セイユウ記念 第16回アラブグランプリ観戦報告

 2003.8.4、金沢、2100m

はじめに
タマツバキ記念共々、アラブ古馬全国交流の二大決戦として君臨するセイユウ記念、今年も金沢開催である。これで3年連続当地での施行となる。
一昨年が6月下旬、昨年が7月上旬(いずれも第7回=県営第6回開催)と、梅雨真っ直中にして、福山タマツバキ記念から約1ヶ月後に施行されていたところ、今年は1ヶ月繰り下がり、8月上旬、第9回=県営第8回開催での施行となった。
この施行時期、タマツバキ記念との間隔が開いた点は好ましいものの、「こんな真夏に古馬全国交流やって大丈夫かいな。ちゃんと馬集まるのか?」との危惧は禁じ得なかったところ。「マリンレオがタマツバキ記念の後、中央挑戦することを見込んで、これが参戦しなかろう時期に日程組んだんじゃないのか?勿論、スーパーベルガーを勝たせる為に。『夏は牝馬』の格言も追い風に・・・」などと、外野の一ファンとしては、邪推してみたりもして。

出走馬について
今年の出走馬は、内枠より以下の10頭。()内は騎手、性齢、斤量、所属地区。
ロックウイット(長嶋、牡5、56k、金沢)、ハヤキタスキー(平瀬、牡5、56k、金沢)、ホーエイトップ(安藤光、牝4、54k、笠松)、コーワゴールド(徳留、牡5、56k、金沢)、アオイリュウセイ(関本秀、牡6、56k、上山)、サクセスフレンド(中川、牡5、56k、金沢)、ユキノホマレ(嬉、牡4、56k、福山)、マリンレオ(山田、牡7、56k、名古屋)、レビンマサ(板垣、牡4、56k、上山)、サンクリント(田中、牡3、54k、兵庫)
別定重量戦。古馬牡馬が一律56kで、牝馬のホーエイトップと3歳牡馬サンクリントが2k軽い54k。

「当初の危惧は杞憂に終わった」とは、まあ言ってもよかろう。まずまず好メンバーが揃った。が・・・
問題は地元の期待を一身に負った、"女帝"スーパーベルガー。今季は開幕から休養していたところ、前開催に戦列復帰して順当勝ち。計算通りのローテーションでここに臨んでくると思われたのだが・・・何と回避してしまう。これでは「女帝の為、『我田引水』の8月施行」の邪推も何も、あったもんじゃない。
加えてタマツバキ記念の勝者、兵庫のサンバコールは、出走予定だったところ、直前に回避(追い切り後に不安が出たとか)してしまった。この2頭の不在は、何とも惜しい。実に惜しい。

当日の概況
前日は福山でビーナス賞を観戦したので、連日のアラブ観戦となる。前日同様、関西は朝から暑い。その中、住処を出て、大阪から特急サンダーバードに乗って金沢へ。現地には12時前に到着。
北陸金沢でも夏本番となったようで、金沢駅に到着早々、熱気に襲われ、ヘバってしまう。天気は晴れだが、空には雲も多い。空気が熱されているからか、空は霞み気味で、スカッと抜けてはいない。
馬場状態はバッサバサの良。馬が駆け抜けると砂埃がもうもうと立ち上がる。日本海側が故に、年間通じて、ただでさえ道悪での開催が多い金沢競馬。前年前々年のような梅雨時施行では、到底あり得ない馬場状態である。蹄の掛かりが悪い、力の要る馬場であることは間違いなく、時計も概して遅めかと。
レースの傾向としては、最後の直線、とにかく馬場外目が伸びる。中団以下の位置からでも、中盤好位まで上昇して、終い外を回せば差し届く。逆にインは全く伸びない。逃げ・先行勢でも、脚に余裕があって連入叶った面々は、直線内ラチ沿いに寄らずに、五分どころより外を通っている。実に傾向がはっきりした馬場となった。

ところで今回の金沢競馬、今開催初日(前日)より、当地初の試みとして、薄暮競馬を実施。よってこの日もそのスケジュールにて。第1競走発走が11時50分で、最終第12競走が18時発走。ここにおいて、「セイユウ記念は一体第何レースで何時発走やねん?5時半とか6時なんかに発走された時にゃ、帰るのムチャムチャ遅くなるわ、薄暗くて写真撮るの難儀だわで、困ってしまうぞ。」などと心配しておったところ、第9レース施行にして16時発走と、通常開催のメインレースと同様の時間でやれやれ。「そもそも他場で場外発売したいから、日曜じゃなくて月曜施行にしてるんだから、6時なんかに発走したら、場外売りに支障来して元も子もないわな。」とは、よくよく考えれば諒解されたこと。

パドックから発走まで
セイユウ記念のパドック周回を前に、第8競走がなかなか発走しない。ゲート入りに手間取る馬がいるようだ。「早くしろや!パドックタイムが短くなるやんか。」と、やきもきイライラさせられたが、幸いにも、そのパドック周回、各馬を観察するに充分なものであって、やれやれ。
というわけで、時刻にして3時半近く、太陽はまだ高い位置にある中、セイユウ記念の出走馬が姿を現す。
内枠2頭は地元のヒラオープン馬。まずは1番ロックウイット。今季の重賞、黒百合賞とアラブスプリントカップは共に5着。前々走は前々開催でA1初勝利、前走前開催のA1でスーパーベルガーの2着。スマノヒット産駒の割には胴がコロンコロン。発汗が目立つ1頭。
2番ハヤキタスキー。黒百合賞とアラブスプリントカップは共に6着。前々走と前走も、それぞれ前々開催前開催のA1で共に6着。地元ヒラオープンでも勝負に足らぬ状況。これも馬体が詰まってコロコロとした感じに映る。まあ、1、2号馬2頭は、ここでは明らかに格下であり、大して観察の目が向かなかったのは事実だが。
3番笠松のホーエイトップ。タマツバキ記念7着の後は、名古屋のジューンオープンでブラウンダンディの2着。これが前々走で、前走は7月17日の地元東海グローリ、同厩にして、現在笠松戦最強6連勝中のケイエスマジックを、終いクビ差交わして勝利。管理する伊藤強一師は常々、「ケイエスマジックは輸送難もあるので、地元戦に専念させたい。ホーエイトップは積極的に外で使いたい。」と、アラブ二枚看板の起用法を言明している。というわけで今回も登場。よくよく見ればこの馬らしい胴の実入りは維持しつつも、ピシッと締まった馬体に適度な発汗が相まって、また端正な小顔とスラリとした首差しが効いてか、今日はこれまで以上にスリムに見える。キビキビとした身のこなし、尻尾をブンブン振り回すのは個性か。「ホーエイトップさん、やっぱり美人やわぁ。」は、まりおさん定番のオコトバ。
4番コーワゴールド。黒百合賞の勝ち馬だが、アラブスプリントカップでは当面のライバルたるサクセスフレンドに敗れ2着。前々走と前走もそれぞれ前々開催前開催のA1で4着3着、今季開幕当初の勢いは失せたか。スラッと伸びやかな体型だが、そのボリューム感は前を歩くホーエイトップと遜色ない。それだけホーエイの方がスカッとしたのか、こちらが充実したのか。開幕以来手綱を取っていた蔵重騎手は女帝ベルガーの主戦でもあり、前走女帝の復帰に伴い、こちらは徳留騎手が騎乗することに。今回も引き続き"徳サン"とのコンビである。
5番上山のアオイリュウセイ。当初出走予定だった道営のカムロギシンワの回避に伴い、補欠待遇から繰り上がっての登場。他地区交流競走への出走は、実に'00年の楠賞以来となる。3歳時には、スズラン賞コスモス賞の地元二冠はおろか、古馬大一番の日本海記念をも制した実力馬ながら、4、5歳時はシーズン前半殆ど稼働できず、この間重賞勝ちは4歳時'01年の奥の細道大賞典のみ。ペルターブレーブの存在もあって、古馬全国交流への出走の機会はなかった。が、今季は開幕から出走を重ね、7戦全てサラA3戦を闘って、3勝2着1回3着2回、唯一の着外6着は開幕開催のみという良積で、初めて古馬全国交流出走が叶った。地元格付けは、今回も出走する、全国交流の常連レビンマサより上であり、また同厩の先輩でもある。腹袋が規格外にある体型で、油断をするとデブに映りがちなクチなのだが、黒鹿毛の皮膚は発汗もあって非常に薄そうに見え、無駄肉を感じさせない。またトモ回りもスッキリ出来ており、太め感は皆無。ゆったりしつつもキビキビとした歩様、暑さで若干キン○マは下がり気味だが、総じて好印象。鞍上は、昨年ペルターブレーブにて参戦した、関本"マムシの秀"騎手である。
6番サクセスフレンド。黒百合賞はコーワゴールドの2着だったが、その次走ですかさずリベンジの勝利。続いてアラブスプリントカップを制した。前々開催は休んだのでこれが前々走、前走は前開催のA1で4着。黒百合賞後は対コーワゴールドにおいて、4戦3先着、ちゃんと巻き返している。女帝不在となれば、実績的にはこれが地元トップ。張りは充分、カッチリ締まった馬体で出てきた。キビキビと活気ある周回で、尻尾を振り回して。発汗は相当、キン○マは下がり気味。
7番福山のユキノホマレ。タマツバキ記念では、辛うじての地元勢最先着の5着で、何とかここへの出走切符を手にした。タマツバキの次開催のA1戦が前々走で、ここは1着、因みにこれが古馬千八戦初勝利。その次開催のA1・千八戦ではホマレエリートの前に2着。とにかく距離は長ければ長いほど強い、地元基幹距離の千八戦すらまだ短い、長距離上等の追い込み馬。3月の佐賀遠征時は、-17kという、とんでもない輸送減りを来した馬体重だったが(結果快勝だったが)、今回は+3kで520k、適正値で登場。その数字通り、胴にはゆったりカッチリ実が入っている。多少余裕残しで輸送した感じか。このあたり、福山在住おさるさんは「でもちょっと馬体余裕あって立派過ぎないかぁ?何かイヤな予感がするぞ。去年のフジナミスペシャルも、柄にもなく見た目最高であっさり3着に負けたしなあ。」と。のんびりじんわりとした周回から次第に集中してくるのは、大一番でのこの馬の常。踏み込みは並だが歩様は柔らかい。サラッといい感じで発汗している。
そして8番がマリンレオ。連覇を狙ったタマツバキ記念を3着敗退、一昨年のセイユウ記念2着以来の黒星を喫し、連勝は16でストップ。この後JRAのテレビ福島オープンに出走登録するも、結局回避で、地元のサラA1戦ルビーオープンに出走。しかし5着に敗れた。これは展開が全く合わなかったようで、悲観するに値しないとの声も。しかしながら、いくらサラ戦とはいえ、マリンレオらしくない着順だと思わずにはおれぬところ。「出来落ちか?はたまた能力のピーク越えたか?」関心高まる中、登場。その姿、適度な発汗でピカピカに輝いており、実入りも張りも何ら問題ない。歩みもしっかりとしており、大きく深く踏み込むのも全くこの馬らしい。身のこなしの柔らかさも目立つ。そしていつも通り、首を外側に巡らせ悠々の物見。ズバリ「どこも問題ないじゃん!」。一昨年のこのレースの後敷かれていた「地元戦は山田、他地区遠征では宇都」という鞍上のシフト、今回は解けて、山田騎手が、久々に他地区でレオの手綱を取る。
9番上山のレビンマサ。タマツバキ記念ではマリンレオに先着の2着大健闘。その後は地元サラB1戦で3戦し、1着3着1着。前走負かした相手は、昨年来下級条件より破竹の進撃中で、前走でB級重賞最上川賞を制したニシノレオナルド、これはポイント高い(らしい)。胴が厚く、かつ長いのはこの馬の特徴、今日も胴回りはコロンとしてはいるが、全体のフォルム、特にトモ回りはスカッと作ってきた感じ。アオイリュウセイ共々、いい仕上げだと思う。首を外に向けて物見しつつ、のんびりとした風情での周回。レースに行くと掛かり気味で、返し馬でも口向き悪く、装鞍所(これが確認できるのは福山遠征時のみだが)でも煩い馬ながら、パドック周回だけは、いつも大人しめという、不思議なヤツ。
10番兵庫のサンクリント。全兄サンバコールの回避に伴って、補欠から繰り上がって登場の、今年の楠賞馬。その楠賞が前々走で、前走は7月9日の園田S1戦。ここで兄と初対戦。結果は兄が差し切って勝利。弟は2、3番手先行から終い伸びず、サチノセンプーの逃げ粘りをも許し3着であった。「楠賞馬とはいえ、いきなり今回の面々に通じるのか?ましてや、あの兄の代役が務まるのか?」と、懐疑の念は禁じ得ぬところ。しかし管理する西村師は「素材は兄以上。ここでも勝ち負けする自信はある。」(予想紙掲載のコメントより)と、いつものことながら至って強気。ところが当日の馬体重、490kは前走比何と-26k。デビュー以来最軽量、それも断然に軽いもの。輸送減り明白。案の定、ヒ腹からトモにかけての肉感が落ちていて、このあたり、輪郭が完全に切れ上がっている。「減った数字そのまんまの見た目だよね。これで走るか走らないかは別として。」と、環さんと語らう。トモの踏み込みが妙に深めに映るのも、後半身のボリュームが減退した故かと。一方前肢の出は力強さに欠ける。気配は全く大人しい。気性面の成長が大きいとしても、心配になるくらい大人しい。
発汗の目立つ馬が多いが、暑い最中でのこと。サラッと発汗している方が自然で好ましい。それが目立たぬ方が問題だろう。

入場テーマ曲が流れ始めるのに先んじて、外ラチ沿いを厩務員さんに曳かれて、出走各馬が本馬場に登場。ただ1頭ホーエイトップは入場口から即左折で一角方向へ直行、これはこの馬の常のよう、そしてそのまま4コーナー奥の待機所に入る。それ以外の面々は暫くスタンド前を進んで、手綱を放され返し馬に。殆どの馬は順回りに駆け出す。
真夏の長距離戦のこと、みんな待機所に直行と思いきや・・・マリンレオが一番手で馬場を1周し、正面スタンド前に再度やって来て、伸びやかなフットワークで駆け抜けて行く。「うーん、惚れ惚れするような返し馬やねえ。」と思わずコトバが出るワシ。それを承けて"東海の好漢"おーたさん、「あとは鞍上の山田次第でしょう。しくじらなきゃいいけどね。」と。次いでサンクリントが、唯1頭4コーナーまで歩みを進めて、そこから駆け出して。これは地元での彼の流儀と同じ。強めのキャンターだが、ちょっと口向きは悪い。アオイリュウセイも力強く、馬体はホンマにピッカピカ。レビンマサは今回も入場時から口を割って。サクセスフレンドは曳き綱離されると、即内ラチ沿いにダク、まる1周ダク踏んで、再度スタンド前へ。この馬のいつもの所作。ユキノホマレは脱糞しつつ返し馬に。ダイナミックなキャンター。コーワゴールドは長めの馬体を伸びやかに見せて駆ける。

アオイリュウセイ(36KB)
アオイリュウセイ、返し馬
素ん晴らしくピッカピカな馬体

予想。マリンレオの出来に何ら不安が感じられず、むしろ好感抱かされるものとなれば、これは外すべくもなく、まずは中心に。そして期待はユキノホマレ。二千超の距離は合おうし、乾いて差しが決まり、かつスピードよりパワーが問われよう馬場で競馬が叶うことは、この馬にとっては願ったりだろう。というわけで、本線はこの2頭の連単裏表、ちょっとスケベに、ユキノ→レオの目の方を重く。まあ、スーパーベルガーとサンバコールを欠いた今回のメンバーにあっては、この2頭、それぞれ結局本命・対抗格なのだが。
3番手として抜擢したのはアオイリュウセイ。「ひょっとすると道中掛かるかも。」という危惧はあるも、長距離戦の実績・適性は高いと評価して。息の長い差し脚は魅力だ。というわけで、レオとユキノへ、連単の2着流しで。上山勢でも、レビンマサに関しては、「距離千八を越えると苦しくなるのでは。絶対引っ掛かって抑え効かなくなる。」との見立てのもと、買わない。
連対叶いそうなのは以上3頭と見た。加えてワイドをばらばらと。ホーエイトップ、サンクリント、コーワゴールド、この3頭から有力どころへ。ホーエイトップは、比較的長めの距離で、なおかつ強い相手に混じると、能力キッチリ発揮できるタイプだと、何となく思われるので。サンクリントは正直ここでは通じないと思うのだが、「ひょっとしたら3着までには。」という、実に薄弱な理由から。コーワゴールドに関しては、馬はともかくとして、ひとえに、"要注意人物"徳サンを警戒して。「ひょっとしたらシャープに追い込んで突っ込んできたりして。」などと考えて。

暑く!熱い!古馬決戦!
いよいよレース。距離2100m、発走地点は2コーナーのポケット。ここから馬場を1周と3/4。真夏といえども4時を過ぎると、晴天のもとでは、スタンドの影がホームストレッチに伸びて、馬場の二分どころより外を覆ってしまう。これ、写真撮影においては非常に厄介。が、折良く薄雲が出て日差しを和らげ、陰影のコントラストを弱めてくれた。
みんなすんなりゲートに収まり、スタート!出遅れは1頭もなく、全馬横一線、ドンピシャのタイミングで飛び出して行く。大方の予想通り、サクセスフレンドが若干押されて、しかしすんなりハナを奪取、そのまま前へ。マリンレオも好発から積極的な競馬、早々に2番手をガッチリ。レビンマサが二の脚を使って、マリンレオに外から付いていく。大外サンクリントもスタート決めて、大きく控えることなく先団の流れに乗る。ホーエイトップもインで先行勢の一角をしっかりと。一方ユキノホマレは、スッと控えて後方から。出負けなかったのは何より、そして自分の戦法を堅守の構え。
最初のバックストレッチ、次第にサクセスフレンドが後ろを引き離し、三角周回あたりでは、3、4馬身は先んじる。マリンレオは変わらず2番手。直後外1馬身差でレビンマサが追走し、ホーエイトップとサンクリントはそれぞれ内外で、若干距離を取った。

1周目(32KB)
正面スタンド前での好位勢、先頭サクセスフレンド
先団・好位勢は一団。

正面スタンド前。先頭変わらずサクセスフレンド。内ラチ沿いを逃げる。相当開いて、2番手にマリンレオ。首を柔らかく使って、折り合いはバッチリ。外にレビンマサが並び掛けて、こちらは案の定やや掛かり気味。マリンレオの真後ろにホーエイトップがいて、このインの狭いところにロックウイット。ホーエイトップの外目に、サンクリントがやや下がって好位6番手で。2馬身ほどあって、アオイリュウセイが外目で追走。単走なれど全く掛かってはおらず余裕の走り。アオイの直後内にコーワゴールドがいて、この後方インにハヤキタスキー。ユキノホマレはハヤキタスキーと同列の外目、最後列からの競馬。「ちょっと後ろ過ぎじゃない?」と、隣でカメラ構える環ちゃんが訝るが、「まだまだこれからでしょう。全くマイペースだし。」と返すワシ。程なく、ゴール板前を通過するあたりで、ハヤキタスキーに先んじて、コーワゴールドの外へあっさりと。
1周目、好位勢(43KB)
正面スタンド前での好位勢、内が2番手マリンレオ
外に取り付くレビンマサ、直後外黒メンコがホーエイトップ
ユキノホマレ(44KB)
正面スタンド前、ユキノホマレは最後方から
楽々追走で自分の競馬

一角進入、サクセスフレンドとマリンレオの間隔が2馬身弱まで、グッと詰まる。そしてマリンレオからサンクリントまでが先団・好位で一団。ここで間が開いて、アオイリュウセイ以下が後方勢という隊形。しかし1、2コーナー中間、サクセスフレンドが再度後続を引き離す。
そして2度目の向こう正面に。先頭サクセスフレンドのリードは4、5馬身ほど、間隔をよくキープしての進行だが、2番手には相変わらずマリンレオがデンと。そして3コーナー手前、マリンレオが楽々とサクセスフレンドとの間合いを詰め、いつでも交わせる態勢を築く。レビンマサは脱落せずに、レオの間近で頑張っている。一方サンクリントは早々に、鞍上マナブのアクションが激しくなってくる。
そしてここへ、後方からユキノホマレが出現。馬場外目を駆け上がって、3コーナー手前で好位まで一気。リプレイ見直すと、二角周回は9番手、後ろは早々にドカ遅れのハヤキタスキー1頭だけ。前ではアオイリュウセイやコーワゴールドが先に始動するも、これらをブンッ!と呑み込んで、ここまでやって来た。リアルタイムにおいて、その捲り脚は一目瞭然、「ユキノホマレ来たぁ〜!」と、思わず声になった環ちゃんやワシ。
三分三厘、外からサンクリントやホーエイトップをも交わして、レビンマサの外まで迫るユキノホマレ。マリンレオまではもう一歩。そのマリンレオ、内のサクセスフレンドを行くだけ行かせて、自身はこれを交わさず楽々の併せ馬。まるで弄ぶかのような走り。リプレイ見直すと、いよいよ勝負賭けた他馬が、まさに胸突き八丁の体の中、1頭だけ、事も無げな進行。そして4コーナー手前。満を持して先頭に立つ。まずはじわりと1馬身先んじた。
四角回って最後の直線。先頭マリンレオの次列はまだ混戦。レオの外でレビンマサが食い下がり、ホーエイトップはコーナリングで再上昇、その内から迫る。そして大外にはユキノホマレ。サンクリントはホーエイと同列でレビンの直後だったところ、ユキノに遅れて、外に持ち出し再浮上試みる。インベタでサクセスフレンドは降参。一方、大外ブン回して追い込んで来たのはアオイリュウセイ。

最後の直線半ば(35KB)
最後の直線、残り50くらい。先頭マリンレオ、ユキノの追撃を封じる。
次列外目、内ホーエイトップ外レビンマサ。アオイリュウセイは写真から切れた大外。

残り200から100までにかけて、横一線の2番手争いを抜けたのはユキノホマレ。余勢駆って、逃げ込み図るマリンレオに迫る。残り100、その差は1馬身ちょっとに。が、追撃もここまで。終いはマリンレオ、悠々の走りでユキノホマレを突き放して勝負あり。昨年に続く連覇、そして古馬全国交流3勝目となるVゴール。最後は鞍上山田騎手、右腕で大きくガッツポーズしつつ、決勝線を駆け抜けた。
2着はそのままユキノホマレが、1馬身半差で入線。さてこの後方。ホーエイトップが内から外に持ち出しつつ、レビンマサの内に馬体を併せに掛かる。残り100を切って、先んじたのはホーエイトップ。ここへアオイリュウセイが、サンクリントを交わし、レビンマサの外へ追い付く。これで3頭叩き合いの形になって、終いまで激戦。3頭一線でゴール板を通過した。中レビンマサが若干遅れたのは見て取れたが、内ホーエイと外アオイは非常に際どい。これは写真判定に持ち込まれた。
アオイリュウセイの方が、追い込んだ側でもあるし、馬場の大外、目前至近を走ったこともあって、印象としては勢い優っていたが、放映されるスロー再生観ると、非常に際どい。三連複やワイドを買っている方が多いので、確定まで皆さん、気を揉みながらあれこれ言い合いつつ。結果、3着はホーエイトップで4着アオイリュウセイ、当然ハナ差。ユキノホマレからは3馬身遅れである。5着はレビンマサ。2頭からはクビ差遅れ。
サンクリントは1馬身差の6着。ここで5馬身開いて、サクセスフレンドが何とかゴールに辿り着こうとした寸前、コーワゴールドが外から差して、これが7着。サクセスフレンド8着。9着ハヤキタスキーは後方ママ。好位から早々に沈んだロックウイットが最下位。

マリンレオ、ゴール前(42KB)
連覇のVゴールを駆け抜けたマリンレオ
鞍上山田クン、大きくガッツポーズ

レース後の表彰式。この日は最終レース後の夜7時から、場内で「北島三郎歌謡ショー」があるので、プレゼンテーターはサブちゃんその人。ここにおいてこの表彰式、異様な盛り上がりを見せていた。そして鞍上山田クンは終始ニッコニコで、式の後はファンのサイン攻めに遭っていた。なお、折角の?北島三郎歌謡ショーではあったが、これを観ていると、当日に関西まで帰れないので、諦めてすぐに帰路に。結局お知り合いの方のうちで、これを観て帰ったのは、京都人さんとゴールドレットさんくらいだったようだ。
単勝1、2番人気にして本命、対抗評価を受けた馬が1着2着、馬券的には堅いレースとなった。それにしても意外に拍子抜けだったのが三連複やワイドの配当。後で確認したところ、レオとユキノに次ぐ相手としては、他地区勢はどれも同じようにソコソコ人気していて、馬券的には大してオイシクなかった模様。

振り返って、そしておしまい
マリンレオ、「サスガ!」としか言いようのない勝利である。有力他馬の頭を押さえつけるかの如き、序盤から2番手の競馬。最後は余裕を持って抜け出していた感すらある。「ふーん、あんな競馬もできるんやな。」とは"大御所"Okuさん。「今日はスタートが絶好に決まりましたからね。」と辻本くんがポイントを指摘する。四の五の書くのも憚られるほどの完勝だ。
それにしてもこの勝利の意義は大きい。前走前々走で連敗喫した後の大一番、結果如何によっては、アラブ界の覇権を手放すことになりかねない状況であっただけに。それにしても「衰え、出来落ち」などといった危惧、あしらうかのように力を誇示して魅せた。
また、山田騎手の、いかにも馬の力を信じて素直に乗ったプレーも印象的だった。2年越しで巡って来たチャンスを見事に生かしたわけであり、彼にとっても意義深い勝利となった。

ユキノホマレは戦前の見込み通り、距離と馬場を味方にしての好走だった。2周目バックで捲り上がったシーンは、「これは佐賀(今年の西日本アラブ大賞典)の再現か!」と思わせるに充分で、個人的にはちょっと興奮した。「四角前でちょっと行き脚鈍ったかな?終いよく迫ったけど、一杯いっぱいになっちゃったね。」と、戦後環ちゃんと振り返った。このあたり「『捕まえた』と思ったけど、向こう(マリンレオ)が(終い)また伸びた。」とは、帰路金沢駅でたまたま遭遇した、手綱を取った御本人の弁(目の前で突撃インタビュー敢行したのは環ちゃんである。ワシも引用させて下さいませ、主宰サマ)。それにしてもこの馬、長丁場はホンマに走るし、確実に追い込むなあ。とまれ、福山勢としては、昨年のフジナミスペシャル一昨年のパッピーケイオーの3着を上回る結果となった。
西日本アラブ大賞典の拙観戦記、その結びの文句は実はこうだったりする。「タマツバキ、その最後の直線。抜け出す無敵の王者に、併せる金沢の女帝、そして追いすがる瀬戸内の鬼脚。栗毛白メンコ2つ、そしてパッションピンクが1つ、初夏の濃密な西日にもつれて躍る――なんて図は、いかがかな・・・」
「パッションピンク1つ」は欠いたものの、この光景、タマツバキではなく、このセイユウ記念で現出されたわけだ。手前味噌ながら、ちょっと感慨深いものがあるぞ。

閑話休題。
3頭叩き合いの3着争いはレースを一層盛り上げるものだった。「どれも根性ある馬ですからねえ、ああなると際どくなりますよねえ。」とは辻本くんの語るところ。
この叩き合い、自分なりに分析するに、鍵は、一旦置かれかけてから再度六分どころを盛り返したレビンマサだと思う。ホーエイトップは直線内から外に持ち出したところ、丁度レビンマサと併せ馬になった体裁。この馬、強い相手と切羽詰まった状況になってこそ、底力発揮するタイプだと思うので、まさに願ったりの形になったのでは。逆に後方からやって来たアオイリュウセイにとっては、内2頭と競る形になってしまったは、ちょっと誤算・迷惑だったのでは?鞍上秀は、出し抜け賭ける心積もりで大外回したと推察されるので。結果、内のホーエイトップに粘走され、ハナ差屈してしまった。まあ、インが伸びぬ馬場が故に、終いどうしても各馬のラインが外寄りになるわけで。
まあ、三者それぞれ、力と持ち味は存分に出せたかと。ホーエイトップは実にポテンシャル高い。その引き出し方がポイントなんだろうが。アオイリュウセイは道中掛かることなく、個性発揮した迫力ロングスパート。そしてレビンマサ、道中マリンレオに真っ向勝負挑んでいたのが印象的。距離不安も何とか堪えて、最後の叩き合いでは3、4着馬の間で、差し返し気味に盛り返していた。これもホンマに力あるな。

サンクリント、さすがにここで勝ち負けするのは荷が重かったか。道中敢然と好位からの競馬を挑んだものの、最終局面では遅れてしまった。「三角あたりで鞭も入って付いていけなかったよね。」と、環ちゃんも言及。成績表だけを見れば、レビンマサとは1馬身半差であって、大して負けていない感じではあるが、最後の直線、3着争いからも蚊帳の外となってしまった印象強く、実際は着差以上の完敗だ。結局他地区馬では最下位の着順に。問題は今後。古馬の強豪に揉まれた経験を活かせるか、分不相応にキツい競馬強いられたことになり、くびれてしまうか。これはまあ、見守るしかなかろう。
地元勢4頭は揃って下位着順となってしまった。
その中で最先着はコーワゴールドなのだが、同様に後方からの競馬となったユキノホマレやアオイリュウセイとは、レベル差歴然。レースが動いた際に、この2頭に全く付いていけなかったわけで。
サクセスフレンドの緩急付けた逃げ脚は、この馬の長距離戦における常套手段にして武器なれど、日本最強アラブに直付けされては、早々のタオル投入(『福山エース』の樋本デスク風)も致し方ないか。この馬、一地区の強豪たるには全く不足ないと思うのだが、ここで勝ち負けしろというのはちょっと無理か。「結局金沢競馬は、馬場とラビット貸しただけか。」こう評すれば実も蓋もないのだけれども、これはあまりにも酷な見立てだな。

勝ち時計2分18秒2は、近年のこのレースからすればいかにも遅い。が、その理由の大半は馬場状態にあるはずであり、レースへのケチにはなるまい。展開的には、終始緊張感漂う、淀みないものであったし、そのクオリティは、古馬全国交流の決戦に相応しく、間違いなく高い。
と認めつつも、一方で、今回不在だった強豪への想いは、レース終わった後も残ったことは事実。「これサンバコールとスーパーベルガー出とったら、展開全然違ってたろうな。後ろにサンバコールおったら、道中絶対スローに流れたやろし。」「そう?逆にバコールに食われるのが怖くて、それから逃れようと、みんな早め早めに動くんじゃない?」「そう考えたら、各々の騎手の一瞬の判断・決断って、重大だよね。」「そら動くにしても控えるにしても、怖いし勇気要ることやと思うで。」「おまけにスーパーベルガーが出てたら、マリンレオを終始意識して、自力で潰しに出たろうし。」などと、戦後Okuさんやおーたさんらと言い合ったわけで・・・
まあ、観た側にとっては、「もしも・・・」への想いを馳せしむる余地は、残ったかな、と。

さりがながら、ここにおいて、厳然たる事実は一つ。すなわち、
「どんなに強い馬でも、出走しなけりゃ、勝てない。」
ねえ、女帝陛下サマ――

マリンレオとユキノホマレ(54KB)
決戦へ向かう「栗毛白メンコ」二つ
「出なきゃ、な。」


2003.8.23 記

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