第1回全日本2歳アラブ優駿観戦報告

 2001.12.9、福山、1600m

はじめに〜このレース新設に関して、思うことなど
今年度の福山競馬、二つの全国交流競走が新設された。その一方、古馬のレース、タマツバキ記念全日本アラブ大賞典は、これまで存在した山陽杯を発展的に解消した末のものであるのだが、もう一方の2歳戦、全日本2歳アラブ優駿は、まっさらな新設重賞。既存の重賞を模様替えしたり廃止したりすることなく、福山競馬における重賞総数を増やしてまでこしらえたレースである。こういったことからも、広域場間場外発売時代の今日にあって、アラブ専門競馬場である福山競馬の主催者が、このレースを、自場の個性を押し出した、他地区に売り込む際の目玉とせんと志向したであろうとは、想像に難くない。
この競走の新設は、'96年に川崎の全日本3歳争覇が廃止されて以降(最後の勝ち馬はタービュレンス!)途絶えていた、アラブ2歳(旧3歳)の全国交流重賞の復活を意味する。それはそれで、アラブ業界としては意義の大きいことであると思われる。が、12月の初旬という、それぞれの地区においても2歳重賞が組まれようこの時期に、他地区から遠征馬が集まるのか?全日本3歳争覇の時代とは異なり、アラブ系競走を施行する地区が減り、裾野が格段に狭まった現状も相まって、その盛り上がりに対しては、個人的には直前までかなり懐疑的であった次第。全国交流競走を新設するならば、2歳戦よりも、牝馬限定戦のそれである方がよほど意義深いし盛り上がろうという私見は、以前福山3歳牝馬特別観戦記の冒頭に記したとおり。

と、何だかんだと思ったものの、蓋を開けてみれば、その出走メンバー、まあなかなか悪くない。他地区馬4頭はちょっと物足りない感が無いとも言えぬが、その中には「これが出走してくれたら満足、許す!(具体的には後述)」と思っていた馬の名前もあり、まずは及第点といったところ。

福山へ〜そして競馬場にて
というわけで福山へ。今回もリーダー前田っちと、仲良しコンビよろしく。姫路駅で落ち合う。姫路終点の新快速のとある一本が、が季節限定で播州赤穂まで脚を延ばす臨時列車、赤穂レジャー号にて。これで相生まで行って、ここから新幹線で岡山までスキップ。岡山での乗り継ぎ時間は2分、走って快速サンライナーに飛び込む。そして福山には11:23に到着。
今開催より冬期日程ということで、一日のレース数は10と変わらぬものの、第1レースの発走時間が11時に繰り上がった。これに伴い、ファンバスのダイヤも変わっている。結局競馬場に到着したのは11時頃。

天気は晴れ。12月になって、それなりに冬らしく寒くなったきた。覚悟して出掛けたところ、陽が照っているうちは、さほど寒いと感じない。風が弱いのは何より。
馬場状態は良。砂が補充されたと予想紙に記載されているが、確かに見た目にも深そう。実際時計もかなり掛かっている模様。

入場して、まずはラーメンを食って、スタンド前に出る。既にベンチには、ふささん、もりも先生、そして京都人さんの姿が。高知在住のもりも先生は、何度も「寒ぅ!」を連発。京都人さんの今日の来福は予告なしの、御本人曰く「ドッキリ」。しかしリーダーとワシは「行動派の京都人さんがどこの競馬場におっても、別に不思議じゃないわいな。」といったところで、御本人が期待されたほど驚かない。「あら!?完全にドッキリ不発でしたねえ。」と残念がる京都人さん。しかし「!」はその出で立ち。かの怪しいグラサンはともかく、スーツの上から生成りのロングコートを羽織っている。何だか「神経質な殺し屋」みたいで(『蘇る金狼』に出てくる岸田森とかさ)、むしろこちらの方がドッキリであった。
以降も、地元駐在おさるさん、全日本アラブグランプリに続き、中1週でまたまたお越しの上山応援家くもぎりまるさん。Oku師匠に、"同志"ディープさん。そして久々に、地元"福山競馬万歳さん"もお越しになる。これにFUKUさんも加わり、電設師の不在は残念ながら、福山現地デフォルトの面々が揃って、いい雰囲気の現場になった。

ちょっと注目のレースなど
交流競走の常として、招待馬に騎乗する他地区の騎手が登場する、いわゆる"接待レース"が今回もある。その中でも印象的だったのは、兵庫の田中学騎手が登場した第4レース
田中騎手騎乗馬は人気薄の2番アカオニ。これがレースでは、前半ドンケツから向こう流しで大捲りを敢行。隊列の外目を一気に駆け上がり、三角2番手に。最後の直線では、岡田騎手騎乗でこれも人気薄の、逃げたノーティネスと追い合って、最後クビ差届いての勝利。枠単配当45,940円の波乱を現出した。彼のお手馬、あのサンバコールを彷彿とさせる派手な競馬、大穴決着も相まって、インパクト充分であった。
その他では、第5レース。高知リーディングの北野騎手が登場。彼の騎乗馬は2番で、3号馬の鞍上が、今年前半まで高知所属だった佐原騎手。というわけで騎乗前の整列時に、両者が隣りどうしになる。ここで北野騎手が佐原クンに何やら話しかけ、二人でニヤニヤしていたのが、観ていて可笑しかった。

さらにちょっと注目レースを二つ。
まずは第6競走、3歳3組戦。ここに、あのモナクマリンの全弟、ビックワンサンセイが登場。今年3月という遅いデビューから、体質的なものか、順調に使い込めず、6戦無敗ながらも未だにこのクラス。マイル戦は今日が初体験。
馬体重+13kの数字通り、腹の肉がタポタポしていて明らかに太め残り。しかしレースでは岡崎さんを鞍上に、ポンとハナに立って、兄と同様、二の脚以降抜群の加速を見せてグングン飛ばして逃げる。初距離ということもあり、最後は後続に迫られ、岡崎さんが叱咤する場面もあったが、無事に勝ってこれで7戦全勝。こんなクラスで停滞しているような器ではないので、とにかく、早く出世しなさい!

第7競走、C2の3組戦。ここに、上山のオープン馬だった、スズヒロフレンドが登場。あの山形シチーさんの期待馬でもあった。「ドリーミングに続け」とばかりに福山に移籍して、今回が当地緒戦。「弓削厩舎所属で馬主は松井三千年ですよ。生え抜きのマルサンダイオーはともかく、あのミナミセンプウと同じトレードパターン、超VIP待遇じゃないですか!」とディープさん。関係者の期待の高さが窺われる。
そのパドック気配はちょっと冬毛気味。くもさん曰く「この馬向こうではかなり凄いトモの造りだったんだけれど、今日はそれから二回りくらいは肉が落ちてる。」。レースは岡田騎手を鞍上に先行3番手あたりで終始進めるも、結局早め先頭に立った1番人気エクセルシュルード捉えることができず、2着に終わる。今後に期待ということか。

※全日本2歳アラブ優駿についてはここからです
さて、全日本2歳アラブ優駿、出走馬は以下の10頭。()内は所属地区、騎手。
ホワイトキャンプ(福山、岡崎)、サイバーイット(益田、末田)、ルパンユイナ(福山、片桐)、レディースアポロ(福山、岡田)、スーザン(兵庫、田中)、ユキノホマレ(福山、佐原)、レビンマサ(上山、板垣)、サンコーアイボ(福山、久保河内)、ダイニアキフジ(福山、鋤田)、ヒダカシュウホウ(高知、北野)
斤量は牝馬のサイバーイット、ルパンユイナ、レディースアポロ、スーザンが53kで、他の牡馬は54k。
益田、兵庫、上山、高知からの招待馬4頭を、地元馬6頭が迎え撃つ。地元勢は、先月18日の2歳重賞、ヤングチャンピオンの1〜4、6、7着馬である(5着イケノアカデミーは回避)。トップの一角、ドリーミングの全妹アヤヒカリの姿がないのは残念なところ。

パドックから発走まで
では、各馬のパドックについて私見をば。
まずは1番ホワイトキャンプ。ヤングチャンピオンを個性溢れる差し競馬で制し、地元筆頭としてここに臨む。これまでよりは活気のある周回気配。黒い芦毛の毛艶は良い。馬体重は+11kだった前走と同じ465kで、やや緩そうに映るのはその時と同じ。元来がちょっとコロンとしたスタイルでもあるが。
2番サイバーイット。益田代表馬としては、当初もう1頭、ユタカユーチャンの名前もあったところ、回避したため結局この馬のみの参戦。鶴首気味の周回。毛艶はまあまあ。馬体重460kだが、それほど大きく見せない細目の馬体。
3番ルパンユイナ。ヤングチャンピオンは出負け差し競馬での3着。細い首差しを鶴首にして。皮膚の薄そうな明るい栗毛だが、毛艶と張りはソコソコ、もっと良く見せる余地がある。それほど力ある踏み込み具合でもない。
4番レディースアポロ。ヤングチャンピオンは好位ママの4着。これも鶴首で周回。毛艶はソコソコ。馬体重410k、その通り細い馬体で特にトモが華奢。
5番スーザン。兵庫では3日後の12日に重賞園田2歳優駿が控えており、筆頭のシリウスウインド以下、トップ勢は福山に参戦するべくもない。このスーザンは、戦績7戦3勝ではあるが、現状では中堅上位くらい。時折チャカチャカする。490kと大柄で、なかなかボリューム感がある。毛艶や張りは普通。
6番ユキノホマレ。ヤングチャンピオンはドンケツ追い込みの6着。馬体重498k、やはり大きく見せる。体高がありそう。この馬なりには良い馬体なのでは。
そして7番がレビンマサ。上山2歳、断然の筆頭。7月の2歳重賞若草賞を制し、収得賞金上、既に古馬編入。地元では先週2日に2歳重賞若竹賞があったのだが、その賞金が低額ということもあってか(1着90万円)、ペルターブレーブ、ホマレエリートに続き、勝利と賞金を求めて、堂々ここに参戦してきた。冒頭で「これが出走してくれたら満足、許す!」と記した馬がまさにこれ。実際目にするのは今回が初。さてその気配。毛艶と張りは良好。トモの踏み込みは普通だが柔らかい。辺りをのんびり見渡すくらいの落ち着きぶり。ちょっと2歳離れした雰囲気である。
8番サンコーアイボ。ヤングチャンピオンは中団以下のまま7着。毛艶も張りもスッキリとしており、見た目的には悪くない。しかし着順は近走下降傾向で、人気ほど走っていない。劣勢か。
9番ダイニアキフジ。ヤングチャンピオンは先行して渋太く粘っての2着。気性難はそう容易くは改善されず、今日もやっぱりイライラ気味。しばしばガッとなったり。胴回りのガッチリ感が目を惹く馬体で、毛艶も張りも良好。ルックスだけでいえば、この馬が一番かも。
10番ヒダカシュウホウ。デビュー戦7着の後は4戦2勝2着2回の高知代表。コロンとした体型で、胴回りが太い。それに比して後半身は細く映る。地味なくすんだ鹿毛、毛艶が冴える方ではない。

本馬場入場から返し馬に。ルパンユイナは入場口から1コーナーへ直行。ダイニアキフジはやはり気が悪いからか、首を持ち上げ口を割ってバタバタと返し馬に。レビンマサは首を上下させ、ちょっと気合いを表に出したか。ダクに入るとき、ディープさんが「カキピ〜!」と、与那覇アナのつけた、鞍上板垣騎手のニックネームで声援を送ると、ここでレビンマサが口を割って天を仰ぐ。声援を聞いて笑ったような感じで、ちょっと観ていて可笑しかった。
ルパンユイナは片桐騎手に手綱を抑えられつつも、グイグイとした強めのキャンター。ダイニアキフジも強め。ホワイトキャンプはやや強く。レビンマサは1周ダクで流して、正面スタンド前からキャンターに移行し、軽めながらも力感溢れるフォームを披露。「珍しく北野騎乗の遠征馬が小さいよぉ。オオギリセイコーとか、特大の馬での参戦がこのところ多かったのに。ヒダカシュウホウ背が低過ぎて、他馬の陰に入ったら、北野の姿が見えないよぉ。」これはもりも先生のオコトバ。

「レビンマサって地元でもあんな大人びた感じだったの?」と、盆の日本海記念前日に、上山で彼を観ているディープさんに問う。「そうですね。それより何より今回は板垣が乗ってくれてやれやれですよ。同日に地元でも開催があるから、そこでの騎乗予定との兼ね合いで、福山でレビンに乗るかは当初未定でしたからね。」との答えが返ってくる。因みに板垣騎手は今年彼の地のリーディングjkであり、レビン所属の秋葉厩舎は、勝負掛かりの際に彼を抜擢しているとのこと。
「アラブ現場主義者としての見解は?」と問われ、次のように述べたワシ。「ホワイトキャンプの差しは堅実やから、連軸には推せると思う。ダイニアキフジが陣営の望み通り外枠に入ったから、これは面白いでしょう(この点は『福山エース』も記述、気性的に、包まれずにゲートを出られよう外枠の方が断然良い、と)。勿論、レビンマサは注目だし頑張って欲しい。」。ということで、ワシの予想と買い目は上記3頭。この三角買い。「当然ここはスーザン買うんやろ。」と、2線級の兵庫所属馬が参戦した際のお約束で、今回もOkuさんが突っ込む。「んな買いませんって。」「何やつまらん。」ソンナコトイワレテモ・・・

さあレース
いよいよ発走。記念すべき第1回、距離1600m、スタート地点は向こう正面半ば。
ゲートオープン。やはり外枠が功を奏したか、ダイニアキフジがドンと好発。中からスーザンも押さえて前へ。3コーナーにかけては、一旦はダイニアキフジを交わしてハナを奪う。一方、ルパンユイナは危惧された出遅れを今回もやってしまう。それも相当甚だしく。またまた不本意ながら後方からの競馬に。そしてホワイトキャンプが意外にも前に、3番手あたりに位置取る。
三分三厘にかけて、ダイニアキフジがスーザンを抜いて先頭に立つ。スーザンはそのまま2番手に収まる。3番手は内でホワイトキャンプ、鞍上岡崎さんがどうも意識して前付けを狙った感じ。レビンマサはすんなり先団の外に。
そして正面スタンド前。先頭ダイニアキフジ、インを逃げる。グッと折り合いはついている感じ。3、4馬身離れた2番手にスーザンが。その半馬身強外にホワイトキャンプが寄り添って3番手。この外にレビンマサが馬体を併せている。一見手綱は張り気味だが、板垣jkは巧くリラックスさせているような。ここから2馬身くらい開いて、次列内にサイバーイット、やや下がった外レディースアポロが続く。ルパンユイナはこの後ろイン7番手。サンコーアイボ、ユキノホマレらは後方からで、殿はヒダカシュウホウ。

1周目(33KB)
1周目の正面スタンド前
先頭アキフジ、キャンプとレビンは次列併走

レースが動くのは向こう流し半ば過ぎ。先頭のダイニアキフジが加速。「ダイニアキフジ行ったな。まだ馬なりだぞ。」とFUKUさんおさるさんディープさんらと確認。離されまいと、2番手スーザンが外から必死に絡んでいこうとする。ホワイトキャンプも岡崎さんの手綱が動くが、やはり不慣れな前付け競馬ゆえか、いつものジワリとした進出が見られず苦戦気味。
2周目三分三厘、逃げるダイニアキフジ。続くスーザンは苦しい。ホワイトキャンプも遅れ気味。これらを横目に、加速したのはレビンマサ。大外からグイグイと寄せてくる。これでもまだ板垣騎手は手綱をシゴき始めたというところだが、レビンのストライドが明らかに大きく、そして力強くなったのが判る。
最後の直線、鋤田の剛腕右鞭連打に叱咤され、内で必死に粘り込むダイニアキフジ。直線入り口で2番手に上がり、外からアキフジをジワジワ追い詰めてくるレビンマサ。残り50mを切ったあたりで、遂にレビンマサがアキフジに追いつく。しかし容易くは交わさせないダイニアキフジ。大型馬二騎によるダイナミックな追い比べ。最後の20あたりから首の上げ下げの勝負となったが、最後はレビンマサがクビ差外から抜け出して、ペルターブレーブのタマツバキ制覇に続き、上山に日本一のタイトルをもたらすVゴール。鞍上板垣、ゴール板を10m過ぎたあたり、脱鞍所前で見守る関係者さんに向かってガッツポーズ。
2着ダイニアキフジ。そして3着争い。スーザンが最後まで懸命に粘るところ、脚勢イマイチながらも改めて差し込んだホワイトキャンプが、ゴール前で辛うじてハナ差交わして3着に滑り込んだ。しかし2着とは2馬身半差。4着スーザン、2馬身半遅れた5着に先団キープのサイバーイットが残る。6着7着は道中ケツ2と殿だったサンコーアイボとヒダカシュウホウ。ルパンユイナは全く不発の9着に終わる。
粘るダイニアキフジ(40KB)
残り30mくらい、粘るダイニアキフジ
そして外にはレビンマサ
レビンマサ(35KB)
ゴール直前、首の上げ下げの接戦に
写真ではアキフジが出ているが、終いはレビンマサの勝利


振り返って
お見事!レビンマサ。山形からの長大遠征、前週の月曜に追い切り、翌日福山に持ってきて、当日に臨んだとのこと。慣れぬであろう遠征・他場戦を完全に克服しての戴冠となった。先団・好位をすんなり取って、終いの着差こそ大きくなけれど、確実に捉え切るというのは彼の常套手段とのこと。「やっぱり古馬に揉まれて場数踏んでる分だけレース慣れしてるよな。」とリーダーが感想を漏らしたが、ここでキッチリ実力を出せるところがまた偉い。期待通りの走りかと。それにしてもこの馬、雰囲気といいレースぶりといい、他馬とは現時点での完成度が違うよな。まだまだ伸びる余地もあろうから(母の父オオヒエイはちょっと気になるが)、今後さらに期待。余談だがこの馬、その大人びた印象とは対照的に、顔がムチャムチャ可愛い。
ダイニアキフジは惜しかったが、力のあるところを見せた2着かと。スタートが良かった点が、まずは何より。2周目三角手前でドンと加速した際のパワーは、若駒らしからぬものであった。とにかく気性面での成長待ちなのだが、血統的にも本領発揮はまだまだ先だろう。2歳重賞を、完成度で優るライバルの前に連続2着惜敗てしまった、荒削りな、気の悪い大物候補、ということで、個人的に何となくダブるのは、あの馬なのだが・・・その如く、来年頂点を極められるか、注目。
ホワイトキャンプはこれまでの戦法を改めての先行競馬で3着敗退。慣れぬことをしたからか、2周目バックからの伸び脚を欠いた走りで、いいところなく負けてしまった。「あの馬あんなもんなん?」とOku師匠が聞くので、「いやあ多分先行競馬したの初めて。いつもはロングスパートで終い届かせてるんだけれど。」と返すと、師匠「今日の馬場、後ろから全く届いてへんやろ。そのあたり考えて前々で岡崎が乗ったんと違うか。それか今後見越して前付け競馬試したかもな。」との見解。その線もあり得るか。さて今後、脚質的には長めがよかろうが、早熟傾向の強いイムラッド産駒であり、どうなっていくのかが興味深い。個人的には好きなタイプ。
ルパンユイナは今日も出遅れ。関係者エリアにいたくもさんが、スタート時に地元の厩務員さんが「あの馬(ルパンユイナのこと)またやった。」と言うのを聞いたそうで、これはもう完全に定着してしまった悪癖かと。素質はあろうが、ダイニアキフジの気性難共々、その克服が当面の課題かと。その一方で、招待馬陣営の人が「あの馬良く見える。」と評していたそうで(これもくもさん情報)、やはりただ者ではないようだ。馬券的には、当面はおっかなびっくり買わねばならぬだろうなあ。
スーザンは善戦だろう。しかし個人的にはヒヤッとした。兵庫の2線級馬が地元の本命馬に先着する結果なんて、非常に困るので。こうした局地的結果が「兵庫のアラブはやっぱり強い。」という幻想の維持に供せらえれ、実際には確実に進行している、その層の空洞化、レベルの低下という現実の隠蔽に一役買うのだ。だからホンマに困るのよ。好走とみなすのであれば、その要因はスーザン自身のうちにあるものであり、兵庫のアラブのレベルに帰するものではない。

レイを纏ったレビンマサ(39KB)
口取りを前に、レイを纏ったレビンマサ
何ともカワイイその素顔

本命のホワイトキャンプが連対落ちしたため、この1、2着で配当が、枠複860円、馬複880円、馬単1500円と、なかなかオイシイ結果となった。
「げー!わいダイニアキフジ持ってないー!」とリーダー。「何でやねん?やっぱりパドック煩くて気に入らんかったん?」と問うとまさにそのようで。やっぱり見慣れていない気性難の馬の取捨は難しい。

おわりに
最終レースは買わず、本日の競馬は終了。この後は自然散会。もりも先生、ディープさん、リーダーの4人で送迎バスに乗車。ここで、払い戻し窓口に並んでいる間に皆さんとはぐれてしまった京都人さんから、リーダーに入電。我々が既にバスに乗り込んだと聞いて、コートをはためかせつつ駆け込んでくるセンセであった。発車を待つ間、FUKUさんが自転車で走り抜けていく。手を振ると目が合って、FUKUさん、ニカッと応えてくれた。

駅にて新幹線利用のもりも先生、ディープさん、京都人さんとはお別れ。リーダーとワシは在来線のホームへ上がる。すると、ひと足先に競馬場を後にした、Oku師匠とくもさんにバッタリ。「何や結局追いつかれたんか。」と師匠。御両人はここから、ひたすら在来線で東上、大垣からは"ながら"利用で東京まで、そして北を目指すとのこと。ということで以降、我々が下車するまで同行することに。
岡山駅での乗り換え時間は2分。互いのホームが離れていてなかなか大変。大荷物持参の両巨頭、「大丈夫かな」と心配したのだが、そこは歴戦のツワモノ。殊にOku師匠、デカいバッグと脚立を担いで猛ダッシュ。その迫力といったらもう。「中京の千二で、重斤背負ってブッチ切るユウキトップランみたいやな。」と思ったりして。
相生で新快速に乗り換えて、リーダーとワシは姫路で下車。ということで御両人とはお別れ。リーダーと夕飯がてら一杯やって、10時前にお開き。

冒頭では何やかんや書いたが、このレースクオリティにして、この勝者。というわけで、第1回である今年に関しては、
「うん、これなら、いいじゃない――」

2001.12.18 記

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