どうなるの?タマツバキ記念2000

2000.10.11、園田、1870mにて開催予定

後編、出走予定馬の横顔

9月最終週の半ば、ようやく各方面からタマツバキ出走予定馬が確認されたので、それを受けて、ここではその面々を、極私的に紹介してみようと思います。
馬名がクリッカブルのものについては、クリックすると当該馬の画像が別ウィンドウに表示されます。

メグミダイオー(岩手)  牡6 栗毛 52戦16勝  父:イムラツド 母:マルトヨチエ 母父:ミクニノホマレ
岩手アラブ最後の生き残り。アラブ系競走廃止の岩手にあって、サラOPにて常にトップハンデで奮戦中。
早熟・短距離が相場のイムラッド産駒にあって、例外的とも言える中・長距離への順応性と成長力。小回り得意な面はイムラッドの長所をしっかり継承。最大の武器はその重厚な先行力と自在性に裏打ちされた粘り強さ。今回は脚質同型が揃うが、かつてのアラブ王国の栄光とそのレベルの高さをもってすれば、好勝負は必至か。北日本アラブ優駿、岩手最後のアラブ重賞紫桐杯、最後の東北アラブチャンピオンを制覇したように、戦績でもここ一番での強さが光る。
重賞勝鞍:'98年 ビクトリーカップ(盛岡)、北日本アラブ優駿(水沢) '00年 紫桐杯(水沢)、東北アラブチャンピオン(上山)

ホマレスターライツ(宇都宮)  牡5 黒鹿毛 36戦28勝  父:ホマレブルシヨワ 母:ナカノフロルア 母父:フロルア
ご存じ、北関東の怪物。14連勝で臨んだ昨年の楠賞、劇勝で鮮烈の全国デビューを果たす。それを皮切りに4歳時は幾多の超絶パフォーマンスを演じ最優秀4歳アラブに輝く。しかし古馬日本一を賭けて参戦した今春佐賀セイユウ賞では大本命も3着、宿敵ワシュウジョージの後塵も拝す。アラブ縮小の地元で閉塞の日々を余儀なくされるも、このタマツバキ、遂に捲土重来の時を迎える。
地元で実力相応の適鞍がない現状、またホマレブルショワの成長力を疑問視する声もあり、4歳時の輝きをまた発せられ得るかには一抹の不安が残るも、そこは常識を越えたスーパーホース、激走に期待。先行、差し、どういったレース運びをするのか、その判断が難しい。
重賞勝鞍:'99年 楠賞・全日本アラブ優駿(園田) 北日本アラブ優駿(水沢) とちぎアラブ王冠(宇都宮) 北関東アラブチャンピオン(高崎) とちぎアラブ大賞典(宇都宮)

ブラウンダンディ(名古屋)  牡5 鹿毛 27戦18勝  父:ヒロタケスター 母:ヤマヒサハビネス 母父:シナノリンボー
現在向かうところ敵なしでかの地に君臨する東海最強アラブ。4歳時にはトライアル若葉賞3着で楠賞に参戦するも力及ばすの殿負けだったが、昨秋以降充実一途、破竹の11連勝でタマツバキに乗り込む。その連勝の間、重賞4勝。5月の名古屋杯では悲願のイケノエメラルド越えを果たす。楠賞惨敗の先入観、払拭しておかないと危険やも・・・馬体の成長・充実ぶりがかつてと全く違っている。
地元では地力の違いから先行、差し自在な競馬をしているようだが斬れ味勝負タイプとも思われない。11連勝をどう評価されるかが問題だが、チャレンジャー精神、好位付け正攻法の競馬がベストでは?
重賞勝鞍:'99年 キャンドルライト賞 '00年 名古屋杯(冬) アラブチャンピオン賞 名古屋杯(春)(全て名古屋)

ミカワチャンピオン(笠松)  牡7 芦毛 37戦12勝  父:オオヒエイ 母:カスガサンマン 母父:フオーモサボーイ ※結局不出走
上山出身、3、4歳時に重賞連取。同世代のビソウウエスタンより早い出世。それ以降、重賞勝ち鞍はなし。今年初頭に笠松へ、上山休催中(シーズンオフ)のみの在籍とも言われたが結局そのまま居座り、トップ集団の1頭として活躍。但しかの地のNo.1ではない。
誘導馬よりも白いと思われる芦毛の馬体。差しタイプ。(筆者はこの馬観たことなし)
重賞勝鞍:'96年 若駒賞 '97年 スズラン賞(旧さくらんぼ賞)(全て上山)

イセイチフブキ(金沢)  牡7 黒鹿毛 59戦32勝  父:ホーエイヒロボーイ 母:セルレア 母父:キタノトウザイ
足利所属時代は快速で鳴らし、東日本のファンには馴染みが深い馬。昨年秋にホマレスターライツの台頭をうけ、金沢に転厩。栃木時代の実力をもってすれば金沢平定は困難ではないとも思われたが、結局金沢一線級の一員に加わり、勝ち負けを繰り返している模様。
中距離までのスピード溢れる逃げ脚は、父ホーエイヒロボーイの特長をよく受け継いだもの。単騎逃げが見込まれる今回の出走メンバー、距離千八七、ひたすら行くべし。(筆者はこの馬観たことなし)
重賞勝鞍:'97年 日刊スポーツ杯(足利) '98年 高崎観音賞(高崎) 日刊スポーツ杯(足利) '00年 アラブグランプリ(金沢)

ワールドアイ(福山)  牡7 黒鹿毛 55戦17勝  父:アリラバツト 母:(サラ)ミスタークラウン 母父:(サラ)フリートウイング
B級オープン馬が、晩熟アリラバットの血か、7歳初夏に躍進。王者アキフジクラウンの頓挫、次位パッピーケイオーの疲労もあいまって、6月の山陽杯にて遂に重賞制覇(ただし兵庫勢の参戦はなし)。その後も安定。盆の金杯では爆速超新星トモシロヒットに完敗するも、9月の山陽杯トライアルでは借りを返し1着、福山代表の座を射止める。さながら福山暫定王者。
恐がりな気性をブリンカー着用で完全に克服。自在性の高さとレース巧者ぶりには定評あり、また直線馬体が合った競り合いにも強い。極端な逃げ競馬、差し競馬にならなければ上位進出もあるか。密やかにソツなく好位を取って・・・
重賞勝鞍:'00年 山陽杯(春)(福山)

エイランボーイ(兵庫)  牡7 鹿毛 37戦24勝  父:ホーエイヒロボーイ 母:エイランスイセイ 母父:スイセイガバナー
兵庫の、いや日本の現役最強アラブ。常に重斤と慢性的な脚部不安に向き合いつつも、勝ち星の山を築き上げた。4歳時に兵庫アラブ三冠戦線に乗らなかったこともあり、全国的な知名度に欠け、ややもすれば地味なきらいがあったが、昨年のタマツバキで交流重賞初登場、圧勝で遅ればせながらその強さを他地区にアピール。昨年末の頂点決戦、園田金盃でケイエスヨシゼンを下し、以降今年上半期は休養。そしてタマツバキ連覇に向け7月に始動。
絶対的な能力値の違いにモノをいわせ、逃げもしくは早め先行から三分三厘突き放して他馬をねじ伏せるのが得意パターン。その強さは地力のみならず、賢いレースセンスと忍耐強さに裏付けられている。まさに"電脳搭載高速不沈艦"。無理から弱点を挙げるならば、よーいドンになった場合、もしくは出し抜け食らった場合での斬れ脚の不足か。そのような展開にさせないのが彼の常套手段だが。そして何より最大の敵は、ライバルワシュウジョージに騎乗の、最良のパートナー、小牧太か。
重賞勝鞍:'97年 姫山菊花賞(姫路) 園田金盃(園田) '99年 新春賞(園田) タマツバキ記念山陽杯(福山) 園田金盃(園田)

ケイエスヨシゼン(兵庫)  牡8 鹿毛 55戦25勝  父:ミスターヨシゼン 母:ニユーマルセイユー 母父:トスター
園田の至宝、走る顕彰馬。周知の通り、兵庫競馬史上ただ2頭の三冠馬。このアラブ不遇の時代、引退の時期を決められず8歳秋を迎える今も現役を続ける。齢を加えるにつれ、長距離偏向の距離適性が色濃く、またズブくなり、一筋縄にはいかない馬に。「衰え」云々を囁かれる昨今だが、盆の摂津盃を同着1着、9/19のOP戦も斤量差3kあるもののエイランボーイに勝ち、現在好調の模様。長距離、重馬場etc.他馬が苦にするタフな条件にはめっぽう強い。
最後の直線に見せる豪脚は今も健在。全ての鍵は道中の行きっぷりと勝負所での走り。これもヨシゼン自身のやる気次第。2周目向こう流しでズブズブになるようならアウト、食らい付いてこれれば直線劇的シーンも・・・総収得賞金2億円の大台はもう間近。
重賞勝鞍:'96年 菊水賞 楠賞・全日本アラブ優駿 六甲盃 西日本アラブダービー(福山) タマツバキ記念名古屋杯(名古屋) '97年 兵庫大賞典 山陽杯(福山) '98年 新春賞 西日本アラブ大賞典(佐賀) '99年 西日本アラブ大賞典(佐賀) 兵庫大賞典 '00年 摂津盃(場名未記入のレースは全て園田)

ワシュウジョージ(兵庫)  牡5 鹿毛 16戦10勝  父:ミスタージョージ 母:ワシユウミドリ 母父:ミクニノホマレ
昨年の兵庫二冠馬。今年上半期は新春賞制覇を皮切りに、トライバルサンダーとともに兵庫のアラブ古馬戦線を牽引。2着に敗れた兵庫大賞典以後連列を離脱していたが、ここを目指して9/19のOP戦で復帰。初の酷量62kに4着するもこれは参考外。
前付けもこなせるが、その真骨頂は捲り差し一気。園田の2周目向こう流しからスッと進出し、四角直線とさらに脚を伸ばす差しの破壊力は出走馬中屈指。小牧太を鞍上に、重賞では初対決の王者エイランボーイに政権交代を迫る。そして何より"宿命のライバル"ホマスタとの3度目の対決。自身がレースのウィナーとしてホマスタを下したいところだろう。
重賞勝鞍:'99年 菊水賞 六甲盃 西日本アラブダービー(福山) '00年 新春賞

シャインマンリー(兵庫)  牡6 栗毛 38戦10勝  父:ミマツホマレ 母:ワシユウミドリ 母父:ミクニノホマレ
一昨年の楠賞3着馬だが、その後5歳半ばまでは頼りなげの先行馬としてオープン平場で過ごす。昨年中盤にパンとしはじめ、休養明けの今春以降進境著しいところを見せて、3連勝から臨んだ摂津盃にて、同着ながら待望の重賞初勝利。前述のワシュウジョージの年子の半兄だが、ようやく弟と肩を並べうることろまで上昇してきた。
逃げ、先行タイプで、テンの行き脚は普通だが、三分三厘から直線までの、勝負所での脚の確かさと粘り腰が進上。先行同型が今回多いだけに動向に注目。
重賞勝鞍:'00年 摂津盃(園田)

タッカースカレー(兵庫)  牡6 栗毛 32戦14勝 父:スマノヒツト 母:ヒカリミススカレー 母父:スカレー ※結局不出走
一昨年の兵庫二冠馬で楠賞馬。4歳時は完成度の高さとセンスで同世代の他馬を圧倒したが、5歳以降は重賞では良積なく、苦戦中。振り返ると今年まだ未勝利。
スピードは目を見張るものがあるが、その緩急つまりギアチェンジが巧くない。中距離以上のレースになると鞍上との折り合い難が目に付き、道中力をロスして直線保たずといったケースが多々。前述のワシュウジョージとは同じ曾和軍団所属で同一馬主。ここは後輩のアシストに回るのか、それともかつての4歳日本一の誇り、久々に見せつけるか。
重賞勝鞍:'98年 フクパーク記念(姫路) 菊水賞(園田) 楠賞・全日本アラブ優駿(園田)

シンセイマックス(兵庫)  牡5 栗毛 28戦8勝 父:トチノミネフジ 母:ニノミヤタカラ 母父:スマノダイドウ
今季中盤、兵庫の上り馬。盆の摂津盃意外な逃げで6着の後臨んだオータムカップで勝利。その次走、9/29のOPも走っている(4着)のでタマツバキへは連闘。
フクパーク記念勝利の牝馬ピカイチが引退し、兵庫所属のトチノミネフジ産駒としては出世頭に。逃げ、先行、差しと戦法は多彩。ここはビッグネームに混じっての大舞台。あくまでチャレンジャー精神でか。

マキオリンボー(兵庫)  牡6 鹿毛 39戦12勝 父:シナノリンボー 母:ミスエルエルクイン 母父:エルシド
兵庫のオープン大将。5歳前半までは頼りなかったが、昨年の摂津盃をブービー人気で2着し枠連万馬券の片棒を担ぎ、以降昨秋から冬まで、従来より格段に増した差しの威力をオープン平場で振るう。しかし重賞制覇の最大のチャンス、今春の新春賞を4着敗退。休養入りし今夏復帰。
充実の昨秋は差し、追い込みが冴えに冴えたが復帰後の今季はイマイチ。また道中ヨシゼン並にズブく、勝負ところでの後手踏みが目立つ。しかし園田一八七は最大の得意条件、無欲の一発。
2000.10.1 記
2000.10.10 追記

兵庫発アラブ現場主義 前編、「ホントどうなるの?」及び各地区の動向
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