タマツバキ記念 第10回山陽杯観戦報告観戦報告
2000.10.11、園田、1870m
唐突ながらも、芭蕉の『おくのほそ道』の話から(と言っても大御所Okuさんのサイトの事じゃありません)。
芭蕉って面白い人で、この紀行の出立に際して「松島の月先づ心にかゝりて」なんて言っている(書いている)癖に、いざ松島の段になると「予は口をとぢて眠らんとしていねられず」とか何とかで、結局自分じゃ肝心の句を作らずに弟子任せ。どうもこの人、「おもひあまりてことばたりず」の気があるらしく、後年弟子の著作中で「師のいはく、絶景にむかふ時はうばはれて叶はず」とフォローが入る程。
「だからそれがどうしてん?」ということなのですが、つまりは芭蕉をしてこの有様、況や般ピーのワシにおいてをや、というわけで、今回のタマツバキ観戦記、思い入れ強すぎて、全く自信、ございません。――以上、言い訳は文学的に(大嘘!)
遂に待ちに待ったこの日がやって来た。とにかく待ちわびたというのが本音。やや大袈裟に言わせてもらえば、今年3月佐賀セイユウ賞、ホマスタがまさかの3着に敗れて以来待ちかねたこの日。間違いなく今年下半期の全国アラブ系最大のレース、名実共に頂点決戦。その長い一日が始まる。
天気晴れ。絶好の競馬日和。当初は所用で競馬場入りが午後からになるところだったのだが、用件が前日に片付き正午には競馬場着が叶う。
前々日の月曜日、日中狂ったような豪雨があってこれが馬場にしこたま水分をもたらす。2日後の本日も若干その湿り気が残り、馬場状態は稍重。内外特に差もなく、適度に砂が締まった軽馬場。馬が疾駆しても砂塵は立たず、かなり走り易そうな状態。となれば「こりゃヨシゼン厳しいな」と、環さんならずとも、かくの如くは難なく推測されようか、と。
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御来園の皆様、そしてメインレースまでのあれこれ
入場してスタンドのベンチに腰掛けて腹ごしらえ(神戸そごうで買った山菜おこわ)をしていると、まずスタンドに上がってくる栃さんと遭遇。前日から仕事で大阪入りとのこと。4Rのサラ3歳JRA認定未勝利戦に出走する、先の園田プリンセスカップの勝ち馬、ホエールハーバー(OP勝利も認定勝ちはしていないのでここに出走可能というのも何だかね)の走りを早速見届ける。関東在住ながらこのあたりにまでチェックが及ぶところはサスガ。ここに本来平日の競馬観戦は叶わぬ筈のディープさんも登場。予定を何とかやりくりしての来園のよう。そうこなくっちゃ。
スタンドから見下ろしていると、"返し馬鑑定家"ケーズ兄さんの張り切る姿。その兄さんと並んで談笑する三つボタンのダークスーツのがっちりした男、ぱっと見逞しくなったハナキーくんかと思ったが、これがアラブファンくん。そのハナキーくんとはパドックで落ち合う。今日は赤シャツのオトコ。このパドックで、環さん、ブリセイくん、スーツ姿の京都人さん、日浦ちゃんと合流。太郎ちゃん祝勝会以来のラティラーちゃんと、ワシはお初のそのお姉さんの"ひらび"さんとも。そしてまりおちゃんちーちゃん。御両人を筆頭とする"だんまく隊"の皆さんの活躍により、本日の幕の枚数、11枚!「パドックを埋め尽くせ!」の『けいば〜ず』(まりおちゃんのサイト)のスローガンの実現に、もうあと少しのところまで来ているではないか!
ハナキーくんから、彼の熱意と才能の発露『アラビアンA(エース)』(盛り上げ企画の予想大会で皆さんから頂いたシルシを核にした、お手製タマツバキ予想紙)を貰う。ネタ集めにワシも噛んだので、見事な完成品を見るにつけ、嬉しい気分。その束を半分預かり、以降新聞配りのオッサンと化す。
再度スタンドに出るとエチゼンさんとそのお連れさん、ともちゃんもカメラ持参で"カメラ娘"の通り名どおり。
何やかんやでブラブラしていると、入場門からコースを向いて右手の取っつきのところの売店に、噂の"梨剥きマシーン"発見。となるとここは『競馬美食倶楽部』主宰、環さんの出番。まりちーちゃん、ハナキーくん、そして合流したナ○ダシくん、ワシを伴った6人で突撃取材。つまりは「梨おくれ〜!」6人前オーダー!件の梨剥きマシーンに二十世紀梨を据え付け「シュルシュルル〜」と、一ヶあたりものの2秒弱で皮剥きを敢行する店のおねえさん(仮に歳行っててもここはおねえさん)。それをデジカメで撮影する環さん。このあたり、集団戦法の強みといったところ。独りじゃこの取材は躊躇われるわな(この顛末は環さんのページにて、
こちら
からどうぞ)。
こうして剥きあがった梨(四つ割りにしてもらうサービスあり)をパクついて、やがて時は7レースの返し馬。一応本日のオフ会第一度目の集合時間。告知通りゴール板前に陣取っていると、九州在住"さまにべっぴん"さん「今日は荒尾セイユウ賞の宣伝も兼ねまして・・・」恐れ入ります。From金沢の自称"イセイチフブキ応援団長!"きたさん。そしてアラブサイト経営3号馬さん、といった面々も合流。同じアラブサイト系でハナキーくんと3号馬さんはこれが初対面。スタンドのベンチには、福山のFUKUさんの姿も。これは予想外、お目にかかれて個人的にはムチャ嬉しい。
因みにこの第7R、アラブ系3歳オープン特別。グリグリの本命、デビュー以来3連勝で臨んだクールテツオーが、岩田を鞍上に、ちょっとあおって発馬、先行するも道中ズブさを見せ、しかしながらも仕掛けられると独走ぶっちぎりで勝利。ちょうど昨年の今頃のハッコーディオスを彷彿とさせる競馬ぶり。因みにこの馬、金沢のイセイチフブキ(本日のタマツバキに出走)マルイシヒーロー兄弟の全弟。将来が楽しみ。
遅れてかおりちゃん登場。広島より大盛りさんご一家も。あみちゃんはもうベビーカー要らず、歳月は確実に経つものねえ・・・そして山ちゃん。日浦ちゃんに「誰か入場タダ券余分に持ってないか?」と事前入電するも結局空振り、という前フリ拵えてばっちり登場。さらに関東より宇田山さん、御多忙のところ、楠賞に続いて今回も「意地の」ご来園。
※レースのみに興味のある方はここからお読み下さい
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そして、決戦のタマツバキ――
メインレース前、9レースのパドック周回が終わったあたりからパドック待ちに取りかかる。皆さんも続々集結。そしてここに善福寺さんも登場。
さて、タマツバキ記念山陽杯、その出走馬は内枠より以下の通り。
ホマレスターライツ(宇都宮、5歳、56k、鈴木正)、メグミダイオー(水沢、6歳、56k、西)、ワールドアイ(福山、7歳、55k、嬉)、シンセイマックス(5歳、56k、下原)、イセイチフブキ(金沢、7歳、55k、尾林)、ワシュウジョージ(5歳、56k、小牧太)シャインマンリー(6歳、56k、永島)、マキオリンボー(6歳、56k、三野)、ケイエスヨシゼン(8歳、55k、岩田)、エイランボーイ(7歳、55k、赤木)、ブラウンダンディ(名古屋、5歳、56k、平松)、以上他地区馬5頭、地元馬6頭の11頭。笠松から登録していたミカワチャンピオンが直前回避で他地区馬は5頭。(タマツバキ出走馬決定までの各地区の事情は拙HP 「
各地区の動向
」、出走馬の略歴は同「
出走予定馬の横顔
」を、ご参考までに・・・)その5頭のうち、イセイチフブキは主戦桑野jkが騎乗停止で尾林jkに、ブラウンダンディの主戦主戦安部jkは調教中負傷で平松jkに乗り替わり(この経緯は『キンキ』北防氏のコラムより)。
やがて馬体重発表。注目を集めたのがエイランボーイの498kのマイナス10k。「こりゃピチビチに仕上げたな」というのがその時点での感想。
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パドック、そして返し馬〜発走まで
そしていよいよ各馬がパドックに姿を現す。パドック入り口右手の木陰で、エイランの森澤先生、ホマスタの中村先生、ヨシゼンの保利照先生はじめ、関係者の方々が見守る中、入場。
先頭はホマレスターライツ。3月佐賀セイユウ賞以来、久々の対面。スリムな身体にさらに磨きをかけて、といった感じで黒鹿毛の馬体はピッカピカ。鶴首、瞳は爛々、抜き足差し足といった足どりでチャッカチャッカと歩む様はこの馬のファイティングポーズ。遠征時の仕上げには定評があるところ(4歳時には、「あの馬馬体作るのは遠征の時だけ」と誰かが言ってたっけ)。まさに抜き身のような姿。事前にあれこれ不安点頭に浮かべて検討するも、この実物目にしてしまうと、やっぱり買いたくなってくる。
メグミダイオーは506kの馬体重相応の重厚感。いかにも重心の低そうなルックス。前回目撃した東北アラチャンの時は、かなりの曇天だったこともあり、馬体がやや鈍重にも見えたのだが、今日は晴天、栗毛の馬体が綺麗に映える。気合いはじんわり。例によってパドックメンコ着用。
福山代表ワールドアイ。「何でワールドアイやねん!トモシロヒットやろ!」と大盛りさんが言ったそうだが、トライアルを勝っての参戦だから仕方がないところ。馬体重499kは+6kだが常時500k前後で競馬をしているのでこれ自体は問題なかろう。胴体の横幅、ボリュームが凄い。黒鹿毛の毛色も相まってここに混じっても迫力では劣らない。いつもはじんわりとした気合い乗りなのだが、今日はガチャガチャとうるさく、時折尻ッ跳ね、地元では有り難い仕草。輸送の影響か、カマシてきたのか?某くん(匿名)曰く「パッピーケイオーがやって来たみたいですねえ」。言い得て妙。
シンセイマックスは彼自身の仕上げとしては文句はなかろう。が、兵庫オープンの新入り、さすがにここではしんどいか。「この馬の出方(戦法)で展開変わるとも思えるんですけど」とは某くん。逃げ差し自在ではある。
金沢よりのイセイチフブキ。かつて北関東で快足を誇った同馬、栃さんハナキーくんをはじめ、東の方々には馴染みと思い入れの深い馬。御両人とも同馬の逃げ残りに期待大のよう。ワシは目にするのはこれが初めて。陣営は500kを切って出したかったようだが馬体重501k。「金沢の仕上げ、どうも緩いんじゃないの?」とかねてよりハナキーくんは気に懸けているがこれはどうか?どっしりとした馬体。二人曳きで頸を上下しつつ厩務員さんを引っ張るのは闘志の発露か?「ホーエイヒロボーイの仔、メンコ似合わないんだよねえ、特にイセイチはひどいんだ」とハナキーくん。異議なし。鞍上尾林は急遽代打。「尾林テン乗り」は大黒社(場内の予想屋さん)の定番フレーズ。結構面白いかも。
ワシュウジョージは例によって二人曳き。好調時のサイン、鶴首で前半身をグッと沈めての周回。この気合い乗りは凄い。恐らく絶好調。「前走(9/19のOP平場戦、休み明けハンデ62kで4着)もパドックは良かったすよ、それから馬体重+3、更に身を入れてきたってところでしょう」と某くんのオコトバ。ホマスタと何かと対置させられる同馬だが、悍性迸るそのパドックの姿は両頭甲乙つけ難い。
前走摂津盃同着ながらも重賞初制覇で男をあげたシャインマンリー。約二ヶ月ぶりの実戦だが仕上げは万全といったところ。トモの送りの滑らかさが目立つ。馬体重486kと数字上は大型馬のうちに入ろうが、ここでは他にボリューム満点の馬が多いので、スマートな印象が強い。このところの地力強化には目を見張るが、先行同型多く、どこまで太刀打ちできるか?今日は隣のワシュウ共々、兄弟で同枠。兄の面目、見せられるか?
マキオリンボーも気合いがかなり乗っている。しかし今季は戦果が挙がらぬ状況。一年前の今の時期の調子であればかなり期待できたのだが。道中のスピード不足が解消されぬ現状では・・・
そしてケイエスヨシゼン。8歳最年長。もうさすがに迸る気合いといった感は望めないが、毛艶、踏み込みは共に良好。摂津盃で不死鳥さながらの復活、そして前走(9/19のOP平場戦)、斤量3k有利ながらもエイランボーイに差し切り勝ち、陣営も「絶好調」と意気があがる。ここで某くん「今日も悪くはないっすけど、言うたら前走の方がパドックもっと良かったですからねえ、これでどうでしょう?」。距離一八七、スピード馬場、苦戦条件多いが、少なからず存在する"ヨシゼニスト"の期待を一身に受け、今日も走る!
そしてそして不動の本命エイランボーイ。前述の通り馬体重マイナス10kの498k。森澤先生が7月の休養明け時から「最大目標はタマツバキ」と公言していた通り、それを反映してか、恐らくこれはメイチの仕上げ。エイラン当人(いや当馬)は特に気負ったり気合いを表に出すでもなくフツーに周回。元来この馬、特に6歳以降はパドック気配を掴みにくい馬ではある。ややもすれば元気がなく、今日は若干馬が小さく見える。あとは地力頼み、毎レース一撃必中、出る以上は勝つ!(脚元のことはやはり気には懸かる)
大外名古屋からブラウンダンディ。東海最強11連勝!の戦績に恥じぬ堂々たる歩み。馬体の張りバンバン。腰より肩の方が高い体型。二人曳きの外側で綱を取る女性の厩務員さん(このおねえちゃんが担当です、サラのブラウンシャトレーもやってるそうです)の背が低いこともあり、それとの対比もあろうが体高がとてもあるように見える。平松jkの代打に関して「この馬、馬柱で近走の道中通過順見ると差し馬のそれやけど、これブラウンの本来の脚質ゆうより、地力抜けてるから如何様にでもなるゆえの結果なんちゃう?そこんとこ平松っちゃんがバリバリの差し馬思うてお得意の手に出たらどうなるん?大丈夫やろか?」などど環さんと話題にする。
ともあれこれだけのメンバーが一堂に会したパドックに立ち会っているその事実、それだけで胸がいっぱいになる。(ワシゃブッチャー佐々木か?)
ホマレスターライツ、パドック
青い豹柄の鞍にも注目
イセイチフブキ、本馬場入場
テン乗り尾林を背に、いざ、行くべし!
そして本馬場入場、各馬返し馬に。
メグミダイオーは入場口から登場するやゴール板前には進まずそのまま1コーナーへ駆け出す。パドックメンコは外しこの時点で素顔。ワシュウジョージはゴール板前へ、ここから太さん、すぐさまキャンターに下ろす。そして馬場を3/4走ってそのまま4コーナーの待機所に直行、直線は流さず。これはワシュウの流儀。
ワールドアイは重心低く強めのキャンター。しかし鞍上嬉ががっちり抑えないとすっ飛んで行きかねない、いつにない口向きの悪さ。メグミダイオーが馬場を1周して直線余裕のキャンターで通過。一見大流星のその素顔は押しが強いが、秋の陽に照らされた栗毛の馬体も相まって、この馬なかなかの男前。
ヨシゼンは例によって岩田に手綱をがっちり抑えられて頸をひん曲げつつ、インコースを強めのキャンター。シャインマンリーも強め。マキオリンボーは馬場ど真ん中をキャンター。ブラウン、イセイチも強く。ブラウン、馬体のブリブリ感がそのキャンターの迫力を助長する。
エイランボーイは赤木がおもむろに内埒沿いにダクに下ろして返し馬に、そしてやはり内埒沿いを楽走でホームストレッチを通過。
そしてホマスタ。唯一騎、入場して4コーナー方向へ、直線半ばあたりまでダクで歩みを進める。そこから返し馬に入り、キャンターで1周。そして再度ホームストレッチにダクでやって来て、ゴール100m前あたりで引き返し待機所に向かう。この、再度四角から直線半ばまで流す返し馬は以前にも見かけた記憶があるので、ホマスタ流の儀式?
メグミダイオー、返し馬
岩手の誇り、結構GoodLooking!
ブラウンダンディ、返し馬
平松ちゃんの勝負服、赤メンコにマッチ
さて予想。事前に、イセイチの逃げ残りを考えた、イセイチからの馬複総流しは押さえ(さながら災害保険ですね、何と言っても"フブキ"ですから)たのだが、本線の買い目の決定にはホンマ困った。日本最強、負けてもらっては困るエイランボーイ、ではあるのだが、パドック気配に惹かれて、結局ホマスタ−ワシュウの馬単裏表、これに厚く、プラス、エイラン−ホマスタの馬単裏表、以下馬複で3点、ホマスタ−ブラウンの強力遠征コンビ、ホマスタ−ヨシゼンの劇的馬券、ワシュウ−ヨシゼンの差し差し馬券。
馬券購入、そして発走を待つ間、とうとう迎えてしまう決戦の時、それを控えて緊張と待ちくたびれの気持ちでワシは既にクタクタ。後にまりおちゃんに「ユーちゃんもうあの時点でヘロヘロでカメラ持つ手震えてはるもん、むっちゃ可笑しかったわ」と言われる始末。
遂に発走、これがアラブ頂点決戦。距離一八七、2コーナーから。さすが歴戦の古馬、勿体ぶる風情など微塵もなくあっけなく全馬ゲートに収まりゲートオープン!
◆
リアルタイムインプレッション
戦前の予想通りイセイチが何が何でものハナ奪取。1枠からホマスタが好発。恐らく鞍上正さんの意図か、先団位置を主張。シャインマンリーあたりも前へ前へ。一方メグミダイオーは明らかな出遅れ。先行すると見込まれたがやむなく後方から。
1周目の正面スタンド前、尾林イセイチが相当のリードをとって単騎先頭でやって来る。そしてその後ろが先行・好位集団、かなり一団。その集団のアタマを押さえたのは永島シャインマンリー、その後ろインホマスタ、外にここまでの道中外に持ち出したと思しき嬉ワールドアイ、大本命にもかかわらず位置取りがイマイチ視認しづらかった赤木エイランボーイはホマスタとワールドに挟まれた先団2列目。そして探すはヨシゼン、上記先団の次列外目を追走、このインに太ワシュウの姿も。平松ブラウンダンディはこの後ろ、やはり差し競馬か。
1周目G板前通過直線
2番手マンリー次列内ホマスタ中エイラン外ワールド
隊列は1、2コーナーから向こう流しへ。イセイチの逃げは変わらず、ホマスタ、マンリーは先団キープ。ここで、このレース、どうも見失いがちなエイランボーイ、一旦下がった状況から赤木の手綱に促されて再度上昇を図る。ヨシゼンは依然好位を追走、よく食らい付いているな。そしてブラウンが仕掛け、ワシュウもソロリと腰を上げた模様。
勝負所の三分三厘、ホマスタのアクションが大きくなったような。そしていよいよエイランが前列に押し上がってくる、がしかし、鞍上赤木の追う動作が激しくなるにもかかわらず、その脚は取り付くので一杯といったところ、「おいおいエイラン駄目だよ」の声。
そして最後の直線、インで粘るイセイチ、後続に並ばれてからもなおも抵抗、「これはしぶとい!」と思ったが残り100mあたりで脱落。ホマスタwith正さんが必死の抜け出しを図るがこれも伸びない。このホマスタの前、先頭に躍り出たのは太郎ちゃんのシャインマンリー、確かな脚いろ、ゴールめがけて迫り来る。ここでワシ、マンリーを先ず念頭に置き、これに迫る馬をカメラのファインダー越しに探す、と、馬場外目、ブラウンダンディの伸び脚良し。どっちだどっちだ?と暫し逡巡。脚いろ一緒、やっぱりマンリー!と、見定めて連写モードに入ったその刹那、「外から追い込んで来たのはワシュ〜〜ウジョージ!」との吉田アナの実況。「アカンしまった!」と思うも時既に遅し、ピントはマンリーのファインダーの像の中、マンリーの大外を褐色の影、すなわちワシュウがグウォン!と横切ったのがゴール前。摂津盃、QCに続いてまたもや際どい!しかし脚勢は明らかにワシュウ。
ゴール前、大外から差し切るワシュウ
ピントは内マンリーワシュウはピンぼけ、トホホ・・・
ジャンボトロン(園田の馬場内ビジョン)に映し出されるゴール前のリプレイに注目が集まる。最後の直線イセイチもホマスタも振り切り抜け出すマンリー、差し込むブラウンも封じゴールに飛び込まんとするその寸前、ブラウンよりさらに大外、まさに矢のように追い込んだワシュウが猛迫、直前馬体が並びゴール前ズトン!と抜けている。
「やっぱりワシュウか〜!」挙がる声。しかしそれ以上に聞かれたのが「シャインマンリー強くなったなあ」これは同感。
勝利を確信している太さん、ワシュウをウィニングランに導く。しかし、あまりに鮮やかに、いや呆気なく追い込み決めてしまったからか、大本命のエイランが、そしてホマスタが飛んだからか、お客さんの反応は今一つ。それなりのリアクションがあれば太さん、ガッツポーズの一つでも決めたかったところだろうが、それはなし。キッと首をもたげて目を見開き、激闘の後といった風情を漂わすワシュウの首筋にぽんぽんと労いの手を入れて引き揚げる。
ワシュウジョージ、ウィニングラン
このアングル、頸から胸前のボリュームが意外にあることがわかる
◆
以下、中継の録画よりレース模様の補足
発馬好発はマンリー、その後も太郎が手綱をしごいて主張。これを制してイセイチ。ホマスタは手綱を押されて前へ、外エイランも決して悪い発馬ではない。この先手の奪い合いは、着順掲示盤に隠れる手前あたりで、ハナはイセイチ、2番手内ホマスタ外マンリー、4番手でエイラン、そのインワールドといった具合に。
1周目の三分三厘でホマスタが譲って2番手マンリー、ホマスタ3番手、嬉ワールドはこのあたり外へ外へ。この後ろにさほど差がなく外ヨシゼン、直後にワシュウ、そのインに出遅れメグミダイオー。後方列外にブラウン、内にシンセイマックス中マキオリンボー。
最初の直線、先頭のイセイチ尾林手綱抑えて。5馬身ほど後ろに集団、マンリーは折り合いばっちり、直後のエイランは赤木が抑え気味、この内でホマスタは我慢、外にワールド。その直後のヨシゼン、ワシュウのインに、進出したいのかメグミがスルスル。ブラウンは完全待機策。
1、2コーナーではエイラン、控えたのか?ホマスタ、ワールドの後ろに。
そして向こう流し、前ではマンリーが余裕の手応えで早々にイセイチを射程圏内に、負けじとホマスタ食らい付き。一旦下がったエイランもここは遅れてならじと前へ、しかしどう見てもエイランの個性からして後手踏み。いつの間にやらワールド後退。ヨシゼンそれなりの追走ながらも、内でワシュウがスッと前へ。同時にブラウンダンディ、平松十八番の捲り寄せ。前で動いたワシュウをも呑み込み、三分三厘一気に先団大外に。そのころ先団はまさに激戦、最内捕まりかけたイセイチ、それに被せた太郎マンリー、マンリーめがけて外へホマスタ、直後にエイラン迫るも鞍上赤木の鞭が入る。
そして最後の直線、コーナーワークで再度イセイチが前、これを2番手からマンリーが潰して抜け出す。直後に内エイラン中ホマスタ外ブラウン、エイラン伸びかけたのもほんの一瞬、程なく止まる。ホマスタは外ブラウンと暫し併せ馬の形、必死に食い下がるもブラウンにねじ伏せられ、そのブラウン前のマンリーを追う。が、先にブラウンに捲らせたワシュウジョージがブラウンよりさらに大外一直線、加速が止まったブラウンも、そして逃げ込むマンリーをも差し切ったところがゴール板。
ということで、1着ワシュウ2着マンリー、その差クビ、1馬身遅れてブラウン、4着ホマスタ、5着何だかんだで最後は伸びたメグミダイオー、6着イセイチが踏みとどまり、大本命エイランボーイは7着、イセイチも捉えられずということ。8着不発のヨシゼン、9着シンセイ10着マキオ、最下位はタレたワールドアイ(ワールドはレース中落鉄したとFUKUさんの情報あり)。
◆
闘い終わって〜各馬にひとこと
(別ページにて)
これは観戦記の主旨からはやや逸れるが、中継中での勝利騎手インタビューでの太さんのレース回顧の談が興味深いので、ちょっとまとめて以下に掲載。
「(ワシュウは)道中揉まれて1、2コーナーでちょっと掛かった」
「自分の乗っていたエイランボーイが強いと思ってそれをマークして乗っていたが、あの馬(エイラン)も揉まれていたのでちょっと苦しいかとは思った」
「平松さんの馬(ブラウン)に一旦交わされて、そこで行き場がなくなって、人間(太さん自身)があそこで躊躇して、結果的にそれで待ったのが最後の直線の伸びにつながったんじゃないかと」
このあたり、一気に動く平松ちゃんの個性、相手に合わせて"後打ち"で手を打つ太さんの個性がよく出ていて納得。
コース上に口取り撮影のために勝者ワシュウが関係者の皆さんと共に再登場。肩に掛けられた緋色のレイはアラブ日本一の証。そしてウィナで表彰式、そして吉田アナの太さんへの勝利騎手インタビュー。ここでハナキーくん「アラブやめないでね〜!」の掛け声一発。それを承けて吉田アナ「え〜『アラブやめないでね』の声援も挙がっておりますが・・・」と、ハナキー声援を拾って語り始める。まさにアラブ原理主義者の面目躍如。
ワシュウジョージ、口取り
緋色のレイはアラブ日本一の証
といった次第で、本日の競馬、終了。パドックで張り出した幕を撤収する"だんまく隊"の方々のところに、この後の宴会出席の皆さんが集結。そしてここから競馬場を後にし、宴会会場、園田駅前「がんこ」へ徒歩にて移動。あとは怒濤の園田系大宴会、出席される方々、その数25人超!
待ちに待った一大イベントが終わってしまったその後に襲う虚脱感、そして宴会幹事の大任、殊に苦手な会計事へのプレッシャーに心を満たされ、競馬場を後にするワシであった。
ツカミが芭蕉だったので、締めも蕉風で。
玉椿 つはものどもが 夢の跡 ――
これじゃ春の句やないか、トホホ・・・
2000.10.18 記
◆
追記:
タマツバキ記念にあたって、盛り上げ企画「タマツバキに熱視線!」を立ち上げたところ、協賛リンク集、並びに予想大会に、たくさんの方々の協賛、ご参加がありましたこと、この場にて改めて御礼申し上げます。
発起人(スピードハナキオー、前田、ユーノすけ)を代表しまして、ワシことユーノすけより
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