第45回新春賞観戦報告

 2003.1.3、園田、1870m

はじめに〜これが最後の「純アラブ系」新春賞
園田競馬、正月開催名物の古馬重賞、新春賞。サラ導入以前の兵庫古馬重賞体系においては、園田金盃と兵庫大賞典に次ぐ格式のレースであった。この2レースがいずれも馬齢定量戦であるのに対し、新春賞はハンデ戦。しかしながら、正月の縁起もの競走ということもあってか、有力馬が重斤覚悟で出走してくるのが常であり、重要なレースであるのは事実であった。
兵庫のサラ導入政策にあって、園田金盃と兵庫大賞典は、それぞれ一昨年と昨年より、既にサラ混合競走となっており、残された数少ないアラブ古馬重賞として、その意義がより大きくなったところ、「このレースも次回来年からはサラ混合重賞化」と、主催者から発表があった。これを承けて、一層その重みを増した、今回の新春賞となった。
こうした情勢もあってか、「純アラブ系最後の新春賞」に相応しい、豪華メンバーが揃い、覇を争うことになった。

出走メンバーについて
その出走馬は内枠より以下の11頭。()内は騎手、性齢、斤量。
ハッコーディオス(岩田、牡6、58.5k)、マサノライデン(松浦政、牡6、54k)、タカヤマナイス(玉垣、牡5、53.5k)、ミスターサックス(田中、牡4、55.5k)、ワシュウジョージ(小牧太、牡7、58.5k)、クールテツオー(赤木、牡5、60k)、スーパーチャレンジ(尾林、牡7、53.5k)、ランダムオーク(宮西、牡6、52k)、ジョージサンキュウ(青山、牡5、52k)、イーグルトライ(有馬、牡4、51k)、ソレユケイチマツ(松平、牡5、56k)
全て牡馬。前述の通り、伝統のハンデ戦。ハンデにコンマ5k付く馬が異様に多いのは気になるが、まあこれはどうでもいいこと。

兵庫大賞典でロードバクシン以下サラを下して劇勝したサンバコールが、休養が明けず不出走なのは残念だが、それ以外の、昨年兵庫施行のアラブ重賞(2歳重賞を除く)を勝った馬が全て登場してくれた。
昨年1年コンスタントに出走して古馬戦線を牽引し、摂津盃と白鷺賞を制したクールテツオー。その実績が認められたか、今回は先輩重賞ホースを差し置いて、トップハンデを背負って登場。ハンデ戦でワシュウやディオスより重く背負うのは恐らく初めて。そして自身初となる60kである。
3歳フクパーク記念馬にして楠賞2着馬の、明け4歳世代筆頭ミスターサックスは、11月の福山遠征でもぎ取った、全日本アラブグランプリ優勝の星を引っ提げ登場。秋口から白鷺賞にかけては、古馬一線級との間に力差が感じられたが、AGP圧勝の走りは、一皮剥けたと思わせるに足るもの。
昨年同レースの覇者ハッコーディオス。レースの流れを支配する悪魔的な逃げが完成し、以後の活躍に大きく期待したのだが、その勝利の後約70日休んだ3月戦、ランダムオークにコロッと負けて休養入り。結局昨年の大半を棒に振り、前走9ヶ月ぶりに戦列復帰。復権が懸かるところではある。
ワシュウジョージは、昨年7戦して、佐賀の西日本アラブ大賞典で1勝したのみ。福山、金沢と全国交流をハシゴするも、いずれも5着。5ヶ月休んで明け2走目でここに。峠を越えた感の否めぬ昨年の走りであったし、明けて7歳になった。
近々の稼働率が考慮されたのだろう、ディオスとワシュウは今回ハンデ58.5k。1年前なら、別定戦やハンデ戦では、常に60k超の重斤を課せられていた両馬であるからして、これはむしろ恵量である。対テツオーで1.5k軽く、明け4歳サックスとは3kしか違わない。このあたり、どう結果に出るか。
そして昨年、17戦して7勝と、古馬オープンで最多の勝ち星を稼ぎながら、摂津盃に白鷺賞と、重賞でテツオーと当たることを悉く避けたソレユケイチマツ。今回は登場する。
他には、重賞の常連、目立ちたがり屋のスーパーチャレンジに、渋い追い込み馬マサノライデン、好調タカヤマナイスあたりが注目馬か。因みにタカライデンは、鞍上の遣り繰りもあるのか(具体的には岩田、赤木両騎手の都合。ディオス岩田は同厩コンビなので、赤木騎手がテツオーとタカライデンいずれに乗るかが問題となる。)登場せず。前々開催休み明けのディオスに勝っているだけに(タカライデンの勝利というのは実に貴重!)ちょっと勿体ない。

当日の概況
年末年始の空模様、何故か西日本各地この3日だけ崩れるとの事前予報。「外れてくれないやろか。」と願うものの、これが有り難くない的中予報で、当日は朝から雨。それも小雨ではなく本格的な降り。おまけに非常に冷え込んだ。こんな空模様のもと、競馬場にはメインレースに間に合う程度に"重役出勤"したかったのだが、訳あって(それは読み進めていただければ自然に知れます)正午前に競馬場へ。
馬場状態は良にて開始のところ、降る雨がてきめんに効いて、第3レースからは稍重に、第6レースからは重にと渋化。見た目通りに水分含んだ馬場である。

微妙に注目な第4競走、3歳T1(オープン)戦、距離1400m
これが悪天候をおして、昼前にわざわざ競馬場に出向いた理由。先月11日の重賞園田2歳優駿の勝ち馬にして「ワシの明け3歳LOVE馬、その2」であるホワイトタイガーが登場するので。加えて、先月福山で施行された全日本2歳アラブ優駿に、道営代表として出走し(結果8着)直後に田中道夫厩舎へ移籍となった「分不相応かつ異様に注目集める馬」ビミョウが、兵庫転入緒戦でもあるので。

出走馬はこの2頭を含めて内枠より以下の6頭。馬齢定量戦、斤量は牡54k牝53k。
ビミョウ(田中、牡)、ナイスタッチ(松浦政、牝)、マーキュリダンサー(西川、牝)、ホワイトタイガー(小牧太、牡)、ニホンカイブルー(三野、牡)、ビスターエンジェル(尾林、牝)
ビミョウはともかく、園田2歳優駿1着のホワイトタイガーと、同2着ニホンカイブルーの再戦ということが、レースの焦点かと。なお、マーキュリダンサーはあのマーキュリサンダーの全妹であり(しっかしまあ、半姉はオリオンザダンサーだろ、馬名付けるにネタも尽きたんかいな?)、ビスターエンジェルはあのフェイトスターの娘である。

パドックに登場したビミョウをひと目観て「フォーモサボーイ産駒マニア」のラティラーちゃん、開口一番「メンコ、トライバルサンダーのお下がりだぁ。」。事実、額に黄色い稲妻マークの入った白メンコで、これは、同じ道夫厩舎所属だったサンダーが、一昨年の兵庫大賞典を勝った時にしていたものと全く同じ柄。うーん、ミーハーファン(勿論ワシも然り)はしょーもないことにチェック厳しい。ホワイトタイガーは雨にそぼ濡れて、濃い灰色芦毛の馬体をより黒く見せていた。こんな中でも毛並みと張りは上々。

そのレース。マーキュリダンサーがハナに立って、ホワイトタイガーは早々に2番手。外にビスターエンジェルで、ニホンカイブルーは今日もタイガーをマーク。ビミョウは後方から。バック半ば、タイガーが2番手から太さんに仕掛けられ気味だが、やっぱり見た目に反応が鈍い。が、それでも三分三厘肩鞭が入るとすんなり先頭で、そのまま押し切って勝利。ニホンカイが今回もタイガーに食い付いていくが、どうしてもこれを抜けない。「またもや2着か」と思ったところ、ここにビミョウが、最後直線に向いてから外に持ち出し追い込みかけたようで、ゴール板前ニホンカイの外へすっ飛んできて入線。結果クビ差ニホンカイブルーを蹴落として2着。

ホワイトタイガー、結局ビミョウとは1馬身差なれど、その実は完勝。向こう正面でズブく見せるのも個性だろう。この馬補助馬なので、次走は1月19日、福山にて施行される重賞、園田・福山交流特別競走(昨年までの三県交流競走の、益田廃止後の姿がこれ)に遠征するとのこと。これは楽しみ。ビミョウは距離1400mがやや短かろうところ、そして何より園田コースへの適性が未知数だったところ、これだけ走れれば上々だと思った。今後にちょっと期待が持てる。ニホンカイブルーは、三度同じ展開同じ戦法でホワイトタイガーに敗れた。ちょっと苦しくなってきたか?

暇時間予想時間
第4レースが終わると、あとはメインレースまで、興味の沸かぬサラ戦がほとんど。外は一向に降り止む気配のない冷たい雨。することないわ行く場所ないわで、結局スタンド建物内の西の端で、お知り合いの皆さん集まって、さながら避難民状態で暇に過ごす。
その間何だかんだで新春賞の予想など。
ワシが中心視していたのはハッコーディオス。「魔の幻惑逃げ」は脅威。ただ馬のルックスがピンと来ないケースが多く、また馬体重が不可解なほど大きく増減する馬であるのが問題。だが、ワシはそれに左右されず、初志貫徹で買うつもり。環ちゃんも概ねこれに同意見。雨で馬場が締まって、逃げ有利に作用しそうなのも好条件かと。
クールテツオーは現状での地力と陣営の攻めの姿勢は大いに認めるところだが、ハンデ60kで背負い頭というのがどうか?と思う。「重斤には必ずしも強くなかろう。」と見ているので、あくまで相手一番手扱い。
ミスターサックスは、AGPまでは評価していなかったのだが、あの勝利で痛い目に遭い、呆気なく転向して地力を認めるに至った。『キンキ』紙上のシルシが本命対抗ズラリで見込まれているのが気色悪いが。ハンデ55.5kは過去最大で、テツオーとは白鷺賞から0.5k縮まり4.5k差となったが、こなせぬ重量ではないと見た。
が、このあたり、山根さんは正反対の見解で、曰く「今のテツオーならアタマで信頼やろ。ハンデも60で止まってくれたしな。もうコンマ5あったら微妙やったけどな。ミスターサックス信用できるかぁ?白鷺賞ん時テツオーと5k差あって全く歯が立ってないねんで。そやのにこのシルシ、こんなん評価され過ぎてるで、ワシは認めん。」。続けてディオスとワシュウに関しては「この2頭の58.5はいかにも恵まれたよな。ここらあたりにワシュウの云々」と。
加えてヒモに非常にクサいのがタカヤマナイス。この馬昨秋来絶好調で、逃げに近い先行馬ながらも、終い交わされてから非常に渋太く、音を上げずに食らい付いてくるので今回もかなり怖い。これは"リーダー"前田っちや環ちゃんも言及するところ。加えてリーダーは「これは悩ましい。イーグルトライのハンデ51kも軽いし、穴狙いならどうとでも買えるでぇ。マッピーウェーブ(明け4歳の上がり馬で最近遂にS1到達)出てないのは残念やけれど。」と。
「なあなあ、今日もスーパーチャレンジ買うのぉ?買おうよぉ!」とはまりおちゃん。「チャレンジは園田金盃の開催(のS1でタカライデン破って勝った)がピークやったと思うで。よって今日は買う予定、なし。でも実物観たらわからんけど。」と返すワシ。「ジョージサンキュウはぁ?」とニーナちゃん。ワシ、バッサリと「買いません。」。

パドックから発走まで
さんざん待たされて、雨の中、ようやくパドックタイムとなる。本格的に観戦記したためはじめて4年目となるが、これだけ雨に難儀したレースは、これまでない。リーダーに傘を差し掛けて貰って、パドック写真を撮る。自分のやりたいことのためには、他人を強引に巻き込むワシ。
1番ハッコーディオス。問題の馬体重、休養明けの前走+34kで488kだったところから、さらに10k増えて、何と498kになった。3走前の昨年の新春賞時が474k、これと比しても24k重い。ホンマこの馬の馬体重変動には悩まされる。芦毛であるにせよ、胴回りはひと目で太い!と判る。それにいかにも緩そう。「へぇ、ハッコーディオスもすっかり白くなったなあ。」とは、アラブ系最後の新春賞ということでお越しの"同志"ディープさん。それでも身のこなしは柔らかく、気配はじんわりとしている。前走前々開催のS1をタカライデンの3着。
2番マサノライデン。ガンと実が入って締まった馬体。パドックの内々を周回し、トモの送りが硬いのはいつものこと。悪くない。前走前々開催のS1を7着。追い込み得意だが、昨秋は好位競馬をすることが多かった。
3番タカヤマナイス。この毛艶が実に良く、馬体張りも素晴らしい。「うぉメッチャエエ!」と、隣のリーダーも感心。2走前の姫路最終開催のS1で、2番手からスーパーチャレンジをハナ差交わして1着。前走前々開催のS1も、タカライデンに食い下がって2着。
4番ミスターサックス。スッキリ作った前走AGP時から8k増えて、今日は馬体重532k。これは白鷺賞時より1k重く、過去最高馬体重。ではあるが、かつてほど馬体は、特に後半身は緩く見えず、まずまずの締まりだと思った。また、トモの力感は夏前に比して増したような。これは環ちゃんも同意見。が、ディープさんは「AGPの時は意外にも良く見えたけど、今日は大したことないなあ。」と。「まああの時はホンマ絞ってたからね。」と返すワシ。周回前半は大人しかったが、次第に気合いが乗ってきた。
5番ワシュウジョージ。これが意外にも、ホンマに見た目良くって。馬体重452kは休養明けの前走から6k減で絞った適正値。とにかくガチッと実が入っていて筋肉の付きも文句ない。毛艶も上々で、踏み込みも深い。全盛時でもここまで良く見せたレースは多くなかったのでは。ただ気配は、地元戦であるにしても、かつてより随分大人しい。後半気合いが乗った程度。「なあ、ワシュウえらい良かったやろ。」と、レース前に山根さんも言及。前走3開催前のS1をスーパーチャレンジの3着。
6番クールテツオー。園田金盃でサラの前に4着と涙を呑んで以来の競馬となる。馬体重-9kの462kは、前走時+22kだったところから戻したもの。450k前後がこれまでの常だったので、これでも数字はやや大きいが、骨格からすればこれくらいあってもいいとワシは思う。事実胴回りもケツもパンと張ってかつボリュームあって、ワシはこのフォルムは好ましいと思う。環ちゃんはトモの踏み込みの浅さが気になったようだが、この馬、3歳時から決して見栄えある踏み込みではないと記憶している。今日は割と大人しく周回していて、前との間隔が開く。
7番スーパーチャレンジ。パドックでは常にカッコよく見せる馬。今日もキビキビと大外を歩いて、ルックスもまずまずだが、毛艶も張りもこの馬としては並で、ヒ腹が心持ち太いような。フォルムのキレは今一歩。3走前タカヤマナイスのハナ差2着と、前々走の逃げ切り勝ちが光るが、前走前々開催のS1は逃げられず8着。
8番ランダムオーク。相変わらずコロンとしたフォルムのイムラッド産駒。焦げ茶の妙な芦毛だが、胴体はちょびっと白くなった。キビキビと力強い歩みではあるが、毛色故にか、イマイチ判らぬ。半年の休養明けから今回3走目。前々走前々開催のS1で11着、前走前開催のS1で8着。差し馬ながら、いずれも後方ママでレースを終えている。
9番ジョージサンキュウ。毎度毎度書いているので今回は詳細には記さぬが、3着4着5着のやたら多い馬。近3走は毎開催S1で走ってオール5着。434kの軽量馬で、元来が線の細い体型ながらも、伸び伸びとした馬体に筋肉が締まって付いていて、目方よりは大きく見せる。ルックスは以前に比して格段に良くなった。この点は認める。
10番明け4歳馬イーグルトライ。姫山菊花賞のサラ化によって、昨秋からアラブ3歳重賞が消滅してしまったために、遅れた出世馬が脚光を浴びる機会に欠けたのだが、これ、上がり馬である。3歳年明けデビューから15戦8勝2着5回3着1回の好成績で、現在4連勝中。前走前開催のA1戦を勝って、格上挑戦でここに間に合った。馬体重524k、とにかく大きい。体高があってかつ胴回りはホーエイヒロボーイ産駒らしく重厚。踏み込む歩幅も大きい。毛あしはやや長くなっているような。
11番ソレユケイチマツ。元来の体型もあって、やや太めな胴回りで、それもかなりでっぷりしたものだが、毛艶と張りは上々。踏み込みも力強い。3走前白鷺賞の前開催、谷間の姫路S1戦勝利が最近の白星。前々走3着で前走前々開催のS1は4着。

本馬場入場から返し馬。クールテツオーはこの馬の常で、入場口から一角方向に直行。ランダムオークも同様。ワシュウジョージはこれまでと異なり、ゴール板前まで進まず、すぐさま一角方向に。ハッコーディオスは最後に、外ラチ沿いを厩務員さんに曳かれて登場し、ゴール板手前まで歩いて、ここから駆け出す。スーパーチャレンジが口を割って駆け出すのはよく見られること。ソレユケイチマツ1頭だけが、馬場をまる1周して、再度ホームをキャンターで通過する。

馬券を買う。ディオスの馬体重に困惑しつつも、結局当初の考え通り、これを中心に、馬単と馬複両方買う。相手にはサックスとテツオーを厚く。馬複でタテ目も。買うつもりのなかったワシュウジョージだが「この出来ならひょっとして。」と思い、ちょっと加える。そして先に記したように、タカヤマナイスから馬複で軽く、上記4頭に流す。スーパーチャレンジは、珍しくホントに買わず。
発売締め切り間際、場内で"ザ・アラブファン"辻本くんと遭遇。彼、開口一番「ソレユケイチマツ、買ったんでしょうね。」と。「買うわけないやん。だってピーク越したって思うし、一八七は長いでしょう。」と返すと、曰く「(摂津盃や白鷺賞の)観戦記であれだけ『(直接対決避けて敵前逃亡する)志低い馬』ってけなしといて、出てきたら買わないって、何やそれ!ボクはここから流しましたから。」。「へぇー。ワシは馬体重には目をつぶってディオス軸。サックスも気になる。」と言うと「まあハッコーディオスは、馬体重ムチャ減らして出てくるよりはましでしょうけど。ミスターサックスは重視しません。」とのこと。

レースなり
雨の中いよいよ発走。雨具など用意していないワシ、今度は恐れ多くもまりお姉さんに傘を差し掛けて貰って、コース脇でカメラ構えてレースに対する。距離1870mのスタート地点は2コーナーポケット、ここから1周と3/4くらい。
ゲートが開く。何故か外からジョージサンキュウが好発、が、これは次第に下げる。中ミスターサックスの出もいい。最内ハッコーディオスは僅かに発馬のタイミングがずれたものの、そこは天才的なスタートダッシュを誇る同馬、鋭く二の脚繰り出して、程なくハナを奪取する。これを承けてサックスはすんなり2番手に。逃げたいクチのスーパーチャレンジとタカヤマナイスは、いずれも痛恨の立ち後れ。チャレンジは無理から前に押し上げるも、サックスに次ぐ3番手。タカヤマナイスは押されたのが裏目に出て、完全に引っ掛かって4番手内でもがいている。クールテツオーの出は今一歩ながら、赤木騎手に促されて好位まで上昇。ワシュウジョージはまずまずの出から、控えてジョージサンキュウの直後、前からは8番手。イーグルトライはサンキュウの前。ソレユケイチマツ、ランダムオーク、マサノライデンは後方から。
正面スタンド前。先頭変わらずハッコーディオス。直後外にミスターサックスがピッタリ続く。両頭手綱は余裕あり。ディオスは離した逃げではないものの、この体勢でペースを支配するのが常套手段。サックスの直後外にスーパーチャレンジ、この手綱は張り気味。次列最内にタカヤマナイスがいて、その外にクールテツオーが、テツオーのラインもかなりイン。ほぼ同列の外目にイーグルトライ。ワシュウジョージはテツオーの真後ろ、2馬身くらい後方。この近辺にジョージサンキュウ、ここまでは各列等間隔で割と一団。ソレユケイチマツはややあって単走9番手。さらに間が開いて、ケツ二がランダムオークで、マサノライデンが内ラチ沿いで殿。

1周目(31KB)
1周目、正面スタンド前
先頭ディオス2番手にサックス

そして向こう正面。その半ば、3番手スーパーチャレンジは尾林騎手の手綱が動くも後退気味。それを交わしたクールテツオーだが、赤木騎手も押っつけ押っつけなアクション。前ではどうやらハッコーディオスが知らぬ間にペースを上げたよう。2番手サックスがこれに付いていく。結果として三角手前、サックスとテツオーの間隔がやや開く。一方テツオーより後ろの中団はグッと固まった。その真ん中をワシュウジョージが押し上がらんとする。ここで「ジョージどこ?」とまりおちゃん。「ほれ、中団に蛍光カラーの太さんの袖が見えるやろ。でもワシュウ動き重いで。」と応えるワシ。するとここへ後方から、ソレユケイチマツが馬群の外目を捲り上がって来る。三角あたりでワシュウとほぼ同位置まで。
三分三厘、先頭ディオスは楽走で先頭を行く。相変わらず1馬身差の外にサックスが続くが、鞍上マナブの手綱は大きく動いて追いどおし。それでも遅れずディオスに食らい付いていく。2馬身弱あって次列、内にクールテツオーだがどうも行き脚がない。ワシュウがこの外に併せ、そしてさらにその外、ソレユケイチマツが馬体を並べかけた。
4コーナー、ディオスが先頭で回る。あまりに余裕な手応えに「あ、これ(ディオス)勝ったわ。2番手サックス、そのままでエエわ。」とリアルタイムで思うワシ。テツオーがしごかれて内を掬う。外をグイと伸びるのはソレユケイチマツ。リプレイで確認すると、この時点でワシュウを交わしている。
そして最後の直線勝負。先頭ディオス、ここでしごかれ追い出され、逃げ込み体勢に。コーナリングの妙でテツオーが2番手に、しかし伸び脚に疑問。外ではミスターサックスがディオスを追い、この外にソレユケが肉迫。ワシュウジョージは伸びない。

残り30くらい(31KB)
最後の直線、残り30mくらい
ディオスは降参で勝負は外サックスvsソレユケ

しかし残り100を切ったあたり、ハッコーディオスの脚が鈍る。これを目がけて外の2頭、サックスとソレユケが併せ馬の体裁で伸びてきて、残り50でディオスを交わす。両頭脚いろほぼ一緒、追い上げる側の強みで、途中まではソレユケの方が勢い優っていたところ、ディオスを抜いて以後、ミスターサックスがグンともうひと伸び。結果半馬身ソレユケイチマツを下して、真っ先にゴールへ飛び込んだ。

ミスターサックス(40KB)
ミスターサックス、グイとゴールへ
馬は偉いが写真がピンぼけで困る

ソレユケのさらに大外から、マサノライデンが突っ込んで、3/4馬身差の3着。リプレイ見直すと、四角中団をインで回って、残り100で前5頭の真後ろを、ほぼ直角に大外へ持ち出して追い込んでいる。これぞこの馬の真骨頂。お陰でハッコーディオスはゴール前、クビ差で4着に落ちた。ディオスの直後では、馬場のかなり内でテツオーとワシュウの追い比べ。これが5着争いというのも悲しいが、ゴール直前ワシュウジョージがクールテツオーをアタマ差交わして、ディオスから1馬身半差の5着。イーグルトライは好位ママで7着。ランダムオークは沈んだ馬を交わして8着。中盤好位だったジョージサンキュウは後半遅れて9着。先手を取り損ねたスーパーチャレンジとタカヤマナイスが結局ブービーと最下位。

ミスターサックス、ウィニングラン(37KB)
ミスターサックスwithマナブ、ウィニングラン
珍しく、マナブ、「おらおら」状態

マナブ騎手、よほど会心の勝利だったのだろう。あまり派手はパフォーマンスしない人なのだが、ゴール後大きくガッツポーズ。そのまま馬場を1周してウィニングラン、スタンド前で何やら叫びつつ、再度拳を握っていた。実際、このコンビ、前走AGPに続いて今回2度目ながら、非常に息が合っている感じがする。大柄で、その割にはあっさり素直なところが、案外似た者どうしだったりして?

大反省
ミスターサックス。お見事!の勝利である。2周目の三分三厘押っつけ押っつけになったのも何のその。最後の直線の走りは出色。昨秋まで目立った、勝負根性と一瞬の斬れ脚の欠如を吹っ飛ばしてしまった。ソレユケイチマツに並ばれてから、終いさらに伸びた様の、何と力強かったことか。当初から道中の折り合いに心配のない馬だったので、こうなれば「鬼に金棒」である。我ながら「ちょっと褒め過ぎじゃないか?」とも思うが、今日のところは素直に認めてあげましょう。
ソレユケイチマツ、走ったなあ。1870m戦も何のその、捲り脚も終いの差し脚も、大したもんだったじゃないか。お陰でワシの馬券は大外れ。「ほーらね!だから言ったでしょう。一度気に留めた馬は買っとかなきゃアカンのですよ。」との、辻本大先生のコトバが、メゲたココロに追い打ちをかけた。
マサノライデンは本来の追い込み一発で3着獲り。個人的には認めている馬なのだが、今回は無視してしまったなあ。それにしてもこの馬、大舞台で常にソコソコ上位入線する。
ハッコーディオスは・・・小回りの地方競馬の重賞で、四角あれだけ抜群の手応えで逃げて回ってきた馬が、終いぷすんと止まって、ここまで負けるケースって、滅多にないんじゃないか。サンTVの中継中、解説の『キンキ』浜田氏がレース前、「うーんこの馬体重。中23日のローテーションの割には、攻め馬2本だけ、やはりもう1本いっとくべきだったかもね。」と危惧していたが、どうもそれが的中してしまったか。タレたと言うには至らぬが、ちょっと息が保っていないし、終いの動きにキレがなかった。
ワシュウジョージはやっぱり地力が落ちていようか。2周目バックで動きが重かったのはともかくとして、リプレイ見直すと、それ以降太さんは何とか追い出すの我慢して、直線に入るまで鞭入れるの控えていたのだが、結局かつてのような豪脚は見られなかった。明け7歳、ということは「渾身の摂津盃同着優勝」を果たしたヨシゼンの歳になったわけで、歳も歳だ。「いや、これからワシュウは味を出すんや。」と、誰かさんは言うのだろうけれど。
クールテツオーは、今回ばかりは終始印象薄かった。何となく好位ママで回って終わってしまった感。道中のズブさも目立った。追い出されて最後もっとグッと伸びようものを、やはり重斤が堪えたのやも知れぬ。出直して、サラに是非再度挑戦を!
スーパーチャレンジはハナ切れなかったことが全て。尤も、この日の調子としてはこんなもんか。タカヤマナイスは前半後手踏んだのが痛い。逃げ馬から離され過ぎては、食らい付いて行きようもないわけで。窮屈そうにインコースに閉じこめられてしまったし。

おしまい
さて今後。この結果を承けて気になってくるのは、3月の佐賀、西日本アラブ大賞典。賞金が大幅に減ってしまい、1着500万円では遠征する妙味が薄れた感は否めぬところではあるが・・・ミスターサックスが出走するのであれば、これは非常に楽しみだ。
問題はこれが出ぬ場合、もしくは御丁寧にも、またもや兵庫枠2頭なんてことになった場合。ソレユケイチマツもマサノライデンも2400mはピンと来ぬし、ハッコーディオスが他地区遠征するとは考えにくいし、クールテツオーは園田金盃敗戦もあって、長距離戦は合わぬだろうと陣営も見ているようだし。となると、またもやあの馬、「出たがりジョージ」かぁ?
「佐賀はワシの第二の地元や!今年も行くでえ、そして3連覇や!」などど、本気で思っていそうで、何とも・・・

それにしても、元旦南国王冠、2日福山大賞典、そして今日、と、馬券は3連敗。年が明けて、まだ片目も開いていない。「駄目じゃん、ワシ」。この先1年、一体どうなる?全く先が思いやられるぞ・・・

ソレユケイチマツ(15KB) 「ワシを嫌って見くびったバチやがな。ほーれ、苦しめ苦しめ」byソレユケイチマツ

「キーッ!」おまけに写真も大失敗で、メゲメゲ。退散・・・
2003.1.14 記

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