 清水厩舎 B
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元岩手オープン馬、3月の姫路、転入緒戦をいきなりS1格付けされるも3着、2戦目ではサンバコールばりの二角捲りを繰り出し3着。3戦目の初園田は2番手先行バテで沈んだものの、兵庫でも堂々とオープンを張る。出走となると岩田はヨシゼンをとるのか自厩舎のこちらなのか?最大の興味はここ。
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タッカースカレー 牡6 曾和厩舎 C
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一昨年の二冠馬だが、5歳以降、重賞戦線では苦戦気味。スピードはあるのだが一本調子な先行脚質のため、ペースの緩急への対応が巧くない。よって道中掛かり直線脚を無くすケースが多い。同厩のワシュウジョージが出走とあればwith太であちらが本命と見込まれ、また自身播磨賞以来となるため、出否微妙か。
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オカノテイセン 牡8 曾和厩舎 C
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曾和軍団の古参格、渋いオープン脇役だが、カミガモライデン(あのタカライデンの親父)、トーエイテイセン、ツルギボタンの弟という良血。タッカースカレーと同様ワシュウ出走との絡みで出否の見込みが?だが、近走の状態はタッカーよりよいかと。渋太い逃げ、先行馬だが重賞では不足か。渋馬場得意。
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マノノトップガン 牡5 渡辺厩舎 BC
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デビュー以来の素質馬がようやく今春古馬オープンへ。播磨賞ではサンダー、サチフジによく追いすがり3着。レースの流れに乗るセンスはかなりのものだが、まだ地力足らずかも。
(以上の他、アローパッション、ベストスイセイ、キフネホマレ、イチノキングオの計18頭が今開催開始前の時点で登録。フルゲートは12頭。)
当日まであと1週間。
ワシュウの捲り差しにひれ伏すか、サンダーの爆速にあんぐりするか、ヨシゼン怒濤の追い込みに酔うか、カズミの斬れ味に震えるか、中穴・大穴に唖然か。「兵庫で今更アラブ」、「賞金ガタ落ちで距離短縮の大賞典なんて」お気持ちはわかるがそれにとらわれすぎていると、名勝負、見逃すかもよ。
何はともあれ、5月5日は、
2000.4.27 記
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