第47回白鷺賞観戦報告

 2003.9.17、姫路、1800m

はじめに
姫路競馬秋開催、伝統の古馬重賞、白鷺賞。今年で第47回となる。この回次は現存する兵庫の重賞のうちでも最多である。
秋真っ直中での施行が通例であったところ、今年は秋の姫路開催が、お盆開催直後の8月下旬からの3開催(約1ヶ月)に日程が早まったので、それに伴い施行時季が繰り上がった。

兵庫のアラブ競馬、2歳重賞は昨年の園田2歳優駿で終了し、3歳重賞も今年の楠賞が恐らく最後。そして古馬重賞についても、アラブ限定戦として残った摂津盃が今年からサラ混合戦となり、来年からは全てサラ戦もしくは混合戦となる模様。というわけで、今回この白鷺賞が、当地における、最後のアラブ限定重賞となる(はずである)。
3歳重賞の実態の変遷は、今年のフクパーク記念の観戦記の冒頭にて掲げたので、今回はここで、古馬重賞のそれについて、参考までに記しておくことにする。

〜199920002001200220032004
新 春 賞※1
播 磨 賞※1
兵庫大賞典
摂 津 盃
白 鷺 賞※2
園田金盃※3
表中の背景は、
=アラブ系競走、=アラ・サラ混合競走、灰色=サラ系競走。
※1:『ハロン』2003年4月号の「2003年度(各地区)重賞競走日程」に掲載。公式発表は不明。
※2:この公式発表は未確認なれど、恐らく間違いないところ。
※3:2000年はサラ3歳重賞として施行。

出走メンバーについて
さて、出走メンバーは内枠より以下の通り。()内は騎手、性齢、斤量。
キフネジーマー(小牧太、牡4、53k)、ハッコーディオス(岩田、牡6、56k)、サンキュウホマレ(青山、牡4、53k)、ミールテイオー(木村、牡4、53k)、サチノセンプー(赤木、牡5、53k)、ユウターエルシー(大山、牝5、53k)、グリーンジャンボ(坂本、牡4、53k)、センターカノン(吉村、牝5、50k)、ストロングゲイル(田中、牡7、54k)、オートチャンプ(玉垣、牡4、52k)、マッピーウェーブ(成清、牡4、54k)、シルクダイオー(米田、牡3、53k)

アラブ系競走縮小の前に、有力馬が続々と他地区に転出する現状と、休養中の馬の存在が相まって、「一体どれだけ頭数集まるか?」と思われたのは事実。クールテツオー(昨年の覇者でもある)は福山に去り、ワシュウジョージもミスターサックスも休養中らしい。サンクリントは8月4日の金沢セイユウ記念の後は出走していない。ソレユケイチマツもホクセツジョージも福山移籍、タカヤマナイスは荒尾へ、スーパーチャレンジは登録抹消。タカライデンは今や全くピリッとせず、マサノライデンもランダムオークもジョージサンキュウも実戦から遠ざかって、音沙汰無い。

ところが蓋を開ければフルゲート、12頭立て。当初は17頭も登録があったとのこと("あいねすさうざー"さんのサイト『あいねす★すてえぶる』にて確認)。が、これには実は訳(わけ)がある。
一つは施行距離。このレース、ずっと2000m戦だったところ、「各陣営、長丁場を躊躇うことないよう」1800m戦に短縮したそうだ。どうやらこの効果はあったようで。
しかしながらレースの面白味としては、この距離はイマイチ。というのも、スタート位置に問題があるから。姫路コースの個性といえば、そのストレッチの長さ。1周1200mながら350mもある。さりながら千八のゲートは、向こう正面の半ばよりさらに3コーナー寄り、150m弱走ると3コーナーを迎えるところに置かれる。向こう正面の長さが生きないんである。
もう一つは負担重量。各馬の斤量、一様に軽い。これは出る側にとっては楽だろう。
このレース、賞金別定戦の筈なのだが、どの期間の賞金が算定対象となって、どういった基準でこうなったかが、端からはとんと判らぬ。まあ、今年度はレースの賞金が相当下がったので、稼いだ額が低いというのはあろう。が、それにしても軽い。兵庫のアラブ競馬においては、定量戦でない限り、かなり背負わしていたので、今回の値は異様。ハッコーディオス56k!裸同然ではないか。マッピーウェーブの54kも、充実度からすれば軽い。

フルゲートとはいえ、正直、物足りないメンバーだとの念は禁じ得ない。が、これが現実である。それにしても、兵庫の古馬重賞勝ったことあるのが、ハッコーディオス1頭だけというのも・・・
さりながら、ここでちょっとフォローをば。今回6頭出走と、最多勢力となっている現4歳世代。印象非常に薄いのだが、この一因は、秋に3歳重賞がなくなってしまった世代だからかと。「遅れてきた大物」「楠賞後に芽の出た連中」にスポット当たる機会、なかったわけで。この中で躍進してきたのが、まさにマッピーウェーブであるわけだ。
ただ、残念だったのはサンバコール。直前追い切りまでかけつつも、万全の態勢にはならなかったようで結局回避。目標は11月24日の園田金盃とのこと。

当日の概況
昼過ぎに職場を脱出して姫路へ。現地には2時過ぎに到着。
ここ数日は好天続きでこの日も晴れ。先週末あたりから、朝晩すっかり涼しくなり、秋の気配が感じられるようになってきた。日中はまだまだ暑いが、9月半ばは毎年こんなものだろう。というわけで、8月下旬になって、あまりに遅く本格化した今年の夏も、その盛りは呆気なく過ぎ去った模様。
馬場状態は良。すっかりパサパサの馬場。開催後半となり、砂が流されて浅い馬場になっているそうで、概ね逃げ・先行有利であるとのこと。

パドックから発走まで
この日は全10レース施行でメインの白鷺賞は第9競走、15時40分発走。ということで、競馬場に着いてから、暫くお知り合いの方々と談笑しているうちに、程なくメインレースのパドックタイムとなる。
1番キフネジーマー。'98年広峰賞馬キフネホマレの半弟で、昨年の楠賞で穴人気した馬。結果8着敗退で、その後は休養もあったにせよ、大して出世してはいない。これまでS1の経験もない。前走前々開催のA1戦4着。馬体重503kの大型馬で、非常に直線的なフォルムのガッチリ体型。胸前や首差しの厚さが目立つ。毛艶はまあまあ。大外を、終始小走りに、鶴首気味になって厩務員さんに頭を預けつつ、スッチャスッチャと回っている。ちょっとイライラしているようにも見える。
2番がハッコーディオス。前走前々開催のS1戦が半年の休養明け、キッチリ逃げ切り勝利で決めて、今回明け2戦目。馬体重の変動が激しく、芦毛ということで馬体が緩く映りがちでもあり、パドックでの判断にいつも困る馬。概ねコロンとしたフォルムは元来のものだろうが、今日の馬体は充分締まっており、とてもスカッと出来ている。時には覇気無いほどにのんびり歩くのだが、今日はしっかり歩いている方かと。尻尾を振り回す仕草も目立つ。「前走より馬体張りありますし、しっかり踏み込んでますよ。」とは3号馬さん。
3番サンキュウホマレ。現4歳世代のうちでは最も早く頭角を現した馬。しかしながら園田2歳優駿でミスターサックスに敗れ、以後楠賞までサックスに4連敗。兵庫2番手を辛うじて保ったのもここまでで(楠賞は3着)、その後は古馬S1編入されるも惨敗続き。逃げ馬だったのだが、逃げさせても貰えなくなってここに至っている。前走お盆開催のS1戦4着。馬体重414kの値通り痩せた馬。内々を覇気無く、とぼとぼと歩いている。トモの踏み込みも浅く、歩様は明らかにギクシャクしている。
4番ミールテイオー。道営デビューで、彼の地の2歳重賞ジュニアチャンピオンの勝ち馬。楠賞にエントリーするも、直前に不安が出て断念。「北の逸材」だったわけだが、3歳夏に兵庫に移籍。ところが当地ではなかなか良積挙げられず、初勝利まで14戦(1度の出走取消は除く)を要した。そして今夏、ようやくS1到達。前走お盆開催のS1戦2着。とにかく胴の長さが目立つ体型で、その胴がとても緩くて太く、意外なくらいにシャープさがない。気配は全くのんびりとしている。
5番サチノセンプー。デビューは3歳12月と遅かったが、昨年1年、猛烈な勢いで白星重ねて、準オープンまで上がってきた馬。半年ちょっと休養して、今年5月に再始動、前々走遂にS1に辿り着いた。通算21戦15勝2着5回4着1回の戦績が、その快進撃を物語る。前走8月5日のS1戦2着。実入り充分ながら、均整の取れたスラッとした好馬体。「いかにもトライバルセンプー産駒って感じの体型だよねえ。」とは環さん。成る程の評だと思う。毛艶も上々。キビキビした歩様でありつつも、悠々とした雰囲気漂わせており、印象は非常にいい。
6番ユウターエルシー。最近はS1で走ることもあるが、本来は中堅上位から準オープンが妥当な格だろうと思われる馬。前走前開催のS1戦5着。スマノヒット産駒牝馬らしい、小顔で首差し細い馬だが、胴はちょっと緩いか。小刻みに首を上下させて、気っぷはいい感じだが、同時に歩幅もセカセカ狭く、総じて身のこなしが小さい。印象は薄く、地味。
7番グリーンジャンボ。昨年の瀬戸内賞にて、ライバルを外に突き飛ばしながらも審議にならず勝った馬。その後は概ねS1で走っており、時に2着好走したこともあるが、脇役の域を出ていない。実際、瀬戸内賞後は17戦未勝利。前走前々開催のS1戦4着。ドッシリした胴回りで、いかにもレオグリングリン産駒(の並の馬)らしい体型。実入りと張りはあるが、艶はソコソコ。トモの送りは浅く、硬め。比較的内々を歩いている。
8番センターカノン。つい最近までは一介の中堅上位馬だった筈なのだが(最近兵庫の競馬には疎いのでそう感じられるだけやも)、4ヶ月の休養を挟んで、お盆開催に戦線復帰してから3戦、S1で見事な逃げを披露している。前々走ではハッコーディオスに食い下がり、前走前開催のS1戦では、鞍上若手の吉村クンに最後までシバかれて、遂にオープン初勝ちしてしまった。若干間延びした、トモの力感に乏しい体型で、後肢の歩幅も浅め。さりながら、大外をノビノビと歩いていて、身のこなしはいい感じ。
9番ストロングゲイル。昨年初頭に新潟からやって来て、早くも1年半以上経った。兵庫オープン主力の地位を維持しているが、重賞級の主力馬と当たると(最近ではマッピーウェーブとか、ハッコーディオスとか、サンバコールとか)殆ど通じず、実力が結果に直結するタイプ。前走前々開催のS1戦3着。ホマレブルショワ産駒らしい、直線的で箱形のガッチリ体型、そして小顔。黒鹿毛の馬体は張りに富んでいて、発汗も相まって見映えは充分。リズムを取るように、首をチャッチャと上下しつつ。歩様はやっぱり硬い。
10番オートチャンプ。確実に終い差し込む脚質もあってか、地味ながら着実に良積重ね、前走遂にS1入りした馬。その前走は前々開催のS1戦で6着。毛艶はソコソコなれど、まずまずの実入りで、馬体重469kよりは大きく見える。悠々落ち着いた身のこなしで、歩様もしっかりしているかと。
11番がマッピーウェーブ。2歳時は3戦(1勝)したのみで休養し、復帰が5月だったため、楠賞には間に合わなかった。が、ここから秋までに8連勝して出世してきた馬。そして昨年末にオープン入り。今やオープン最上位の1頭となった。近5走はS1で5連勝。前走はお盆開催のS1戦勝利。サラとの混合重賞となった摂津盃への出走プランもあったとか。ハッコーディオスと同様明るい灰色芦毛の膨張色で、それもあってか若干腹回りの丸さは目立つものの、首差しが細長いこともあってか、ディオスに比べれば明らかにスリムな印象。のんびりと落ち着き充分ながら、しっかりとした足取り、かつメリハリある身のこなしで歩いている。ただし、芦毛顔だからか、ちょっとポケーッとした感じが、しなくもない。
12番シルクダイオー。今回唯一の3歳馬。フクパーク記念4着、楠賞8着。サンクリントやクールフォーチュンといった地力上位勢には、実力そのままに通じなかった。前走B1戦を走っていたので(結果4着)、ここはまさに格上挑戦。春の時点では、パドックでの馬体張りや気合いは目立っていたのだが、今日は張りも毛艶も全く平凡。覇気も無く、トモの送りもギクシャクしている。騎乗命令が掛かった際、奥に退場して裏手で米田騎手を乗せていた。

本馬場入場から返し馬。先にパドックから引っ込んだシルクダイオーが真っ先に入場して四角方向へ。ハッコーディオスは入場口から即左折で一角方向に跳んで行く。マッピーウェーブも同様だったようだ。サンキュウホマレ、キフネジーマー、ユウターエルシー、ミールテイオー、グリーンジャンボといった面々は、ゴール板前近辺ですぐ反転して一角方向へ。ストロングゲイルはゴール100m前あたりから軽く駆け出す。センターカノンは4コーナー近くまで歩んで、そこから内ラチ沿いを軽く流して。サチノセンプーは四角まで歩んで、ここで暫し佇んで、遅れてゆったり内ラチ沿いを楽にキャンターで通過して行く。

予想。逃げ馬が多く、先行争い激化必至、これらには厳しいレースとなろう。他方差し一点張りの馬も相当数存在し、前が崩れた場合はこれらが食い込む余地もあろう。が、ワシは差し馬勢の馬券は買わない。
条件的にはハッコーディオスの軸は堅いところだろう。が、ここは充実の現状に期待して、マッピーウェーブ中心に勝負。ただしこれは冒険。この馬、輸送難故かコース形状故か判らぬが、姫路は3戦未勝利3着1回と駄目。その3着は今年の3月戦、折角1着入線たのだが、直線斜行での降着負け(繰り上がり1着になったのはワシュウジョージ)。さてどうか。
マッピーが降着・失格となることも考えて、その際いかにも繰り上がり対象になりそうなストロングゲイルにも少々。サチノセンプーは逃げ馬であり、同型揃ったここでは苦しかろうと、当初は考えていたのだが、その好ルックス目にして変節、かなり買う。初騎乗となる赤木騎手の手腕に注目。穴はセンターカノン。軽ハンデ50kでの逃げ残りを考えて。「ワイもセンターカノン、買うでえ!」とは"リーダー"前田っちも。

レースなり
さてレース。スタート地点は前述の通り、向こう正面半ばをちょっと過ぎたところ。
ゲートが開く。ハッコーディオスが痺れるようなロケットスタート決めて、ズバッとハナを制する。が、外からセンターカノンが押されて押されて前に出て、三角手前でディオスに並ぶ。サチノセンプーは2頭の直後、前に絡もうとはせずむしろ控え気味。赤木騎手の手綱は張り気味で、馬は口を割っている。
3、4コーナー中間、前3頭の直後へ、外からマッピーウェーブとストロングゲイルが急接近。殊にマッピーは、大外回してフロントに躍り出ようかという勢い。
そして正面スタンド前。先頭内でハッコーディオス。折り合いバッチリ余裕の走り。センターカノンは四角コーナリングで一旦引いたものの、再度上がってディオスの外に。そしてマッピーウェーブが加速気味に、センターカノンの外に馬体を併せる。結果ゴール板前あたりでは、内ディオス中カノン外マッピーと、フロント3頭横並びとなる。サチノセンプーは3頭から2馬身弱下がった内4番手、ちょっと窮屈な競馬かと。直後外目にストロングゲイルが続く。ゲイルの1馬身強後方にサンキュウホマレがいて、ここがちょうど真ん中好位。ややあって以下中団勢。内キフネジーマー、その外併走ユウターエルシー、さらに外にはグリーンジャンボ。この3頭の直後にシルクダイオーが追走で、以下ケツ二ミールテイオー、殿オートチャンプの追い込み2頭。

1周目(47KB)
1周目のゴール板前、先頭3頭
内ディオス中カノン外マッピー

一角進入から1、2コーナー中間、センターカノンの掛かり気味なハナへの執着と、譲らないマッピーの走りを嫌ってか、ハッコーディオスがスッと控えて、内で3番手単走となる。2コーナーあたりでは、前の2頭から3、4馬身くらいは距離を置く程に。
向こう正面。フロントでは相変わらず内センターカノンと外マッピーウェーブが併走。そしてハッコーディオスが再度間合いを詰め、半ば前には1馬身半差までに。これに合わせて、内からサチノセンプーが、外からストロングゲイルが。ゲイルの直後にはサンキュウホマレ。
3コーナー、センターカノンが一杯となって脱落。これで単騎先頭マッピーウェーブ。ここへ外から、満を持してハッコーディオス、じわりじわりと迫る。3番手はサチノセンプーだが、前2頭との差は開いた。
そして最後の直線勝負。インコースにマッピーウェーブ。1馬身差で外に併せたハッコーディオス。「さあここからが!」というところ、残り200の標識あたり、マッピーウェーブがビョンッ!と内に刺さる。そして場内に「バキッ!」という音が響き渡る。マッピー、内ラチに突進して、鞍上成清落馬、競走中止。その真横をハッコーディオスが抜いて単騎先頭に。「これで決まりか?」と思ったところ、残り100、馬場ど真ん中を差し込む黄色メンコが1頭。「何じゃあれ?」これがサンキュウホマレ。残り50あたり、ハッコーディオスを並ぶ間もなく差し切ってのVゴール。2着ハッコーディオスに、最後2馬身半差を付けていた。

サンキュウホマレ(41KB)
サンキュウホマレ、劇走差し切りV
ガッツポーズの鞍上は重賞初勝ち青山

マッピー落馬もあって、何が何やら判らぬうちのサンキュウホマレの差し切り。後で見直すと、この馬、序盤から中盤にかけて、ずっとストロングゲイルの直後絶好位キープで、2周目の三分三厘では3番手サチノセンプーの直後内。そして直線、マッピーが落馬したちょうどそのタイミングで末脚炸裂して、サチノセンプーを内から交わして、あとは5馬身先のディオスまで一気。ハッコーディオスが終い脚を鈍らせたこともあって、鮮やかな逆転劇となった。
さて3着以降。終い勝負に賭けた感のキフネジーマーが、マッピー落馬でもつれた先行馬群を突っ切って襲来。サチノセンプーが外目で何とか粘るところ、ゴール寸前クビ差交わして3着。2着とは3馬身差。4着サチノセンプー。グリーンジャンボは後方勢のうちで真っ先に位置を上げて大外から迫ったが、結局サチノセンプーを3/4馬身抜けず5着。ミールテイオーは終い最内を掬って追い込むも6着。ストロングゲイルは四角勝ち馬と同位置から、直線伸びを欠いて7着。8着オートチャンプ、9着ユーターエルシー、10着逃げて沈んだセンターカノン、11着シルクダイオー。

反省
先に落馬のマッピーウェーブについて。やっぱりヨレ癖で自滅かぁ。楽走楽勝している分には問題ないが、やっぱり全力勝負で苦しくなると、悪癖って出るもんだ。直角に右側に突進して行ったもんな。「何だかなあ。頭悪いんじゃないか、この馬・・・」と愚痴りたくもなるぞ。かなり酷い落ち方した成清騎手が大事に至らなかったことが、せめてもの救いか。
それにしても勝ち馬がサンキュウホマレとは・・・「逃げ馬からの脚質転換が、ようやく花開いた」とは、翌日のスポーツ紙が評したところ。確かに道中絶好位であったし、終いの伸び脚も目を見張るものだった。が、これ、ホンマにこの馬の進化形で地力なんだろうか?「たまたまハマッた」だけななんじゃないか?どうしてもこんな印象抱いてしまう。因みに鞍上青山騎手はこれが重賞初勝利。これまで兵庫の重賞ジョッキー最若年は下原騎手だったところ、これを更新したことになる。
ハッコーディオスは道中控えて再上昇という競馬。抑えが効くのは長所だろうが、やっぱり自らがハナに立って、レースのペースを掌握する競馬の方が強いだろう。マッピーが落馬した真横にいて、それから程なく脚が鈍った感じだったが、落馬の影響が故ではないだろう。明らかに息の保ちが悪い。ちょうど今年の新春賞の時と同じ。ぷすんと失速する。馬体重の変動といい、日頃の調教過程が疑問な馬だ。
キフネジーマーは太さん腹括ってのレースだろうし、着順としては上々だろう。サチノセンプーは控える序盤。あの流れでは致し方なかったやも知れぬが、明らかに窮屈そうであったし、終い4着に残れていることを思えば、ちょっと不完全燃焼、勿体ない競馬だったかも。ストロングゲイルは全く案外。勝ち負けしろとは言わないが不満の残る走り。こんなもんじゃないだろう。
それにしても変なレースだった。センターカノンの逃げ固執は予想通りとしても、控えて終いディオスを追うべきマッピーが逃げ競り合いに加わるわ、ディオスが控えるわ、落馬はあるわ、おまけに勝つのはサンキュウホマレだわで・・・
この中にあって、鍵を握った主役(戦犯?)はやはりセンターカノンだったかと。この馬自身、そして吉村クンにとっては、悔いなくやるべきことやったわけだろうが、他馬にとっては迷惑極まりない頑なな逃げだったろう。ディオスもマッピーもサチノセンプーも、何らかの影響被ったはず。レース壊したとも。ちょうど3年前、マノノトップガンが勝った白鷺賞の時の、スーパーチャレンジの走りに印象が近い。

おしまい
「成清、勝て!そして泣け!」
これは戦前の"リーダー"前田っちのセリフ。ところが結果は、
「成清、落ちてナミダ。おまけに泣いたのは馬券外れたワシら・・・」
という、これが。それにしても、マッピーウェーブ、姫路はアカンなあ、何度でも書くけれど。
「姫路開催なんぞ要らんのぢゃ!」
"姫路廃止論者"の誰かさんではないけれど、一番こう思っているのは、他ならぬマッピーなんじゃないのかな?

2003.10.12 記

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