第38回福山大賞典観戦報告

 2003.1.2、福山、2600m

はじめに〜福山大賞典なのだ
福山大賞典なんである。この競走に対するワシの思いなどは、昨年同レースの観戦記、その冒頭にて記したので、ここで重ねて書くことは控えるが。タマツバキ記念にアラブグランプリ、2歳アラブ優駿と、3つの全国交流重賞があろうとも、最高額賞金レースはアラブグランプリに譲ろうとも、福山競馬最大の一戦は、問答無用で福山大賞典なのである。このあたり何だか「バカボンのパパなのだ」みたいな物言いになっているが、「これでいいのだ」なのである。
正月開催の目玉として例年施行されているが、今年はそれが1月2日。笠松の古馬SPI重賞、アラブギフ大賞典と日程が被った。こちらは正月2日恒例レースで、過去5年、実家から出撃して観戦皆勤。今年は昨秋のAGPで3着と健闘し、次走地元準重賞の銀嶺争覇も勝った、明け4歳ホーエイトップが登場し、名古屋からブラウンダンディも参戦するなど、アラブギフの方も捨て難かったところであった。
が、ここはやはり"福山頂点決戦"を選択することに。「この1年福山重賞の大半を現地観戦しておきながら、肝心の大賞典見逃したとあっては、画竜点睛を欠こう。」などと思ったりして。と、偉そうなこと書きつつも、ワシ自身このレースを現地観戦するのは、これでようやく2度目に過ぎないのだけれども。

高知→福山、移動の巻、そして当日の概況など
前日元旦は高知で南国王冠高知市長賞を観戦。よって高知→福山の連闘になる。前々日は荒尾のファン選抜アラブチャンピオンを観戦したので、3日間でアラブ競馬のために九州、四国、本州を股に掛けるわけだ。何だかカッコイイ(←そんなわけはない)。
ということで元旦は高知泊。前夜大晦日がムーンライト九州の車中泊だったので、若干睡眠不足もあって、宿であっさり熟睡。そして当日、8時1分発の特急南風で、朝の四国山地を横切り晴天の瀬戸大橋を渡って岡山へ。ここからは在来線で福山まで。競馬場には正午前に到着。

天気は晴れ時々曇りというところ。空に雲も多いが、それも概ね切れ切れで、日の当たる時間が長い。風はほとんどなく、気温もやや高め。おかげで日向はかなり暖かく、過ごしやすい。厚着だと暑いほど。
馬場状態は良。この開催を前に砂入れはなかったようだが、まずまずの深さで並といったところか。前半の1250m戦では、好位や中団以降からの差しが決まるレースが目立ったが、中盤以降距離延びてマイル戦になると、逃げ・先行有利な競馬が増した。まあ、脚質で極端に有利不利はなかろう状態かと。
そして何より、正月開催ということもあって、お客さんの数がムチャムチャ多い。敷地の狭い福山競馬場であるからして、ホンマ場内に人が溢れている。

この日はちょっとした注目行事が。第3競走終了後、表彰台に所属騎手(負傷欠場中の石井騎手とこの日騎乗のない佐藤徳子騎手を除く)が登場して、年頭の挨拶を行った。代表して吉延騎手がマイク持って、至極当たり障りのない挨拶を、ごく手短に。折角の行事なのに、何だかあまりに呆気なかったような。

出走メンバーについて
さて福山大賞典。出走メンバーは内枠より以下の9頭。()内は騎手、性齢、斤量。
フジナミスペシャル(嬉、牡5、55k)、エリートカップ(吉延、牡7、54k)、ユキノホマレ(岡崎、牡4)、ヤマノダイオー(周藤、牡6、55k)、ホマレエリート(鋤田、牝4、54k)、ホマレスターライツ(佐原、牡7、54k)、ドリーミング(渡辺、牝7、53k)、リーガルジョージ(楢崎、牡7、54k)、ユノワンサイド(對ィ、牡5、55k)
馬齢重量戦。出走馬に選抜されていた明け4歳ダイニアキフジは回避、補欠だったブレイヴシーンも不出走で、このレースにしては珍しく、今年はフルゲート割れとなった。

まずもって触れるべきは、昨年このレースの勝者フジナミスペシャル。ディフェンディングチャンピオンが出走するのは'99年のミナミセンプウ以来(結果5着)であり、また、ミナミセンプウが'95年'96年に遂げて以来の、大賞典連覇が懸かる。昨年は11戦して4勝。勝ち星全てが重賞という、まさに重賞ハンター。また、地元長距離戦(2250m以上)では4戦4勝と、その適性は抜群である。
フジナミの「宿命のライバル」、昨年の3着馬ユノワンサイド。昨年は13戦して7勝と、この勝ち星は古馬オープンでは最多。でありながら重賞未勝利。千八戦ではムチャムチャ強いのだが・・・2600m戦はいかにも長いが、地力でどれだけ克服できるか?千八戦では最近はほとんど、力にモノを言わせて逃げ押し切っている。
昨年の2着馬ドリーミングも健在。振り返れば、一昨年後半の8連勝から臨んだ昨年の大賞典がピークで、この1年はソコソコであった。が、格下にはほとんど先着を許さず、常に上位入線。牝馬ながらもスタミナに富んでいそうで、長距離適性はユノワンサイドよりありそうか。
上記3頭が、昨年の大賞典に続いて登場する有力どころ。一方大賞典初挑戦組では、以下の2頭が注目か。
上山所属で挑んだ一昨年のAGPの後、移籍してそのまま留まったホマレエリート。上り馬の勢いでローゼンホーマ記念を制し、夏の金杯も勝った。この1年、全国交流タマツバキ記念での6着以外は、全て3着以上で入線しており、まさに強い安定勢力。同じ上山出身の先輩牝馬ドリーミングとの対戦成績も、こちらが優勢。
出走馬中唯1頭の明け4歳馬、アラブ王冠勝利に伴ってここに登場したユキノホマレ。昨年の福山3歳戦線は大混戦模様、そのレベルも怪しいところだが、自身には上り馬の勢いもあろうし、ドンと挑戦。息の長い追い込み脚は、長丁場合いそうにも思われ、このあたり、ちょっと楽しみ。
以上5頭が予想紙上でもシルシを多く貰っている、勝ち負けに届こうと思われる面々。正直言って、他の4頭は、これらとは相当差があるように思われる。
ホマレスターライツは昨年に続いて登場だが、結局去年未勝利で、ここも苦戦必至。リーガルジョージはちょっと格下ながらも、昨秋は古馬オープンに定着してソコソコ掲示板に載った差し馬。'00年キングカップ馬で福山ダービー2着、楠賞まで遠征したヤマノダイオーは、現在ではA2の主。追い込みの古豪エリートカップ共々、前開催A2格付けながら選抜されて今回登場。

パドックから発走まで
さてパドック。
1番フジナミスペシャル。時に首を上下させて、悠々と周回。毛艶もよさそうだし張りもある。馬体をいい意味で大きく見せている。前走前開催、全日本2歳アラブ優駿デーの最終レース、A1戦ポインセチア特別を6着。これは試走の感ありありで全く参考外かと。
2番エリートカップ。やや首の高い姿で、キビキビと周回。毛艶と張りは共に上々。雰囲気はいい。周回後半暴れる場面も。前走前開催のA2戦で3着。
3番ユキノホマレ。前走アラブ王冠時と同様、毛艶はソコソコながら筋肉の付きとその締まりが素晴らしい。歩みも力強い。2号馬同様、後半ちょっと暴れる。
4番ヤマノダイオー。気合いが適度に乗りつつもゆったりした周回。毛艶はいい。3歳春の頃は480kくらいだった目方も今では常時500kを越え、今日は509k。値通り大きい。前走前開催のA2戦を勝ってここに。
5番ホマレエリート。歩幅は出ていて歩様は柔らかい。毛艶はまずまず。馬体重458kは+4kだが値としては適性。しかしちょっと胴のラインが下がり気味か。歩くのが遅く前との間隔が開く。前走ポインセチア特別3着。
6番ホマレスターライツ。よく見るとちょっと毛あしが長く毛艶は今一歩。トモの踏み込みは浅く、元来の特徴ながらやっぱり前肢の捌きが硬い。終始厩務員さんに頭を預けて内を向いて、パドックの内々を歩いている。前走ポインセチア特別5着。
7番ドリーミング。毛艶は文句なく、パンパンの実入りの充実した馬体。筋肉ブリブリ。踏み込みは普通だがまあこれはこんなものか。じんわりとした気配。この出来は目立つ。前走ポインセチア特別は、自力で捲り上がって2着、健在ぶりを示した。
8番リーガルジョージ。腹回りがパンパンで、コロンとした体型。ちょっと毛あしが伸びている。比較的大人しく回っている。前走ポインセチア特別4着。
9番ユノワンサイド。毛艶も馬体張りも最高、皮膚がとても薄そうに出来上がっている。トモの踏み込みは浅めだが、実にキビキビとした身のこなしで、気合い乗りも上々。前走ポインセチア特別は、若干出負けるも強引に逃げて、ドリーミングを振り切って勝利。
サスガに頂点決戦、有力どころのルックスは大したもの。中でもドリーミングとユノワンサイドの出来の良さが素晴らしいと思った。フジナミもこの馬のパドックとしては良く見せた方。ユキノホマレはこの中に入っても、決して引けをとらない剛直さ、改めて見直した。
フジナミスペシャル(42KB)
フジナミスペシャル、パドック
まずまずの見た目、連覇へGo!
ユノワンサイド(40KB)
ユノワンサイド、パドック
これは出来良さそう。パンパンの胴体

本馬場入場から返し馬。ホマレエリートが入場時大人しく行進できず、一所でグルグルと、結局真っ先に駆け出す。ユノワンサイドはそれが気になったせいもあるのか、入場行進の途中で膠着、大一番になるとしばしばこれをやらかす。ヤマノダイオーは馬装点検のため遅れて入場し、左折して一角方向に直行。
ホマレエリートが真っ先にホームまでやって来て、強めのキャンターで通過する。フジナミスペシャルは4コーナーを大外に逸走して(これは3歳時によく見られた光景)、やや強く、嬉騎手に宥められてホームを通過。ヤマノダイオーは楽走ながら力強く。ホマスタは首を下げハミにもたれ気味で、土下座状態で内ラチ沿いを、それでも強め。ユキノホマレは力強いキャンター。ドリーミングも然り、やる気満々で飛ばして行く。最後にユノワンサイドが。鞍上は前走に続いて對ィクン、ガーッと突っ走るワンサイドを抑えきれないのか、馬は口を大きく割って舌まで出している。

さて予想。中心はやはりフジナミスペシャル。長丁場では外せない。ただ「怖いのは、この馬が本命人気で走るっていうことでしょう。問題はそれだけかな。」と、おさるさん以下皆さん仰るように、この馬、人気下げた時の方が格段に成績いい。
ここからワシは、相手筆頭にドリーミングを。これは事前にある程度決めていたのだが、実物目にしてよりその意を強くする。そして4歳ユキノホマレも。今回岡崎騎手が乗るのも心強いと思い、また、前述の通り、長丁場良さそうだと思うので。が、「ユキノホマレなんて買いませんよ。アラブ王冠勝っただけで、いきなり通用すると思います?」とは"同志"ディープさん。「じゃあ同志は何買うん?」と問うと、「まあ、牝馬2頭、くらいかなぁ。」と、あまり歯切れはよろしくない。電設の男@ともろうさんや"リーダー"前田っちは、ユキノは穴目で少々抜擢というところか。
ユノワンサイドは申し訳程度に。距離が合わないと思うし、鞍上對ィ騎手はちょっと・・・しかしおさるさんは「ワタシは初志貫徹でユノワン軸だよ。それにここにも『對ィと合いそうだし』って書いてあるじゃない。」と『福山エース』を示す。が「でも前走、テンに出遅れたのを無理矢理ハナに立って、いかにも『馬で勝った』って感じだったんだよ。」とワシ。「何だよそんなんだったんだ。」とおさるさん。

1年1度の二六決戦!
いよいよレース。距離2600mは、1年でこの大賞典だけ。スタート地点はマイル戦と同じく向こう正面半ば。ただしここから2周半!コーナーまわること10回!
ゲートが開く。やはり行くのはユノワンサイド。他の誰もハナを主張することなく、すんなり先頭に立つ。内でフジナミスペシャルも先行体勢、早々に2番手を取る。最初の3コーナーまでに、ドリーミングが押されて上昇し、これが3番手に。序盤から前3頭を有力どころが占めることとなった。ヤマノダイオーとホマレエリートがそれに続く好位。
そして最初の正面スタンド前。先頭ユノワンサイド。後ろを3馬身強は離して単騎。口を割って掛かり気味なまま。2番手フジナミスペシャルも単走、こちらは嬉騎手に宥められている。直後3番手にドリーミング、これはホームを進むうちに、次第にラインがインへ移動。ややあって次列、内にヤマノダイオー外ホマレエリートが同列。以下ユキノホマレ、リーガルジョージ、ホマレスターライツ、殿エリートカップまで、各馬間隔の開いた単走。好位以下は縦長な隊列。

最初の直線(33KB)
最初の正面スタンド前
先頭ユノワン口を割って、2番手に早くもフジナミが

序盤から中盤、ペースは落ち着いて、先頭ユノワンは口を割るも、全体の流れはスロー。2度目の三分三厘、ドリーミングがインからフジナミの前に出て、2番手となる。最近の彼女としては早目早目の競馬、渡辺騎手、フジナミを抑え込む腹づもりか、それとも確実に上位入線を狙ってのことか?
2度目の正面スタンド前。ユノワンサイドが相変わらず口を割ったままで先頭。對ィクンの手綱も張ったまま。そしてこの内1馬身弱までに、2番手ドリーミングが上がっている。フジナミは前2頭を馬場真ん中で見る絶好の3番手。1馬身強下がって次列内ヤマノダイオー外ホマレエリートは変わらず。ここでややあって、ユキノホマレが外6番手、差がなく内にリーガルジョージ。ホマスタとエリートカップはまだ後ろ。「フジナミ今年も大名マーク、絶好の展開じゃん。」と、おさるさんと言い合う。
1、2コーナーから向こう正面へ。2コーナーの手前、ここでユキノホマレ、岡崎さんが動く。余裕の追走から手綱を動かす。これにスッと反応したユキノホマレ、前の好位2頭との差を縮める。
勝負はバック半ばから三角手前。ユノワンサイドが何だかんだで脚いろ衰えずガンガン進む。ドリーミングも位置キープ。しかしながら、これを追うフジナミスペシャルの動きが悪い。嬉騎手のアクションが激しくなるものの、全く伸びない。鞭まで入るも3コーナーで早くも脱落。「アカン!フジナミ駄目だぁ!」と思わずワシ。
この時点で馬券大敗が決定してしまい、胃が痛くなって見届ける三分三厘。先頭ユノワン力走で、内で食い付く2番手ドリーミング。そして後退するフジナミに代わって、来たのはユキノホマレ。バックをジワジワと捲り上がり、ホマレエリートとヤマノダイオーを交わしたのはほんの助走か、三角回って一気に襲来。大外を突進してくる。「岡崎来たぁ!」と、馬券はさて置いて再度テンション上がるワシ。

最後の直線(28KB)
最後の直線、残り100を切って
馬場外目ではユノワンvsユキノの叩き合い。インベタには粘るドリーミング

4コーナー、迫るユキノホマレ。外からとうとうユノユノワンサイドに追い付く。馬体を並べて最後の直線勝負へ。馬場外目、五、六分どころ。激しい叩き合い。それにしてもよく粘るユノワンサイド、まだタレない。が、残り50あたり、外からこれをユキノホマレが競り落とす。最後グイと抜け出して、栄光のゴールに飛び込んだ。鞍上岡崎さん、会心だったのだろう、ゴールを過ぎて、下馬所に向かってガッツポーズ。ユノワンサイドは1馬身半遅れて2着。

ユキノホマレ(35KB)
ユキノホマレ、ユノワンサイドを交わしてゴールへ
これぞ「下克上」!の鬼脚

この後ろ。ドリーミングは四角でユキノにも交わされ加減だったが、最後の直線もインベタで渋太く食い下がった。そして2馬身遅れた3着。後半4番手ママで、最後まで終えようとしたフジナミスペシャルだったが、ゴール寸前、四角7番手くらいから大外追い込んだホマレスターライツにクビ差抜かれて、5着大敗。ホマスタ4着、前とは4馬身差。6着終い追い込んだリーガルジョージ、2馬身差。ホマレエリートは好位追走もいいところなく7着。ヤマノダイオーもホマレエリートと同様で8着。最下位は殿ママでエリートカップ。まあ、2600m走って、1着馬と最下位のタイム差が2秒4であるからして、下位入線の馬たちも、まずまず走ったのではないだろうか。

ゴール板を通過して以降、岡崎さん、そのままコースを1周して、ユキノホマレをウィニングランに導く。満員のスタンドからは、暖かい祝福の声援が飛ぶ。それに満面の笑みで応える岡崎さんであった。
表彰式前の口取り撮影、ここで、アラブ王冠時と同様に、厩務員さんがスタンドに馬を向けて、わざわざ岡崎さんまで呼んで引っぱり出して、写真を撮らせてくれた。「あの厩務員さん、やっぱり写真に写るの、好きなんだ。」とおさるさんと言い合う。でもこの心遣いは、ファンとしては非常に嬉しい、感謝!

ユキノホマレと岡崎さん(41KB)
ユキノホマレと岡崎さん、お客さんの方を向いて
岡崎先生おめでどう!

レース終わって、また反省。そしておしまい
ユキノホマレ、格上挑戦も何のその、快勝で頂点決戦を制してしまった。アラブ王冠時がC1格付けだったので、その勝利での賞金加算はあるにせよ、これは破格の大出世である。いくら強い追い込み馬だろうとも、道中付いていけなければ絶対間に合わないのが、大賞典の2600m戦であるところ、完璧に届き切った。実に力強い走りだった。なおこれで、前々回のミスターカミサマ、前回のフジナミスペシャルに続き、3年連続で明け4歳馬が勝ったことになる。そのジンクスは知りつつも、世代レベルの疑わしさもあって、さすがにアタマでは買えなかった。
と、馬も偉いのだが、ここは何と言っても岡崎さん。二角手前、残り800mでサッと動いたところは凄かった。「おおっ!これはひょっとして」と思ったが本当に馬を勝たせてしまった。サスガ「魔術師」の面目躍如。今年度初めに負傷して、昨年の大半を欠場して、復帰したのが今開催。その鬱憤を晴らす、この勝利だろう。また自身益田から移籍して以来、初の大賞典勝ち、'98年にはサンワテイオー騎乗で大本命ながら敗れた苦い経験もあるようで、二重に嬉しい結果となったろう。
「まあ、(基本的に逃げ・先行騎手の)嬉騎手の追い込みでも勝つんだから、やっぱり強いよな、それに岡崎さん乗ったんだから。」との戦後の声も。しかし地元事情通のお方によれば、「岡崎は年末28日(今開催の初日)に落ちてまた怪我して、コンディションは不安だったんだよ。馬は絶好だったけど騎手が気になって、大きく推せなかった。」そうで。それでも決める岡崎さん、ますます凄い。
ユノワンサイドは惜しい2着。昨年3着からは一つ着順を上げた。道中ずっと掛かりっぱなしの競馬で、2600mを最後まで押し切れるんだから、この馬、ホンマにムチャムチャ力あるんじゃないか?ある意味恐ろしい。正直ここまで走るとは思わなかった。「これ3月の佐賀(西日本アラブ大賞典)、福山枠2頭くれないかなあ。このユノワンサイドの競馬、佐賀で観てみたくなってきたわ。」とディープさんら。確かにこれは楽しみ。しかしこの馬、歳取って折り合いついて素直になるどころか、ますます強引な力任せな競馬になってきたような気が。その意味で、キャラはより立ってきたとも言えようか。
ドリーミングは健闘だろうが、昨年2着からユノワンと着順を入れ替えて3着に落ちた。今日は先行策だったので、終いのもうひと伸びが出来なかったのは致し方ない。それにしても、明けて7歳のオバサンが、今年も見事に2600m戦で複勝圏入り。やっぱり実力馬。
ホマスタは終いの追い込みが決まっての4着。よく走ったとは言えようが、どう走っても、現在のオープン一線級で馬券に絡む姿を想像しにくい。
しかしフジナミスペシャル、ここで5着に負けるとは・・・距離、ペース、展開、位置取り、全てが勝ち頃だったのに・・・「やっぱり人気背負うと走らないよな、結局それでしょ。ホントにこの馬は『新聞の読める馬』だよなあ。」と、また例によっておさるさんらと言い合った。ただ後日、『福山エース』の樋本デスクの伝えるところによると、当日の歩様悪化が著しく、パドックや走りを観るに、痛々しかったのだそうだ。それでこの敗戦も納得。しかし素人としては、健康状態に絡む歩様の良し悪しなど判別出来ないからして、非常に参る。ダイニアキフジのAGP前日熱発の件といい、予想紙刷り上がってからの状態悪化をされた時にゃ、どーしょーもない。
ホマレエリートは、距離二六はいかにも長いにせよ、案外。前走ポインセチア特別でも、差し脚が今一つだったこともあり、ちょっと調子のピーク越えたか、もしくは疲れが出ているのかもと思われる。「馬体の線が細い。」とか「充実感に欠ける。」という声もあった。今後の動向が気になるところである。

馬券はフジナミ軸でタテ目を全く買っていなかったので、大敗。仮にタテ目を押さえたとしても、ユノワンサイドを軽視したであろうので、どのみち獲れない馬券だった。お知り合いの皆さんも、どちらかを微妙に外しておられた。が、その中にあって、おさるさんはズバッと本線的中。「良かったぁ、初志貫徹でユノワンサイド本命にして、引っかかってやれやれですよ。」と。いいなあ〜(と、横で指加えて羨ましげなワシ)。
まあ、今年もこの大レースを、現地観戦できただけでも、良しとしようか。レースの迫力やクオリティは、これはもう、文句のなところであるからして、悪いのはワシの馬券の出来だけだ。

さて最後に、改めてユキノホマレについて少し。頂点決戦を制したとはいえ、これは、今後待っている、古馬オープンでの戦いの序章に過ぎぬと捉えるべきであろう。真価が問われるのはまだまだこれから。「一発屋」「まぐれ」と言われぬよう、そして福山大賞典の看板を汚さぬよう、精進していただこう。
ただ、楽しみなのは3月佐賀、西日本アラブ大賞典。距離2400mも合いそうだし、中盤までソコソコの位置を楽にキープ出来れば、後半の破壊力に期待が持てるし、展開合うかも。近2年このレースは、ワシュウジョージのおかげで、捲って自力差しドカン!が、勝ちパターンになっているからして・・・
因みにこの翌日、園田の新春賞では、同じ明け4歳ミスターサックスが勝ち上がった。こちらも佐賀に出てくるようだと楽しみである。ということで、ユキノホマレにセリフ与えて、今回はおしまい。
「AGPで、ウチを荒らしてくれたその借り、キッチリ返させていただこうか。その長い首、洗って待ってるがいい。」

2003.1.18 記

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