第24回銀杯観戦報告
2003.6.29、福山、1800m
◆はじめに〜出走メンバーについて
梅雨の福山、恒例の一番といえば銀杯。3歳重賞だが、福山ダービー及び楠賞の勝ち馬には出走資格がない。さりながら、近年はこのレースの勝ち馬が大成するケースが多く、さながら「出世レース」となっている。このあたりは、昨年同レースの観戦記、その冒頭にて記したので、興味がございましたらそちらを参照してください。
さて、今年の出走馬は内枠より以下の通り。枠順確定後、ミスラッキーが回避したので9頭立てとなった。()内は騎手、性、斤量。
サンダーソレイユ(三村、牝、53k)、セイコウ(鋤田、牡、54k)、ミルガルソン(岡崎、牡、54k)、ユキノエイコウ(嬉、牝、53k)、ミスラッキー(野田、牝、53k)、ホーエイアキフジ(吉延、牡、54k)、ラピッドリーラン(佐原、牝、54k)、ホマレスターボーイ(對ィ、牡、54k)、デザートビュー(渡辺、牝、53k)、キヨノサウンド(松井、牡、54k)
ハンデは賞金別定かと。牡馬54k牝馬53kの基本重量から、ラピッドリーランが1k加増されている。
今年の福山ダービーは、世代筆頭のユノエージェントがすんなり勝って、規定によりこれは出走しない。またダービー5着でキングカップ2着の有力馬スイグンは、3日前の園田楠賞に遠征したため不出走。ダービー2着のビートザウイングは瀬戸内賞で7着に敗れて、これも登場しない。既存の有力どころとしては、クイーンカップ馬デザートビューと、園福交流馬ラピッドリーランの牝馬二強が目立つくらい。「牝馬じゃアカンと言うわけではないが、牡馬の実力馬を欠いて、これがホンマに、勝ち馬が大成する出世レースになるんか?」という突っ込みは、生じてもしょうがない感じ。
が、今年の場合、このレースのもう一つの特性の方に、重心があると見なしておきたい。すなわち、他地区デビューの有力どころが、初めて迎える重賞ということ。
当地では2001年度より、「ヤングチャンピオン、キングカップ、クイーンカップ、福山ダービーは、福山デビュー馬に出走資格を限る。」なる、俗に言う「鎖国政策」が施されており、ここまで転入馬は、いくらクラスを上げようとも重賞の舞台を踏めない。2歳秋から3歳春先にかけて、他地区からの若駒の転入は毎年増加の一途。それに比例して、他地区デビューの素質馬が増えるのも自然の成り行き。よって今年、出走馬のうち、他地区デビュー馬が5頭を占めることになった。これらが忍従の鬱憤、晴らすかどうか、はたまた生え抜き馬が意地を見せるか。このあたりに、レースの見どころが生じるわけである。
◆当日の概況、そして前半戦の2歳戦4鞍
今回は珍しく、第1競走に間に合うように、早朝に住処を出る。競馬場には10時40分頃到着。
この日は西日本の広い範囲で梅雨の中休み。福山の天気も晴れ。もこもこした雲も出ているが、日差しは充分。午後になると夏さながらの天気になって、非常に暑い。日向にいると二の腕がじりじり日焼けするのがわかるほど。
週中の雨で、馬場状態は不良でスタート。しかしながらこの日差しで水分は着実に蒸発して、第6競走からは重の発表になる。馬場が乾くのと引き替えに、空気はどんどん蒸し暑くなった。
この日の第1競走から第4競走までの4レースは、全て距離800mの2歳戦。この第1競走に間に合いたかったのが、朝一番に家を出た理由。今年の福山競馬では、2歳戦は前々開催から始まっており、最多出走馬で今開催3走目となる。以下、順にざっと。
第1競走、2歳10組、新馬戦。出走の7頭は全て今回初出走。
最大の注目は、あのモナクマリンの半弟モナクマリオ。父がカヅミネオンからヘイセイパウエルに変わっている。430kと馬体は小柄で幅が薄い。この父の産駒にありがちな、やや重心が高そうなフォルム。レースでは、サスガにあの兄の弟、好発から一気呵成に逃げるも、4コーナーで勝ち馬に交わされ、3馬身差の2着。
勝ち馬ホマレタイセイは、あのホマレエリートの半妹。父がスマノヒットからカヅミネオンに変わっている。つまりは、実績馬の下どうしでのワンツー。勝ち時計、何と48秒5!ミハルインターのレコードにコンマ2差。馬場が不良であるとはいえ、恐るべき速さ。この両頭、壊れなければ、今後の活躍、期待できそう。
第2競走、2歳9組、新馬戦。このレースの出走8頭も、全て初出走。
勝ったのはイムラッド産駒の芦毛牝馬アマザン。単勝2番人気。テンから鞍上楢崎クンにシバかれての逃げ切り。芦毛とはいえまだまだ真っ黒な馬体、フォルムにキレが出てきたら、ワシ好みのタイプになるやも。勝ち時計は49秒7。
第3競走、2歳2組戦。出走10頭は全て未勝利。うち6頭が3走目、4頭が2走目。
勝ったのは単勝4番人気ハマノミーキ。逃げ切り。勝ち時計は50秒3。あのイセイチフブキやクールテツオーらの全妹。母セルレアの仔って、活躍馬が牡馬に偏っていて、牝馬は平凡。マルイシヒーローとテツオーの間のクールキャンドウ然り、テツオーとフォーチュンの間のグレートシンガー然り。さてこの子は、どうなることやら。因みにルックスは、兄たちに特段似てもいない。
問題は1番人気ヤスキノショウキ。前半好位から差を詰めて、直線勝ち馬と叩き合いになるも、残り50で鞍上周藤クン、ズルッと落馬で競走中止。真相は鞍ズレ、何ともトホホ。「全く、馬に捕まって回って来れさえすりゃ勝ち負けだったのに、それさえ出来ないんだもんな。」と、おさるさんがグサリとトドメ。結局2着は2馬身半差で、ムツミアーサーとアカイアンパンの同着。
第4競走、2歳1組戦。出走10頭のうち、勝ち星を既に挙げた馬が5頭、2着経験馬が4頭。残り1頭は3着2回。
注目は、現在唯1頭の2勝馬フクイズミと、産駒が全て早熟馬に出ているダービー馬ピアドタイトルの娘ピアドジャザー。レースもこの二強の一騎打ち。序盤は大外10番枠からフクイズミがハナに立つも、三角から四角、コーナーワークを利して、内からピアドジャザーが先頭を奪う。直線は2頭の併走、残り50でフクイズミが外から再度前に出て勝利、これで無傷の3連勝達成。勝ち時計は48秒9。やはり1組、好タイムが出た。
フクイズミ、馬体重476kあるグラマーな栗毛っ子。これもカヅミネオン産駒。現時点でのデビュー馬のうち、この産駒、ホーエイヒロボーイに次いで多いんじゃないか。ニホンカイユーノスとも遜色ないだろう。因みにフクイズミ鞍上は、"リーダー"前田っちの御贔屓騎手(何故じゃ?)若手の高森クン。彼、これが今年度3勝目、つまりはこの馬でしか、レースで勝っていないという・・・「もーここまでやろ、いい加減次は乗り替わりや。」と、リーダーも断言の巻。
フクイズミ、内のピアドジャザーを交わして3連勝
鞍上高森クン、ちゃんと御せてるのやら?
ここまでの2歳戦は距離800mなので、当然先手必勝の逃げ有利。馬場と展開傾向掴もうとするのであれば、参考たるのは第5レース以降。上位入線馬には、先団・好位前あたりから抜け出したクチが多い。逃げ粘りと追い込みでの連入は2頭づつ。第5レースの一二五戦で1分23秒8、第6〜第9レースのマイル戦全てで1分49秒台が出ており、タイムはやや速めではあろう。
◆メインレース、パドックから発走まで
そして銀杯のパドック周回が始まる。なお、他地区デビュー馬5頭、前走は全て瀬戸内賞デーのC2の4組戦及び5組戦。これについてはこちらに少々記述ありますので参考まで。
1番サンダーソレイユ。道営デビューで当地8戦4勝2着3回。前走前開催のC2−4組戦勝利。逃げに近い先行脚質。一見コンパクトだが、胴回りは太めのフォルム。しかし実入り充分、緩くは全くない。馬体の薄さと若干重心高めなところは、ヘイセイパウエル産駒らしい。鶴首になってじんわり歩いている。今日も三村クンとの迷コンビで。
2番セイコウ。ダービー4着。前走前開催のC2−5組戦4着。常時掲示盤には載るがなかなか連入できない追い込み馬。ガッチリ体型で毛艶と張りはまずまず。のんびりとした、ともすれば元気なさそうな歩み。踏み込みは浅く、殊に右トモが引き摺り気味で出ていない。
3番ミルガルソン。昨年11月の初戦勝利の後3ヶ月休んで、2月以降、7戦4勝2着1回4着2回の好成績で上昇。前走前開催のC2(7組以下)選抜戦2着でここに間に合った。今回「遅れてきた大物候補」の扱いで、予想紙でも穴評価。やや背が高くてスリムな馬体。毛艶はソコソコ。発汗がキツい。二人曳きのところ、鶴首になって曳き綱をぐいぐい引っ張っている。かなり焦れ込み気味、気性は激しそう。
4番ユキノエイコウ。金沢デビューで当地6戦未勝利、4着1回5着2回。前走前開催のC2−5組戦5着。金沢の新馬戦の1着賞金、150万円!が効いての当地現級だが、明らかに家賃が高い。スリムで明るい栗毛の、牝馬らしいルックスだが、明らかに線が細くて力感が全くない馬体。腹回りの毛艶が悪い。
6番ホーエイアキフジ。上山デビューで当地9戦4勝2着2回3着1回。前走前開催のC2−5組戦3着。極端な追い込み脚質、ハマればド迫力だが届かぬケースも多い。馬体重536k、値通りデカい。胴長で背丈もある。ホーエイヒロボーイ産駒らしく、腹回りのボリュームもたっぷり。張りは充分。じんわりのんびり回っている。ただしトモの踏み込みはやや浅め、これは常時こんなもの。
7番ラピッドリーラン。ダービーでは早々に後退の9着ブービーだったが、前々走C1戦を差のない2番手から終い制し、前走前開催のB2戦を逃げ切って勝った。というわけで、持ち賞金も現級も出走馬中トップ。439kの馬体重自体はこれまでと変わらぬが、見た目に大きく、ゆったりとした馬体になった感じ。冬場は毛艶がとにかく冴えなかったが、今日はまあまあ、悪いことはない。キビキビとした身のこなしで、尻尾をぶんぶん振り回して歩いている。相変わらず前後肢共に大きな踏み込み。
8番ホマレスターボーイ。上山デビューで当地9戦2勝2着1回3着2回。常に勝ち馬と差のない競馬をするも、勝負弱いのかジリなのか、なかなか勝てぬ馬。前走前開催のC2−4組戦5着。上山時代は世代2番手で、ホーエイアキフジよりは格上だったのだが、着実に追い付かれてきた。513kの馬体は、伸びやかな骨格にしっかり実が付いてのもので元来好ルックス。さりながら最近はどうも胴回りがぼよんと立派に映り過ぎているような。毛艶は上々。
9番デザートビュー。ダービーでは逃げるも早々に沈んでよもやの最下位。その次開催(=前開催)C2−1組戦を逃げ粘って2着、前開催は休んだのでこれが前走。直線的なフォルムで、実入りは上々。うっすらとした発汗もあって、馬体は光る。張りも上々かと。聞き分けいい感じで、スタスタ歩いている。「(全姉の)マルシンランサーの方が、馬体綺麗だなあ。」とは、初めてこれを目にした"同志"ディープさん。ルックスに関しては、春先に帰省した折、たまたま目にしたローゼンホーマさんが、「短足だって聞いてたけれど、それもともかく、最初目にして『何だか背中の硬い馬だなあ。』って思ったんですよ。でもこれが馬場で駆け出すと、だんだん変わってきて、その様が印象に残りましたね。」と、後日語って下さった。
10番キヨノサウンド。荒尾デビューで佐賀を経て、当地3戦2着1回。昨年の佐賀の重賞はがくれ賞の勝ち馬。前走前開催のC2−5組戦2着。暑さのせいか、キン○マが下がっている。馬体重433kの通り、ここに混じると小さく見える。フォルムもコンパクト、伸びやかな部分がほとんどない。じんわりとした気配で内々を回っている。
本馬場入場から返し馬。ミルガルソン、ホーエイアキフジ、ラピッドリーラン、キヨノサウンドの4頭は、入場口から左折して一角方向へ直行。4頭が直行するのは、当地のレースとしてはかなり多い。
予想。予想紙上では、クラス上位もあってか、ラピッドリーランのシルシが最も厚い。次いでデザートビュー、ミルガルソン、サンダーソレイユの順。
が、このレース、ちょっと難解だと思う。その割には、余程の無理馬券買わぬ限りは、美味しいオッズがないという、いやらしいレースになっている。牝馬二強が今回と同距離のダービーで大敗しており、信頼度を下げているということと、この二強と他地区デビュー馬との力関係を把握しかねるというあたりに、その原因があろう。「ミスラッキー、回避しちゃったけど、出てきたら面白かったよな(ダービー8着ながら、その後は8組と選抜戦を連勝、前走負かした相手がミルガルソン。)。その代わり、これが混じったら予想は更にややこしくなる。」とはディープさん。同感。
ワシはラピッドリーとデザートを比べた場合、逃げ馬の資質としてはデザートビューの方が断然だと思うので、中心はこれに。ダービー大敗には目をつぶって。ラピッドリーランには、ゲートの悪さが常に付きまとうので信用しない。期待したいのはサンダーソレイユ。デザートビューに喧嘩売れとは言わぬが、前々で行き切れれば、好結果出せるのではと思う。ミルガルソンは、その戦績はともかく、鞍上岡崎さんを買ってそれなりに。ただ、実物はどうもピンと来ない。このあたり、ディープさんも「まあ見た目は冴えんけど、買うことは買うよ。」と。「銀杯に滑り込み間に合って、圧勝、スターへ一直線」といえば、思い浮かぶのはミスターカミサマなのだが、実のところ、あんな馬は稀も稀。シュウホウウイーク('01年当レース、フジナミスペシャルの2着)くらい走れれば御の字とも思われるが。オマケで気になる1頭ホーエイアキフジに少々。こんな感じで、デザートビューから流す。逃げ馬にアキフジが絡むという場面は、ちょっと想像しにくいのだけれども。
◆レースなり
さてレース。距離は1800m、2コーナーからのスタート。「何やこのレース、千八かいな。コピエとか勝っとるで、千六とばっかり思っとったわ。」とは、若馬マニアながら、意外にも今回銀杯初観戦となるOku師匠。
ゲートが開く。や否や、デザートビュー、ものの見事に鋭発決めて、瞬く間に3馬身くらいは他馬に先んじる。そのまま3コーナー目指して一気。他の8頭はまあ並の出。ラピッドリーランの出っ端はやっぱり鈍い。が、何だかんだで鞍上佐原クンに促されて、割とすんなり単騎2番手に出てくる。次いで大外キヨノサウンドあたり。サンダーソレイユは最内で全くダッシュ効かず、バック半ばでようやく3、4番手に。
最初の3コーナーを回る頃には、先頭デザートビューは余裕の単走、スパスパ突っ走る。2番手ラピッドリーランも単騎、この後方は既に大差離れている。
正面スタンド前。先頭デザートビューと2番手ラピッドリーラン、その差は5馬身はあろうか。逃げるデザートビューも追うラピッドリーランもかなり飛ばしているよう。「これは(2頭とも)速いぞ!」と隣のOku師匠も。ここで大きく開いて、以下はその他7頭。そのフロントにサンダーソレイユ。その直後外にはキヨノサウンド、直後内にはミルガルソンがいる。キヨノサウンドの後方外目にホマレスタボーイ。直後にホーエイアキフジ、意外にも前半から殿ではない。ユキノエイコウがケツ二で殿はセイコウ。
一角周回から1、2コーナーへ。ここでOku師匠が驚嘆の声、「おおっ!(デザートビュー)ペース落とした!」と。見た目にどうもそのよう。これによって、2番手ラピッドリーランとの間隔が、2、3馬身程度に縮まる。これを承けてラピッドリー、前に競り掛けるわけでも引っ掛かるわけでもなく、デザートビューに合わせて、すんなりペース緩めている感じ。ところが不思議なことに、3番手以下との差は、更にトバッと広がっている。
2周目向こう正面。一旦は詰まった先頭と2番手の差だったが、半ばあたりから、再び開き始めてしまう。そして3コーナー手前、デザートビュー、ラピッドリーランを突き放して勝負あり。早々にブッチ切り態勢に持ち込んで、独走のゴールイン。最後の直線、鞍上渡辺騎手、数度小さく振り返っていたが、後続の姿は遙かに遅れていて、その蹄音など、ちっとも耳に入らなかったはず。終いは楽走でありながら、2着とは9馬身、1秒9差がついていた。
デザートビュー、ゴールへ独走
圧勝というほかない
問題はこの後ろ。時間をちょっと戻して。バック半ば手前で、ラピッドリーランと3番手以下は、30mはあろうかというドカ開き。この大きなアドバンテージのもと、デザートビューにはチ切られながらも、単騎2番手で走り続けるラピッドリーラン。一方後続勢から、いち早く押し上げてきたのはミルガルソン。これが三分三厘、どうにかこうにかラピッドリーの数馬身後ろまで取り付いてくる。この2頭が2番手3番手で最後の直線へ。逃げるラピッドリーランは馬場やや外目。追うミルガルソンがイン。次第にその差が詰まってくる。が、ラピッドリーラン、タレそうに見えつつも粘っていて、ミルガルソンの脚も大して斬れてはいない。結局ラピッドリーラン、1馬身半残して2着。ミルガルソンは3着まで。
ラピッドリーラン、馬場外目を2着
何とか残した
以下はリアルタイムでの記憶は皆無。二角を殿で回ったセイコウが追い込んで、何だかんだで4着入線。ただし前とは7馬身差。ホーエイアキフジはセイコウの前で競馬するも、5馬身遅れて5着。サンダーソレイユは6着止まり。7着ホマレスターボーイ、8着ユキノエイコウ、最下位キヨノサウンド。
最近の福山の重賞、口取り撮影の後が楽しみ。というのも、ユキノホマレやユノエージェントなど、馬をこちらに向けてポーズ作って下さる関係者さんが、何だか増えてきているから。今日もデザートビューと厩務員さん、スタンド側に近づいて、こっち向いて下さった。アリガトウゴザイマシタ。
◆振り返って
デザートビュー、クイーンカップに続いての爆走逃げ切り重賞制覇。平場戦では割と並の競馬でありながら、重賞舞台だと、結果も着差も大きくて極端。華があると言おうか、派手と言おうか。勝ちタイム1分59秒1は結構速いが、時計の出易い馬場なので、まあまずまずといったところ。実はこの馬、両トモに不安があるそうで、結果を予め予測しにくい馬であるらしい。が、ハマると実に強い。加えて今回心憎かったのは道中の緩急。「大逃げに見せかけて、ちゃっかりペース落としてさ、味な競馬してくれたよな。」とは、Okuさんの戦後談。「序盤の走り観たときにゃ、(姉の)ヤングチャンピオン(での姿)がアタマよぎったけどな。」との補足付きで。
ラピッドリーラン、ワシとしては、よく2着獲ったと思う。「三分三厘でデザートビューとの差より、後ろとの差の方がまだあったしな。」とは皆さん共通の述懐。中盤、スローに落としたデザートビューのペースに倣ったのも、吉と出た感じ。「しっかしホントにスタートが悪いですねえ。」と、辻本くん(何故か今回ひょこっと来福)も言及するように、これは解消の気配がない。スピード逃げ馬としては、ちょっと致命的なことであるので、ぼちぼち、「逃げ専」というキャラを見直す必要があるのでは。
ミルガルソン3着は、馬の能力と言うよりは、いち早く集団を抜けた、岡崎さんの戦略の賜物かと。ホンマにこの人はペースや展開を掴むのが巧い。一方馬の走りは、離れた前をただただ追っただけのもの。というわけで、この馬の力自体がどれ程のものなのか、この一戦からだけでは、ちょっと判断しかねる。
セイコウは今回も追い込んでちゃっかり4着。自分のキャラなりには走っているということか。しかし印象薄い。
ホーエイアキフジは、これまでよりはかなり前での競馬。しかしながらこの着順。同型のセイコウに抜かれたのは痛い。
サンダーソレイユは全くいいところなし。「逃げずともOK」ではあろうけれども、それは差のない先行競馬なればのこと。前半これだけ前に離されてしまってはどうしょうもない。せめてラピッドリーと併走するくらいの位置取りであってほしかった。尤も、今回はスタートから全く駄目だったが。
ホマレスターボーイは当地で初めて掲示盤を落ちた。相手関係もあろうけれども、最近の足踏み(頭打ち?)加減が見事に結果となってしまった。
馬券、デザートビューはアタマなれど、ラピッドリーは保険の押さえ程度、厚く行ったのがサンダーなので、結局トリガミ。「ミルガルソンが交わして2着になってくれりゃあ儲かったのに。」とはディープさん。ワシもだ。
というわけで、冒頭にて「他地区デビュー馬vs生え抜き馬、これに注目!」などとぶち上げた割には、結果、「上位4頭=生え抜き馬、下位5頭=他地区デビュー馬」なわけで、明暗クッキリ分かれてしまったなあ。まあ、1、2着馬は重賞ホースなので、順当と言えばそれまでなのだが、3着4着くらいには、せめて・・・
◆おわりに〜書いておかねばならぬことも含めて
最後に、再びデザートビューについて。
今月の1日、彼女の母マルシンヴィラーゴが世を去り、さらに24日、年子の全姉である荒尾のマルシンランサーが、レース中故障発生で予後不良、母を追うかのように旅立ってしまった。享年、母は13歳、姉は4歳、あまりに、若い。
ということで、今回の勝利は、この母と姉への、さながら手向けとなったわけだ。
この母子について語る際、どうしてもついて回るのは、その血筋に漂う、危うげな不安定さ、そして狂気の匂い。全日本アラブ争覇で伝説的レコード圧勝を決め、楠賞は1番人気で臨むも7着に敗れた母。牧場時代、体当たりした相手の馬がぶっ壊れたという逸話もある。姉は2歳重賞ヤングチャンピオン、本命評価の中、ハイセイアポロと競り合って逃げ潰れ、見事に危うさを継いで見せた。
ここにおいて、立て続けの訃報を残念に思う一方で、このような母子であるからして、「何だか、やっぱり平穏には馬生全う出来ないんだよな。」などと、不謹慎ながら、興味深く感慨抱いてしまうワシがいる。そしてこの、大舞台では圧勝か惨敗という妹の姿に立ち会うにつけ、「サスガ血の成せる業。この一族、こうでなくっちゃ面白くない。」とばかり、素性が醸し出す、危険な薫りに惹かれてしまうワシもいる。
「いい気なもんだ。」我ながら、つくづくそう思う次第。
2003.7.16 記
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