総括 2000年下半期アラブ重賞巡り


ご挨拶

何とか無事に2000年の1年間、現場観戦の観戦記をしたため続けることができました。
7月に、上半期の総括ページを作成しましたが、それに倣って、7〜12月、すなわち下半期のアラブ巡りについても、またまたこのような総括・回顧のページをこしらえました。下半期執筆分は、19重賞1非重賞その他1の、計21観戦記です。

観戦した重賞レースとその結果〜データ一覧風に

指定競走サマーカップと「開幕!福山秋競馬」を除く、観戦記に掲載した全19重賞とその結果を以下の表にまとめました。
競馬場別に数をまとめると次のようになります。
園田3、姫路2、福山5、上山2、宇都宮2、高崎1、金沢1、笠松1、益田1、荒尾1

実施日競馬場レース名距離 1着2着
馬 名人気決手馬 名人気決手
7/20荒 尾九州アラブグランプリ2150mビソウミラクルイマリシャープ
その他:サンワテイオー(○2人)5着
8/13福 山金杯1600mトモシロヒットワールドアイ
その他:ミヤノウイナー(▲3人)3着、マツノホープ(△4人)6着
8/15益 田日本海特別(夏)2200mノアニホンカイプリウス
その他:ローレルヒロ(○3人)3着
8/16園 田摂津盃1870mシャインマンリーケイエスヨシゼン
※1着同着 その他:マキオリンボー(▲4人)3着、タッカースカレー(×2人)5着
8/18笠 松笠松オールカマー1600mボナンザーローマンウララマンスタ
※1、2着はサラ その他:ブレーンワーク(▲3人)4着
9/23上 山かかしまつり賞1800mペルターブレーブアオイリュウセイ
その他:マルハチフレンド(△4人)3着、ビソウウエスタン(×5人)5着、タービュレンス(○1人)7着
10/5園 田兵庫アラブクイーンカップ1870mグリンティアラクインラマ
※1着同着 その他:ムサシボウナナ(×6人)3着、グリンエイシ(▲3人)8着
10/11園 田タマツバキ記念山陽杯1870mワシュウジョージシャインマンリー
その他:ブラウンダンディ(×5人)3着、ホマレスターライツ(△3人)4着、エイランボーイ(◎1人)8着、ケイエスヨシゼン(▲4人)9着
10/22福 山鞆の浦賞1800mモナクマリンミスターカミサマ
その他:ピアドオスカー(▲4人)9着
10/26姫 路姫山菊花賞2000mタカライデンニシノリュウジン
その他:リジョウガバナー(○2人)3着
11/4宇都宮とちぎアラブ王冠2000mデイオウルフイチカツシーサー
その他:ハナノシオリ(○3人)5着、ダイナマイトスター(▲2人)7着
11/12福 山福山菊花賞2250mパッピーケイオーマツノホープ
その他:モナクダイキチ(▲6人)3着、ワールドアイ(○2人)4着
11/15姫 路白鷺賞2000mマノノトップガンワシュウジョージ
その他:ケイエスヨシゼン(▲3人)3着、シャインマンリー(○2人)7着
11/21上 山奥の細道大賞典2300mペルターブレーブマルハチフレンド
その他:アオイリュウセイ(○2人)8着、タービュレンス(×5人)12着
11/26福 山全日本アラブグランプリ2250mミスターカミサマタカライデン
その他:チーチーキング(×4人)3着、モナクマリン(▲3人)4着、イッテンヨカイチ(無9人)5着、デイオウルフ(△5人)10着
12/10金 沢北國アラブチャンピオン2300mイセイチフブキアサカタイショウ
その他:マルイシヒーロー(○2人)3着、ツルギネオン(△5人)4着、ビソウウエスタン(▲4人)5着
12/17福 山アラブ王冠1800mモナクマリンイクノシンプウ
その他:ミスターカミサマ(◎1人)3着、ダイホーマ(△4人)9着
12/29宇都宮とちぎアラブ大賞典2000mイーシーキングホマレスターライツ
その他:サカノブルショワ(▲3人)3着
12/30高 崎アラブ大賞典2000mジャパシュキングヨシゼンファイナル
その他:カズタカショウグン(◎1人)3着
※上記表中の予想の印は当日の大勢とワシの私見より。決め手の略称は、逃=逃げ、先=先行、差=差し、ま=捲り、追=追い込み、をそれぞれ示す。

極私的総括あれこれ

1.レース編

ベストレース=摂津盃
上半期以上にこれは迷った!摂津盃か全日本アラブグランプリか奥の細道大賞典か・・・結局摂津盃。1着同着という歴史的珍事もさることながら、逃げ込むマンリーに迫るヨシゼン、それを後押しするかのような相当数のお客さんの「ヨシゼン!!」の声。激戦に熱気も最高潮。写真もバッチリ撮れたし。痺れた!
次点1=全日本アラブグランプリ
ミスターカミサマの二角捲り圧勝。"西日本"から"全日本"に模様替えした第1回、出走メンバーもレースの盛り上がりも素晴らしいものでした。
個人的には、カミサマは6月銀杯圧勝を目撃して以降ずっと評価してきていた馬だけに、その勝利は格別の思い。
次点2=奥の細道大賞典
これはひとえにペルターブレーブのゴール前超絶差し脚。昨年は幾度も見られた光景ということで、勝ってしまえば「やっぱり」といったところなのでしょうが、初めて目にするその様には感動!残り50mで「駄目だな」と思わせておいて必ず届く。凄い!
栄光と翳り=タマツバキ記念山陽杯
全国の強豪集結の一戦。シャインマンリーの先行粘り込み、それを呑み込んだワシュウジョージの追い込み、見応えありました。が、その陰で大本命エイランボーイの惨敗その実は故障発生でこの後引退・・・明暗を分けました。
これで実質日本最強アラブとなったワシュウですが、その実力にいまだ疑問を抱くファンがいるもの事実。一因として、王者エイランと真っ向勝負で最強の座を勝ち得たとは言い難い、という点があろうかと。その機会がもう永遠に失われたことはワシュウにとっても大きな不幸なのでは。
真夏の夢か?〜逃げ爆勝その1=金杯
トモシロヒットの恐るべきスピード、マイルだったら日本一速い、サラより速いと真剣に思いました、が、秋以降は泣かず飛ばず・・・いったい何だったんだ?
神をも凌ぐその速さ〜逃げ爆勝その2&3=鞆の浦賞、アラブ王冠
千八までの距離においては、モナクマリンの手綱無制御の逃げには、ライバル神様も脱帽。鞆の浦賞とアラブ王冠でカミサマを下し、福山4歳二冠を手中に。トモシロに負けず劣らずこの馬も速い!
北國に吹雪!〜逃げ爆勝その4=北國アラブチャンピオン
北関東時代その名を轟かせた、イセイチフブキの逃げの強さがシーズン後半に復活。前走石川テレビ杯も二千をブッチ切りレコードV。この北國アラブも、不得手な長距離戦を一人旅でレコード駆け。強いイセイチに会えて、嬉しかった金沢遠征でしたね。
乱ペースV=日本海特別(夏)
夏負けでガレ気味だった4歳ノア、慣れぬ二二の長距離戦、前半を短距離のペースで飛ばし、2周目以降をスローな溜め逃げに移行。結果本命プリウスの追撃を封じ、ユーノスに続く、日本海4歳馬戴冠。一大スペクタクル。
大威張り=九州アラブグランプリ
佐賀代表で出張のビソウミラクル、地力上位と見るや憎らしいほどの向こう流し大捲り一気のレコード駆け。人気薄激走大穴や本命ぶっ飛び、この馬、やることがいちいち派手。
同着再び=兵庫アラブクイーンカップ
摂津盃に続きまたもや。鞍上も岩田と永島で同じ。ただこの同着、ゴール前一旦抜けてフワッとするグリンティアラ、首の上げ下げのタイミングイマイチなクインラマといった具合で、正直「あれっ?」という感想も。
呆気なく・・・=とちぎアラブ大賞典
全国のアラブな人間が固唾を呑んでその結果を見守った、ホマスタvsイーシーの、北関東最終決戦。先行三角ダッシュのイーシーキングが力強く伸び完勝。出遅れるも四角並んだホマスタ、直線外にヨれ、勝負は呆気ない幕切れ。イーシーの充実、ホマスタの停滞、両者のコントラストの妙。
ド派手な終焉=アラブ大賞典
重斤嫌ったカズタカショウグンのバカ逃げも三角まで。これを余裕の2番手追走ジャパシュが捉えてのV。2着はミスターヨシゼンの末の弟長距離得意のヨシゼンファイナル。大味だが華やかに、高崎アラブ系重賞の終焉に惜別の花束。

2.馬編(当然何度も目にする馬の評価が高くなります。)

MVH(MVPならぬ)=ミスターカミサマ
迷いましたが最後は好みです。びっくりの捲り脚、すっかり認知された黒地に金文字刺繍の「Mr神様」メンコ。今後福山を、そして全国のアラブを牽引していってくれるであろうと期待も大きい。スター性も抜群。
殊勲賞=イーシーキング
ホマスタとの決戦の勝利も含め、今年1年アラブに負けなし。そして、サラ系重賞天馬杯をも制す。公平にみた実績ならMVH級。印象的なのは、レースは実に速くて強いのに、パドックやレース後は全く静かで無駄な動きをいっさいしないという点。そのあたり、茫洋としていて却って空恐ろしい。
殊勲賞=ワシュウジョージ
全国の強豪が揃ったタマツバキ記念を豪脚一閃で制覇。やっぱり怖い捲り脚。園田での強さは特筆もの。エイラン、ホマスタ、ヨシゼンの不発で、若干消化不良の感を観るものに残したと言えなくもないタマツバキですが、あの強さ、レースの格、認めぬわけにはいかないでしょう。今後は遠征競馬でも強さを見せることが大きなテーマではないかと。
敢闘賞=ケイエスヨシゼン&シャインマンリー
2頭ひと括りはズルいですが、両頭摂津盃の同着優勝をピークに、年の中盤によく活躍しました。ヨシゼンは高齢化、衰え、得意距離のレースがないという状況で、まさに敢闘賞。マンリーはヒラオープン馬級から躍進、摂津盃優勝に続き、タマツバキ2着も魅せてくれました。両者とも、年間通じて一定の強さを発揮できなかった点は否めませんが・・・。
敢闘賞=モナクマリン
6月の瀬戸内賞逃げ切りもよかったですが、その後休養から明けたらとんでもない強さになっていました。千八までなら他馬の影をも踏ませぬ逃げ脚。ミスターカミサマすら追いつけないという。小柄な牡馬ですが、スピードの絶対値、そして付いた筋肉の逞しさという裏付けがあり、これは本物。技能賞にも値しましょうが、ケレン味のない走りで敢闘賞に。
技能賞=イセイチフブキ
高速逃げ馬でも、前述のモナクマリンと全く異なるタイプ。首も胴も脚も長い、デカい馬体、顔も怖くてまさに"超獣"。それはともかく、その身体をメイチに伸ばしての、特大のストライドで突っ走る姿はフォームも相まって印象的。高速馬場でスピードが乗ったら手が着けられないぞ。
技能賞=ペルターブレーブ
やはり表彰のトリはペルター様。事ある度に言及するので"耳タコ"状態で申し訳ないのですが、競り合ったら絶対負けない、G前必ず抜ける差し脚。高等技であることは間違いないのですが、実際の競馬でそれをコンスタントに確実に実践されると、技能というよりはそれを超越したところのワザですね。

既に2001年の競馬は始まり、大一番も行われています。時代は厳しくとも、「良いものは良い」のです。最後に、昨年一年間の激闘、その感動に感謝して、これから待っているであろう、更なる素晴らしいレースを楽しみにしつつ。

◆ 応援してるぞ! ◆

2001.1.31 記

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